【CYCLE MODE TOKYO 2023】サイクルモード東京2023で聞きました 。「ナショナルサイクルルートの魅力を教えて!」
今年も盛り上がったサイクルモード東京。日本最大級の自転車の展示試乗イベントが今年も開催され、多くの来場者でにぎわいました。自転車ブランドだけでなく、パーツや用品、さらに保険やサイクリングエリアの紹介、自転車メディアなど、自転車に関する多くのブースが出展され、ステージイベントとともに参加者たちを魅了しました。今年はeバイク関連の出展も多く、時代がどんどんシフトしていることを感じさせました。
会場は今年も東京ビッグサイト。江東区有明にあります
会場はたくさんの来場者で大盛況
2日目は天気もよく試乗を楽しむ人たちがたくさんいました
ステージイベントも大盛況です
試乗前には無料のレッスンコーナーを受講できます
そのなかでTABIRINが注目したのはナショナルサイクルルートの合同ブース。ここにはしまなみ海道やビワイチをはじめ、全国で6カ所指定されているナショナルサイクルルートの担当者が集結して、それぞれの魅力をアピール。まさに日本を代表するサイクルルートがそろい踏み。いつかは走ってみたいナショナルサイクルルート。こんなチャンスを逃してはならじとお話を聞いてきました! ナショナルサイクルルートの魅力を教えてくださーい!
いつも自治体ブースは閑散としていることが多いのですが、ナショナルサイクルルートのブースは身動きが取れないほどの大盛況でした。関心の高さがうかがえます
目次
トカプチ400
北海道の帯広を中心とする十勝平野、大雪山麓を駆け抜ける雄大なサイクリングルート。肥沃な大地に豊かな農業、酪農の広がりを感じることができる。
北海道の雄大な景色を速攻で満喫できる!
北海道開発局 帯広開発建設部 上席道路計画専門官
宮西功喜さん
トカプチ400は大雪山麓から太平洋岸までを駆け抜ける合計403kmのルートです。おおまかに言うと8の字を描くルートになっていて、ルートどりがいろいろできるのが特徴で、北海道の大自然を体感しながら、さまざまな景色のなかを走れるのが魅力です。
トカプチっていうのは先住民族であるアイヌの言葉で「十勝川」を意味しています。それがもとになって十勝という地名も生まれています。
403kmを全部走るということになると健脚者向けになりますが、一部を走るのであれば初心者やファミリーにも十分楽しめる設定です。たとえば帯広駅から十勝川温泉までをレンタサイクルで走るとか。十勝川の堤防上を走る部分は解放感があり、距離は短いですがこれだけでも北海道を自転車で走る特別感を味わってもらえると思います。
最近は三国峠のダウンヒルが人気です。一般的には峠というと上って下ってになるんですが、上士幌町ではNPOひがし大雪自然ガイドセンターが、自転車をクルマで峠の上まで持って行きダウンヒルだけを楽しむという楽しみ方をサポートしてまして、それが人気なんです。
帯広空港にもレンタサイクルが用意してあって、それを使って空港からサイクリングを楽しむ方も増えてきています。レンタサイクルは事前予約なんですが、今年もGW空けから予約が始まる予定です。荷物を空港から帯広駅前バスターミナルまで運ぶ事業など、サイクリスト目線でサービスを充実させています。
個人的には三国峠の壮大さが好きですね。途中の橋から走ってきた道が見下ろせるんですよ。ぜひ一度走ってみてください!
北海道の広さを感じられる十勝川の河川敷もルートに
ルートを外れてちょっと寄り道して豊頃町にある湧洞湖も訪れてみたい。周辺には美しい原生花園が広がる
冬にはファットバイクを使ったガイド付きツアーなども楽しめる
富山湾岸サイクリングコース
富山湾に沿って設定されたフラットで走りやすいルート。その富山湾の美しい海越しに見える風景は、訪れたサイクリストを必ず感嘆させる。
海越しの立山連峰と富山湾のグルメ!
