自転車の基本ルール「自転車安全利用五則」安全な社会を目指して
自転車は、道路交通法では軽車両に位置付けられており、「クルマ」の仲間です。
今回は、自転車の5つの基本的なルールである「自転車安全利用五則」など、自転車を利用する全ての方が守るべき自転車の交通ルールについて、分かりやすくご紹介します。
※この記事は2020年4月26日に公開したものを2023年9月に更新したものになります。
目次
知って守ろう~自転車安全利用五則~
「自転車安全利用五則」(令和4年11月1日交通対策本部決定より)は、警察庁が自転車に乗るときに守るべき交通ルールを分かりやすく伝えるため、特に重要なものを5つにまとめた基本的なルールといえるものです。
自転車安全利用五則は、次の①~⑤です。
①車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先
②交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
③夜間はライトを点灯
④飲酒運転は禁止
⑤ヘルメットを着用
詳しくは以下のとおりです。
①車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先
道路交通法上、自転車は軽車両と位置付けられています。
したがって車道と歩道の区別があるところは車道通行が原則です。
そして、道路の左側に寄って通行しなければなりません。
歩道を通行できる場合は、車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止しなければなりません。
例外的に歩道を通行できるケース
例外的に、次のような場合は、普通自転車が歩道を通行できることになっています。
- 普通自転車歩道通行可※1など、道路標識や道路標示で指定された場合
- 運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、身体の不自由な方の場合
- 車道や交通の状況からみてもやむを得ない場合※2
※1 普通自転車歩道通行可の道路標識は以下のとおり
※2 やむを得ない場合とは、
- 道路工事、連続駐車などで車道の左側部分が通行困難な場合
- 著しくクルマなどの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのため、接触事故の危険がある場合
自転車道があるときは
自転車道がある道路では、道路工事などやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければなりません。
②交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
信号機のある交差点では、信号が青になってから安全を確認し、横断しましょう。
一時停止のある交差点では、必ず一時停止をして、安全を確認してから横断しましょう。
③夜間はライトを点灯
無灯火は他から自転車が見えにくくなるので非常に危険です。
夜間、自転車で道路を走るときは、前照灯及び尾灯(または反射器材)をつけなければなりません。
ライトをつけるのは、道路を照らして見やすくするためだけでなく、前方や後方から来るほかの自動車やバイクなどに自分の存在を目立たせるためです。安全のため、夜間は必ずライトを点灯させましょう。
④飲酒運転は禁止
自転車も飲酒運転は禁止されています。酒気を帯びて自転車を運転してはいけません。
また、酒気を帯びている人に自転車を提供したり、飲酒運転を行うおそれがある人に酒類を提供したりしてはいけません。
⑤ヘルメットを着用
自転車を運転する場合は事故による被害を軽減させるため、乗車用ヘルメットをかぶりましょう。
2023年4月1日から、道路交通法の改正により、自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務化されました。
こんな運転もやめよう
自転車安全利用五則以外にも、下記のような運転はやめましょう。
片手運転(ながらスマホや傘さし運転など)
自転車の片手運転は道路交通法で禁止されています。
特に、スマートフォン・携帯電話を操作しながらの「ながらスマホ」は、片手運転でふらつきやすいうえ、周囲を見ていないため、事故に遭ったり、歩行者にぶつかってけがをさせたりするおそれがあります。絶対にやめましょう。
おなじく、傘差し運転はバランスを崩しやすくする原因となるほか、傘によって前方の視界が遮られ、前方不確認となるおそれがあります。
自転車でのイヤホンやヘッドホンの使用
イヤホンで音楽を聴きながらの自転車利用はやめましょう。
音楽に気をとられて注意散漫になったり、後ろから近づいてくる自動車の音が聞こえなかったりして、事故に遭う危険性が高まります。
都道府県によっては、自転車でのイヤホンやヘッドホンを禁止している場合があります。以下に示す危険行為(安全運転義務違反)にあたる場合もあります。
二人乗りは禁止
自転車は基本的に一人用の乗り物です。
自転車の二人乗りは、子乗せ自転車など、6歳未満の子どもを幼児用座席に乗せるなどの場合を除いて、原則として禁止されています。
並進は禁止
「並進可」の標識があるところ以外では、並んで走ることは禁止です。
自転車で道路を並んで走ると、自転車が車道の中央寄りを走ることになり、危険であるとともに他の通行の妨げにもなります。
違反を繰り返した人には自転車運転者講習も
平成27年(2015年)6月1日から、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の違反行為(危険行為)を繰り返す自転車利用者に対して、「自転車運転者講習」の受講が義務づけられました。
ここでいう「危険行為」とは以下の15項目となっています。
<危険行為 15項目>
- 信号無視
- 通行禁止違反
- 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)
- 通行区分違反
- 路側帯通行時の歩行者の通行妨害
- 遮断踏切立入り
- 交差点安全進行義務違反等
- 交差点優先車妨害
- 環状交差点安全進行義務違反等
- 指定場所一時不停止等
- 歩道通行時の通行方法違反
- 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
- 酒酔い運転
- 安全運転義務違反
- 妨害運転
これらの「危険行為」で3年以内に2回以上検挙された場合には、都道府県公安委員会により、自転車運転者講習の受講が命じられます。命令を無視し、自転車運転者講習を受けなかった場合は、5万円以下の罰金が科されます。
出典:知ってる?守ってる?自転車利用の交通ルール/5 危険な違反行為を繰り返したときは(政府広報オンライン)
(https://www.gov-online.go.jp/featured/201105/#fifthSection)
誰でも気軽に利用できる自転車ですが、自分だけでなくほかの人を守るためにも、自転車の交通ルールをきちんと守りましょう。
参考
執筆:t.k(2020年4月)
更新:2023年9月