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【徳島県】美馬市で美しい清流と、うだつの町並みをめぐる約25kmサイクリング

古き良き町並みが残り、美しい清流が自慢の徳島県美馬市。
大阪から車で2時間半で行ける「うだつの町」美馬の自転車旅をご紹介します。

道の駅 藍ランドうだつからスタート


美馬(みま)市は、四国のほぼ中心に位置していて、徳島阿波おどり空港から約50分、高松空港へも約50分という立地です。

「道の駅藍ランドうだつ」と隣接して国選定重要伝統的建造物群保存地区、通称「うだつの町並み」があり、江戸情緒あふれる町並みを楽しめます。
道の駅には、1792年に創業した藍商の屋敷跡「吉田家住宅」があり、観光交流センターには、土蔵を改修した藍染めと和傘の体験施設やカフェスペースなどもあります。

まずは、敷地内の蔵を改装したピッツェリア「Pizza Punta」で早めのランチ。イタリアから取り寄せた石窯で焼き上げるピザにサラダ、季節のスープ、ドリンクが付いたランチセット(1500円)をオーダー。

吉野川から穴吹川へ清流めぐり

吉野川は、関東の利根川、九州の筑後川と共に三大河(日本三大暴れ川)として知らてれています。日本三大河川(信濃川、利根川、石狩川)は、長さ、流域面積のトップ3ですが、三大河は「暴れ川」が基準になっています。
そのため吉野川や支流の穴吹川には、川の増水時に橋の上を水が流れ沈んでしまう潜水橋(せんすいきょう)がいくつもあります。高知県の四万十川や仁淀川では「沈下橋(ちんかばし)」と呼ばれていますが、香川県では「潜水橋」と呼ばれています。


吉野川に架かる脇町潜水橋。日本の川は北南または南北に流れる川が多く、西から東へ流れる吉野川は全国でもめずらしく、川に沈む夕日の美しさでも有名です。

春には、川沿いに沢山の菜の花畑が色づくことでも知られています。

吉野川沿いからJR穴吹駅を過ぎれば支流の穴吹川沿いを上流方面へと走ります。
剣山を源流として吉野川にそそぐ穴吹川は、国土交通省による全国の河川の水質調査でも良好な水質と認められている美しい清流です。

白人神社・磐境神明神社

穴吹駅から緩い坂道を約8km走れば白人(しらひと)神社。

向かって左側には、「磐境神明神社」(いわさかしんめいじんじゃ)の参道があります。

長い石段を上れば全国でも珍しい石室造り(磐境造り)をした神社があるそうです。
この地域は、古代ユダヤとの繋がりを感じさせる言い伝えが数多く存在し、イスラエルの神殿とよく似た造りの神明神社も古代ユダヤと美馬市の繋がりを示すものの一つと云われているそうです。

穴吹川潜水橋と清流

白人神社から500mほど来た道を下れば小さな橋「穴吹川潜水橋」が見えてきます。


民家と段々畑を望み、情緒あふれる風景を感じながら、欄干の無い小さな橋を自転車で渡るのはとても気持ちがいいです。

2kmほど川沿いを下れば「ブルーヴィラあなぶき」があり、その下には流れが穏やかな「二又の瀬」があります。
さらに2.5kmほど下れば、「しでの家」があり、目の前には「天神の瀬」を望めます。
いずれも、有料の駐車場や更衣室,トイレなどがあり、夏には川遊びで賑わうスポットです。

徳島のお土産で有名な「ぶどう饅頭」


JR穴吹駅へと戻り、駅前の「ぶどう饅頭 日乃出本店」へ立ち寄り。
穴吹駅には「CYCLE PIT」が設置されているので、輪行の場合はここを拠点にするのがおすすめです。

ぶどう饅頭は”葡萄”ではなく「”武道”饅頭」。穴吹は”武道信仰”で知られる霊峰・剣山の玄関口で、多くの人が参拝に訪れていました。お客様に何かいいお土産物はないかと生み出されたのが、餡にミルクを練り込んだ「ぶどう饅頭」だそうです。

ぶどう饅頭の他にも、季節の和菓子やチーズケーキも販売しています。

日乃出本店から、吉野川に架かる自歩道橋「ふれあい橋」を渡ります。所々に展望用のバルコニーがあり、吉野川の美しさを眺めることができます。

重要伝統的建造物群保存地区「うだつの町並み」

道の駅 藍ランドうだつ方向へ走って、まず「脇町劇場 オデオン座」。

1934年に創建された徳島県唯一の木造芝居小屋。戦前には歌舞伎や浪曲の上演で人気を集め、戦後には歌謡ショー公演や映画上映などで親しまれました。
その後、建物の老朽化などで閉館、取り壊される予定でしたが、映画『虹をつかむ男』のロケ舞台となったことがきっかけで、1999年に町指定文化財として昭和初期の創建時の姿に修復され、一般公開されることになりました。
今では、假屋崎省吾さんの華道や、林家三平さんの落語、映画監督の矢田清巳さんの作品上映などで賑わっています。

美馬は、吉野川北岸の撫養街道と讃岐への街道が交差する交通の要衝であり、さらに吉野川の舟運の利用にも適した位置にあり、脇城の城下町として、藍の集散地としても発展しました。
現在では、江戸中期~昭和初期の85棟の伝統的建造物が建ち並んでいて、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
この町並みの大きな特徴は、町家の両端に本瓦葺きで漆喰塗りの「うだつ」が多くみられることで、このことから「うだつの町並み」の通称で親しまれています。

うだつとは、隣家との延焼防止のために建てられた防火壁のことで、財力を誇示するための手段としても、商家の屋根上には競って立派なうだつが上げられたそうです。
うだつを上げるためには、それなりに費用が必要だったことから、「生活や地位が向上しない」「状態が今ひとつよくない」という「うだつが上がらない」の語源となったと言われています。
「うだつ」の上がる街並みが残っているところは、美馬市のほか岐阜県美濃市も有名です。

うだつを見上げながら、古い町並みをのんびり散策します。

道の駅へと戻り、「うだつemon茶房」で美味しいコーヒーを飲んでサイクリング終了です。

コース紹介

距離:24.8km 獲得標高:235m

今回の記事で紹介したコースの詳細は以下でもご覧いただけます。

まとめ

関西からアクセスの良い徳島県。この美馬は徳島市から50分程度で来ることができます。
美しい清流は、まさに夏の”ドボンライド”に最適! がっつり坂を走りたい人は剣山へ約50kmのヒルクライムも楽しめます。
以外と近いのに、あまり良く知らなかった徳島県。まだまだ魅力的なサイクリングスポットがあるはずなので、探してみようと思います。

執筆:花田 康

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