【新連載】アラフィフ会社員のシューペル・ランドヌールへの道のり#1
みなさんは「ブルベ」をご存知でしょうか?
「自転車で200Kmとか走るやつでしょ?」
「夜通し自転車で走り続けるアレ?」
「決められたルートで、決められたチェックポイントを制限時間内に通過するオリエンテーリングみたいなヤツでしょ?」
など、様々な見解があるようです。「実はそんなに詳しく知らないんだよね」という方のために、この記事ではブルベについて解説します。
(そんな私も、実は1年前までよく知らなかったんですよね…)
アラフィフ会社員の私が、ブルベ一流と言われる称号シューペル・ランドヌール”を目指すまでの道のりをお届けしていきましょう。
自転車乗りとしてブルベを目指したきっかけ。
エンデューロレースやヒルクライムレースなど自転車にはたくさんの挑戦の場やイベントがあります。
そんな中、「ブルベ」という単語は聞いたことはありましたが、私の予備知識では「何百キロという超長距離を走るイベント」ということと、「何年かに一度、フランスのパリから大西洋までを往復するイベントが開かれている」くらいの認識しかありませんでした。
海の向こうの話だし、冒険とか探検とか、別世界の人たちがやるものだと思っていたのです。
そんな私がブルベに興味を持つようになったきっかけは、たまたま眺めていた本に載っていた「ブルベ」に関する記事でした。
その記事によれば、参加者は一般的にサイクリングを楽しむようなサイクリストが多いということ。
「長い距離を走るために必要なのは必ずしも脚力ではなく、課題は自分の工夫と準備で全て解決できる」と記述してありました。
もちろん自転車乗りは、どちらかというと話を過小に話す傾向があるので、彼らが「大したことないよ」とか「すぐそこだよ」という言葉が必ずしも信用できるのかといわれるとそうではないのかもしれません。
しかし、ブルベは私が思っていたよりもハードルは低いようでした。
最初は単なる興味本位でしたが、調べていくうちに、気付けば自分がブルベに挑戦することになっていったのです。
ブルベとは何か。その発祥を紐解く
ブルベ体験談に入る前にブルベの発祥についてご紹介します。
まずブルベとは「ノーサポート・自己責任で、タイムや順位にはこだわらず制限時間内での完走を目指す長距離サイクリングイベント」のことです。
そのブルベの発祥を紐解くと、なかなか興味深いことがわかりました。
ブルベは今からおよそ130年前の1891年にフランスで始まったものらしく、それが実は世界で最も有名で最古のブルベ「パリ~ブレスト~パリ(PBP)」なのだそうです。
これは、パリ郊外から大西洋の町ブレストまでの往復約1200kmを自転車で走るという、常人には理解しがたいイベントです。現在では初心者向けに200kmブルべが開催されているのですが、それが可愛く思えるほどの距離ですね。
当初はレース形式で始まったようなのですが、そのうちに、自己責任の長距離サイクルイベントとして定着していったそうです。
▲4年に一度のパリ・ブレスト・パリ2019のコース
その後、ブルベは、欧米を中心に世界中で開かれるようになっていったのですが、日本にはなかなか上陸しませんでした。日本のブルベの歴史は、本国フランスでの発祥から約1世紀を経た1990年代まで待つことになったようです。
ところが、「レースではないが気楽なサイクリングでもなく、努力は要するもののきちんと準備すれば脚力がない人でもちゃんと完走できる」という性質が日本人の性に合っていたのか、今では、国内で年間何百もの「ブルべ」が開催されています。
「シューペル・ランドヌール」とは、粋な自転車乗りの称号
ブルベはレースやセンチュリーライド等のイベントと違い、主催者はボランティアのようなものなのです。
ですから、サポートとかレスキューとかは一切ありません。参加資格は「二十歳以上で自己完結できるサイクリスト」とされていて、要は「大人の嗜み」なのです。
……で、その「大人の嗜み」に参加し、ちゃんと時間内に完走した人には、本国フランスの自転車クラブが「あなたは大した自転車乗りですよ」と認定してくれるのです。
そして、そのブルベで一流であることの称号が「Super Randonneur」=フランス語で「シューペル・ランドヌール」、英語読みは「スーパー・ランドナー」、すごい自転車乗りを意味する称号なわけです。
これは、同一年内(1月~12月)に200km、300km、400km、600kmのブルベ完走という、普通の人には理解しがたい条件をクリアした人にだけ贈られる称号なのです。
「大人の嗜み」のその先端に与えられる「粋な大人の称号」なわけです。
ちなみに「ブルベ」(Brevet)という言葉自体も、フランス語で「認定」という意味だそうです。
なお、日本のブルベを統括している「オダックス・ジャパン(Audax Japan)」という組織は、フランスの2つのクラブから日本でのブルベ開催を委任されています。
「本国フランス」と表現しましたが、世界では他にも多くの認定クラブがあるらしいのです。より詳細を知りたい方は、Audax JapanのHPに記載されておりますので、よろしければこちらをご参照ください。
日本でも多くの自転車乗りが参加するブルべ
日本でも開催されている自転車乗りの人気イベント「ブルべ」。
日本では200kmからの開催となっています。
海外と同じく主催者からのサポートはなく、あくまで自分の力で決められた距離を走りぬきます。もちろん制限時間も決められています。
ランドヌールとしての称号を目標に、国内の猛者たちがブルべに挑戦しています。
600km以上のブルべを制限時間内に完走できれば、シューペル・ランドヌールの称号も夢ではないでしょう。
おっと。時間になりましたので、今回はここまで。
次回はブルベの距離や制限時間、参加方法など。ブルベについてもう少し詳しくご説明しましょう。どうぞお楽しみに。
(執筆:t.k2)