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自転車×青春 映画『神さまの轍 -checkpoint of the life-』の感想

こんにちは!たびりん編集部のクリスです。

3月17日(土)より東京・愛知・栃木で公開された『神さまの轍 -checkpoint of the life-』を早速観てきました!

この作品は、たびりん編集部もエキストラとして撮影に参加したもので、一昨年夏からの撮影を経てようやく公開となりました。

映画のあらすじはこちらの記事にまとめています。

いよいよ東京・愛知・栃木で公開(3/17)! 話題の自転車映画『神さまの轍』とは? 見どころや劇場をお伝えします。

今回訪れた劇場は新宿武蔵野館でした。

▲新宿武蔵野館にて

JR新宿駅東口から徒歩3分の立地の良さです。

映画館が入っているのは武蔵野ビルの3Fです。エレベータでも階段でも行けます。

館内は上映作品のちょっとした展示ブースになってます。もちろん、神さまの轍のブースもあります。

▲館内では神さまの轍が紹介されています

▲主人公洋介役の岡山さんの花環も

プログラムは500円で販売しています。プロダクションノートやサイクリングマップなどが記載されていますので、こちらもぜひご覧ください!

▲神さまの轍のプログラム

初日舞台挨拶

この日、初日の舞台挨拶も行われました。その様子は以下の記事にまとめています。

神さまの轍 初日舞台挨拶の様子をお届けします【東京・新宿武蔵野館】

映画の感想

ここからは個人的な感想となります。予め言っておきますと、この作品は自転車×青春 映画ですが、いわゆるレースものではありません。登場人物の心情を描いたヒューマンドラマです。

主人公の勇利と洋介はどこにもいる進路に悩む中学3年生。舞台の井手町もどこにでもある田舎です。神さまの轍は、中学生時代(2010年)、2016年、2019年の3つの時間軸でストーリーが進んでいきます。

映画を観た率直な感想としては、エキストラ参加者補正抜きに、面白かった!と言える作品でした。また、感動するシーンがたくさんありました。

本作はぜひ映画館で観ていただきたいので、井手町と同じくらいの田舎出身兼ロードレーサーである筆者の視点から、個人的に心動かされたシーンお伝えします。

~以下、ネタバレを含みますのでご注意ください~

 「よっ」「おう」

▲中学生時代の勇利(左)と洋介(右)

これは勇利と洋介が挨拶を交わすときの合言葉ですね。中学生のときから時間が経っても変わらないその掛け合いに、二人の友情が表れています。しかし、シーンに応じて、その心情が微妙に異なるのがとても良かったです。

ちょっと何を考えているか分からない勇利役の望月さんと、勇利に振り回されてしまう洋介役を演じた吉沢さんの演技がとても上手でした。

「ありがとう」

▲二人の主人公の運命を変える小さな自転車屋さん

中学生時代に主人公勇利と洋介が、小さな自転車屋を営む谷口千沙子(後述の自転車おじさんの母親)からお礼を言われるシーンです。不良で同級生の上田から自転車おじさんのママチャリを取り返した勇利と洋介は、そのお礼に2台の中古のロードバイクを譲り受けます。これが後の勇利と洋介の人生を大きく変えることになります。

このシーンももちろん良いのですが、個人的にグサッと来たのは次のシーン。

千沙子は「旦那が亡くなって、自転車屋を継いだけど全然ダメ」と二人に言い、その小さな自転車屋を畳むことを告げるのです。田舎で跡継ぎがおらず、経営が立ち行かなくなって店がなくなるというのは、なんとも悲しくなるワンシーンでした。

 「ごめんな」

▲荒れた中学生時代を経て実家の寺を継いだ上田

ここはメチャクチャ感動するシーンです。

上述の不良の上田雅道のシーンです。主人公勇利をからかったり、自転車おじさんの自転車を盗んで悪さをしますが、その背景にはとある事情が・・・。

上田は成人してから実家の寺を継ぎ、プロロードレーサーとなった勇利を、実は陰ながら誰よりも応援していたのでした。勇利との再開シーンでは当時のことを謝ります。勇利が立ち直るきっかけとなった、感動的なワンシーンです。上田雅道役のアベラヒデノブさんの演技が素晴らしいです。

