旅×自転車 記事

【オーストラリア】春を告げるお祭りと苺スイーツライド40km

 

 


8月中旬、クイーンズランド州ブリスベンでは毎年 ”Royal Queesland Show” 通称 “Ekka”(エッカ)と呼ばれる春の始まりを告げるお祭りが約10日間に渡り開催されます。
移動遊園地、小動物とのふれあいコーナーや食品の品評会などのイベントで大いに盛り上がります。

その中日は毎年 “Ekka Wednesday” として祝日となり、人々はEkkaに行くのはもちろん、ビーチに行ったりピクニックをしたり思い思いに過ごします。
そんなEkka Wednesdayにブリスベンの南エリア〜隣町のローガンを中心に、春らしい苺スイーツとお祭りをめぐるライドをしてきました。

スタートはグリーンバンクRSLパーク&ライドから


スタート&ゴールはブリスベンのシティ中心部から南へ約30km行った、ローガン市にあるグリーンバンクRSLパーク&ライド(Greenbank RSL park ‘n’ ride)です。

「パーク&ライド」とは、自家用車向けの駐車場を備えたバス停や駅のこと。
平日はここからシティ中心部のビジネス街に直接向かう市営の急行バスが出ており、多くの通勤客で混み合います。

ここから16km先の、ブリスベンの南のサバーブ(郊外の地域)「ランコーン」エリアにあるカフェ、マウンテンリバー・パティスリーを目指します。

ローガンとブリスベンを結ぶ幹線道路マウント・リンゼー・ハイウェイ沿いには歩行者・自転車専用道が整備されています。
高架も含め、車道としっかり隔てられているので安心して走ることができます。


オーストラリアの歩行者・自転車用信号は主にボタン式です。
コロナの時の名残で、指ではなく肘で押すことを促す ”Bump” のステッカーが今でも貼られています。


オーストラリアで展開する大手スーパーの一つ、ALDIの看板が見えたら右折し、一般道・イラウィーナストリートのバイクレーンを進んで行きます。

スレットンステートカレッジ〜ランコーン

イラウィーナストリートを1.4kmほど進み、スレットンステートカレッジが見えたら左折し北上していきます。


キャンパスの一角で見かけたこの鳥はガラ・クカトゥー(オカメインコ)です。
その羽の色から「ピンク&グレー」の名称でも親しまれる、オーストラリア特有のオウムです。
オーストラリアでは緑地公園はもちろん、キャンパスや住宅でも色鮮やかな野鳥を多く見ることができます。見たことのない品種に出会うのもまた楽しみの一つです。

スレットンステートカレッジから約7km北上し、ランコーン駅とフルーツグローブ駅の間の線路を渡ります。
車社会のオーストラリアは日本ほど鉄道が発展していないため、ライド中に電車に出会うのは少し珍しいかもしれません。

人気カフェ:マウンテンリバー・パティスリーの苺モンブラン


小一時間ほど走ったところで、ランコーンエリアのカフェ、マウンテンリバー・パティスリーに到着です。
カフェ文化の盛んなオーストラリアでは、ブリスベン市内にもカフェが数えきれないほどありますが、2017年にオープンしたマウンテンリバー・パティスリーは特に人気のお店。
週末の昼になるといつも多くの人で賑わいます。

マウンテンリバー・パティスリーの特徴は、日本の和菓子・洋菓子のテイストを取り入れていること。

抹茶・ほうじ茶・柚子といった和テイストを取り入れたチーズケーキを始め、期間限定の特別ケーキ、おにぎりやキッシュといった軽食メニューも人気です。コーヒーはもちろん、抹茶ラテやほうじ茶ラテのドリンクも充実しています。
店内では日本から仕入れている抹茶、茶道具、お香や和雑貨も販売しており、日本人にとってはブリスベンにいながら日本を味わえほっとできる貴重な空間になっています。

この日いただいたのはロングブラックコーヒーと、この週限定のストロベリー・モンブラン。アーモンドメレンゲの上にバニラクリーム、苺ピューレ、そしてフレッシュな苺がトッピングされたスペシャルなケーキです。
繊細に絞られた苺ピューレの淡いピンクは日本の桜を彷彿とさせます。

「海外のケーキは甘い」というイメージが強いかもしれませんが、ここのケーキはどれも控えめな甘さで上品な味わい。フレンチコースの最後のデザートを食べているような贅沢感があります。
スタッフたちは京都・嵐山の老舗和菓子店を尋ねるなど、日本の菓子文化への知見が深く、日本人顔負けです。ぜひ日本からの旅行客の方にも味わってほしい、地元で深く愛されるお店です。

