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【インタビュー】自転車旅人「西川昌徳」さん ちきゅうの教科書など教育活動の原点に迫る|by TABIRIN Part.3

世界36カ国90,000kmを自転車だけで走り、現代の語り部としてその経験をこどもたちに伝える活動をする自転車旅人「西川 昌徳(にしかわ まさのり)」さん。

Part.3では、西川さんが教育活動の舞台に入っていくようになったきっかけに迫ります。

Part.1のレポート>>西川さんのプロフィール・自転車旅のきっかけ

Part.2のレポート>>西川さんの自転車旅のエピソード・その中で得たこと

 

今回のプロフェッショナルは

西川 昌徳(にしかわ まさのり)さん
Masanori Nishikawa

自転車旅人
1983年兵庫県姫路市出身 徳島大学工学部機械工学科卒業
世界中を自転車で旅する中で生まれた思いや学び、気づき、出会いの物語を伝える旅人。旅先と日本の学校をテレビ電話でつなぐ課外授業「ちきゅうの教科書」を実施するほか、日本各地で講演会を実施。地球上で最も活躍した冒険家、挑戦者、社会貢献活動を表彰するFAUST A.G. AWARDS 2014 ファウスト社会貢献活動受賞。

>>EARTH RIDE – MASANORI NISHIKAWA official website

 

西川さんの旅の経験をこどもたちに伝える活動

[前回までのあらすじ]

自転車旅を通じて「だれかのため」に自身の経験を「伝えて」いきたいと思うようになった西川さん。その取り組みは教育のステージに入っていくことに。

 

TABIRIN ──こどもたちの教育の舞台に入っていくきっかけは何だったんですか?

2006年の日本一周の自転車旅で福島県の新地町に立寄ったとき、ある方にとても良くしてもらい、1週間滞在をしたことがありました。

その後、2011年に東日本大震災が起こったのです。この出来事が直接的なきっかけでした。

僕は海外の旅に出る予定でしたが、すぐさま新地町に向かいました。

新地町では災害ボランティアセンターの立ち上げに関わり、コーディネータとして復興支援に関わりながら、避難所、仮設住宅で多くの時間を子どもたちと過ごしました。

その時に「この子たちが大人になるまで関わっていたい」と考えるようになりました。

自分にできることは何かと考えた時、海外の旅の出会いを日本のこどもたちに届ける「ちきゅうの教科書」のアイデアが生まれました。

▲教育の舞台に入るようになったエピソードを語る西川さん 

 

TABIRIN ──ちきゅうの教科書とはどのような取り組みなのですか?

自転車で訪れた国と日本の小学校の教室をテレビ電話でつなぎ、リアルな課外授業を行なうというものです。

つなぐ場所はさまざまで、現地のお宅に訪問したり、街の中を歩きながら中継したり、時には現地の学校を訪れ世界の同世代の子どもたちと出会ったりもします。

▲旅先と日本の小学校をテレビ電話でつなぐ西川さん 

 

TABIRIN ──世界を自転車で旅をし、さまざまな出会いを体験した西川さんだからこそ生まれた取り組みだったんですね。

そうなんです。

教育委員会の方にお会いしたときも、ボランティアセンターで県外人として活動いていた僕のことを知っておられたし、この町がICT教育を導入し環境が整っていたこともあり、授業の提案を受け入れていただけるきっかけとなりました。

ちきゅうの教科書は2012年から開始し、これまで訪れた世界15カ国以上から、日本の小学校の教室をテレビ電話でつないできました。

2017年には、全国の小学校4校、中学校1校の総合的な学習のカリキュラムにも組み込んでいただきました。

日本の子どもたちに、世界の「いま」を感じたり、そこに生きる人との出会いを通して価値観や考え方の多様性を見つけてもらえると嬉しいですね。

▲日本と海外の子どもたちが交流する様子

 

TABIRIN ──いまや全国各地で講演会や写真展の活動もされていますよね?

