旅×自転車 記事

【アルゼンチン】3457mの山越え、悠久のアンデス、カチ(CACHI)を目指す旅【2日目:ロス・カルドネス国立公園編】

こんにちは、Hiro です。自転車で世界を旅しています。

今回は、僕の住んでいた、アルゼンチン・サルタの街から約160km離れた、アンデス山脈の小さな村、カチへの道のりをレポートします。

サルタはアルゼンチンの最北端に位置し首都ブエノスアイレスから1500kmあり、車で18時間、飛行機で2時間の距離にあります。

サルタからカリルの農場へ移動し、カチへ出発します。カチルート始まりの町カリル〜インカの遺跡が残るカチまでの距離は約120km 。

最大の難関が最高到達地点が3457mのクエスタ・デル・オビスポ(Cuesta del Obispo)でほぼ富士山の標高の峠まで、出発地のカリルの標高が約1200mなので標高を約2300m上げることになります。そのうち、未舗装の砂利道を標高で1000m以上登るハードな自転車旅です。

カチまで、2日間の旅程で、2日間ほどカチに滞在し、またカリルへ戻ってくる予定です。

本日は旅の二日目後半、お昼ご飯を食べた、クエスタ・デル・オビスポから、今日のキャンプ予定地である、パヨガスタまでの様子をレポートします。標高3,457m、このカチ旅で最高到達地点のピエドラ・デル・モリーノの景色。その後は、手付かずの自然、雄大な景色が残されたロス・カルドネス国立公園の道のりをお楽しみください。

果たして無事に、日暮れまでに、目的地へたどり着くことは、できるのでしょうか。

 

▲青色が初日、2日目前半の走行ルート、紫色が今日の走行予定。

青ポイントG :マライ。H:クエスタ・デル・オビスポ(Cuesta del Obispo)

赤ポイントが今回の見所:ピエドラ・デル・モリーノ、ロス・カルドネス国立公園、パヨガスタ

初日、2日目の旅の様子

体調不良のため、カリルで2日間休養の後、

2021 年8月25日にカリルの町(A地点)を出発。

自転車の不具合があったものの、旅を進めます。

景色の綺麗なエスコイぺ渓谷(C地点から)を抜け、標高2300mのMaray(G地点) の集落に到着。

農場の優しい家族に助けてもらい、極寒の中、農場の敷地内で、キャンプをさせてもらいました。

氷点下でのキャンプ。マイナス10度以下になる可能性もあり、凍える中、テントで眠りにつきます。

2日目:8月26日

テントで眠り無事に目覚めますが、昨夜は水道まで凍る寒さでした。

Maray の農場を出発し、ひたすら上り続け、昼過ぎに クエスタ・デル・オビスポ(標高3,348m)に到着。景色を眺めながら、お昼ご飯を食べました。

 

▲【1日目:ケブラーダ・デ・エスコイぺ編】

▲【2日目:クエスタ・デル・オビスポ編】

 

クエスタ・デル・オビスポ(Cuesta del Obispo)

2021 年8月26日 後半

▲14:30 クエスタ・デル・オビスポ (標高3,348m)を出発。残り3km 標高で100m上ります。
▲知りませんでしたが、ナショナルパーク(国立公園)があるようです。

ロス・カルドネス国立公園(Parque Nacional Los Cordones)

▲ロス・カルドネス国立公園(Parque Nacional Los Cordones)の入り口に着きました。
▲惑星感がすごく好きな景色です。
▲この世の果てっぽい雰囲気です。
▲さすがナショナルパークです。
▲下に見える道が、ナショナルパーク内の道のようです。
▲手付かずの大自然。素敵です。
▲ピエドラ・デル・モリーノまであと少し。

ピエドラ・デル・モリーノ(Piedra del Molino)