カラワサフォレスト

コーヒーとケーキを堪能したら5km先のカラワサ・フォレストを目指します。

ブリスベン・ローガンにはコアラなど野生動物が今も生息している森が点在しており、その多くは、トレッキングやグラベルライドを楽しめる公園としても整備されています。
オーストラリアならではの街づくりと言えるでしょう。

この日は祝日だったため、野生動物や環境保護に関する展示施設「ディスカバリー・センター」は休館でしたが、公園内にはBBQやピクニックをする家族連れやウォーキングを楽しむ人の姿が見られました。

公園の敷地内には子供達が昆虫や動物に親しめるアートや仕掛けが工夫されています。

トレイルの入口の自転車マークの部分には “Designated Tracks Only” (指定コースのみ)の標識がありました。
ロードバイクで進むのは少し厳しそうですが、グラベルバイクやMTBでぜひ試してみたくなりますね。

 ローガン・アートギャラリー

 
カラワサ・フォレストから4kmほど南下すればローガン市の行政の中心部ローガン・セントラルのエリアに入ります。その一角にあるのがローガン・アートギャラリーです。
ローガン・アートギャラリーではブリスベンやローガンにゆかりのある地元アーティストの企画展示を行っているアートスペース(入場無料)。
毎年地元の高校生たちの作品展も行うなど、市民が気軽にアートに触れることのできる空間です。

オーストラリアは特に2020年〜2021年の間、コロナによる厳しいロックダウンや国境封鎖の政策をとっていました。
その影響もあって、現代美術展では「コロナによって自分たちの価値観がどのように変わったか」をテーマにした作品がよく見られるようになったのが印象的です。

ギャラリーの外壁にはオーストラリアの原住民であるアボリジニの伝統柄の壁画が描かれています。

ブラウンズプレインズ・ファミリーフェスティバル


ライドも終盤、スタート地点のグリーンバンクRSLへと戻って行きますが、少し寄り道です。ローガン・アートギャラリーから7kmほど走ったウォーラー・パークを覗いてみましょう。

この時期、Ekkaはもちろんですが、ブリスベン周辺の町でも各所で小さなお祭りが開催されています。
ローガンのウォーラー・パークではブラウンズ・ファミリーフェスティバルが開催中。
移動遊園地にくじ引きなどの出店、小動物とのふれあいコーナーなどさながら「ミニEkka」といった感じです。

“Show Bag” はお祭り限定のキャラクターの文房具やぬいぐるみが入った言わば「福袋」です。ディズニー、ポケモン、ハリーポッターなど日本でも人気のキャラクターたちの顔が並んでいます。

チップスやホットドッグといった屋台グルメも充実しています。このお祭りならではのポテトは日本でも見かけたことがあるような…

乗り物のポップでどこかレトロな色合いは、日本の昔ながらの遊園地を彷彿とさせます。

どこの国もお祭りに浮き足立つのは子供も大人も一緒のようで、期間中は平日・休日問わず多くの人で昼から夜まで賑わいます。

クイーンズランド拠点のコーヒーチェーン:ザラファズコーヒー


最後に、近くのザラファズコーヒー(ZARRAFFA’S COFFEE)でロングブラックとビーフロールパイで一息。

ザラファズコーヒーはクイーンズランド州に拠点を置くオーストラリアのカフェチェーンです。店内やカップはキリンをモチーフにデザインされているのが特徴です。

ぜひこちらもクイーンズランドに来たら、店舗を見つけてみてくださいね。

コース紹介

▼マウンテンリバー・パティスリー
https://www.mountainriverpatisserie.com/

▼カラワサフォレスト・ディスカバリーセンター
https://www.brisbane.qld.gov.au/clean-and-green/natural-environment-and-water/environment-centres/karawatha-forest-discovery-centre

▼ローガン・アートギャラリー
https://www.loganarts.com.au/venue/logan-art-gallery/

まとめ

ケアンズやブリスベン、ゴールドコーストがあるクイーンズランド州は亜熱帯地域に属しているため、春の初めになるとブリスベンも日中は24度前後になり半袖ジャージでも十分走ることができます。
旬の苺のスイーツ、春を告げるローカルなお祭りと、その季節ならではのものを見つけに走るのも楽しいものです。
どのシーズンに来ても楽しめるブリスベンですが、ぜひ春もおすすめですよ。

執筆:Ayaka

2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。
ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。
2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。
2022年4月、オーストラリア クイーンズランド州ブリスベンへ移住。
座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。

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