はい。

2010年、一番最初の講演会は、僕の出身小学校でした。

そして、講演会後に校長先生からお礼に、と謝礼金をいただいたのです。僕の自転車旅が初めてお金に変わった瞬間でした。

その後、たくさんの講演会や学校授業に講師として呼んでいただき、それらが今の僕の収入源になっています。

講演会でこどもたちにいつも聞くんです。僕の旅は趣味なのか、仕事なのかって。そしたらほとんど趣味だって答えるんです。笑

この間なんか、僕がどうやって普段生活しているのかをこどもたちに聞いたら、「生活保護をもらっている」「補助金をもらっている」「生活を切り詰めている」って回答でした。笑

でも、それでいいんです。

▲講演会の参加者はこどもから大人までさまざまだ

 

TABIRIN ──最近とても嬉しい出来事があったそうですね

そうなんです!

ある日、突然Facebookにメッセージが届いたんです。

僕が日本一周の自転車旅をしていた時、高知県の大月町柏島で出会った女の子からでした。

少しのあいだ一緒に遊んだのですが、僕はすっかり忘れていました。

しかし、彼女はなんと、大学生となり、たまたま僕が講師をしている徳島県の学生と出会い、その町で自転車冒険家が授業をやっていると聞いたときに、僕のことを思い出したそうです。

当時、彼女は小学1年生でしたが、今は大学生。実に12年越しのお便りでした。自分が旅のなかで出会った人の記憶に自分が生きつづけていたこと。このお便りがここ最近で一番嬉しかった出来事です。

今度再会しようって約束しています。とても楽しみです。

 

TABIRIN ──西川さんの旅は色々な形で人々の心に届いているんですね!この夏には子ども冒険旅企画もするんですよね?

名づけて「MOUNTAIN BIKE JOURNEY」!

コンセプトは「人生で一番感動した夏休み。家族以外の家族ができた夏休み。」です。

 

TABIRIN ──どのような内容の企画なんですか?

対象は小学六年生です。7月24日から8月4日の12日間で、大阪から富士山を目指します。

大阪には天保山といって日本一低い山があるんです。

そこをスタートして、紀伊半島をぐるっと走って、三重県伊勢市からフェリーで渥美半島へ。

それから静岡県を経て、富士宮五合目まで自転車で走ります。最後はみんなで歩いて日本一高い富士山頂を目指します。

日本一低い山から日本一高い山まで、650kmを自転車で目指す旅です。

ワクワクするでしょ?

▲参加する子どもたちが使う自転車「KONA FIRE MOUNTAIN」

 

TABIRIN ──すごいスケールの企画ですね!でも、大人ですら650kmを走るのは大変ですよね。

最初はサポートカーも用意しようと思ったんですけどね。でもそれだと絶対にゴールできる旅になっちゃうじゃないですか。

そうじゃなくて、何が起こるか分からない方が良いと思うんです。失敗することも沢山あると思うんですけど、そこから学ぶことや気づきの方がもっとあると思うんです。

きっと途中でしんどくて辞めたくなるだろうし、うまくいかないこともあると思います。

でも、旅をしながら色んな人に出会い、助けてもらい、みんなで力を合わせて日本一高い山を目指すんです。

みんなで色んな困難を乗り越えて、最後にゴールしたら、たぶんその子にとって「人生で一番感動した夏休み。家族以外の家族ができた夏休み。」になるんじゃないかな、と。

そして、それがその子たちにとって、これから先の自信に繋がれば良いなと思っています。

▲過去の冒険企画の様子

 

自身の旅を次の世代の子供たちへ伝えていく西川さん。その想いはきっと子どもたちに届いているんですね。

西川さん企画の「MOUNTAIN BIKE JOURNEY」は申込が7月1日(日)まで。興味がある方はお早めに!

 

次回はいよいよ最終回。西川さんの次なる旅の展望をお届けします。

>>Part.4のレポートへ

<<Part.2のレポートへ

 

【西川さんの講演会レポート】

(執筆:クリス)

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