旅×自転車 記事

【大分県】石橋の町と呼ばれる院内町35kmサイクリング

谷間の集落が多い院内町には大小75基もの石橋があります。その中で状態の良いアーチ橋を厳選して、自転車で回ってみることにしました。

道の駅いんないからスタート

大分県宇佐市院内町にある道の駅いんないに車を止めて準備をします。
道の駅の人に「石橋めぐりをしたい」と伝えると車を止めることが出来ました。

道の駅近くの荒瀬橋

「道の駅いんない」のすぐ近くに1つ目の石橋があります。
2連アーチの美しいめがね橋で、橋のたもとに公園があり見上げることができます。

国道387号を北上している途中に旧豊州鉄道駅跡という看板を見つけました。
かつて日豊本線前豊前善光寺駅から豊前二日市駅までの間を結んでいた旧国鉄の路線のようです。
看板横の石積みは蒸気機関車給水タンクの跡で文化遺産となっています。

1925年(大正14年)に架設された御沓橋は、3連アーチ橋です。橋の長さは59mで町内最長です。
こちらも近くに公園があり間近で見る事が出来ます。

県道42号側に右折して坂を上ると小さなトンネルを抜けます。
そのまま坂を下って新貝川を渡らず、手前を右折して下市磨崖仏(しもいちまがいぶつ)に立ち寄ります。
少し奥まった場所にある鳥居をくぐると、岩壁一面に彫られた磨崖仏がありました。

かなり近い場所から見られます。室町時代前半の磨崖仏らしいですが状態が良く、そんなに古く感じませんでした。なかなか見応えありますよ。

空に高くそびえ立つ仙の岩

新貝川沿いの薬師淵を走ります。
川の対岸の段丘に薬師如来像と脇侍を祀るお堂があります。新貝川と深見川の合流点付近を薬師淵と呼んでいるようです。

県道50号から深見川に沿って走り、大きくカーブした先に現れるのが仙の岩です。

まず、その大きさに驚きます。まるで中国の水墨画を彷彿とさせる大岩柱は圧巻です。
約100mの集塊岩で出来た大岩柱は、山岳仏教の修行場となっているそう。
大昔、インドの僧の法道仙人が住んでいたので「仙の岩」と呼ばれるようになったとか。

さらに県道50号を走って行くと「直進すると湯布院、右折すると院内」の青看板が出てきます。そこを右折して少し進むと「深見五重塔」の道標があるので脇に道に入っていきましょう。

個人の寄付により建立した五重塔

行く方向には森があり五重塔の気配も感じません。
半信半疑で進んで行くと、森の中から朱色の五重塔が姿を現しました。

朱色が鮮やかな木造の五重塔です。調べると、安心院町出身の糸永貞樹氏が故郷への感謝の念を込めて建立したものとか。まさか個人の資産で建てられたとは驚きです。

京都の国宝醍醐寺の五重塔をモデルにしているそうで、確かになんとなく見覚えがあるような姿です。バランスも良く美しい五重塔でした。

太い道まで戻り、院内方面に進みます。多少アップダウンがある道になります。

国道387号に合流する手前に3つ目の石橋である「富士見橋」があります。
橋の上に立つと「豊後富士」と呼ばれる由布岳が見えることから「富士見橋」と名付けられたそうですが、残念ながらこの日は見る事が出来ませんでした。

こちらの橋も近くに公園があり、石橋を見上げることができます。

国道387号を左折して進むと4つ目の鷹岩橋が現れます。
かつては日出生台演習場へ向かう軍馬車輌も渡ったという頑丈な石橋です。

橋の隣には「石橋にロマンを架けた男たち」という言葉が刻まれた石碑があります。

その先にある5つ目の分寺橋は、少し離れた分寺橋展望公園から写真を撮ることができます。
大正初期に架設された3連アーチの立派な石橋です。展望公園から眺めると、恵良川に映ったアーチが美しいです。

アメリカンなUSAバーガー

走っていると古民家の壁に星条旗柄で描かれたイラストと「USAバーガー」のノボリが目に飛び込んできました。これは立ち寄らないと!と思わせる外観です。

牛小屋を改装した「バーガーショップUSA」にはイートインコーナーがあります。

「おおいた和牛バーガー」と「豊後牛バーガー」をチョイスしてみました。

肉の味がしっかりしていて美味しかったですよ。
他にも「マチュピチュバーガー」「戦国バーガー」など気になるメニューが多く、何度も通いたくなりますね。

宇佐のマチュピチュ

バーガーショップUSAから約5km上ると宇佐のマチュピチュがあるので、のんびり上っていきましょう。斜度はさほどきつくなく、道中の眺めも良いですよ。

しばらく走って大きなカーブを曲がると、宇佐のマチュピチュ展望所の看板が出てきます。
展望所には駐車場とトイレなどあり整備されていました。

展望台から眺めてみると、なるほど言われてみれば似て無くもない?という感じ。
尖った山と棚田の構図や雰囲気がマチュピチュっぽいとのこと。

展望台の横に「王様の椅子」があります。ポンチョや帽子も貸し出していて、ペルーの王様になった気分で写真を撮ってみるのも楽しそうです。

名残惜しいですがあとは上ってきた道を下り、道の駅いんないに戻ります。

戻りも石橋を渡る

上る時はスルーした脇道の路地を通ったりすると別の景色も楽しめますよ。

6つ目の石橋は野地橋です。大正4年架設とありますが、今も現役で地元の人が使っている感じの橋でした。

ふと見るとマンホールも石橋の柄です。本当に院内町は石橋を大切にしている町だと感じますね。

道の駅でご当地スイーツをいただく

道の駅いんないに戻ったら、車を止めさせていただいたお礼にお土産などを購入します。
院内町は西日本有数の柚子生産量を誇っており、道の駅にも柚子を使ったスイーツがありました。

柚子ジャムと柚子せんべいをトッピングした「ゆずサンデー」や柚子をたっぷり使用した「ゆずソフト」などが人気です。
自転車で走ったあとに甘酸っぱい柚子の味がたまりません。

コース紹介

アクセス
電車:JR日豊本線「宇佐駅」から大分交通バス四日市行き約15分
車:宇佐別府道路「院内インター」から約7分

▼道の駅いんない
https://michinoeki-innai.net/

まとめ

75基あるうちの6基の石橋を見てまわりました。レトロな雰囲気の石橋が多い「院内町」には、磨崖仏や岩柱など歴史と自然を感じることが出来るものが多く、レンタサイクルでも楽しめると思います。道の駅いんないでも1日300円で貸し出しています。

執筆:小曽根彩

大分県出身、埼玉県在住。
地図やガイドパンフのデザイン制作事務所「オゾングラフィックス」スタッフ。
埼玉県奥武蔵エリアを中心に、四季の景色や美味しい物を求めて自転車を楽しんでいます。

 

  • この記事がいいねと思ったら
    •  4
  •   この記事のご感想はユーザーのみなさま
  • サイクリングレポート(記事下部)
    サイクリングレポート(記事下部)
    編集部おすすめ
    ランキング