【オーストラリア】ブリスベンに来たら一度はチャレンジ!Mt.クーサヒルクライム
日本でも地域ごとに、地元のサイクリストたちが脚自慢をするヒルクライムスポットがあるように、オーストラリアにも「ここで登るならこの山・峠!」というスポットが数多くあります。
ブリスベン屈指のヒルクライムスポットはMt. クーサ。多くのローカルサイクリストが一度は登ったことのある山です。
登れば、オージーのサイクリストにも一目置かれるかも?
ヒルクライム+ランチを含む約15kmのサイクリング、早速行ってみましょう。
目次
Mt.クーサとはどんな山?
Mt.クーサはブリスベンの街の中心地から約6kmほど西側にある、標高287mの山です。
「クーサ」の語源はアボリジニの種族から来ています。昔、この地で暮らしていたアボリジニのターバル族が、ミツバチからハチミツを採取するためにこの山を訪れていたそう。ターバル族の言語でハチミツが “ku-ta” と呼ばれていたことが Mt.クーサの由来となりました。
Mt. クーサへの登頂方法は自家用車、バス、ハイキング、自転車が主。観光スポットとしての人気も高く、市バスも通っているので個人観光でのアクセスも便利です。
日本からの団体バスツアーや修学旅行生などもよく見かけます。
車道とは別に、ハイカー向けには遊歩道が整備されているので、小さい子連れの家族から中高年の方まで、ハイキングコースとしても人気です。マウンテンバイク向けの専用道も整備されています。
ロードバイク乗りのサイクリストにとっては、市の中心部からのアクセスの良さと1周10km強の手頃さから、Strava(ストラバ)上でセグメントの順位や自己ベストを競うブリスベン屈指のヒルクライムスポット。
自転車ルートは車道と同じですが、部分ごとにバイクレーンが敷かれています。
ブリスベンの市街をめぐるライドイベントでも、Mt.クーサはヒルクライムのタイムトライアル区間として設定されています。
ふもとのプラネタリウム館を目印にスタート
クーサのふもとは大きな駐車場エリアとなっており、ビジターセンター、図書館、アートギャラリー、サー・トーマス・ブリスベンプラネタリウム(市のプラネタリウム施設)などが隣接しています。
車でアクセスする場合は、ここの駐車場(無料)に停めるのが便利です。
スタート地点は駐車場を出たらすぐ目の前は坂。ここからが「クーサチャレンジ」のスタートです。
定番は北回りコース
「表ヤビツ」「裏ヤビツ」のように、峠や山はどの方向から登るかそれぞれの楽しみがありますよね。クーサもやはり「どの口から攻めるか」がブリスベンのサイクリストたちの楽しみ。
定番は約8kmの北回りで頂上の展望台をゴールに定め、下山は約2.6kmの南回りで戻ります。スタートして最初に現れるのはマウント・クート=ター・ロードの斜度6.2%、200mほどの坂。
最初からインパクトの大きい坂に「うぅっ…」となりますが、まだまだ入り口。
実際、過去にはこれを市営のシティサイクル(レンタルバイク)で登ったオージーのツワモノも…。
▼北回りコースでは200mの途中にある分岐を右側のツーリスト・ドライブ7方向に進みます。
最初の難所を越えてほっと一息。ここでいったんバイクレーンは切れて車道と一緒になるので気をつけながら走りましょう。
少し下ったところに小さな公園エリアがあります。公衆トイレもあるので小休憩に便利です。
▼休憩スポットの入り口には森林火災(bushfire)の注意看板も。
ところで、オーストラリアの公園に必ずと言っていいほどあるのがバーベキュー台。
オーストラリア人にとってバーベキューは日常茶飯事で、週末は市内・郊外問わず各所の公園で食材を持ち込みバーベキューを楽しむオージーたちの姿が見られます。
▼手前がバーベキュー台、奥が公衆トイレ
オーストラリアならではの看板や森を楽しみながら登る
公園を過ぎ、適度なアップダウンを繰り返しながら道なりにしばらく進むと、再び坂の入り口に。
ここから2.2kmは平均勾配9.0%の坂道が続く “Mt.Coot-tha Back” と呼ばれる区間になり、ふんばりどころです。
▼野生動物保護、コアラやカンガルー飛び出し注意の看板はオーストラリア各地でよく見かけます。
▼ハイカー、自転車、それから馬に注意!?