▲15:15 ピエドラ・デル・モリーノ(Piedra del Molino) に到着。
▲小さな教会がありました。
▲昨日から、上り続け2,300m登り切りました。やったー。
▲かなり高いところまで来ましたね。
▲3,457mの看板と共に記念撮影。久々にこんなに高いところまでやってきました。
▲この景色です。空気の薄さも全く感じませんし、大丈夫です。体調が悪かった割にキツさもありません。
▲少し心配していた、自転車ももってくれましたね。
▲ブエノスアイレスからのバイカーグループのおじさんたち。写真を撮ってくれました。
▲頂上にはロバもいました。触っても嫌がらず人懐っこくて可愛かったです。
▲こんな人里離れたところにも教会はあり、宗教への距離感の近さを感じます。
▲ここからの景色は、通ってきた道は見えませんが、眼下には、富士山よりも高い山脈が広がります。
▲3,500mを超えると、背の高い草木は生えていません。
▲人の手の入っていない広大な平原です。
▲写真を撮っている時に、カメラを落としてしまい、焦りましたが、電源を入れると写真を撮ることができました。が、後にズームが思うようにできなくなっていることが判明。。。やってしまいました。
▲これからこちらの方向へ進んでいきます。

ピエドラ・デル・モリーノ(Piedra del Molino)

この名前の意味は、研磨岩です。

知らなかったので、写真を撮っていませんが、確かに岩がありました。

この岩は、1671年、とある中尉が馬車でサルタの街に向かっていて、この場所にたどり着いたとき、荷車が故障してしまったため、持ち主は荷車を置いていくことにして、その後、二度と取りに来なかったそうです。

この岩はその荷物の一部です。現在では、この場所はサルタとカチを結ぶ道路の最高地点となっており、研磨岩(ピエドラ・デル・モリーノ)が、この場所のアイコンとなりました。

 

ピエドラ・デル・モリーノ(Piedra del Molino)を出発

これから下りになるので、フリースと、ジャンバーを着ます。標高3500m下では、強い日差しの中でも、風が冷たく寒いです。

15:50出発。

本日の目的地のパヨガスタまで、 車で40分らしいので、残り、50km弱。2時間半でつければ、18:30。 日が暮れる前に目的地へ着くことができます。

ナショナルパークの基地

▲ナショナルパークの基地がありました。

レンジャーに方に聞くと、ナショナルパークカルドネスは2つのハイキングコースがあるが、現在は、パンデミックの影響でしまっているとのこと。

ロス・カルドネス国立公園

ロス・カルドネス国立公園(正式にはロス・カルドネス国立公園・保護区)は、アルゼンチンのサルタ州の中南部にあるパヨガスタの町の近くにあります。

サルタ市から約100km離れた場所に位置し、1994年11月20日に設立されました。 64,117 haの乾燥した山岳環境で、標高はトンコ渓谷の南の海抜2600mからセロ・ネグロまたはマルカンテの海抜5226mまで。

この国立公園の名前は、ボリビア南部、アルゼンチン北部、チリのアンデス山脈間の谷に特徴的な大きなサボテン種であるカルドンまたはパサカナ(Trichocereus pasacana)が多数生育していることに由来しています。

また、7,000万年前の恐竜の足跡など、重要な古生物学的遺跡があります。

 

 

▲緩やかーに下りが始まります。
▲険しい山道とは違った景色になりました。

グアナコ(Guanaco)

▲グアナコ(Guanaco)と呼ばれる、動物の群れです。
▲ビクーニャかと思っていましたが、グワナコだと後で教えてもらいました。
▲真っ直ぐな草原地帯を進みます。
▲南米のアンデス山脈には、アルパカ、リャマ、ビクーニャ、グアナコ、と似た種類の動物がいます。
▲アルパカはコロンビア、エクアドル、ペルーでよく見ることができ、ボリビアや、アルゼンチンと南にくれば、リャマやビクーニャを見ることができる印象です。そして、このグアナコはここアルゼンチンで初めて見ました。
▲下ってくると、少し草の感じが変わりました。
▲向こう側にさらに高い山脈が見えますね。

ミラドール・デル・コンドル(コンドルの展望台)

▲ミラドール・デル・コンドル(コンドルの展望台)に着きました。オホ・デル・コンドルと書いてあるので、コンドルの目から見たような景色が見えるということなのでしょう。
▲地図の看板が備え付けてあります。
▲向こうに見えるのが、ティンティン山(Cerro tintin)です。ナショナルパークなので家や商店が何もありません。高台から見下ろす、サボテンが生茂る平原は圧巻でした。
▲向こうに見える道を進んでいきます。先を急ぐため、ミラドールは5分ほどで後にしました。
▲眼下に雄大なナショナルパークの平原が広がります。

