旅×自転車 記事

【岡山県】吉備路自転車ルートで秋を感じるサイクリング

岡山県には「ハレいろ・サイクリング OKAYAMA」と称して、メインとなる8つのサイクリングロードと、37のサブルートがあるのをご存じでしょうか。
その中からメインルートの1つ、「吉備路自転車ルート」をベースにJR東総社駅〜JR岡山駅を約30km走ってきました。

稲穂の実る田んぼから望む五重塔、古墳など、のどかな風景が広がるサイクリングの様子をお届けします。

JR桃太郎線 東総社駅からスタート

スタートはJR東総社駅から。この日は大阪から新幹線輪行だったので、JR岡山駅でJR桃太郎線に乗り換え東総社駅まで向かいました。
1両編成のワンマン電車と無人駅が、ローカル線の旅気分を盛り上げてくれます。

東総社で自転車を組み立てたら、まず初めに近くの備中国分寺総社宮へとお参り。総社宮は備中国の324社の神々を1つに祀った社(やしろ)です。


特別天然記念物タンチョウに会える:きびじつるの里 つるの家

次の目的地は備中国分寺総社宮から2.2kmほど南下したところにある「きびじつるの里 つるの家」。
特別天然記念物タンチョウの保護と繁殖のための施設で、水辺の草の上でくつろぐタンチョウたちを無料で観ることができます。

「国民宿舎サンロード吉備路」も隣接しており、家族連れでにぎわっていました。敷地内には自転車ルートの案内板が設けられているので、休憩を兼ねてルート沿いの散策スポットを検討するのにも最適です。


五重塔が壮観 備中国分寺

きびじつるの里から自転車ルートをたどり、備中国分寺に向かいます。

道中、見ておきたいのが作山古墳。岡山県内では第2位、全国では第10位の大型の前方後円墳です。
こんもりと茂った古墳は田んぼや柿の木に囲まれ、秋の景色が広がっていました。

備中国分寺へと向かうルートは地元でも定番のサイクリング、ランニングコースになっているようで自転車での家族連れや、ランニングに励む人たちが行き交っていました。

備中国分寺は奈良時代、聖武天皇の発願により創建された国分寺の1つ。当時の建物は南北朝時代に焼失したと伝えられ、現在のものは江戸時代中期以降に再建されたものだそうです。
間近で見た時の迫力はもちろんですが、稲穂がたわわに実った田んぼやコスモスと合わせて拝むと絵葉書の世界そのもの。どこを切り取っても絵になります。梅、菜の花、ひまわり、コスモスなど四季折々の花と合わせて違った景色が楽しめるのも魅力です。

境内の茶屋でお抹茶と「きびみどり饅頭」をいただき小休憩しました。



吉備路高原自転車道〜備中高松城址公園

備中国分寺からそのまま東へ向かい岡山市方面に直行してもよいのですが、この日は少し足を伸ばして北上し備中高松城址公園へ。

北上といっても公園まではほぼ平坦なので、負荷はほとんどありません。
道中、造山古墳を眺めながら向かいます。

この日はサドルの上から望んだだけでしたが、この造山古墳、墳丘は全長約350mもあり全国4位の規模を誇り、立ち入りできるものとしては国内最大の古墳です。総社エリアは少し走っただけでも史跡が次々と現れるので興味が尽きることがありません。

岡山ジャンクションの周辺で、吉備路自転車道から吉備路高原自転車道に入ります。高松城址公園は1582年(天正10年)の高松城水攻めの主戦場となった城址。敷地内には蔵を改装した資料館もあります。

吉備津神社と吉備津彦神社〜JR岡山駅でゴール

高松城址公園をあとにし、再び岡山ジャンクションを経由し、岡山市方面へと向かいます。

道中には自転車道の道標があり、手持ちの地図やスマートフォンのGPS以外にも実際の目印になるので初めて走る人にも安心です。

最後に立ち寄ったのは吉備津神社と吉備津彦神社。

名前は似ていますが別の神社です。西側にある吉備津神社は、「比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)」と呼ばれる本殿が有名。
全国で唯一の様式で「吉備津造り」とも呼ばれ、国宝に指定されています。御祭神は吉備の国を平定し、昔話「桃太郎」のモデルとも言われる「大吉備津彦命(オオキビツヒコノミコト)」。
本殿に続く長い回廊も美しいのでぜひ自転車を止めて、ゆっくりと参拝してほしいスポットです。

吉備津神社から吉備津彦神社までは松が立ち並ぶ「吉備の中山みち」を経由し約2kmほど。吉備津彦神社は大吉備津彦命の屋敷跡に社殿が建てられたのが始まりと言われています。今回は立ち寄りませんでしたが、この近辺で行われる「鳴釜神事」や、総社にある「鬼城山(鬼ノ城)」など、「桃太郎」の原形と言われる「温羅伝説」にまつわる神事やスポットが今も多く存続していることが感じられます。


吉備津彦神社から約6km走りJR岡山駅でゴールです。

駅ビル「さんすて岡山」で旅の思い出に吉備団子を買うもよし、名物の「岡山ばらずし」や「ままかり寿司」などをテイクアウトするのもよいですね。

まとめ

JR東総社駅からJR岡山駅まで、吉備路自転車ルートをベースにした約30kmのライドをお届けしました。

初めて訪れる場所でも、自転車ルートが整備されているとビギナーの方でも安心して走ることができます。

今回走った吉備路自転車ルートは、車道・歩道と区分けされた自転車専用レーンや、田んぼ道、河川沿いの道の細い道を中心に構成されているので車の心配も少なくのんびりと走ることができます。残り7つのメインルートや、サブルートを合わせて、ぜひオリジナルの岡山ライドを検討してみてはいかがでしょうか。

▼岡山県「ハレいろ・サイクリングOKAYAMA」

https://www.okayama-kanko.jp/hareiro-cycling/index.html

執筆:Ayaka

2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。
ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。
2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。
座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。

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