▼急な下り坂で先が見えないため、注意を促すCREST(頂上)の看板
誰が書いたのかは定かではありませんが、要所要所にキロポストが路面に書かれているので、ペース配分の目安にもなります。
▼1000m地点を表す路面の書き込み
2.2kmのセグメントを走り切り、ゴールの展望台に近づくにつれて、木々の間から空高くそびえる鉄塔が目に入ってきます。
Mt.クーサはブリスベンの主要なTV局・ラジオ局の電波基地にもなっており、各社の電波塔やパラボナアンテナが次々と現れます。
▼青空にそびえ立つ電波塔は迫力があります。
アップダウンを繰り返しながら平均勾配8〜9%の坂を黙々と漕ぎ進めていきましょう。
展望台手前の駐車場〜ラウンドアバウト(ロータリー)に差し掛かったらゴールはもうすぐ。
ラスト600m、平均勾配8.6%をふんばって、頂上へと向かいます。
ラウンドアバウトは車・自転車問わず中にいる人が優先。
注意して反時計周りで右折しましょう。
展望台から絶景を眺めながらコーヒーブレイク
ゴールの展望台に到着です。
展望台にはサイクルラックも昔から常設されており、サイクリストが日常的にどれだけ多いかを物語っています。
なお、市バスも展望台まで通っているので、自転車ではちょっと…という方は、公共交通機関でのアクセスも可能です。
展望台からはブリスベンの街中をゆったりと蛇行するブリスベン川の様子はもちろん、晴れていれば遠くにモートン湾まで見渡すことができます。
また、Mt.クーサ展望台は夕焼け、夜景スポットとしても人気です。
ぜひ昼間は自転車で、夜はドライブで訪れてみるのもよいですね。
展望台エリアにはカフェとレストランがあり、テラス席では雄大な景色を眺めながらコーヒーや食事を楽しめます。
▼この日は温かいカフェモカとフラットホワイトでほっと一息。
ダウンヒルの後はレガッタ・ホテルでステーキランチ
カフェで一息ついたら下山です。展望台からは南回りコースで下ること約2.6km。
オーストラリアでは車だけでなく自転車もスピード違反の取締対象なので、スピードの出しすぎに注意しながら安全に下りましょう。
下りきったら、プラネタリウムのある駐車場〜ボタニックガーデンを素通りし、車道の上にかかる自転車・歩行者専用の歩道橋を渡ってリバーサイドへと向かいます。
▼オーストラリアの多くの歩道橋はスロープ・屋根付きで、個性的なデザインのものが多いです。
目的地は約2.5km先、ブリスベン川沿いにあるレガッタ・ホテルです。
レガッタ・ホテルは1874年創立の老舗レストラン。レストラン、カフェ、ファンクションルーム、バー、ポーキー(日本のスロットのようなもの)を備えた建物になっています。
▼白いクラシカルな外装が印象的です。
▼道路を挟んだホテルの向かい側には、ブリスベン川沿いにサイクリング道が整備されています。
ちなみに、オーストラリアでは「ホテル」と言っても、必ずしも宿泊施設を備えているわけではなく、お酒を提供するレストランに「ホテル」と名の付いているところが多くあります。
レガッタ・ホテルの内装にはブリスベン川でもよく見られるレガッタのオールが随所にあしらわれています。
▼テラス席のカフェスペースにはバイクラックもあるので、安心して食事を楽しむことができます。
▼愛犬の散歩途中に立ち寄るお客さんも多いようです。
▼テラス席そばには、世界各都市で展開拡大中の電動シェアスクーター “Beam” も停めてありました。
この日はテラス席でステーキサンドイッチを注文。
バゲットに肉厚の Wagyuステーキが挟まれ、ジューシーで食べごたえのある豪華なサンドイッチを堪能しました。
オーストラリアのレストランではよく ”Wagyu” の文字を見かけますが、これは日本から輸入した「和牛」というわけではなく、日本の「和牛」の血を引くオーストラリア産の牛のこと。
オーストラリア国内ではアンガス牛、ヘレフォード牛など複数の品種が育てられていますが、中でも Wagyu は風味があり味わいがよく、脂と赤身のバランスがよいブランド牛として人気です。ライド後のご褒美、エネルギーチャージにもぴったりの Wagyu、ぜひオーストラリアに来たら一度ご賞味ください。
▼ボリューム満点でジューシーな Wagyu のステーキサンドイッチ。
あわせて立ち寄りたいMt.クーサの観光スポット
Mt.クーサの魅力は展望台だけではありません。庭園やプラネタリウムなど子供から大人まで楽しめる文化施設も盛りだくさん。時間があればぜひ合わせて訪れてほしいスポットを2つ紹介します。
①ブリスベン・ボタニック・ガーデンズ Mt.クーサ
1976年に開園したブリスベン市営の庭園で、入場料は無料です。56ヘクタールの広大な敷地には、珍しい亜熱帯植物を育てるドーム型温室や日本庭園などがあり、さまざまな植物を見ることができます。
庭園内には大きな池もあり、ピクニックやウェディングフォトの撮影スポットとしても人気です。庭園というより大きな公園と言った方がしっくり来るかもしれません。
▼池の周りでは野生のカルガモやオセアニア・ウォーター・ドラゴンも観察できます。
②サー・トーマス・ブリスベンプラネタリウム
1978年に開館したブリスベン市営のプラネタリウムです。
人類の宇宙探索の歴史などさまざまな展示もあり、家族連れでにぎわうスポットです。
わざわざオーストラリアまで来てプラネタリウム?と思うかもしれません。ですが、南半球ならではのSouthern Cross(南十字星)や、Milkey Way (天の川)の解説を聞くと、北半球とは違った夜空の見え方がわかり、オーストラリアの星空の魅力に気づくことができますよ。
※プラネタリウム鑑賞は大人10〜12AUDドル 子供6〜8AUDドル(3〜14才)(※料金はプログラム内容により異なります)。
コース紹介
まとめ
サイクリングやトレッキングといったアクティブな運動から、ピクニックやバーベキューなどリラックスした食事まで、アウトドアをして過ごすことが多いのがオーストラリアの週末のスタイルです。
ブリスベン川沿いのサイクリングコースで主要観光スポットを回ったら、次はMt.クーサに登り街を見渡してみてください。
達成感と共に景色が目に焼き付き、忘れられない旅の思い出がまた一つ増えることでしょう。
執筆:Ayaka 2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。 ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。 2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。 2022年4月、オーストラリア クイーンズランド州ブリスベンへ移住。 座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。 |
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