長い下り坂を下ります。危ないのでスピードが60km以上でないように気をつけながら進みます。

▲下り終わると、緩やかな上り。

カチから帰ってくるときには、この辺で、キャンプできるところがあればと思っていたのですが、地図をみると、まだナショナルパーク内で、キャンプは禁止っぽいです。

景色がとてもいいです、やはりナショナルパークとして保護しないと、どこも同じように、家が建ち、畑や農場、街や村になってしまうから、保護することは大事なことだと感じます。

Secretos del Cardonal (カルドーナの秘密)

▲違うミラドール(展望台)に到着。
▲Secretos del Cardonal (カルドーナの秘密)というミラドールのようです。
▲大きなサボテンが生えており、いくつか説明の看板が備え付けてありました。
▲大きなサボテン。
▲この大きなサボテンの伝説のようなものが描かれています。愛し合っていた2人は、王様みたいな人に狙われ、逃げ込んだところで、サボテンに変わり、永遠に一緒にいました、みたいな物語のようです。
▲ミラドールがもうひとつあったのですが、先を急ぐので、スルーしました。この看板でナショナルパークの終わりです。
▲ナショナルパークが終わったところで、バス停と廃墟がありました。ギリギリキャンプができそう。カチからカリルまでの帰り道に、キャンプできそうな場所も探しながら進みます。

パヨガスタまで、ここからまだ17kmあることが判明。もう 17:30 なので急がなければ。

しかし、ここから標高で500mの下り。日暮れは、19:30くらいなので、最悪19:00に着けばと思います。

いくつかの家、お土産売り場を通り過ぎ、いい感じに下りながら進んでいきます。

羊飼いの少年

▲パヨガスタ手前、少年が、一人で羊や山羊をつれていた。他に大人がいるかと思いましたが、いなくて驚きました。
▲少年は、6歳くらいに見えますが、立派に動物たちを先導していて、とても感心。
▲夕暮れ時に長閑ないい風景でした。

パヨガスタ(Payogasta)

▲18:20 パヨガスタ(Payogasta)到着。町は、2kmほど先です。

街に入ると野宿する場所を見つけるのが難しくなるため、ここで野宿場所を探したほうがいいかと思い、辺りを見てみるが、ちょうど良さそうな場所がないので、進むことにします。

町の少し手前に、住宅街、警察があり、閉まっていますが、ナショナルパークの事務所っぽいものがあったので、最悪、野宿ならできそう。もう少しいいところはないかと、町まで降りてみます。

工場跡地のようなところで、少し人が集まっていたので、キャンプできる所はないですか。と聞いてみると、その中のおばさんが、工場跡地の屋根の下でキャンプしていいと案内してくれた。水道もあり、トイレはその辺でしたらいいと言ってくれた。

この辺は、山からの湧き水が水道水になっているため、飲めるので嬉しい。

優しい人たちに見つけてもらってよかった。

眠るところが見つかったので、自転車をキャンプ予定地におき、少しだけパヨガスタの街を散策してみる。

▲パヨガスタ教会
▲公園。新しいですね。
▲ライトに照らされた通りは、雰囲気があります。
▲カルチャケス谷のパヨガスタのようです。
▲メルカド・パヨガスタ(市場)
▲唐辛子の産地のようで、ポツンと佇むこのモニュメントがシュール。

寝床探しは楽じゃない

19:30 キャンプ予定地の工場跡に戻ると、突然、敷地内の犬に猛烈に吠えられた。5匹ぐらいに追いかけられ噛まれそうになり、必死に逃げた。必死すぎて、ぎゃーっと悲鳴まで出てしまった。

旅を始めてから、犬には5回程、噛まれている。うち2回は、酷くやられた。

日本と違い、海外では犬に噛まれると、狂犬病のリスクがあるため、絶対に噛まれたくない。日本ではあまり馴染みがない狂犬病ですが、狂犬病は発症すると100%死に至ります。

世界では毎年、5万人以上の死者が出ていて、未だに治療法が見つかっていない感染症です。

ギリギリ噛まれなくてよかった。

そして、その場を離れようとしたとき、男性が敷地に入ってきた。自転車を取りたいが犬がいるため取れないと、説明してみたが、とんでもなく酔っ払っているのか、ドラッグなのか、酩酊状態で、めちゃくちゃ怖かった。ここでは、キャンプできない。。。

工場の家族はこの敷地内に住んでいると思ったが住んでいないみたい。家族を見つけなければ、荷物が心配でしょうがない。道へ出てみると、さっきの人たちを見つけた。ちょうど外にいたのでよかった。

