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【スペイン】自転車界のレジェントとあの山を登る。マルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサ

マルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサ

スペイン北西部の村・ベハールを舞台とするサイクリング・イベント、マルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサ。数多くのスペイン自転車界の伝説的な元サイクリスト選手が数多く出走するイベントです。

とはいえ、このイベントの主役は走ることを楽しむ自転車好きの人達。このイベントの様子をレポートします。

豪華なゲストサイクリストの参加

マルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサ

2018年のブエルタ・エスパ―ニャの第9ステージで、ベン・キング選手が制したラ・コバティーリャの山岳ステージをご記憶の方も多いのではないでしょうか。

そのラ・コバティーリャを登るサイクリングイベントが毎年、初夏に開催されます。それがマルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサ今年はスペイン各地から6000人ほどが参加しました。

というのも、このサイクリングイベントは毎年豪華なゲストサイクリストが招待されるため、スペイン国内で大変有名なのです。

今年のゲストサイクリストは、まず、ツール・ド・フランス5連覇をはじめジロ・デ・イタリア2連覇はじめとする大記録で知られるミゲル・インドゥライン氏。同じくツール・ド・フランス優勝経験のあるペドロ・デルガド氏。ブエルタ・エスパ―ニャを5連覇した経験もある地元ベハール出身のロベルト・エラス氏。同じくこのベハール出身で、かつてブエルタ・エスパ―ニャのリーダージャージを見につけて、この村にゴールしたことのある、ラウディオ・クビーノ氏。

そして、昨年までチーム右京のサイクリストとして活躍していた、オスカル・プジョル氏が駆け付けました。ちなみにプジョル氏、このイベントの2週間前に参加したトライアスロンの大会中に転倒、左腕を複雑骨折し入院。しかし、このイベントの数日前に無事退院し、この日のイベントに駆け付けました。そのため、今回彼は自転車には乗らず、スタート地点で参加者にいつもの笑顔で声援を送りました。

オスカル・プジョル

このように豪華なゲストサイクリストが集まるマルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサは、近年参加者が増加しており、今年は6000人近くのサイクリストが参加しました。スペインの中でも、人気のあるサイクリングイベントなのです。

 

2種類のコース

マルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサ

豪華なゲストサイクリストが集まるこのイベント。もちろん、真の主役は自転車に乗ることを楽しむアマチュアサイクリストたちです。そんな彼らが参加する、このイベントのコースは2種類。「フォンド」と呼ばれる距離116km・獲得標高2700mのコースと、「グランフォンド」と呼ばれる距離141km・獲得標高3600mのコースです。「グランフォンド」の参加者は、「フォンド」の参加者と同じコースを走った後に、ラ・コバティーリャを登ることになります。そのため、ラ・コバティーリャに挑むことができるのは、「グランフォンド」の参加者だけになりますので、ご注意ください。

とは言え「フォンド」のコースもアップダウンが続く、なかなか厳しいコースです。始めてこのレースに参加する方には、よほど登りに慣れた人以外は、「フォンド」を走ることをお勧めいたします。

両方のコースには一応制限時間があるものの、参加者の大半が無事にゴールできる範囲のものです。それほど厳しい条件が課されているわけではないので、どうぞご安心ください。

サイクリストの中には、一人で参加している人も珍しくありません。しかし、走っている途中で何かトラブルに見舞われた時でも、沿道には数多くのボランティアの人が準備しています。そして何より、スペインのサイクルイベントは参加者が互いに協力する習慣が出来上がっているので、周りのサイクリストが必要な手助けをいろいろしてくれるでしょう。

女性の参加者は全体の2割ぐらいと少数派ですが、決して珍しいわけではありません。女性サイクリストも安心して楽しむことができるイベントです。

 

参加にあたっての注意

ルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサ

このイベントに参加したいサイクリストが注意する必要があるのは、以下の点です。

  1. 会場のとなる村のベハールには宿泊施設はありますが、その数は多くありません。ホテル関係は早めの予約が必須です。
  2. スタートは朝9時。日本から行く場合には時差ボケ対策を忘れずに。
  3. 日本では、とにかく登りと下りの練習をしておくこと。
  4. 「グランフォンド」の参加者は、途中で道幅が狭く大きな石が敷き詰められた石畳区間を走ることになります(しかも登り)。このような区間では、途中で自転車を押して歩く勇気も必要になります。
  5. 「グランフォンド」の参加者は、ラ・コバティーリャの頂上にゴールした後、自走で下ることになります。そのため、上着などを用意しておきましょう。

ちなみに、今年の「グランフォンド」で、総合第4位にとなったのは、あのミゲル・インドゥライン氏。引退した今も数多くのサイクルイベントに参加している彼。その走りは、全盛期のツール・ド・フランス5連覇を思いださせるのに、十分なものでした。

 

このイベントに参加を考えている方は、今のうちからトレーニングを始めることをお勧めいたします。そして、ラ・コバティーリャを登った後は、この地方特産のイベリコハムを心ゆくまでご堪能ください。

▼マルチャ・シクロツーリスタ・べデラルサ公式WEB(スペイン語)

 

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(執筆:對馬 由佳理)

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