旅×自転車 記事

【群馬県】八ツ場ダムと廃線跡をめぐる30kmのコースを紹介

2020年3月に完成した八ツ場ダム(やんばダム)周囲には、廃線跡やキャンプ&BBQを楽しめる施設、道の駅、紅葉で有名な吾妻渓谷など見所が満載です。
ミニベロやレンタサイクルで気軽に楽しめる、お気軽ルートを紹介します。

長野原草津口駅からスタート

草津温泉の最寄り駅となっているJR吾妻線の長野原草津口駅。
駅前では輪行組が自転車を組み立てている姿もちらほら見られます。ここから草津温泉を抜けて渋峠を目指すサイクリストが多いですね。
私は草津温泉の観光大使「ゆもみちゃん」に見送られながら、ミニベロで駅から八ツ場ダム周辺のポタリングを楽しむためにスタートします。

国道292号に入ると、すぐに上り坂です。ここが今回の頑張り所なので頑張りましょう!
ミニベロでは少しキツいですが、ゆっくりと上ります。

赤岩集落を走る

国道を走ること約4km付近で、右にそれる細道に入ります。
さらに斜度がキツくなり、切り通しの道を過ぎると赤岩集落が見えてきました。

山裾に張り付くような集落では稲作よりも、畑作や養蚕が盛んだったようです。現在でも養蚕農家の特徴を持つ古民家が残されていて、国重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

自転車を押しながら、雰囲気のある集落を歩きます。
家の前などに「重要伝統的建築物群保存地区」の札があり大事に管理されている雰囲気を感じますね。

美しく管理された集落

道の脇に可愛らしい道祖神の看板が…。トタン屋根に守られているのが良いですね。
休憩所を兼ねた水車小屋と赤い筒型ポストがレトロです。

水車小屋の横には手入れの行き届いた花畑がありました。
花畑の奥には、茅葺き屋根の「上の観音堂」があるので自転車を置いて見に行ってみるのもオススメです。

群馬鉄山遺構の旧太子駅

赤岩集落を抜け、川沿いの細道を北上すると旧太子(おおし)駅に到着。
群馬鉄山の鉄鉱石を運ぶ専用線の「太子線」の始発駅だった場所を観光として利用するため、平成30年から一般公開が始まりました。

入場料は200円です。
駅舎風の管理棟には、昔の鉄道関連のものが展示されていてワクワクします。

入るとすぐに昔のホームがそのまま残されていて、各地から譲り受けた車両が展示されています。昔、鉄鉱石などの運搬に使われた屋根のない「無蓋車(むがいしゃ)」の展示数が日本一の旧太子駅。鉄道好きでなくとも楽しめる施設です。

まるで古代遺跡の様なホッパー跡

ひときわ目を引く巨大なコンクリート製の遺構は「ホッパー」という施設の跡。
ホッパーとは、鉄山で採取された鉄鉱石を貨車に積み込むためのものです。

ホッパーは国登録有形文化財に指定されており、老朽化も進んでいるため立入禁止です。撮影するときは気を付けましょう。

廃線跡とトンネル

旧太子駅から、まっすぐ長野原草津口方面に進むと、かつての線路跡が生活道路として続いています。少し進むとトンネルが現れます。
トンネル内は照明が無く昼間でも真っ暗なのでライトはお忘れ無く。1つ目のトンネル「第二愛宕隧道」を抜けるとすぐ2つ目のトンネル「第一愛宕隧道」が出てきました。廃線跡のトンネルを自転車で走ると、なんとなく緊張します。

いよいよ八ツ場ダム周辺へ

長野原草津口駅に戻って、再出発という感じ。
駅に停車している特急草津を横目に八ツ場ダム方面に進みます。

まだ真新しい国道145号は、八ツ場ダムに沈んだ国道区間を新しくした道です。湖側をのぞき込むと水が少ないときは、底に沈んだ道路や吾妻線跡が見えます。

道の駅八ツ場ふるさと館でダムカレー

八ツ場ダムのすぐ隣にある道の駅には、観光情報センター、産直所、レストランなど揃っています。その中の八ツ場食堂では「八ツ場ダムカレー」を食べる事ができます。

普通のダムカレーとカツダムカレーがありますが、私はカツダムカレーにしました。
ご飯に刺さった旗が、お子様ランチっぽくて楽しい。ボリューム満点で美味しかったです。

水陸両用バスの八ツ場にゃがてん号

道の駅を出てすぐの不動大橋を水陸両用バスが走っていくのが見えました。
ぜひ入水の様子を見ようと、橋の上で待機します。

待っていると、バスがダムの水面に向かってゆっくりと下りていくのが見えます。
いったん水の前で停車して、そのあと一気に入水しました!

