【イタリア】UCIグランフォンド世界選手権2018参戦レポート #レース編「193位/260人」|サラリーマンロードレーサー クリスの奮闘記part.6
イタリア北部の街ヴァレーゼ(Varese)で開催されたUCIグランフォンド世界選手権(UCI GRAN FONDO WORLD CHAMPIONSHIPS)の参戦レポートをお届けします。
第6回となるサラリーマンロードレーサー クリスの奮闘記は、UCIグランフォンド世界選手権のレース編です。
目次
UCIグランフォンド世界選手権の概要
まず最初に、UCIグランフォンド世界選手権の概要をご説明します。
UCIグランフォンド世界選手権は、アマチュアのロードレーサーの世界選手権ともいえる大会です。
この大会に出場するためには、世界各国で開催される公認予選大会で上位25%以内の成績を収める必要があります。
日本の場合、「ニセコクラシック」が公認予選大会にあたるわけです。
開催日は8月30日~9月2日の4日間で行われ、メインのロードレースは9月2日に開催されました。
開催地は毎年異なり、今年は自転車が盛んなイタリア北部ロンバルディア州にあるヴァレーゼという街でした。ミラノから北に約50kmのところにあるこの街は、人口約8万人の地方都市です。
過去に2度、自転車ロードレース世界選手権の開催地にもなっており、かつてジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たした元プロ選手「ステファノ・ガルゼッリ」はこの街の出身者です。
レースリザルト
結果は年代別(19~34歳クラス)で193位/260人、総合(全年代)で816位/1836人でした。
レースレポート
コースレイアウト
ヴァレーゼを起点にからルガノ湖、マッジョーレ湖、ヴァレーゼ湖を沿うように設定された130kmのコースです。
標高500~700mの峠が4箇所(17km、38km、72km、87km)あり、常にアップダウンを繰り返すコースプロフィールです。
加えて、曲がりくねった細い下り、細街路の急カーブ、石畳など、日本ではほとんど見られない難コースとなっています。
レース前日に受付
レース受付は受付会場であるレースヴィレッジで行います。レース前日の9/1までに行う必要があります。
レースヴィレッジへはホテルから歩いて15分ほど。この日は雨だったので、散歩がてら妻と一緒に行くことに。
雨なこともあり、会場の人はまばら・・・。
分からないことがあっても「チャオ!」と笑顔で挨拶すれば、親切に対応してもらえます。
こちらで受付中。受付ではJCFライセンスを提示する必要があります。
受付が完了したらゼッケン等が入ったサックを受け取ります。
その後、ウェルカムボード前で記念撮影サービスもしてもらえました。手に持った紙袋に印字されたカラーコードにより、それぞれの選手の写真を自動判別してくれるそうです。
受付後は、レースヴィレッジでバイクメンテナンスサービスを利用。オイルや空気入れを持ち合わせていなかったので助かりました。
スタート地点を確認がてらまちなか散策へ。
ヴァレーゼは過去にロードレースの世界選手権の開催地にもなっているので、自転車にまつわるモニュメントが多く見られました。
こちらはヴァレーゼの観光名所のひとつ、エステンセ庭園。
そのエステンセ庭園目の前がレース当日のスタート位置。スタートゲートはまだ歩道脇に置いてある状態で翌朝に設置するのでしょう。
ヴァレーゼは、ヨーロッパらしい石で造られた街並みが多く見られ、たとえ雨の日でもとても美しいです。
散策後はスーパーで買出しをし、ホテルへ戻りました。
明日の準備をして、午後5時。ちょっと一休み・・・のはずが大変なことになったのでした。
レース当日 朝4時起床
相当焦りましたが仕方がないです。レーススタートは朝7時30分なので、3時間前の4時30分に朝食を摂ります。
メニューは日本から持ってきたコシヒカリごはん、パン&ヌッテラ、肉、コーンフレーク、フルーツなどなど。
とにかく詰め込みます。1,500kcal位を摂取しましたが、前日夕食抜きなので正直足りない気もしますが仕方ありません。
自転車に計測チップ等を取り付け、会社(パシフィックコンサルタンツ)とTABIRINのステッカーがはがれていないことを確認したら準備完了!
ウェアに着替えて6時にホテルを出発しました。外はまだ薄暗く、気温も肌寒いほどでした。しかし前日の雨は上がっており、天候は回復しそうでした。
6時30分前に会場に着くと、各国のナショナルジャージを着た選手が続々と集まっていました。
前日受付をしたレースヴィレッジで日本の選手団と一緒に恒例の記念撮影。
その後は各自で準備。レースヴィレッジからスタート地点のエステンシ庭園前に向かうと、選手や観客や関係者でごった返していました。
昨日とは打って変わって、すさまじい熱気に包まれています!
