オートバイメーカーのエンジニアが世界征服へ挑む!自転車の利点を活かした3輪モビリティ「noslisu」
2021年5月12日、クラウドファンディングで応援購入が開始され、あっという間にプロジェクト成立(即日完売)した、いま注目の3輪モビリティ「noslisu(ノスリス)」。オートバイメーカーKawasakiのエンジニアが、自転車の利点を活かして、本気で開発した電動3輪。その新しいモビリティの「楽しさ」を、体感すべく、試乗させていただきました。
まずは、プロモーションビデオご覧ください。
目次
noslisu(ノスリス)とは
オートバイメーカーKawasakiのエンジニアが開発した、3輪モビリティ「noslisu(ノスリス)」は、自転車のクロモリフレームをベースに、バッテリーを搭載した、前輪2輪・後輪1輪の3輪ビークル。
※今回ご紹介する2車種は、makuake販売車両とは仕様が少し異なる、試作最終モデルです。
自転車感覚の「電動アシストタイプ」(写真:左)と、自動車感覚の「フル電動(EV)タイプ」(写真:右)の2種類。カラーバリエーションはそれぞれ「Orange」「Yellow」「White」。
最大20kgの荷物を載せることができるのも特徴です。
サイクリストも嬉しい設計
フレームに記載されているロゴは「noslisu」と、「made by Vivalo」。VIVALOは神戸の有名な自転車のハンドビルドフレームブランド。そのVIVALOのクロモリフレームが採用されています。
コンポはシマノのClaris。そうです!ロードバイクのコンポを装着しているので、自分自身でアップグレードもできるのです。ULTEGRAやDura-Aceなど、自分だけのオリジナルのカスタマイズができるのです。
モーターは、ハブモーターを採用。バッテリーが無くなってしまった!という事態でも自転車として走り続けることが可能です。
タイヤは20インチ。これも自分好みに走行性能を上げたい時には容易に交換ができます。ブレーキはディスクブレーキを採用し制動性能を確保しています。
シートもペダルも、ハンドルも、自転車と同じように自分好みにカスタマイズできます。
このような、自転車好きにも嬉しい設計なのが「noslisu」。
試乗レポート
今回は、地元兵庫県を拠点に活動するMCアケさんからの紹介で、川崎重工の東條さん、牧村さんが、noslisuを運んでくれ、試乗することができました。
左:牧村さん、中:アケさん、右:東條さん
どちらの車両もヘルメットは着用義務ではなく推奨なのですが、安全を期して着用します。
ではまずEVタイプに乗ってみます!
EVタイプは、普通自動車扱い(要普通自動車免許)なので、ウインカーやバックミラーが装備されています。これはオートバイ感覚ですね。
右手親指でレバーを押せば、ペダルを漕がなくても、胸のすくような加速!これはまるで電気自動車の感覚。心地よい加速とともに40km/hへと達していきます。
自転車感覚を楽しみたいときは、後輪9段変速を使い、自分の足でモータをアシストできます。
やはり、自分の足でもしっかり進める構造は嬉しいですね。
小さなロータリーを走行し、旋回性能をチェックすれば、コーナリングが楽しい!!
自転車にはない安定感と旋回性の高さ。そこからモーターで再度加速すれば、もはや自転車でもなく、オートバイでもない立ち上がりの感覚。
そして風を切る解放感は、自動車とも全然違う、とんでもなく楽しい!!
▲自分で乗っている写真は撮れないので、写真は提供していただきました。(なので、とても爽やかです)
▲アケさんの身長は155cmなので、車体はこんなサイズ感です。
電動アシストタイプは、EVタイプより全幅が100mm狭い設計なので、より小回りが利く感覚。自動車やオートバイが乗り入れできなくても自転車OKの道なら走行可能なので、より自転車に近い用途に対応できます。
電動アシストタイプも、やはりコーナーや段差の安定感は、自転車とは別物!
車体のリーン機構をロックすれば、ペダルに乗ったまま止まっても安定!!
