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【神奈川県】古くて新しい小田原の魅力を発見!クロスバイクで城下町サイクリング

日本各地に城下町は数ありますが、神奈川県の城下町といえば小田原です。
新幹線駅・箱根の入り口として定番ですが、近年、城下町の面影を残しながらも再開発が進み、旅番組やドラマのロケ地としても数多く登場し、街も市民や観光客で大変活気づいています。
そんな小田原の城下町をRITEWAYのクロスバイクでゆったり探検してみます。

小田原駅からいざ出陣!北条氏ゆかりの小田原城へ

スタートは小田原駅から。小田原駅には東海道線・御殿場線・小田急線・大雄山線・箱根登山鉄道・東海道新幹線と実に6路線が乗り入れており、常に東西から人が行き交っています。
東京駅からは新幹線こだまで約33分、新宿駅から特急ロマンスカーで約75分で1本でアクセスできるので輪行も楽々。また、自転車を持参しなくてもレンタサイクル「ぐるりん小田原」を小田原駅東口駐車場でレンタルすることも可能です。

東海道線の改札口頭上にかかる名物の巨大な小田原ちょうちんは駅のシンボル。
ちょうちんの向かいにある観光案内所で情報収集をしたら、いざ、東口から小田原城を目指しましょう。

小田原城天守閣へは、徒歩なら南側の学橋から石段で登るのがメジャーですが、自転車と一緒なら北入口を使うのがおすすめ。坂道を自転車を押しながら天守閣に到達することができます。

小田原城は北条氏ゆかりの城。15世紀末に伊勢宗瑞(後の北条早雲)が小田原に進出した後、5代約100年にわたり関東での勢力を拡大しました。
その中で小田原城は、関東支配の中心拠点として整備・拡張されていきました。1590年(天正18年)、石垣山一夜城で有名な秀吉の小田原攻めにより北条氏は滅亡しましたが、天守閣は廃城・再建・復興を繰り返しながら今に至っています。
2016年4月には「平成の大改修」を終え、館内展示も大幅リニューアル。映像や多様な資料を交えながら、北条氏や小田原の歴史にふれることができます。また、城址公園内やお堀では、桜、藤、紫陽花、菖蒲、梅など四季折々の花々が訪れた人の目を楽しませてくれます。

元祖二宮金次郎像はここに:報徳二宮神社

小田原城と併せて訪れたいのが、お城の敷地内にある報徳二宮神社です。
鳥居をくぐると目を引くのは二宮金次郎像です。みなさんの学校にも子供の頃、金次郎像があったのではないでしょうか。

ここ、二宮神社の御祭神は二宮金次郎こと二宮尊徳。
二宮尊徳の生まれが相模国栢山村(現在の小田原市栢山)の農家であることに由来しています。二宮尊徳は生涯にわたり大名旗本などの財政再建と領民救済、北関東から東北にかける各藩の農村の総合的復興事業を行い、素晴らしい成果をあげました。
1894年(明治17年)、二宮尊徳の教えを慕う6カ国(伊豆、三河、遠江、駿河、甲斐、相模)の報徳社の総意により建立されたのが報徳二宮神社というわけです。 

授与所では二宮尊徳をモチーフにしたおみくじやお守りをいただける他、境内内の「きんじろうカフェ」でイタリアンコーヒーで一息つくこともできます。

時間に余裕があれば、報徳二宮神社と道路を挟んで向かいにある、清閑亭もぜひ立ち寄ってほしいスポットです。
入口こそ急斜面ですが、坂の上にはサイクルラックも設置されています。

清閑亭は、明治時代に活躍した黒田長成(ながしげ)侯爵の別邸として1906年(明治39年)に建てられた数寄屋造りの2階建ての邸宅です(見学無料)。
母屋の1階からは相模湾と真鶴半島を望みながら喫茶を楽しんだり、季節ごとに展示・販売されている地元ゆかりのアーティストによる絵画や陶芸作品も楽しめるスポットになっています。