ウォームアップ後にレース前のトイレ(とても重要)に行くと、予想以上に時間がかかってしまい、時刻は7時20分。
すでに自分が出場する年代クラスの入場ゲートは封鎖されていたので、ゲートをよじ登り集団最後尾からのスタートとなりました。
レーススタート 朝7時30分
時刻がレーススタート時間に近づくにつれ、会場の熱気が一気に高まってきました!
セレモニーではニセコクラシックで上位に入った岡選手がアナウンスされていた模様。
そして、7時30分。いよいよレース開始の号砲が鳴らされました!
このレースのコースレイアウトの特徴として、12~16km地点にいきなり最大標高の峠が登場します。したがって、それまでに少しでも集団前方にポジションをあげなければレース終了となります。
最後尾スタートだったため、市街地区間でできるだけ順位をあげていきます。といっても、先頭ははるか前方でかっ飛ばしている様子が見えますので、容易なことではありませんでした。ヴァレーゼ市街地を抜け12kmまでは山岳地を緩やかに登っていくので、そこでポジションをあげていきました。
しかし、途中出現したトンネル区間で前方からクラッシュ音とブレーキ!落車が発生したようでした。巻き込まれはしなかったものの、集団が分断されてしまいました。この時点で第2集団のまま最初の峠に突入。
この峠は4kmほどの短いものの急勾配で苦しい峠でした。ここは我慢の走りで落ちてくる選手をパスしていき、マイペース走行に徹しました。
しかし、問題はこの峠の下りでした。距離にして10kmほど下るのですが、ガードレールもなく細く曲がりくねった道でテクニカルなものでした。しかも前日の雨の影響でややウェット。ブレーキをかけると後輪がスリップしてしまい、思うように下ることができず、ここでかなり順位を落としてしまうことに。
下りを終えると、10人程度の小集団で先を行く第2集団を追走。34km地点から再び峠道に入るため、それまでの約7kmで集団に追いつく必要があります。幸い足並みの揃ったメンバーだったため、40~45km/hを維持して回していき、幸いにも第2集団に復帰することができました。しかし、ここでかなり脚を消耗してしまいました。
その後の峠は無難にこなしたのですが、やはり下り坂でビハインドをとってしまう辛い状況。とくにこのコースは日本では考えられないような市街地の細街路を縫うように走っていき、90℃コーナーがたびたび現れるので、その都度、踏みなおしに脚を奪われる状況でした。
異変を感じ始めたのは80km過ぎ。明らかに脚の動きが鈍ってきていて、攣りかけていると感じました。これはマズいと思いそれまで定期的に摂っていた水と食料を多めに摂取しリカバリを図りました。
しかし、83km地点の最後の峠で一気にガス欠状態になり、脚が動かなくなってしまいました。症状としてはハンガーノックに近いように感じました。昨年と比べ暑くはなかったので、単純にエネルギー不足。ここで第2集団から脱落してしまいました。
その後、ヨーロッパ名物の石畳舗装も登場!ここでレースに絡みたかった!
後ろからやってくる集団に乗ろうとするも、踏み込めば脚が攣る状態。昨年ほどではないにしろ、昨年の再現となってしまいました。
その後は昨年同様、非常に辛いレースとなりました。しかも、レース終盤のフィードゾーン(補給地点)が突然現れたため、水を受け取ることができずさらに辛い状況に。
しかしそれでも終盤にかけては集団走行がなんとかできる程度に回復し、最後の力を振り絞ってゴールを目指しました。
ゴール手前の最後の上り坂をクリアして、最後同じ集団にいたカザフスタンの選手と掛け合ってゴール!
先頭から28分遅れの193位/260人でフィニッシュとなりました。
ゴール地点はメチャクチャな人だかりで、改めてアマチュアではあるものの世界選手権であることを実感。と同時に悔しさもこみ上げてきました。
あ、ゴール後のカラカラな体に、コーラが染み渡るほどの美味しさでした。
昨年に続き悔しい結果となりましたが、来年こそは!
レース後はお祭り騒ぎ
レース後は恒例のお祭り騒ぎです。いろいろな国の方々が声をかけてくれて記念撮影をしました。
レースヴィレッジではセレモニーが行われ、レース参加者には食事が振舞われました。
どこを見ても、ジャージを着た人、人、人!とても心地よい空間です。
昨年のフランスもそうでしたが、サイクリストに対するリスペクトを様々な場面で感じとることができました。
セレモニー中にサプライズでプロポーズをした選手も!もちろん会場は祝福ムードに!ブラボー!
そんなアツくて悔し過ぎるUCIグランドフォンド世界選手権を過ごしたのでした。
本レースを通じ、たくさんの応援を頂きました。ありがとうございました!引き続きどうぞよろしくお願いします!
サラリーマンロードレーサー クリスの奮闘記シリーズ
(執筆:クリス)