旅×自転車 記事

茨城県石岡市と筑波大学の官学連携事業「八郷里山景観形成事業」

石岡市八郷(やさと)地区は、筑波山麓の東にあり日本の原風景が残る地域です。
今回は、石岡市と筑波大学の山本幸子ゼミが共同して行っている八郷の景観形成事業の一環で、ゼミ生の皆さんに八郷地区を自転車でまわってもらい、八郷の生業を見て感じて地域を知ってもらうための企画でした。

石岡市八郷地区とは

筑波山の東に広がる日本の原風景が残る地域です。「にほんの里100選」にも選ばれている心安らぐ風景を堪能できるところです。この地域では年間を通して野菜や果物の生産が盛んで、いちごや梨、ブルーベリー、ぶどうと皇室に献上している「富有柿」を作っていることでも有名な地区です。
この自然豊かな地域を知ってもらうためのサイクリングツアーで、山本幸子ゼミの学生と市の職員などあわせて15人が参加しました。

集合場所で、石岡市地域おこし協力隊の方が作ったという、ケヤキの木で作ったサイクルスタンドを見せてもらいました。ロードバイクをかけてみました。よりおしゃれに見えるかも…!

筑波大学山本幸子ゼミ

「石岡市景観基本計画」に基づき、八郷地域の里山景観の保全形成を図るため、石岡市と筑波大学間で協定を締結し官学連携で地域の活性化につなげることを目的とした事業で、学生参加型の地域創生プロジェクトに取り組んでいます。
この事業は今年で6年目。これまでは、いちご農家さんの看板・販売小屋の修景やいちごを使った小学生対象のワークショップを開催し、八郷の里山景観を活かした取組を続けてきました。

神生(かのう)バラ園

この日は園主の方の代わりに、神生バラ園で働いている原部さんに説明していただきながら見学させてもらいました。
神生バラ園は1974年から続く20種類以上のバラを育てています。肥料を均一に届けるため、水耕栽培をしているそうです。

最近は、お花屋さんに行くのは気恥ずかしいという若い男性のお客さんが増えているそうです。

暮らしの実験室

都会に住んでいた「安全な食べ物をたべたい」という人たちが、1970年代に八郷の松林を開拓し、切り開いたことが始まりだそうです。
敷地内では鶏と豚を飼育していたり、ツリーハウスがありました。

井白(いしら)の泉

小休止で立ち寄った、足立果樹園のそばにある「井白の泉」。湧き水が汲めるところで、たくさんのペットボトル容器を持った人たちが順番に水を汲みにきていました。

昼食は石岡市小屋にある茅葺き民家

この施設は、約100年前に建てられたとされる茅葺き民家で、官学連携で共同研究しており、筑波大学山本先生が担当する大学院生を対象としたワークショップ系科目において、茅葺き屋根の葺き替えや改修に取り組んでいます。
4年目となる今年度で完成予定となっています。「新しい農村の暮らしを考える」というテーマで改修した茅葺き民家は、完成後は研究・教育の拠点として、授業などで活用されるそうです。
山本先生は、“茅葺き民家を活用した活動拠点が完成したら、茅葺き民家に自転車を置いて学生たちが自由に八郷をめぐって楽しめるようにしたい。“と話していました。また、自然エネルギを利用した電動アシスト付き自転車の導入も考えているそうです。

大場ぶどう園

有形文化財に指定されている貴重な茅葺き屋根の民家がある大場ぶどう園。
園主に建物の説明をしていただきました。園主は、八郷が好きでこの茅葺きが残る風景を守っていきたいと話していました。多くの人が茅葺きを残してほしいという言葉が、維持していくのに必要だそうです。
また、この茅葺き屋根の作りは「筑波流」とよばれるもので、改めてこの地域で茅葺きが盛んだったことを感じさせられました。学生たちも食い入るように見学していました。

木内酒造 八郷蒸留所

昨年春から動き出した、木内酒造の八郷蒸留所。筑波山を望む場所に建てられました。
今回特別に中を案内していただき、ウイスキーができるまでの工程を見学しました。

麦汁の香りが漂うお酒好きにはたまらない空間でした。

最後に、いばらきフラワーパーク

5月にリニューアルオープンしたばかりの「いばらきフラワーパーク(旧・茨城県フラワーパーク)」へ。春バラが旬を迎えていて、園内を歩くと、鮮やかなバラが目に飛び込んできます。香りも楽しみながら、丘の上にあるカフェへ。


今日の振り返りをしながらティータイムを楽しみました。私が頼んだのはノンアルコールビール。エールビールのような華やかな香りで美味しかったです。

まとめ

サイクリングに同行して改めて感じたのは、ゆったりと無理のないペースで走れる自転車は地域を見つめるツールとして適していることです。
参加した筑波大の山本先生は、「自転車は環境に優しい乗り物であり、地域をめぐる移動手段としても最適」と話し、
学生の感想には「自転車で巡ることで季節の風を感じ新鮮な経験になり、田植え直後の農村景観にも心が癒されました。」「自然豊かな八郷で久しぶりに運動をすると心身ともにリラックスできました。」と、じっくりと地域を肌で感じながらのライドは、心に潤いを与えてくれるものにもなったようでした。
また、地域の生業を知ることで、その土地の特徴や住んでいる人たちの姿が見えてくるサイクリングになりました。

執筆:水越恭子

茨城県出身。地元ラジオ局でリポーターをしていた頃にロードバイクを購入。公私ともに自転車を楽しんでいる。現在はフリーランス。SNSで茨城サイクリングの魅力を発信。自転車のさまざまな楽しみ方を研究中!現在は、行方市自転車活用推進会議委員を務め、行方エリアテレビ「なめテレ」に出演し自転車で市内をめぐりレポートし放送している。

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