注目度バツグン
試乗の後、写真を撮っている数十分の間に、何組もの方々が声をかけてくれます。
「これ走ってるの見たことあるよ」との声も。実は開発メンバーの方々がPR兼ねて通勤で使っているとのこと。それが記憶に残るほど、注目度はバツグンのようです。
プロジェクトリーダー 石井宏志さんにインタビュー
試乗させていただいた後、開発秘話などを聞きたくて、プロジェクトリーダーの石井宏志さんにお話を聞かせていただきました。
▲川崎重工株式会社 MC&Eカンパニー 技術本部 開発部 石井宏志さん
noslisu開発のきっかは?
Kawasakiの代表的はオートバイ「Ninja」などの開発をしてきて、オートバイ乗りには楽しさや、幸せを感じてもらえてるかもしれないけど、世の中のほとんど人には、まだ楽しんもらえていないなぁ。と、ある日感じました。
もっと「多くの人に楽しんでもらえる乗り物」を作りたい!そこがスタートでした。
どのような経緯で今の形になったのですか?
2輪のノウハウはあったので、3輪への取り組みを始めました。4輪を選ばなかったのは、法規制も厳しいし、日本には巨大なメーカーさんもいくつもあるので、、、
そしてプロジェクトチームを立ち上げ、最初はハイパワーエンジンを搭載した、かなりぶっ飛んだ開発もしました。チームメンバーでは満足のプロトタイプも、社内の(オートバイに乗らない)若い人には車体の重さなどの理由から、ウケは良い感じではなかったんです。
私自身ロードバイクにも乗っていることから、思い切ってオートバイの持つスポーツ性能<自転車のもつ日常利便性、へと方向転換してみました。
そして今の形に近いものを作ると、若い人たちの評判も大きく変わってきたんです。
それから時間やテストを重ねてノウハウを積み重ねてきました。特に前輪の構造は、コーナーの安定性など絶大な自信があるんです。
これからnoslisuをどんな人に乗ってもらいたいですか?
近くのスーパーへ買い物に行くとき、自転車(特にロードバイク)で行くには荷物が多いし、クルマ出したら駐車場渋滞とか面倒だし、、、ってことが結構ありますよね。そんな時にnoslisuがあれば、荷物も積めるしとても便利なんです。
私自身も、休日の妻からの買い物依頼はちょっと億劫だったのですが、今は楽しく行くようになりました。
私と同じような、ご家庭にはおススメです!(奥さんの買い物×noslisu=家庭円満!)
また、郊外の住宅地や、地方で生活するご高齢の人は、自転車での買い物は大変だったり、免許返納したら買い物をどうしよう、、、と思っている方も多いと思います。
そんな方々にも、日常の、自転車でも自動車でもない、新しい移動手段として、使ってほしいんです。(ご高齢の方々×noslisu=人も町も元気に!)
そして観光地のモビリティにも。電車や自動車で観光地へ行って、レンタサイクルで観光して「土産を買う」時に、noslisuがあれば20kgまで買い物ができるんです。2人なら40kgまで!
これは観光地の消費促進になること間違いなしです。今なら話題にもなりますよ!(旅先×noslisu=お土産買いすぎ!)
まずは限定100台を、クラウドファンディングで応援購入を募りました。この100台からnoslisuはどんどん進化していき、販売台数やオプションなどを増やしていきます。
実は「noslisu」に「Kawasaki」にロゴは無いんです。Kawasakiブランドに頼ることなく、noslisuが「便利な日常の乗り物」として普及して、日本だけなく世界中で沢山の人々に利用してもらえるのが目標です。つまり『世界征服』です!
▲noslisuで世界征服を企てるプロジェクトメンバー。
noslisuのスペックなど
編集後記
まず見てお洒落さを感じたのですが、試乗をしてみたら、とにかく楽しい!
私自身、ロードバイクやクロスバイクなど自転車は持っています。クルマも持っています。しかし、それらとは全く違う感覚のモビリティなんです。つまり、自動車はもちろん自転車と比較するのはナンセンスだと強く感じました。
では、実際に買ってみたいのか?と聞かれると「YES」です。実家には免許返納した高齢の父と、アシスト無しママチャリで毎日買い物に行く母がいます。「親孝行」という名目で買って、実際は私自身も借りて「遊ぶ!」。
“家庭内シェアnoslisu”を考えてみたいです(財布と相談しながら)。
「世界征服」という野望の初期に、このような取材させてもらえたことを、嬉しく思っています。私もすっかりnoslisuの魅力にとりつかれております。
執筆:YASU