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【大分県】日田往還・中津街道を行く中津城までの約56kmサイクリング

日田往還とは、日田市を拠点に放射線状に九州を網羅する道の総称で、昔、代官や郡代が物を運ぶのに行き来した歴史的な街道のことです。
日田市は九州北部のほぼ中心に位置することから、幕府の直轄地、天領となり政治・経済・文化の中心となっていた歴史ある街です。
いくつかある日田往還ルートの中から、宇佐市・中津市を繋ぐ中津街道を走り、中津城へと向かう歴史的なルートをご紹介します。

「進撃の巨人」作者の出身地として有名なJR日田駅から出発


中津市のサイクリングガイド松永皓史(まつながあきふみ)さんに案内してもらいました。

日田駅は、別府観光港から近い別府駅からJRで約2時間、JR博多駅より特急で約1時間20分の場所に位置します。
コインパーキングもありますので、車で来ることも可能です。

むしろ、日田~中津間は電車の乗り換えが必要になり、時間がかかりすぎてしまうため車でお越しいただくことをお勧めします。

出発は「HITA」のモニュメントからです。日田駅東を右折して県道48号線を進みます。まず目指すのは咸宜園(かんぎえん)です。

咸宜園を通って豆田町へ


咸宜園とは、江戸時代の儒学者・教育者だった広瀬淡窓(ひろせたんそう)によって創られた日本最大規模の学校です。
「咸く宜し」(ことごとくよろし)すべてのことがよろしいという意味でつけられた名前が有名で、日本遺産にも認定されています。

咸宜園を通ってさらに風情ある街並みの豆田町を抜けていきます。
道の途中にある町の掲示板にツール・ド・九州の張り紙を見つけました。

日田市はツール・ド・九州のコースになっている地域でもあります。

豆田町は、平日でも予想以上に多くの車や観光客がいました。
道も狭いので自転車で走る際は注意が必要です。

豆田町を過ぎると、お店や休憩場所がなくなってくるので、給水ボトルの持参、軽い食事、トイレなどを済ませておいた方が良いでしょう。

風情ある御幸通りを抜けるとつきあたりに花月川が見えてきます。
花月川を右折し、二つ目の一新橋を渡ると、あとはひたすら真っ直ぐです。
国道212号線を横断し、ひたすら進むと交通量も少なくなり、民家が並んだ道になります。その道が日田往還です。

山と水の美しい日田

「日田天領水」といわれるように日田は水がきれいな街です。
民家の道を進み、カーブを曲がると目の前にきれいな花月川が見えてきました。思わず写真を撮りたくなる景色の大きな川です。

川沿いの道は桜並木になっており、木陰を作ってくれています。
日田は盆地で夏はとても暑い地域なので、避暑地になるでしょう。

春には桜がきれいに咲くのだろうと予想もつきます。さらに進んでいくと、少し険しい山道へと突入です。

上り坂になる山道


きれいな川を過ぎると次は山道です。
走ってきた道が真下に見えるほど道がUの字になっているのが確認できるほどのカーブもあります。

山道の休憩スポット「伏木公園」

坂が終わり、平坦になってきたところに伏木公園があります。
伏木公園は、夏の期間だけ運営するキャンプ場です。

大きなログハウスのような建物にはトイレがあります。自販機はありませんが、トイレは使用可能なようです。
過酷な坂を登った後の休憩スポットになります。夏に訪れた時は、キャンプに来るのも良いでしょう。
伏木公園の敷地内にも日田往還の歴史がありました。

このあたりから平坦な道が続き、後は下りになっていきます。

どこか懐かしい田舎町の山国


山を越えると、日田・中津を繋ぐ国道212号線(日田往還中津街道)へと出てきます。
道が広くて走りやすそうに思いますが、交通量が多くトンネルもあるためサイクリストのほとんどが、伏木公園前の山道を越えていくそうです。

国道を左折し、「守実」の標識通りに進んでいきます。
山と国道を越えると、どこか懐かしいような小さな商店街のような田舎の町に出てきます。

日田市から中津市に入りました。
神社や民家、学校などが並ぶ山国(やまくに)の地区は、ゆったりと時が流れるほっとできる町です。
地元の自転車屋さんもあったので、自転車の不調があった際には立ち寄ってみるのも良いかもしれません。