「自分に勝てないやつが、受験戦争で生き残れるか」

▲熱血タイプのライバル役吉岡

主人公洋介が講師として通う塾の同僚 吉岡が言った一言です。吉岡はいわゆるスパルタタイプで、生徒からは嫌われているウザキャラです。しかし、その姿勢は熱血・一貫しており、「自分に勝てないやつが、受験戦争で生き残れるか」というセリフは、受験だけでなくあらゆることに言えることだと思います。こうした信念がとても共感できるものだったので、すごく印象に残ったシーンでした。

ちなみに、本作やエキストラ撮影を通じて、筆者はすっかり阿部さんのファンです。

「本当にやりたい仕事か?」

▲仕事に悩みを持つ中学の同級生 橋本

主人公の同級生 橋本が久々に会った中学時代の恩師中坊から言われた一言です。陸上推薦を経て、高校から大学まで陸上一筋だった橋本は、仕事で請けた自転車イベントの企画協力で中学時代の恩師中坊を訪れます。そこで、中坊は橋本を一目見て見抜きます。

「このまま続けていれば、良くなっていくなんて、思うなよ」、自ら動かないと現状が変わらないことを説教臭く伝える中坊。そして橋本は・・・。

このシーンは中坊役の津田さんが本当に良い演技をしていました。田舎の学校だからこそ、生徒と先生とのつながりって強いものですよね。卒業後も生徒に道を示す姿に、グッときました。ガンバレ!橋本!!

「走る意味が分からなくなった」

▲プロロードレーサーとして活躍する勇利

これは個人的に一番辛いシーンでした。笑

本場フランスのレースに、初めての日本人プロ選手として出場することが決まっていながら、レースをドタキャンして帰ってきた勇利が洋介に言った一言です。その背景には、チームメイトの離脱やチームの解散などがあり・・・。

願わくば、このあたりは、もっと掘り下げて観てみたかったシーンでした。

「明日は何しよう、明後日は何しよう」「来年は何しよう、再来年は何しよう」

▲物語のキーマンである自転車おじさん

この映画の最大のテーマとも言えるシーンです。

自転車おじさんと主人公勇利が話をするシーンです。自転車おじさんは知的障害を持っており、亡くした父親の口癖であった「明日は何しよう、明後日は何しよう」という言葉をいつも口にしていました。しかし、母親を亡くしてからは「あの頃はよかった」と後ろ向きの言葉を繰り返していました。そこに勇利が・・・・。

荒井さんと六角さんの演技が光りまくりの、感動のワンシーンです。

「ツールド・KYOTO・2019」

▲クライマックスのツールド・KYOTO・2019

そしてなんと言っても、クライマックスのツールド・KYOTO・2019のシーンです。筆者含め、たびりん編集部もエキストラ参加しており、一瞬ではありますがチラチラと映像に映り込んでいます。感動です。笑

3つの時間軸、登場人物のそれぞれの想いが、ツールド・KYOTO・2019で交錯し、物語はクライマックスとなります。主人公 洋介役の岡山さんやライバル吉岡役の阿部さんがロードバイクを駆けるシーンは非常に迫力がありました。撮影では、走り過ぎて立てなくなったという、岡山さんの演技は必見です。

そして、クライマックスでは、もう一人の主人公 勇利がついに・・・。

つづきは、ぜひ映画館でご覧ください!

自転車に乗る人も乗らない人も、誰しもが共感できるエッセンスが、この映画には詰まっています。特に、進路や自分の人生に漠然とした悩みを抱える10~20代の方には、ぜひ見てほしいと思う作品でした。

「若者よ、とにかくがむしゃらに前へすすめ」

そんなメッセージに背中を押してもらえる、素晴らしい作品でした。

(執筆:クリス)

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