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【オーストラリア】初開催!ポートダグラスグランフォンド・楽園の100km大会レポート

2022年9月9日(金)〜11日(日)にかけてオーストラリアクイーンズランド州のポートダグラスで初開催された、『ポートダグラスグランフォンドフェスティバル』。
期間中のメインイベントであるファンライドイベント『ポートダグラスグランフォンド』に、ブリスベンから自転車持参で参加してきたレポートをお届けします。サイクリストなら一度は走りたい大自然の絶景ライドの様子をお楽しみください。

ケアンズへのアクセス

筆者が暮らすブリスベンからケアンズまでは、ジェットスターやカンタス航空の直行便で所要約2時間半ほどです。
日本からは東京・関西の両方面からジェットスター・カンタス航空・JALを中心に所要7時間半程度で直行便があります。

今回は往復ともカンタス航空を利用し、自分たちの自転車を輪行で持参しました。
宿泊先はケアンズ空港からほど近いホテルに連泊。ケアンズの中心部から大会のメイン会場となるポートダグラスのスーパーヨットマリーナまでは約66km。ホテル〜メイン会場へはバンで自転車を積んで移動しました。

旅程 2泊3日 

宿泊地:ケアンズ市内泊

金曜日 夜 ブリスベン発〜ケアンズ着(飛行機)
土曜日 (大会前日)ポートダグラス〜パームコーブ間のコース下見(車移動)
日曜日 (大会当日)大会出場 夕方ケアンズ発〜ブリスベン着(飛行機)

ポートダグラスグランフォンドフェスティバルとは?

ポートダグラスフランフォンドフェスティバルは今回が記念すべき初開催でした。ケアンズではもともとトライアスロンのレースシリーズの一つ、アイアンマンレースを1997年から開催し、レースの開催経験は非常に豊富な土地です。しかし、実は今までこういった自転車のための、それもレースではなくファンライドのイベントはなかなかありませんでした。
ごりごりのスポーツマンだけでなく、子供から大人まで、幅広いホビーサイクリストにもケアンズを楽しんでほしい!ということでクイーンズランド州政府観光局が力を入れて始めたのが今回の『ポートダグラスグランフォンドフェスティバル』です。
ケアンズ空港国内線の到着口


荷物のターンテーブルもトロピカル


到着口には巨大な広告も

メインの9月11日(日)のファンライドイベント『ポートダグラスグランフォンド』は、48・100・138kmの3コースから選べ、全体で約920名のサイクリストが出場しました。
参加したのは100kmコース。
ポートダグラスを朝6時半にスタートし、ポートダグラスーパームコーブ間のグレートバリアリーフドライブ、公式にはキャプテンクックハイウェイと呼ばれる道を走り、50km地点のパームコーブで折り返し、再びポートダグラスに戻りゴールというコースです。
「グランフォンド」の名こそついていますが、コースは100kmで獲得標高689mと非常になだらかで、中級者の方なら十分走りこなせるコースプロフィールです。

■自転車一色の前日イベント
メインイベントの前日は車でケアンズからパームコーブ〜ポートダグラスへと北上し、コースとなるキャプテン・クックハイウェイをドライブしながらコースを下見します。


ポートダグラスのメイン会場近くのトリニティベイルックアウト

ケアンズ中心部から約66km、ポートダグラスの大会メイン会場、クリスタルブルックスーパーヨットマリーナへ到着。ウッドデッキからはたくさんのヨットが望め、会場にはリゾート感が溢れています。

日本の「恋人の聖地」のように南京錠を付けられるフォトスポットも。
マリーナ内の大会本部でチェックインをし、バイクタグやヘルメット用ステッカーの入ったバイクキットを受け取ります。

マリーナではサイクルエキスポが開催され、タイヤチューブや補給食といったライドイベントに必要なアイテム、大会記念品の販売ブースが並んでいます。

Santini製の大会公式ジャージ(トップスAUD$120 / ビブスAUD$169)

大会記念ボトル(AUD$29.99)は CamelBak の Podium。

また、マリーナ周辺道路では市民クリテリウムレース『ケアンズポストクリテリウム』や、市民スプリントレース、BMXのショーなどが開催され、自転車色一色に。


親子連れで楽しめる1周2kmのファンライド『チューチューズ・フリーファミリーライド』では、仮装を楽しむ家族連れも。ウォーリーに扮した一家にはコスチューム賞が贈られるなど、和やかな雰囲気でした。


マリーナのシンボル『チューチュートレイン』

大会当日

◆出走は日の出前
当日は朝3時半に起床。キャプテンクックハイウェイが大会用に通行止めになる前にポートダグラスへと車を走らせ、5時半にはスタート会場入り。

日の出前から会場でスタンバイし打ち合わせをしているのは、サイクリストを先導してくれる地元のオートバイグループ『コーラル・コースト・ライダーズ』のみなさんです。

少し空が明るんできた6時半、走行スピード順に順次スタートです。

◆世界遺産を独り占め!
このイベントの最大の魅力はなんといっても大自然の絶景。ヤシの木が立ち並ぶ海岸沿いの絶景ロードをこの大会参加者のためだけに完全封鎖しているということです。
「グレートバリアリーフ」と「クイーンズランドの湿潤熱帯地域 」(世界最古の熱帯雨林)は世界自然遺産に認定されています。この2つの世界遺産を通る絶景ドライブコースを、自転車で風を切りながら走る爽快感はもうたまりません!

