旅×自転車 記事

【大阪府】初心者向け冬ライドのヒントも!岸和田城〜関西空港ベイエリアライド

せっかく晴れた週末も、冬は寒さに躊躇して何かと家にこもりがち。
ですが、防寒や時間配分のコツを掴めば、冬ライドも十分楽しむことができます。
今回は冬ならではの澄んだ空気と、太陽の温もりを感じながら走った大阪南部の岸和田市〜泉南市の約20kmのショートライドの様子をお届けします。
後半には特に初心者にお届けしたい、冬ライドのヒントも併せてお伝えします。

関西空港から一番近い城:岸和田城

大阪には大阪城、尼崎城、岸和田城と3つの城があります。その中でも岸和田城は「関西空港から車で20分 気軽に立ち寄れる日本の文化遺産」を謳うアクセスの良さが魅力の一つです。

この日のライドは岸和田城の最寄り駅 南海線 岸和田駅からスタートです。

岸和田駅から岸和田城までは商店街を通り抜けて約1km。
現天守閣は1954年(昭和29年)に建造された3層3階のものですが、元は戦国時代の1585年(天正13年)、羽柴秀吉が紀州の根来寺を討った後に、おじの小出秀政を城主とし、その秀政が築いたもので5層ありました。
「参勤交代の時代には、大阪城城主が江戸に出向いている間、尼崎城と岸和田城の城主が交代で大阪城を守っていたんですよ」と、自身もサイクリストだというボランティアガイドの男性が教えてくれました。

天守閣内は博物館になっていて、日本史の教科書や歴史番組でよく見る明智光秀の肖像を描いた掛け軸のレプリカも。(現物は岸和田城近くの本徳寺が所蔵。)岸和田の歴史を感じることができます。

岸和田城で特徴的なのはなんと言っても天守閣の目の前の枯山水です。
国指定名勝の岸和田城庭園は通称「八陣の庭」と呼ばれています。庭園設計の第一人者と言われる重盛三玲氏により1953年(昭和28年)に設計・作庭されたもので、室町以前の城郭平面図をもとにしつつ、諸葛孔明の八陣法をモチーフに大将を中心に、天・地・風・雲・龍・虎・鳥・蛇の各陣を配しています。
地上からは一見分かりづらいですが、天守閣の最上階から眺めるとそのアシンメトリーなデザインに近代芸術のような美を感じます。

岸和田の伝統、だんじり祭にふれる

岸和田と言えば有名なのが毎年9月〜10月にかけて行われるだんじり祭です。
江戸時代中期から始まり300年以上の歴史と伝統を持つ行事。町ごとに所有する1台4トンとも言われる巨大な「だんじり」をさまざまな世代の男性陣が猛スピードで曳きながら、曲がり角で直角に方向転換させる「やりまわし」は迫力満点です。

岸和田城すぐ側に位置する岸和田だんじり会館では、実際のだんじりに、車体に飾られる木彫りの作品の展示を始め、3Dシアターや巨大ビジョンでだんじり祭りの様子を疑似体験することができます。天守閣と併せて訪問すれば、岸和田の歴史により深くふれることができますよ。

二色の浜公園経由で関西空港ベイエリアへ

岸和田から南下して、約10km先の関西空港ベイエリアを目指します。
岸和田城のボランティアガイドの方に、泉佐野市のりんくう公園に向かうと話すと、内陸部の県道204号線は車通りが多いので湾岸沿いの国道4号線を辿り二色の浜公園を通り抜けていくのがよいとアドバイスをもらいました。

国道4号線に出てみてその理由を納得。
車道と区切られた自転車・歩行者専用道路がきちんと整備されており、信号も車道よりずっと少なくスムーズです。二色の浜公園内で車が高架の有料道路になっている区間は、高架の下に専用道路が整備されています。やはり地元の道は地元の方に聞くのが一番だと改めて実感しました。

公園を抜けたら車道と同じ国道4号線に合流し、泉佐野市へと入ります。

関西空港連絡橋を望むりんくう公園

関西空港へと続く連絡橋(国道481号線 有料道路)は自転車で渡ることはできないのですが、その全貌は連絡橋のたもとに位置するりんくう公園から望むことができます。

飛行機を模したモニュメントと共に連絡橋とそれに続く空港ターミナルを望むと、ここが関西の空の玄関口であることを実感します。広々とした公園内にはベンチやお手洗いも複数あるので、ライドの休憩スポットにも最適です。

早くまた飛行機に乗って世界中を走りに行きたいですね・・・!

