旅×自転車 記事

【大阪府】大阪五低山をめぐる25km(獲得標高92m)の大阪アルプス サイクリング


大阪市内には国土地理院の地形図に記載されている低い「山」がいくつかあります。
その中でも、大阪五低山(おおさかごていざん)と呼ばれる5カ所の低い山は、それぞれ古墳や築山などの標高30m以下の低山です。五低山を含む「大阪アルプス」とも呼ばれる、大阪市内の山々をめぐるサイクリングをご紹介します。

天保山(港区)

スタートは大阪メトロ「大阪港駅」近くの天保山公園から。

大阪港駅へは大阪メトロ主要駅から輪行できますし、大阪駅前や難波駅から自走でも10km以内なので、天保山公園は集合や待ち合わせにも便利です。

天保山は、江戸時代の天保年間(1830~1844年)に人工的に作られた山で標高は4.53m。
「山」には色々な定義がありますが、国土地理院の地形図に掲載されたことで、当時日本一低い山として有名になりました。
この天保山が登山証明書などを発行していた天保山山岳会が、2002年頃に発行した「大阪五低山縦走指南書」が、『大阪五低山』と呼ばれる始まりと言われています。

現在では、2011年の東日本大震災の津波と地盤沈下によって標高が低くなり、その後に国土地理院が行った測量で標高3mであることが確認された日和山(宮城県仙台市)が、日本一低い山となり、天保山は二番目に低い山になっています。
但し、二等三角点のある山としては現在も日本一低いです。自転車で山頂まで行けるのも面白いです。

昭和山(大正区)

川や運河が多い大阪市の臨海エリアには、まだいくつかも「渡し」が残っています。まずは「甚兵衛渡」で尻無川を渡り、昭和山(しょうわざん)を経由して西へと向かいます。


貯木場跡地に「港の見える丘」として公園と合わせて造成された人口山は、昭和に建設されたことから「昭和山」と命名されました。
昭和山の標高は33mあり、当時は大阪市内で一番高い山でした。現在は鶴見緑地内に建設された鶴見新山に次いで二番目に高い山となっています。なので大阪五低山には含まれていません。

昭和山がある千島公園内は自転車走行できないので、山頂へは歩いて登ります。確かに港を見渡せる景色が広がっていました。

帝塚山(住吉区)

昭和山から木津川を落合渡船で渡り、西成区を経て住吉区の帝塚山へ。
帝塚山は「山」というより、関西屈指の高級住宅地の一つとして知られていますが、その名の由来は「帝塚山古墳」にあります。

帝塚山古墳は、標高19.88m(三等三角点)。一般財団法人が管理している国指定史跡で、一般的には入ることはできません。

聖天山(阿倍野区)

帝塚山古墳から阪堺電車の路面電車部分を北へ2kmほど走り、聖天山(しょうてんやま)へ。

聖天山は標高14m。聖天山古墳と呼ばれる古墳で、北側は聖天山公園として整備されています。
別名「聖天山正圓寺」とも言われ、山頂は正圓寺境内にあります。

御勝山(生野区)

聖天山から阿倍野筋を北上すれば、かつて日本一だった高さ300mの「あべのハルカス」が見えてきます。

2014年に竣工したあべのハルカスは、2012年の工事中に横浜ランドマークタワー(高さ296 m)を抜き、「日本一高いビル」となりました。現在は2023年開業の麻布台ヒルズ森JPタワー(高さ 325m)に次ぐ二番目に高いビルです。

あべのハルカスを過ぎたら東へと走り、御勝山(おかちやま)へ。

御勝山公園内にある御勝山古墳の墳丘で、国土地理院の標高点では標高14m(公園内の看板表記では標高13.25m)です。
元は「岡山」「丸山」の名称でしたが、大阪冬・夏の陣で徳川秀忠が勝利を得たことから「御勝山」と呼ばれています。

茶臼山(天王寺区)

再び、あべのハルカスがある天王寺へ戻り、天王寺公園エリアにある茶臼山(ちゃうすやま)へ。


茶臼山古墳の墳丘である標高は26m。山頂へは公園内から歩いて登ることができます。
山頂近くからは、河底池(かわぞこいけ)をはじめ、天王寺公園をも渡せるだけでなく、高さが約270mも高い「あべのハルカス」を見上げることもできます。

「てんしば」と「あべの横丁」

天王寺公園エントランスエリアの「てんしば」にはカフェやレストランがあるだけでなく、JRと大阪メトロ複数線が交わる「天王寺駅」周辺にはあべのハルカスをはじめ、多くの複合商業施設や地下街があります。

サイクリングの後は駐輪場へ自転車を止めて、お洒落なお店で過ごすこともできますが、昭和風情が残る地下街「あべの横丁」へ。

大阪と言えば「粉もん」。あべとんでお好み焼きを楽しんでサイクリング終了です。

コース紹介

距離: 24.9 km 獲得標高:92m(徒歩含む)

まとめ

大阪五低山の標高は5つ足しても78.41m、市内二位の昭和山を足しても約111m。これらを「大阪アルプス」と呼ぶのは大阪ならではのユーモアを感じます。
しかも登れない山もあるので獲得標高は92m。ポタリング感覚で、渡し船や大阪の名所と一緒に巡れる「五低山めぐり」を、ぜひ楽しんでみてください。

執筆: 花田 康

関連記事





 

 

 

  • この記事がいいねと思ったら
    •  0
  •   この記事のご感想はユーザーのみなさま
  • サイクリングレポート(記事下部)
    サイクリングレポート(記事下部)
    編集部おすすめ
    ランキング