※清閑亭は、2022年3月31日をもって一般公開を終了し、同年4月1日より休館、後に料亭としてリニューアルオープンが予定されています。

箱根口ガレージで名物アジフライに舌鼓

史跡めぐりでお腹が空いたら、箱根駅伝でもおなじみの国道1号線に出ましょう。
すると、「ここにもまたお城が!?」と思う立派な建物が目に飛び込んできます。

実はこれ、お城ではなく「ういろう」の本店です。
名古屋名物として知られる「ういろう」ですが、発祥の地は小田原です。薬の製造・販売を行っていた外郎(ういろう)家が、接待用のお菓子が評判を得たことから「ういろう」として知られることになりました。

その「ういろう」から道路を1号線を挟んで約1分のところにあるのが「箱根口ガレージ 報徳二宮広場」です。
先の二宮神社と同じ報徳会館が営む花屋・パティスリー・レストランが入る施設で、広場のミニ金次郎像と、ブルーの車体に黄色の差し色が入ったポップな路面電車が目印です。この路面電車は、かつてこの地を走っていたモハ202号と呼ばれる車両で内部見学も可能。モハ202号目当ての鉄道ファンも多く訪れているようです。

注文したのは「地魚MIXフライプレート」。
小田原名物の揚げたてのアジフライに、その日の水揚げによって変わる地魚を両方楽しめる一皿です。フレッシュレモンと特製ソースでいただきました。

御幸の浜海岸で相模湾を体感

小田原城の天守閣や清閑亭から望む相模湾もよいですが、せっかくなのでランチ後は海まで自転車散歩してみましょう。
箱根口ガレージ 報徳二宮広場から南へ500mほど足を向ければ御幸の浜海水浴場に出ます。一部入口は階段になっていますが、海へと出ればドラマのロケ地でも使われたことのある、相模湾の絶景を望むことができますよ。

ちなみに「御幸の浜」という名前は、1873(明治6年)の夏、明治天皇・皇后陛下が箱根に避暑にいらした際、この浜に立ち寄り地元漁師たちの地引網をご覧になったことに由来しているそうです。

のんびりと海を眺めるのも、防波堤に打ち付ける波をねらい迫力の一枚を狙うのもよいですが、近隣のポンデケージョ専門店「grit(グリット)」でカラフルなポンデケージョを買って、海辺でつまむのもまたおすすめです。

また、このエリアには茶室も併設する「旧松本剛吉別邸」や、北原白秋や坂口安吾など小田原ゆかりの文学者の資料を展示する「小田原文学館」などの文化スポットも点在しています。
温暖な気候ゆえに、明治期以降、多くの政財界人や文学者が居住・静養した当時の小田原の名残を感じることができるでしょう。


城町CAFEで城下町スイーツを

御幸の浜で海を満喫したら、再び街中へと戻っていきましょう。

海から国道1号線に出る1本手前の旧東海道小田原宿には、老舗かまぼこ店が並ぶ「かまぼこ通り」があります。サイクルラックを置いた店舗もあるので、自転車を置いて店先で炙りたてのじねんじょ棒を食べるのも旅気分を上げてくれます。

かまぼこ通りの入り口にある、しだれ柳が目印の「小田原宿なりわい交流館」には無料の休憩スペースがある他、雛人形など季節に応じた展示も楽しめます。

国道1号線を渡った先、小田原城のお堀〜学橋を通る「お堀端通り」にある「城町CAFE」は城下町散策の道中で立ち寄るのに最適なカフェ。
小田原の食材を使ったランチはもちろん、わらびもち、あんみつなどの和風スイーツもあり、幅広い年齢層の方でにぎわっています。

この日は「城町『枡』ティラミス抹茶マスカルポーネと抹茶アイス」をいただきました。
枡に入ったティラミスの表面に、小田原の市の花であり、市章でもある梅の花があしらわれており、見た目も美味しさも満足な一品でした。