富山県 地方創生局 観光振興室 副主幹
小沼景子さん
富山湾をぐるっと囲むように延びる約102kmの富山湾岸サイクリングコース。なんといっても海越しに3000m級の山々が見える雨晴海岸から見る絶景が最大の売りです。こういう場所は世に3カ所しかないと言われていて、日本ではここ富山湾、あとはチリとイタリアにあるそうです。また世界で最も美しい湾クラブにも加盟している富山湾全域の美しさを楽しみながら走れるのがポイントです。
周回路ではなく海岸線の1本道ルートなので、新幹線のJR富山駅を起点としてもいいですし、氷見市にあるひみ番屋街がルートのゲートウェイになっていますので、クルマで来てそこを起点にする方も多いですね。また富山には湾岸サイクリングコース以外に北アルプスの麓をめぐる田園サイクリングコース、さらにこの2つをつなぐ連絡コースがあり、それらと組み合わせて楽しむのもお薦めです。富山駅からはあいの風とやま鉄道や富山地方鉄道がサイクルトレインを運行していますので、それを利用したりしてアクティブに楽しんでいただけたらと思っています。
個人的なお薦めルートは富山駅から海王丸パークを経て、あいの風プロムナード越ノ潟へ。ここは新湊大橋の下を自転車と歩行者が渡れる絶景スポットです。そこから昨年12月に国宝指定された勝興寺、そして雨晴海岸の横を走って氷見市で虻が島越しの立山連峰を見る。これがサイコーです。
グルメでいうと富山湾鮨や白エビ、ホタルイカ料理など、富山湾ならではの味覚を楽しんでいただきたいですね。黒いスープが独特なラーメン、富山ブラックはサイクリストの塩分補給にも最適ですよ!
しっとりした趣のある岩瀬の町並み
海越しの立山連峰が望める雨晴海岸
富山湾ならではの海の味覚、ホタルイカ
つくば霞ヶ浦りんりんロード
東京から50分で多様な楽しみ方が待っている!
茨城県 県民生活環境部 スポーツ推進課 主事
沼田貴裕さん
つくば鉄道の軌道跡を利用したつくばりんりんロードと、霞ヶ浦自転車道が一体化してつくば霞ヶ浦りんりんロードになりました。霞ヶ浦一周が約140km、つくばりんりんロードが約40km、合わせて総距離約180kmです。霞ヶ浦は途中の霞ヶ浦大橋でショートカットすると約90kmのショートコースも作れるので、自分のレベルに合わせてルート設定できます。霞ヶ浦はショートコースを走る方のほうが多い感じですね。
JR土浦駅がコースのハブになっているので、そこでレンタサイクルを借りて、りんりんロードで岩瀬駅まで行って乗り捨てる、またはその逆という利用パターンが多いです。健脚サイクリスト向けには筑波山のヒルクライムも楽しめます。筑波山神社にはサイクリスト向けのお守りもあるのでヒルクライム達成の記念にぜひ! 筑波山から見る絶景はごほうびですよ!
土浦周辺には蓮(レンコン)畑が多いので、その水を張った畑に映る夕日など写真映えするスポットがたくさんあり、こちらもお薦めです。休日の夕方にはアマチュアカメラマンが大勢集まっています。
霞ヶ浦は湖の開けた風景を楽しめるフラットな道がずーっと続くので、初心者やファミリーでも走りやすいと思います。
東京から土浦まで50分というアクセスのよさ、フラットなコースのなかにヒルクライムも楽しめたり、180kmを一気に走るという上級者向けのチャレンジもできるなど、多様性が魅力だと思います。
季節ごとに違った表情を楽しめる筑波山
息を呑む美しさ。霞ヶ浦の朝焼け
道の駅たまつくりで食べられるなまずバーガー。霞ヶ浦で捕れたナマズを使用
太平洋岸自転車道
千葉県銚子市から和歌山県和歌山市まで6県を結んで走る日本最長の自転車道。沿線には日本を代表する観光地がひしめき、訪れるサイクリストを魅了する。
自分だけのオリジナルな走り方で楽しんで!
