旅×自転車 記事

【埼玉県】比企丘陵周辺のみどころを巡る約35kmのサイクリング

埼玉県外の人には聞き慣れないかもしれないですが、比企丘陵とは埼玉県の東松山市・滑川町・嵐山町・小川町にまたがる丘陵地帯のことです。
ゆるやかなアップダウンがありますが、比較的平坦で走りやすいルートになっています。

高坂駅西口からスタート

東武東上線の高坂駅は三角屋根の時計台が設けられた駅舎で、さいたま建築景観賞や関東の駅百選にも選定されています。

太平洋セメント専用廃線跡を走る

駅を出てすぐに「まなびのみち」という遊歩道に入ります。歩行者と自転車がきちんと左右で分けられています。2018年にコース全体が整備され路面も綺麗です。

むかし、太平洋セメント株式会社と秩父鉱業株式会社の貨物専用路線として運用されていた廃線跡を遊歩道に整備したのが「まなびのみち」です。入口の看板で、かつて走っていた貨物線の姿を確認することができますよ。
短い距離ですが、廃線跡を走るというのはロマンがありますね。

「まなびのみち」を出たら、県道に入ります。関越自動車道に沿って北上します。
国道254号を渡る所では、東松山インター入口の横を走るので車の動きに注意しておきましょう。しばらく市街地を走りますが、徐々に車も少なくなりのどかな里山風景が広がります。

東松山ぼたん園の横を通過します。今は静かな園ですが、ゴールデンウィークの頃には約6,500株のぼたんが咲き、訪れる人で賑わう場所です。

オランダ風車がある運動広場

ローソン東松山大谷中堀店を左折すると、オランダ風車が現れます。東松山市大谷地区にある市民活動センターです。
東松山市がオランダのナイメーヘン市と姉妹都市提携を結んでいるという事で、大きな風車とオランダ風建物をイメージして作られたそうです。風車とオランダ風の建物が可愛いです。

農林公園のカフェでひとやすみ

市民活動センター前の県道を進むと、左手にビニールハウスがある施設が見えてきます。
短い坂を上ると、農林公園の「丘の上のカフェHeuvel」に到着です。

丘の上に建つメルヘンな雰囲気漂うカフェでは、農園で栽培している苺を使ったメニューがそろっています。入口に自転車ラックがあるのが嬉しいですね。

カフェは朝9時から営業しています。店内でも外でも頂くことができますが、外の場合はテイクアウト容器になるようですよ。

ランチメニューから「HIKIサンド」と「フレンチトースト」、デザートに朝摘み苺を使用した「たっぷりいちごパフェ」を頂きました。
甘い苺たっぷりで美味しかったですよ!

踊る埴輪のモニュメント

農林公園から国道407号の手前で、裏道を縫うように走ります。

国営武蔵丘陵森林公園の北口ゲート前を通過したら、しばらく道なりに進みます。
主要な道ではないので、比較的車も少なく走りやすいです。県道173号の上を通過して太い道に合流した場所に八幡神社があります。そこに大きな「踊る埴輪」のモニュメントがあるので立ち寄ってみましょう。

2022年4月に建立された「踊る埴輪」は、この熊谷市野原古墳群で出土されたもので、原物は東京国立博物館に所蔵されています。
モニュメントの高さは、大きい方は195cmで小さな方は174cmあり、原物の約3倍の大きさだとか。踊る埴輪と一緒に写真を撮ってみてはいかがでしょうか。
実は最近の研究で「踊る埴輪」は、馬の手綱を引く「馬曳き」の姿だと判明したそうです。でも、踊る埴輪の方が愛郷があって良いですけどね!

神社前の道をしばらく走り、熊谷警察署小原駐在所を左折します。
その後は細い裏路地を走ります。雑木林の中を通るので路面に注意して下さい。

この辺りは古墳群や沼が多く、民家が少ないので静かな里山という雰囲気があります。

存在感ある大エノキ

地獄沼を過ぎた辺りに大きな一本エノキが現れます。地名の塩を取って「塩の大エノキ」と呼ばれ親しまれています。
サイクリストにも人気で、遠くからこの樹を目指して走って来る人も多いですよ。

この樹は葉が茂っている季節より、葉が落ちた今の季節がオススメ。立派な枝振りが綺麗に見えて青空に映えます。根元にポツンと佇むお地蔵様も良い雰囲気です。

杉山城跡を散策

大エノキを後にして、県道69号に出たらセブンイレブン嵐山小川インター店まで真っ直ぐ。そこから川向こうへ渡り関越道の先まで進みます。
関越道の下をくぐると「杉山城跡」という案内看板があるので従って進みます。
入口は嵐山町立玉ノ岡中学校と同じになります。学校の奥に進むと杉山城跡への入口が出てきますよ。

杉山城跡は城主や築城年代が長らく不明でしたが、近年の発掘調査で戦国時代の山城であることや、歴史的な背景が解ってきました。
せっかくなので自転車を置いて、城跡を散策してみましょう。

丘陵の尾根に10の郭を配置して、防御に優れた造りになっているとか(現地に詳しいパンフレットがあります)。奥まで歩いて行くと、一番高い場所に本郭がありました。

自然の丘陵地帯を利用した城造りである事が、城に詳しくない私でも解ります。

マンホールの壁を見に行く

杉山城跡を出て、県道69号を走ります。市野川を渡り左折、川沿いの道を進みます。一部短いですが砂利道になります。

市野川水循環センターの入口に立ち寄ります。敷地内には入りません。
ここのレンガ壁には、近隣のマンホールが埋め込まれていてちょっとした撮影スポットになっています。壁にマンホールが埋め込まれているのは珍しいですね。

狛兎がいる福正寺

市野川水循環センターの近くにある福正寺に立ち寄ります。
本堂の左手にある勢至堂の前に、狛犬ならぬ狛兎が配置されています。今年は卯年ですので、是非立ち寄ってみましょう。

阿吽の兎をよく見ると、阿形は子ウサギを抱えています。吽形は鞠を抱えています。
しかも狛兎ではなく「福うさぎ」と名前が書いてありました。福を呼ぶ兎でしょうか。

森林公園駅でゴール

福正寺を出てすぐ、ラーメン屋を右折して踏切を渡ります。
踏切を渡ってすぐ左折すると、目の前に東武東上線の車両基地が見えてきます。ここでは東上線系統の車輌を多く見る事ができます。
手前に停まっているベージュとオレンジの車輌は、8000系リバイバルカラー車輌らしいです。レトロで可愛いです。

車両基地の横に、ポツンと佇むトトロと仲間達が…。
近くの造園会社の方が作っているらしいです。クオリティ高くて密かな人気スポットになっています。

あとは真っ直ぐ走って森林公園駅でゴールです。

コース紹介

アクセス
電車:東武東上線「高坂駅」「森林公園駅」を利用
車:関越自動車道「東松山インター」から約15分

まとめ

観光地としてはあまり知られていないかもしれない「比企丘陵」の周辺を紹介してみました。ディープな埼玉サイクリングを楽しめると思います。

執筆:小曽根彩

大分県出身、埼玉県在住。
地図やガイドパンフのデザイン制作事務所「オゾングラフィックス」スタッフ。
ロードバイク・ランドナー・ミニベロなどで、四季の景色や美味しい物を求めて自転車を楽しんでいます。

 

  • この記事がいいねと思ったら
    •  6
  •   この記事のご感想はユーザーのみなさま
  • サイクリングレポート(記事下部)
    サイクリングレポート(記事下部)
    編集部おすすめ
    ランキング