城町CAFEからお堀端通り〜お城通り沿いを300mほど進めば小田原駅へと戻ります。2020年12月にオープンした駅前の複合施設「ミナカ小田原」や、駅前通り商店街でお土産を買うのも忘れずに。
小田原名物の梅干しや小田原漁港で水揚げされた地魚の干物にかまぼこ、先の「ういろう」の支店である「ういろう駅前調剤薬局」など、老舗から新進気鋭のお店まで新旧豊富に揃っています。

泊りがけでもっとゆっくり小田原を味わおう

日帰りライドでももちろん十分楽しめますが、見どころ・味わいどころの多い小田原の城下町を堪能するには、ぜひ1泊2日で訪れるのがおすすめです。脚に自信のある方は前後に箱根ヒルクライムと組み合わせてみるのもよいですね。

サイクリスト歓迎のリノベ古民家旅館:RYOKAN PLUM

小田原で泊まるなら、小田原駅東口から650mほどにあるサイクリスト歓迎の古民家旅館「RYOKAN PLUM」がおすすめです。


RYOKAN PLUMは1922年(大正11年)に地元のガス会社創業家族の民家として建てられた古民家をリノベーションし、2020年にオープンしました。
地元のアーティストやデザイナーが手掛けた和モダンなテイストの内装やインテリアはおしゃれで落ち着いた雰囲気で、外国人観光客にも人気の宿です。1階の洋室は最大8名まで宿泊可能、バラしてパッキングすれば自転車の室内持ち込みもOKとのことなので、安心して愛車と共に旅の夜を過ごすことができます。

元バイクメッセンジャーが営むパブ:Three Pints

お酒を楽しめるのもまた、泊りがけでの自転車旅ならでは。RYOKAN PLUMの1階部分に併設するパブ「Three Pints」は元バイクメッセンジャーの若きマスターが営むお店です。


日本・世界各地の地ビールを飲み比べ、本当に美味しいと思ったものをオーナー自ら丁寧に注いでくれます。オリジナルクラフトビール「Three Pints Bitter」も人気の一杯。
観光客はもちろん、地元住民の常連も多く、国籍問わず多様な人が訪れビールを通じた交流の場になっています。マスターとの自転車談義はもちろん、他のお客さんと旅ならではの一期一会を楽しむのに最適な空間です。

また、駅周辺には湯河原の天然温泉を使った「小田原お堀端 万葉の湯」もあり、サイクリングの後の体をほぐすのにもぴったりです。

先に紹介した「ミナカ小田原」では、小田原特産の練り物を使った小田原おでんや、湘南の地鶏を使った親子丼なども楽しめ、夕食のグルメにも事欠きません。

日帰りでも、泊まりでも、何度訪れても楽しめる小田原です。

コース紹介

▼レンタサイクル ぐるりん小田原https://www.city.odawara.kanagawa.jp/kanko/machimeguri/gururin.html

▼小田原市観光協会
https://www.odawara-kankou.com/

▼小田原城
https://odawaracastle.com/

▼箱根口ガレージ 報徳広場
https://www.hotoku.co.jp/hakone-guchi-garage/

▼Ryokan Plum
http://ryokanplum.jp/

▼Three Pints
https://www.facebook.com/pages/category/Bar/Three-Pints-105896484107807/

まとめ

古さと新しさが共存する街、小田原。小田原城を中心に城下町の風情を残しながら、街並みに馴染む形での公共施設の建て替えや複合施設が近年続々とオープンし、市街・県外からの移住先としても人気になり、街は日々進化しています。本記事で紹介したのは小田原の数ある見どころのごく一部。
ぜひあなたの足でまわって、古くて新しい小田原の魅力を見つけてみてくださいね。

執筆:Ayaka

2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。
ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。
2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。
座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。

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