【兵庫県】神戸〜六甲 冬のアート巡り港町散走ライド
厳しい冬の寒さが続く毎日でも、せっかくの休日、天気がよい日は外を走りたいもの。
そんな時におすすめなのが港のエリアでの散歩ならぬ「散走」ライドです。
寒さの中に降り注ぐ日差しにキラキラ輝く海面は、夏のそれとはまた違った味わいがあります。
冬の海景色を楽しみつつ、同時にパブリックアート巡りもできる神戸〜六甲エリア往復約30kmのライドを紹介します。
目次
JR神戸駅からスタート〜シドニーの港町を感じるハーバーランド
スタートはJR神戸駅から。JR大阪駅から神戸までは、神戸線新快速・姫路行を使えば4駅25分と、非常にアクセスのしやすいエリアです。
神戸駅から海側へ約550m行ったハーバーランドが最初の目的地です。
ハーバーランドは隣接するメリケンパークと並ぶ、神戸のランドマーク的なスポットです。
神戸の港を一望できるモザイク大観覧車や、旧神戸港信号所、神戸煉瓦倉庫といった新旧の建物が点在しています。
「はねっこ」と呼ばれる開閉式の橋など、建築物好きには楽しいスポットになっています。タイミングが合えば信号所向かいの川崎造船所の潜水艦を望むこともできます。
メリケンパークの中突堤にあるオリエンタルホテルと、寄港中の大型の旅客船をここから眺めると、まるでオペラハウスがあるシドニーの港エリア、サーキュラーキーにいるかのような感覚になります。
ウッドデッキをゆっくりと走る時にサドルから伝わるゴトゴトという振動音に、普段の路面を走る感覚とは違う楽しさを感じることができます。
ウォーターフロントの中心地 メリケンパークでミューラルアートに出会う
ハーバーランドから港沿いに約1.4km走れば神戸のウォーターフロントの中心地、メリケンパークにアクセスできます。
ここには神戸港を周遊する遊覧船乗り場、そして1995年の阪神・淡路大震災を追悼する神戸震災メモリアルパークがあり、今でも当時の被害の様子をそのまま伝えています。
震災から20年をきっかけに生まれた「神戸の魅力は人である」という思いを集約したシビックプライド・メッセージを込めたモニュメント『BE KOBE』はメリケンパークの中でも人気の高い撮影スポットになっています。
BMXの練習を楽しむ人たち、冬ならではのスケートリンクも設けられ、思い思いに冬の晴れの休日を楽しむ様子が伺えました。
今回のライドのテーマであるアート巡りですが、ここ、メリケンパークでぜひ見ておきたいのが「ミューラルアート」です。
ミューラルアートとはいわゆる壁画のことなのですが、神戸では子供から大人まで楽しめるアートを街中に増やし、世界中のアーティストが集い交流する街にしたいという願いから「Kobe Mural Art Project」実行委員会が2019年末に発足しました。
世界的に活躍するアーティストやデザイナーを招き街中の公共施設などにアートを創り出し、市民や観光客が気軽にアートに触れられる機会を創出しています。
メリケンパークの入口付近の音楽練習場の建物の壁には、YOHEYY氏の巨大な少女画、ケビン・ライオンズ氏によるポップなキャラクターの壁画があり、ぜひ自転車と一緒に写真に収めたいスポットになっています。
アート探しが楽しいHAT神戸なぎさ公園〜兵庫県立美術館
メリケンパークからは東へ約11km先の六甲アイランド方面へと向かいます。
道中、内陸の国道3号線を通ってももちろんよいのですが、せっかくのアート巡り散走なので引き続きゆったりと海沿いを走りながら作品を探してみましょう。
海沿いのみなとの森公園を経由した先にある、HAT神戸なぎさ公園内には遊歩道が整備されており、犬の散歩、ランニングやサイクリングを楽しむ地元の人達が行き交っています。
公園内を進むと目に飛び込むのが巨大なクマの彫刻です。
これは三沢厚彦氏の『Animal 2021-01-B(KOBE Bear)』というブロンズ製の彫刻作品で、高さは約3.5mで近づくと見上げるほどの大きさがあります。
ゴールド系のボディは太陽や海の光、左手の傾きは六甲山の傾きを、右手は海の水平線をイメージしているそうで、まさに神戸のために創られた作品ですね。
なぎさ公園に隣接する兵庫県立美術館では、館内の美術展以外にも屋外でさまざまなパブリックアートにふれることができます。
まず目に飛び込むのは美術館の屋上から地上を見下ろすカラフルな巨大なカエルの立体作品。
オランダの芸術家 フロレンティン・ホフマン氏によるテント地の風船アートです。
