旅×自転車 記事

【オーストラリア】オージーの国民食!ミートパイを求めて走る「ヤタラパイ」ライド

オーストラリアの名物料理と聞くと、どのような食べ物を思い浮かべるでしょうか?
多国籍・多民族のオーストラリアではいわゆる「オーストラリア料理」と呼ばれるものはほとんどありません。
ですが、人種・国籍問わず広く国民に愛される食べ物はあります。その一つが「ミートパイ」です。オーストラリアの味を求めて、往復34km自転車で走って来ました。

オーストラリアのミートパイとは?

オーストラリア人にとってミートパイは言わば「国民食」。円形で1人分サイズの冷凍パイはスーパーでも定番の食品です。日本でも外資系のまとめ売り大型スーパーなどで売られているので見たことがある方もいるかもしれません。
冷凍品でも十分美味しいのですが、やはりローカルのお店で手作りされたパイほど美味しいものはありません。特に、オーストラリアのワインの名産地、バロッサバレー(南オーストラリア州)の赤ワインといただくと絶品です。

中でも有名なのが、Yatala Pies(ヤタラ・パイズ)。
市内から南へ約40km行ったヤタラという地域にあるローカルのパイショップです。

ヤタラ・パイズは130年以上続く老舗であり、ブリスベンからゴールドコーストへ向かう高速道路パシフィック・モーターウェイ(通称M1)の出口沿いという便利な立地。
高速道路の38番出口の案内標識には Exit Yatala Pies と、「ここで降りて!」と言わんばかりに明記されているほどです。

週末ともなると、近隣住民はもちろん、車で遠方から買いに来る常連客でにぎわいます。
私も2017年のオーストラリア留学から帰国後、「オーストラリアの味」として「やたら」食べたくなるのは、いつもここのパイでした。

「IKEAローガン店」を目印にスタート

スタートはブリスベン市の南側に隣接するローガン市にある、IKEAローガン店から。日本にもIKEAはありますが、オーストラリアでもIKEAの家具や雑貨は大変親しまれています。

ちなみに日本語では「イケア」と発音しますが、英語では「アイケア」の音に近い発音です。最初に聞いた時は「eye care!? 眼科のこと⁉?」と勘違いした思い出があります。
車社会のオーストラリアは、日本のように市内と店舗を結ぶシャトルバスは走っておらず、皆、自家用車で来てそのまま持ち帰るのが一般的。そのため駐車場も広々としています。

ちなみにここ、IKEAローガン店は、ローガンサイクリングクラブの土曜朝ライドの発着場所にもなっています。
毎週土曜日の朝7時になると、老若男女、ローガン市内各所から20〜30名ほどのサイクリストたちが集まってきます。

皆でエクササイズがてら30kmほど走り、IKEAに隣接するカフェでコーヒーを楽しんで解散する、というのが定番スタイルです。

ゴールドコーストへと続く自転車ルート「V1」をたどって

ブリスベン〜ゴールドコーストまでは主に幹線道路M1沿いのサイクリングルート「V1」を通って行きます。
このルートはクイーンズランドの中でも「アイコニック・サイクリングルート」と位置づけており、サイクリストにも人気のコース。年に1回開催されるクイーンズランド州最大級の自転車イベント「ブリスベンtoゴールドコーストサイクルチャレンジ」のルートにもなっています。


自転車専用道・車道と並行するバイクレーンを組み合わせたコースで、要所要所に「V1」を示す標識が立てられています。

▼M1沿いには主要スポットの標識も立っています。

IKEAローガン店から5km地点、巨大ショッピングモール「ハイパードーム」が見えてきました。

オーストラリアのショッピングセンターはだいたいどこも同じようなスーパー、日用品店、飲食店のフードコートが入っているのですが、なんといっても施設も駐車場もビッグサイズです。広大なオーストラリアの大地をここでも感じます。

ちなみに、日本でもおなじみの「バーガーキング」はオーストラリアでは「ハングリージャックス」の名前で呼ばれています。

自転車でゴールドコースト方面へ向かう場合、イーグルビー(Eagleby)というエリアでいったんM1沿いを東方向に離れ、再びM1沿いに合流し南を目指していくことになります。
とはいえここにも自転車ルートの標識はあるので心配は無用です。

スタートから12km地点、イーグルビーに入り、ゴールドコーストのメインビーチ、サーファーズ・パラダイスまでの標識が見えてきました。

しばらく走ると住宅街に突入。
道沿いの民家の前に、赤・黄色のフタとキャスターが付いた大きなプラスチックのゴミ箱が並んでいます。一見業者用ですが、実はこれ、オーストラリアの家庭用のゴミ箱なんです。

クイーンズランド州では、週に一度、家の軒先にこのゴミ箱を出しておくと、回収車が来て回収してくれるシステム。ちなみに日本のように手作業ではなく、車体に付いた巨大アームで掴み取り、中身をゴソッと回収車の中に放り入れる仕組みです。

ヤタラ・パイズに到着!