往路の50kmはペースが同じ他のサイクリストたちと10名ほどの集団走行でペースを維持しつつ体力を温存することに重点を置きながら走りました。
復路になると、各々休憩に費やす時間も異なり集団はかなりばらけ、私も相方と二人旅に。すると900名以上参加しているにもかかわらず、前にも後ろにもサイクリストがいない、ぽっかりとした空白の空間が生まれるんです。その瞬間はもう、まさに世界遺産の絶景を独り占め状態…!「こんな贅沢が人生であってよいのだろうか!?」と思う素晴らしいコースでした。

◆絶景のエイドステーションで一休み
各コースの道中には全部で4ヶ所ほどエイドステーションが設置されています。レックスルックアウト(展望スポット)やパームコーブのビーチといった絶景ポイントに設置されているのが非常にニクいところです。地元の大会ボランティアの方々、ライフセービングクラブの方々がサイクリングボトルに給水してくれたり、補給食のバナナやラミントンを配ってくれたりします。

レックスルックアウトには大会フォトコンテスト用のフレームも

100kmコースの50km地点、パームコーブビーチのエイドステーションはヤシの木に囲まれリラックスムードが漂います。

ここのエイドステーションでは有料でマクドナルドとライフセービングクラブのコラボによるバーガーの提供も。
ライフセーバーたちがボディボードを胸に海へ入りトレーニングするのを眺めながらバーガー片手に休憩、というのも、なんともオーストラリアらしい光景です。


メカトラブルも地元バイクショップのスタッフが無料で対応してくれます

◆ローカルライダーたちとの交流を楽しむ

日本のファンライドイベントではいわゆる「ご当地グルメ」が提供されることが多い昨今ですが、オーストラリアのファンライドイベントのエイドは至ってシンプルです。
水・SiS(Science in Sport:英国の補給食商品)・グミ・バナナ・クッキー・ミニカップケーキなどが主流です。

グルメを期待して参加するとイメージと違うかもしれませんが、これもまた郷に入らばならぬ「豪に入らば豪に従え」。
参加者たちは「走る」ことそのものを何よりの楽しみにしている方が多いようです。また、ボランティアや他のサイクリストの方々との交流を楽しむのもオーストラリア流大会の楽しみの一つです。

日本人で参加していたのはどうやら私と相方の二人だけだった模様。「ブリスベンから来たジャパニーズなの」と言うと、「次は僕が日本に走りに行きたいよ!」とローカルライダーたちが笑顔で話してくれました。

大会ゲストとして参加していたのが、元プロロード・トラック選手で南オーストラリア州アデレード出身のアネット・エドモンドソン選手。エイドステーションごとに笑顔で参加者に気さくに話しかけている姿が印象的でした。
我々には日本語で「こんにちは!楽しい?」と話しかけてくれてびっくり。ヨーロッパでのプロチーム時代に日本人チームメイトもいた影響で、日本語を勉強したことがあるそう。「この景色、最高でしょう!?」とナチュラルな日本語で満面の笑みをくれて、こちらも思わず笑顔になりました。

◆暑さ・湿度と戦いながらラストスパート
ブリスベンより北のケアンズは湿度もなかなか。日が昇るとあっという間に気温は30度以上に上昇します。復路のエイドステーションではボランティアの方が水鉄砲で思い切り水をかけてくれる場面も。湿度・暑さと・足の疲労と戦いながら、休憩も含めスタートから約5時間で無事にゴール。すっかり日が昇り青空に映えるマリーナで達成感を味わいました。



ゴール後の休憩エリアにはクイーンズランドブルーのパラソルが。

ゴール後は会場に併設するヘミングウェイズ・ブリューワリーのビアレストランでバーガーとビールで乾杯。最初から最後まで信号もなくとにかく気持ちの良い、大自然を心から堪能できる100kmでした。

2023年は9月8日(金)〜10日(日)開催!

今回は100kmコースでの参加でしたが、ビギナーの方にもやさしい48kmコースもありますし、コース自体はフラットな部分が中心で非常に走りやすいコースです。
ぜひ来年第2回大会開催の時は、ケアンズにホリデーも兼ねて、お出かけしてみてはいかがでしょうか!?
少なくとも私は、往路の時点から「来年もまた来よう!」と決心しました。

コース紹介


距離:約100km(ポートダグラス スーパーヨットマリーナ〜パームコーブ)

▼ポートダグラスグランフォンド大会公式サイト(英語)
https://portdouglasgranfondo.com.au/

▼クイーンズランド州政府観光局 ケアンズとグレートバリアリーフ(日本語案内)
https://www.queensland.com/jp/ja/places-to-see/destinations/cairns-and-great-barrier-reef

まとめ

クイーンズランド州最大のライドイベントといえばブリスベンとゴールドコーストの都市間を結んで走る『ブリスベンtoゴールドコーストサイクルチャレンジ』が有名ですが、今回の『ポートダグラスグランフォンド』はまた、都市型のサイクリングイベントとは一味も二味も異なる大自然の中のライドとしての醍醐味がありました。
メインとなるのは海ですが、熱帯雨林の森に広大なサトウキビ畑、熱帯ならではの鮮やかな蝶々ににぎやかな鳥のさえずり…とまさに「楽園ライド」。大会前後にはリゾートステイも満喫できる絶景の世界遺産ライド。サイクリストならぜひ一度は体験してほしい極上のライドイベントです。

執筆:Ayaka

2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。
ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。
2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。
2022年4月、オーストラリア クイーンズランド州ブリスベンへ移住。
座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。

 

 

 

 

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