さっきの人たちの一人はマルコさん、一緒に自転車を救出に行ってくれた。敷地のオーナーの親戚らしく、彼と一緒なら犬も吠えてこず、自転車を救出。荷物が無事でよかった。

マルコと、マルコのお兄さんと、お父さんが出てきてくれ、どこだったら、寝れるかと、考えてくれ、

彼らの家の向かいにある、、作りかけの電気のまだ通っていない家で寝かせてもらえることになった。水道は外にあった。

寒いので、家の中で話をする。いろいろな話を聞かせてくれ、今日見た動物がグアナコだということも教えてくれた。

21:30まで話をしたあと、彼らは帰って行った。ご飯は食べたの?と聞かれたが、あんまり迷惑をかけられないので、大丈夫ですと、丁寧にお断りさせてもらった。

するとすぐに、マルコがお腹が減っているだろうと、家から、サンドイッチを持ってきてくれた。とても優しい。

サンドイッチをいただいて、軽くピーナッツや、お米ビスケットを食べて、水に粉ジュースを溶かして飲んでいると疲れでしばらくぼーっと、動けなくなった。

カメラを扱っていると、今日落とした衝撃で、ボタンが押せなくなっていた。かなりショック。

どうしようもないので、重い体を起こし、寝床の準備をします。

就寝

▲シートにスリーピングマット、寝袋で就寝。昨日は寒かったので、家の中で眠れることがとんでもなくありがたい。

22:30就寝。家の中で寝られてよかった。それでも服を全部着て寝て、ちょうどよかったので、テントだったら危険だった。。おやすみなさい。。

明日の朝、いよいよカチ到着です。

どんなところなのか楽しみです!

パヨガスタ(Payogasta)にて起床

2021年 8月 27日

7時半起床。昨日マルコに「写真を一緒に撮ろう、8:30に来て。」と言われていたので、ゆっくり寝ていました。

▲昨夜は、この家で、泊まらせてもらっていました。家の中で眠れたので、寒くて起きることはありませんでした。朝は、やはり外の水道は凍って使えず。昨夜も外はかなり冷えたようです。
▲8:30準備完了。マルコ家族と、写真を撮り、挨拶しました。泊めてくれてありがとー!

パヨガスタを出発

▲パヨガスタを出発。シンメトリーな山並み。
▲朝はめちゃくちゃ空気が澄んでいます。寒いけど気持ちー!
▲昨日、言われていた通り、アップダウンがあるが、若干下りの方が多いみたいです。
▲遠くに見える山が綺麗ですね。
▲カチまで残り4km地点で看板。向こうに見えるのが、カチ山(Nevado de Cachi)。うっすら雪が乗っています。6,380m。寒いわりに乾燥しているので、雪は少しですね。ちなみに南米で一番高い山は、アコンカグアで、6,962m。同じくアルゼンチンにあります。アンデス山脈で、一番高い場所ということですね。
▲記念撮影。
▲このくらい離れたところからのパノラミックな景色が好きでした。

Cachi に到着

▲9:30カチに到着。無事に着きました。Bienvenidos a Cachi = カチへようこそ

 

無事につきました!

2日間と少しでカリルの農場から、カチにたどり着くことができました。

これから、2日間、カチを観光してみます。

その様子は、次回の記事で紹介したいとおもいます!

次回もお楽しみに!

本日の走行

2021 年8月26日

Maray ~ Payogasta

81,42km

走行マップ

 

 

▲Hiro インタビュー記事

 

*旅をサポート頂ける企業、または個人の方を募集中です。特にアウトドア・自転車メーカー等の企業の方、ご興味あれば、ご連絡ください。

Hiro(津田幸洋 ツダユキヒロ)
自転車旅人。2014 年に日本を立ち、自転車で旅を続けています。オーストラリア、ニュージーランドを経て、アメリカ大陸横断中、COVID-19による、世界パンデミックにより足止めとなり、2021年7月現在は、アルゼンチンに滞在しています。人との出会い、美しい自然、野生動物を探す旅を近日再開を予定しており、旅とともに、訪れた場所の都市情報、見どころ、自転車に関する情報、エッセイ等をTABIRINにて発信していきますので、よろしくお願いいたします。インスタグラム  https://www.instagram.com/yukihirotsuda/
津田幸洋

 

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