まるでアメリカ西海岸 泉南りんくう公園 SENNAN LONG PARK

りんくう公園のシーサイドウォーク〜マーブルビーチを抜けたら、国道63号線を南下し橋を渡り泉南市エリアへ。
約5km先の泉南りんくう公園 SENNAN LONG PARKが目的地です。

SENNAN LONG PARKは複合レジャー・宿泊施設で、独立型ヴィラを備えたグランピングエリア、岡田浦港とタイアップしたマルシェエリア、アスレチックやサッカーグラウンドを備えたアクティビティエリア、そしてBBQ場やテラス席のある飲食店が並ぶコミュニティエリアの4つのエリアから成ります。 この日は海風がとても冷たかったので洋食レストランL.growにて、スープカレーで冷えた身体を温めました。
晴れて暖かい日にはテラス席でいただくのも気持ちよさそうです。 また、大阪府内では唯一、オーシャンビューが楽しめる店舗というスターバックスでコーヒーブレイクも良いですね。SENNAN LONG PARKから約1.3kmの最寄駅、南海線 樽井駅から輪行で帰路につきました。

〜初心者向け冬ライドのヒント3つ〜

今回は約20kmのソロ・ショートライドでしたが、最低気温4度・最高気温9度、加えて海風の中を走るのはなかなかハードでした。

そこで特に初心者に向けた冬ライドのヒントを3つ、お伝えします。

○その1 : 3つの首を冷やさない

冬場に特に悩ませるのが冷え性。日常時と同じくライドの時でも首、手首、足首の「3つの首」を冷えから守ることは大切です。
首にはネックウォーマー(裏起毛がおすすめ)、手首にはグローブ(指切りはNG!)、足首には靴下(くるぶしたけでなく長いものを)を使いましょう。
お腹が冷えがちな人は貼るカイロを使うのも効果的です。

他にもヒートテックのインナー、タートルネックのセーター、アウターなどを活用し、汗冷えしないよう体温調節をしやすくすることも大切です。

○その2:飲み物や食べ物で内側から温まる

こぎ続けていればある程度温まるものの、風にさらされたりして冷えると身体が固まってくるもの。そんな時は無理せずコンビニやカフェで休憩を取りましょう。
温かい飲み物や食べ物を選んで、暖を取りながら、休み休み走るのが無理なく楽しむコツです。補給食代わりにドライジンジャーを持っておくのもよいですね。

そして、当たり前ですが冬場ももちろんサイクリングボトルは必須です。寒いからといって水分を取るのを控えるのはNGです。

○その3:日没時間に気をつける

寒さはもちろんですが、冬場のライドで特に気をつけたいのが日没時間です。
日中晴れた日でも15時を回ると西陽の中にも少しずつ夕方の寒さを感じ始めますよね。例えば、大阪の8月の日没時間は19時頃ですが、12月になると17時前になります。

慣れている方なら良いですが、暗い中車道を一人自転車で走るのは不安を覚える方も多いでしょう。輪行で帰る場合でも「帰りの電車に乗る時間」ではなく、「自宅最寄駅から家まで帰る時間」を日没前に設定しておく方が安心です。
気持ち早め早めで、行動しておくと良いですよ。もちろん、日没前に帰るつもりでも前後のライトは必ず自転車に付けて出かけるようにしましょう。

コースと施設情報

▼岸和田城 特設サイト
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/kishiwadajyo/

▼きしわだside
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/kishiwada-side/danjiri-kaikan.html

まとめ

実は冬ライドで一番大変なのは実は出かけるまでなのではないでしょうか。バイクを点検して、ウェアを着込んで、あぁ、この寒さの中出かけるのか・・・とつい億劫になりがちですが、出さえしてしまえばこっちのもの。
目的地を目指してこいでいるうちに体が温まり、冬ならではのキリッとした空気に心地よさを感じてくるから不思議です。

日照時間が短い冬は、距離にこだわらずに、観光スポットや美味しいお店を適度に織り混ぜながら走るようにすると、満足度もUPするようになりますよ。そして何より、帰宅後に湯船に浸かるのは至福の一時です。

執筆:Ayaka

2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。
ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。
2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。
座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。

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