ランチ休憩スポット 「コアやまくに」「道の駅やまくに」


中学校横にロータリーがありそこを進むと「コア山国」があります。
役場やコミュニティーセンター、図書館などが一つになった大きな施設です。中にカフェがあるので、食事をとることができますが、平日しかやっていません。
定休日の場合はもう少し先にある「道の駅やまくに」で食事をすることができます。

「コア山国」を通り過ぎ、サイクリングロードへと進むと「道の駅やまくに」に行けます。約3㎞ほど走ると到着です。

道の駅やまくにで食事をしました。

大分名物、中津が聖地とも言われる人気メニューからあげ定食と、タレ付きチキン定食です。

山を越えたサイクリストにもちょうど良いボリュームでしょう。
食事の後は、サイクリングロードを走っていきます。

休憩スポット やばけいサイクリングツアーズ


再びサイクリングロードに戻り進んでいくと、松永さんが営む「やばけいサイクリングツアーズ」があります。

スポーツバイクのレンタルができたり、ガイドさんと共に耶馬溪(やばけい)の魅力を体験できるツアーが楽しめるお店です。
冷たい飲み物もあり、休憩もできるので立ち寄ってみてください。

休憩後は、再び景色の良いサイクリングロードを進みます。

耶馬溪(やばけい)の見どころ「競秀峰」


サイクリングロードをさらに走っていくと、岩肌が露出した「競秀峰(きょうしゅうほう)」が見えてきます。
秋には一面紅葉となり、春には足元がネモフィラの青いじゅうたんになる耶馬溪(やばけい)の絶景ポイントです。

競秀峰の下の方には、禅海和尚(ぜんかいおしょう)がノミと鎚だけで手彫りをしたと有名な青の洞門もあり、歴史と絶景に触れられるスポットとなります。

もう少しサイクリングロードを進むと、日田往還中津街道の国道212号線です。

少しわかりづらいところもありますが、横断歩道を渡るとサイクリングロードが現れますので、看板通りに進みましょう。
一般道も走りながら、あとは中津城を目指すのみです。

中津城までの道のり

一般道の国道212号線を走っていくと「宮永」表示の分かれ道がありますので左折して、県道110号を走ります。県道110号が、日田往還中津街道です。

走っていくと中津市街地に入り、交通量が増えてくるので注意してください。
銀行が並ぶ交差点がありますので、左折し標識通りに進んで行きます。

中津城でゴール


中津城がゴールです。日田中津を繋いでいる日田往還中津街道。
歴史や絶景や地元の食事に触れながら約56㎞のライドが出来ました。
「黒田官兵衛」で有名な中津城や周辺も楽しむことができるでしょう。

宿泊するなら「すえひろや」へ


中津城の近くにサイクリスト向けのゲストハウス「すえひろや」があります。
2023年4月にオープンしたばかりの新しい宿で、泊まれるのは訪日旅行者とサイクリスト限定なんだそうです。
中津にサイクリングしに来た際はウエルカムでしょう。

走った距離は56㎞程なので、元来た道を戻るもOK、1泊するのも良いのではないでしょうか。

コース紹介

▼伏木公園 https://www.city.hita.oita.jp/soshiki/doboku/toshiseibika/koenryokuchi/koen/3363.html

▼コア山国 
http://coreyamakuni.com/

▼道の駅やまくに
https://nakatsuyaba.com/?introduce=michinoekiyamakuni

▼やばけいサイクリングツアーズ 
https://nakatsuyaba.com/?introduce=yabakei_cyclingtours

▼すえひろや 
https://suehiroya-oita.com/

まとめ

日田往還ルートから、宇佐市・中津市へと繋がる中津街道のコースをご紹介しました。
物資を運ぶために使われていた歴史ある日田往還・中津街道は、昔の面影を残すところもありつつ、交通量の多い道路にもなっています。
坂あり、平坦ありで文化と自然の豊かさに触れられるコースは、中級・上級のサイクリストがゆったり走るにはちょうど良いコースではないでしょうか。
実は、Googleマップでは確認できないサイクリングロードを走るところもあります。
交通量を気にすることなく走れる道ですので、どんな道で、どんな美しい景色が見えるのか実際に走ってみるとよいでしょう。

協力:やばけいサイクリングツアーズ

執筆:結の秋(ゆいのあき)

大分県出身/大分県中津市在住
フリーランスwebライターとして活動中。
スポーツバイクは未経験だが、家族そろってサイクリングロードを走ることを楽しんでいる。
中津市にあるサイクリングロードや近郊の美しい景観を楽しめるコースなどを紹介するため、取材に励んでいる。

 

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