イーグルビーの住宅街エリアから再びM1沿いの道に戻り、ようやくヤタラ・パイズの赤い屋根が見えてきました。

IKEAローガン店から漕ぐこと約17km。
ラウンドアバウト(ロータリー)を回り、ヤタラ・パイズに到着です。

店内とテラスに席があるのでお店での飲食も、持ち帰りも可能です。
店頭のショーケース越しにお揃いのユニフォームを着た店員さんに口頭で注文を伝えます。


店の奥には厨房があり、パイが次々と焼き上がっていく様子が見えます。どれも美味しそうで見ているだけでよだれが出そうです。

定番は「ステーキ&マッシュルームパイ」(1人前$6.4)。
サクサクとした焼きたてのパイ生地の中に、黒胡椒の刺激が効いたマッシュルームとオージービーフがギュッと詰まって食べごたえ満点です。

惣菜系のパイだけではなく、アップルパイや、バニラクリーム、カスタードクリームがたっぷり入ったスイーツ系のパイも充実しています。
この日はアップル&クリームパイをフラットホワイトと共にテラス席でいただきました。
ステーキ&マシュルームパイはメッセンジャーバッグに入れてお土産に。

ちなみに、カタカナ英語では「イートイン」「テイクアウト」という表現が一般的ですが、オーストラリア英語ではそれぞれ “Dine in” , “Take away” と言います。店頭で “Dine in, or take away?” (店内飲食、持ち帰りどちらですか?)と聞かれたら、スムーズに答えられるようにしたいですね。

ファミリーサイズもあり、こちらは$19と手頃なのも家族連れに人気の理由かもしれません。

ドライブスルーも可能で、ブリスベン〜ゴールドコーストのドライブの道中に立ち寄るお客さんも多く見られます。

お腹を満たしたところで再びIKEAローガン店を目指し引き返します。
公園内の自転車専用道を折り返しながら、美しい夕焼け空が見えました。

▼暗くなってきたら車道沿いのバイクレーンより自転車専用道を通るのがより安全。

▼公園内にはスケートボード・BMXの練習場も。

▼夕焼け空に浮かぶ “Goledn M” のサイン。

ライド土産はIKEAのタラコチューブ

パイのお土産が入ったメッセンジャーバッグを背負いつつ、せっかくなので、IKEAの食料品コーナーでお土産を見繕うことに。

IKEAの食料品コーナーは、スウェーデンの珍しいお菓子が買えるのはもちろんですが、北欧の特産品でもある、サーモンの切り身など魚製品が手頃に手に入るのがうれしいポイント。

ブリスベンは肉と比べると、魚はどうしても割高なので、家具・雑貨ではなく魚目当てで買い物に来るIKEAユーザーも。

特にここのタラコチューブはトーストやパスタに気軽に使えて便利です。ライド後に塩気が欲しい時にももってこいです。

コース紹介

まとめ

国内外問わず、旅は出会った人、見た景色はもちろんですが、食べた味もまた、旅の印象に大きく影響を与え、思い出に残るものではないでしょうか。ガイドブックに出ている有名なレストランももちろん美味しいですが、ローカルなお店こそ、その土地の人柄や文化が垣間見えて面白いものです。ブリスベン・ゴールドコーストにいらした際はぜひ、ヤタラ・パイズを食し、「オーストラリアの味」の記憶を旅の思い出として持ち帰ってもらえれば幸いです。

執筆:Ayaka

2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。
ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。
2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。
2022年4月、オーストラリア クイーンズランド州ブリスベンへ移住。
座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。

関連記事


 

 

 

 

 

  • この記事がいいねと思ったら
    •  3
  •   この記事のご感想はユーザーのみなさま
  • サイクリングレポート(記事下部)
    サイクリングレポート(記事下部)
    編集部おすすめ
    ランキング