国土交通省 自転車活用推進本部事務局次長(道路局参事官)
金籠史彦さん
これから1400kmの旅が始まるという高揚感。そのスタートである銚子のモニュメント前に立ったときの気持ちは特別です。そしてゴールである加太港での達成感は何ものにも代えがたいはずです。太平洋岸自転車道は6県にわたって太平洋岸を駆け抜けるわけですが、県ごとに特徴があって、さらに同じ県内でも走っていくうちに表情が変わる、そのダイナミックな行程がこの太平洋岸自転車道最大の魅力でしょう。
伊豆半島や伊勢志摩など上級者にも走りごたえのある場所もあれば、旧街道のしっとりとした町並みを楽しめる部分、軌道跡をたどるところ、雄大な景色に心打たれるところなど、走るにつれ風景や味わいが変わっていきます。もちろん海の風景も同じではなく、その場所その場所で全部違います。
太平洋岸といいながら紀伊半島ではかなり山深いところも走りますし、海だけではない魅力を感じてもらえればと思います。また東京湾フェリー、伊勢湾フェリーといった航路がコースの一部になっているというのも非日常感があって楽しいですね。
グルメでいうと魚はもちろん全ルートで楽しめるんですが、場所によって味わえる種類や味が変わっていくのもおもしろいですよね。
全ルートを一気に走るというチャレンジングな楽しみ方もありますが、全体をいくつかに分けて楽しむ、あるいはオイシイところだけを選んで走るというのもアリです。自分だけのオリジナルな走り方をして、それを思い思いに発信して頂けると、ほかの皆様の楽しみ方の幅も広がっていくと思います。
ナショナルサイクルルートに指定されたことがゴールではなく、地域の方々、サイクリストの方々といっしょになって、どんどん魅力あるものに進化させていきます。ぜひ何度も走ってもらい、そういう進化も感じてもらえればと思います!
犬吠埼灯台。太平洋岸の旅は灯台をたどる旅でもある
江ノ島越しの富士山。神奈川から静岡は富士山の威容を楽しみながら走る
和歌山県白浜町の千畳敷。三重県・和歌山県ではダイナミックな地形を見ることができる
ビワイチ
どんどん広がるビワイチの魅力!
滋賀県 観光振興局 ビワイチ推進室 主任主事
中嶌眞季さん
ビワイチの魅力は、なんといっても日本一の湖を一周できるっていうダイナミックさですね。湖の景色だけでなく、比叡山、伊吹山、比良山といった山の姿を楽しみながら走れるところもポイントです。
それだけじゃなくて、最近はビワイチファンの方々が独自に見つけたスポットが密かに人気なんです。たとえば湖北にある「コホクブロック」は、黄色いブロックに「コホク」って書いてあるだけのものなんですけど、それがサイクリストのあいだで名所になって。ほかにも「あのフレーム」や「あの地球儀」などサイクリスト発の密かな名所が続々とできているんです。メジャーなスポット以外にそういうファンが見つけた「名所」があるのがビワイチの強みかなと思っています。みなさんに愛されていることを実感しますね。
日帰りで一周する方ももちろんいますけど、最近は宿泊して楽しむ方が増えていますね。スタートは新幹線で東京方面から来る人なら米原駅とか、あとクルマの方は駐車スペースが用意された守山市をスタートにすることが多いと思います。
滋賀県では県内各地の観光地等を周遊するビワイチ・プラスというルート設定もしているんですけど、これもびわ湖沿岸以外のエリアの魅力を楽しめて人気になりつつあります。私個人もレンタサイクルをして近江商人の町を巡ったりするなど自転車での散策が好きなんです。あとは米原駅でレンタサイクルして北国街道の木ノ本という古い町並みを訪ねたり。どんどん広がるビワイチの魅力を感じに来てください!