美術館の北側(山側)にあるミュージアムロードには地元の芸術家 椿昇氏による生き物と植物の中間のような不思議な造形の『PEASE CRACKER』、南側(海側)の大階段にはヤノベケンジ氏による宇宙や未来を想起させる『サン・シスター』(愛称「なぎさちゃん」)、他にも個性豊かな作品が並んでいます。
六甲大橋を渡り六甲アイランドで絶景ランチ
兵庫県立美術館からは港の工場や倉庫群が並ぶ灘浜エリアを通り、六甲アイランドを目指します。
六甲大橋は東側・西側ともに歩行者・自転車専用の遊歩道が設けられており、車を気にせずに安心して渡ることができます。
橋を渡りきった後もそのまま遊歩道経由で六甲アイランドの中心部へとアクセスできます。
神戸新交通六甲アイランド線の高架下は公園になっており、ショッピングモールやホテルが点在しています。
時間に余裕があれば、時代ごとのヨーロッパ調の被服の展示や企画展を催している神戸ファッション美術館に立ち寄ってみるのもよいですね。
ランチは六甲アイランドの先端、マリンパーク内にあるfeel dining cafe&sea がおすすめ。
寒い冬は温かい店内ももちろんよいのですが、テラス席で愛車と海を眺めながら、ランチプレートの温かいミネストローネをいただくのは至福です。
愛犬と共に散歩がてら訪れる地元の人も多いようです。 六甲アイランド内にもミューラルアートがあるので探してみましょう。
屋外プール施設デカパトスの外壁、スケートボードの練習場など複数の施設で見ることができます。
まだまだある、神戸の街中ミューラルアート
六甲アイランドでランチとアートを楽しんだら、再び六甲大橋の遊歩道を渡り、神戸方面へと向かいます。
海沿いを走った往路とは別に復路では国道43号線沿いを選んだとしても、歩行者・自転車専用道が設けられているので安心して街中へと向かうことができます。
神戸エリアに戻ったら街中のミューラルアートを探してみましょう。
神戸市役所クーリングタワーの南面や、JR三宮駅そばの繁華街などさまざまな作品が点在しています。
見たい作品を狙って行くもよし、偶然の出会いを楽しみにぶらぶらしてみるのもまた楽しいでしょう。
南京町で中華スイーツのデザートを堪能
ミューラルアートや彫刻などバラエティ豊かな作品たちを満喫したら、最後はグルメを求めてJR元町駅そばの南京町の中華街へ。
中華街内は自転車走行ができないので、自転車から降りて押しながらゆっくり散策します。レストランに入らなくても店頭でたくさんのグルメを楽しめるのが中華街の楽しいところ。
特に南京町広場周辺にはところ狭しと店頭販売する店が立ち並び、ちまき、シュウマイ、小籠包、角煮バーガー、ごま団子…と、目に入るものすべてが美味しそうなものばかりで、選ぶのに困ってしまいます。
この日はランチ後だったのでデザートにごま団子を、お土産にちまきを購入し、最寄りのJR元町駅から輪行で帰路につきました。
なお、神戸中心部には複数のサイクルポートで貸出・返却ができるコミュニティサイクル「こうべリンクル」(kobelin)が設置されています。
ご紹介したコースのうちハーバーランド〜兵庫県立美術館はサイクルポートの圏内のため、ショッピングや美術館見学と組み合わせて気軽に観光サイクリングを楽しむのもよいですね。
コース情報
▼Kobe Mural Art Project
▼こうべリンクル kobelin
まとめ
神戸〜六甲アイランド往復約30kmは獲得標高約128m、ちょっと坂が大変なのは六甲大橋の遊歩道に入る時くらいで大部分は平坦のためビギナーの方にも非常に走りやすいコースです。
自転車の魅力の一つは、目的地に行くその道中自体を「サイクリング」という一つの目的、アクティビティとして楽しめることだと思います。今回のコースではその道中でもアート作品にたくさん触れることができ、感性が刺激されること間違いありません。ぜひ、お気に入りの作品を見つけに自転車で出かけてみませんか。
執筆:Ayaka 2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。 ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。 2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。 座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。 |