かなりの水しぶきに大丈夫か?と不安になるほどの迫力でしたが、あれが通常の入水「スプラッシュ・イン」というらしいです。

橋から眺める落差90mの滝

八ツ場にゃがてん号の入水を見届けた後は、不動大橋の反対側に渡り落差90mの不動の滝を見ましょう。三段からなる立派な滝は一見の価値ありです。

川原湯温泉駅の周辺

ダムの建設により現在の場所に移転した川原湯温泉。
駅の近くには2020年に開業した複合施設「川原湯温泉あそびの基地NOA」があります。
観光案内所やカフェ、日帰り温泉、キャンプ場、レンタサイクルなどがあります。

ダム湖を眺めながら走っていると、湖畔に下った場所に川原湯源泉公園があります。
移転した旧王湯があった場所にできた公園らしく、中央にある源泉井戸からは硫黄の香りが漂います。
ダムが近いので、戻って来た八ツ場にゃがてん号も先ほどより近くに見る事ができました。

大迫力の八ツ場ダム

川原湯温泉街を抜けると、八ツ場ダムの出入口ゲートが出てきます。
ゲートからは自転車は降りて押していきます。ダムの天端を歩くと改めてダムの大きさを感じます。堤高は116mあるので、下を見下ろすと人が小さく見えます。ちなみに日本一堤高が高いダムは黒部ダムだそうです(186m)。

エレベーターで下りてダムを下から眺める

天端中央にある観光エレベーターで下まで降りてダムを見上げると、一面の壁という感じで圧倒されますよ。
少し歩くと吾妻峡見晴台があり、渓谷とダムのコラボを楽しめます。

ダム左岸に行くと「なるほど!やんば資料館」があり、ここでダムカードを貰えます。
他にもダムの模型や八ツ場ダムの歴史が展示されています。

隣の「やんば茶屋」でソフトクリーム休憩します。東京よりは涼しいですが、やはり昼間は暑い。冷たいモノを食べたくなりますね。

八ツ場ダム管理支所を出ると、無料展望台「やんば見放台」があります。ここからのダムも見ておきましょう。ダムの内側から見る感じで面白いですよ。

丸岩を眺めながら湖の駅丸岩へ

長野原草津口駅方面に向かって走ると、目の前にベレー帽を被ったような岩が見えます。これが丸岩です。
昔、丸岩城があったといわれていますが、あんな所に城があったのか?と驚きます。

その丸岩の名前が付いた施設「湖の駅丸岩」に立ち寄ります。
ここから昼に見かけた水陸両用バスに乗車できるようです。

施設の裏庭からは、八ツ場ダムを一望出来ます。ハートのオブジェなどがありフォトスポットにもなっていますよ。

ゴールの長野原草津口へ

八ツ場ダム周辺には立派な橋が多く、走っていて楽しいです。
駅に向かう途中にある2連のこの橋は「長野原めがね橋」です。

橋を渡るともうゴールの長野原草津口駅はすぐです。
距離は30kmですが、なかなか見応えのあるポタリングだったのではないでしょうか。

コース紹介


アクセス

電車:「高崎駅」からJR吾妻線「長野原草津口駅」下車
車:関越自動車道「渋川伊香保インター」から国道を経由して約1時間30分

まとめ

日本ダムアワード2019年のダム大賞を受賞した八ツ場ダムを巡るルートを紹介しました。
ダムの周りは新しい施設が多く、レンタサイクルもあるので気軽にサイクリングを楽しめますよ。

執筆:小曽根彩

大分県出身、埼玉県在住。
地図やガイドパンフのデザイン制作事務所「オゾングラフィックス」スタッフ。
埼玉県奥武蔵エリアを中心に、四季の景色や美味しい物を求めて自転車を楽しんでいます。

 

  • この記事がいいねと思ったら
    •  9
  •   この記事のご感想はユーザーのみなさま
  • サイクリングレポート(記事下部)
    サイクリングレポート(記事下部)
    編集部おすすめ
    ランキング