湖北にある賤ヶ岳(しずがたけ)は奥びわ湖のシンボル
四季折々の表情が楽しめる高島市のセコイア並木
三大和牛のひとつ、滋賀の近江牛をぜひ味わいたい
しまなみ海道サイクリングロード
広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ、約70kmのルート。CNNが選ぶ世界7大サイクリングコースに選ばれるなど、その魅力は世界的に知られている。
走るたびに新しい発見があるしまなみ!
愛媛県 観光スポーツ文化部 サイクリング誘客推進監
石丸正雄さん
瀬戸内の島々とそれをつなぐ架橋が織りなす絶景がしまなみ海道の最大の魅力です。でももちろんそれだけではないんです。ルートが通る各島それぞれに生活があって文化があって、そしてそれが少しづつ異なっています。島から島へと渡るたびに変わるその変化を楽しんでもらえたらと思います。
初めての方は、たとえば今治市のサンライズ糸山サイクリングターミナルでレンタサイクルを借りて、大島、伯方島と渡り、大三島のサイクリストの聖地碑まで約30km。そこでレンタサイクルを乗り捨ててバスやフェリーで今治に戻って来る、なんてどうでしょう。もちろん余裕があれば自転車で戻っても往復60kmくらいですから、一日かければ初心者の方でも走り切れると思います。
東京から来る場合のお薦めは、新幹線で来るなら福山から尾道へ出てサイクリングスタート、サイクリストの聖地碑を見て大三島で1泊、そして今治へ抜けるプランですね。
ぜひとも行ってほしいのが亀老山の展望台です。その絶景はしまなみでも1、2を争うもの。亀老山はコアなサイクリストの人にとっては大好物の激坂が有名ですが、今はeバイクのレンタルがありますので、女性や年配の方でも同じ絶景を目指して走れますよ。
ほかにも船で渡る上島町のゆめしま海道は4つの島が橋でつながれているんですが、信号がひとつもないんです。快適ですよ!
最近は宿泊施設もどんどん増えてきていて、近くほぼ無人のスマート旅館なんてものもできる予定です。しまなみ海道は常に進化を続けていますので、何度来てもらってもそのたびに新しい発見があるんです。みなさんのお越しをお待ちしています!
愛媛県今治市のサンライズ糸山にあるしまなみモニュメント
しまなみ海道でもっとも大きな橋、来島海峡大橋
大三島にあるサイクリストの聖地碑
まとめ
自治体やエリア観光紹介のブースって、そんなに人が集まらない気がしていましたが、さすがナショナルサイクルルート。その破壊力はハンパではありませんでした。連日押すな押すなの大盛況。だってしまなみ、ビワイチ、つくばりんりんと、日本のサイクリングルートのキラ星たち、そして太平洋岸、富山湾岸、トカプチというニューフェイスも全部集まっているんですから、この賑わいも納得です。来場者も「もうしまなみ走ったから次はどこに行こうかなー」とか「富山湾岸ってどうやって行けばいいの?」とか「ビワイチはどこから走り始めるといいですか?」など、前のめりな人が多いのも印象に残りました。各担当者に直接いろいろ聞けるってのもうれしかったみたい。俺もまだトカプチ走ったことないから、今年の夏は絶対に走るぞ!
担当者全員集合! みんなナショナルサイクルルートを走りに来てねー
関連リンク
ナショナルサイクルルート(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/good-cycle-japan/national_cycle_route/index.html
トカプチ400
https://www.ctjguide.com/
富山湾岸サイクリングコース
https://cycling-toyama.jp/course/wangan/
つくば霞ヶ浦りんりんロード
https://www.ringringroad.com/
太平洋岸自転車道
https://www.kkr.mlit.go.jp/road/pcr/index.html
しまなみ海道サイクリングコース
https://shimanami-cycle.or.jp/
DATA
イベント名:CYCLE MODE TOKYO 2023
開催日:2023年4月15日(土)〜16日(日)
会場:東京ビッグサイト
主催:サイクルモード実行委員会
執筆:岩田淳雄
愛知県出身、千葉県在住。 |