【インタビュー】映画神さまの轍 監督の作道雄さんに聞く 映画マル秘エピソードと今後の展望
自転車×青春×映画という切り口で話題となった映画「神さまの轍」。
そのメガホンを叩いたのは27歳の新進気鋭の映画監督「作道 雄(さくどう ゆう)」さんだ。
全国放映を終え一段落となった神さまの轍プロジェクトについて、改めて話を伺った。
目次
まず全国放映を終え一段落となった今の心境をお聞かせください。
正直なところ、ホッとしています(笑)。
あまりにも慌ただしく、京都公開の頃から結構経った今、思い出が走馬灯のように蘇ってきています。嬉しかったことも、悔しかったことも。
結果、届けることが出来なかった地域もあるので、ホール上映や映画祭、あるいはDVD化など、また新しい展開に向かって動いていかないと、と気を引き締めているところです。
監督自身この映画の出来栄えはどう評価していますか?
神さまの轍は、長編映画の脚本としては「マザーレイク」に次いで2作目、監督としては初めての作品でした。
この映画は少し特殊で、映画としての娯楽性という観点のほかに、地域活性化の観点、そして自転車乗りの観点からも評価の対象にされるものでした。
自分ではなかなか評価し辛いのですが、サイクリストとしても有名な片山右京さんなどからも映画に太鼓判を押していただけたのは、とても嬉しかったです。
自転車による地域活性化について、実際に効果があったそうですね?
そうなんです。
ロケ地である井手町内にバイクラックが設置されたり、サイクリングマップが配布されたりしました。
SNSを観ていると、ロケ地巡りやロケ地サイクリングをしてくださっている方も多数いらっしゃいました。
統計をとったわけではないので分かりませんが、町を訪れる自転車人口は増えたのではないかと期待しています。
映画製作の中で最も大変だった部分は何ですか?
一番大変だったのはプロジェクトの立ち上げの時でした。
原作、脚本、そして監督だけでなく、プロジェクトチームのマネジメントから広報まで、全てを自分でやらなければなりませんでした。
僕が止まると、全体が止まる。責任やプレッシャーを感じで、これは想像よりもしんどいぞ……となったこともあったのが本音です。自分からやり始めたのに(笑)。
しかも僕自身、監督としては初めての経験なので、プロジェクトの立ち上げ当初は、漠然とした困難さのような「見えないカベ」があって、模索の日々でした。
けど、脚本を仕上げて、キャストが決まっていくと、後はもう動かすだけだ!と割り切りが出来ていきました。
しかし今度は撮影に入ると、状況が変わっていきます。
やはり自転車がテーマだけに、実際に自転車に乗るシーンを撮影するのですが、天候や環境条件に左右される部分が多いんです。つまり、僕の力ではコントロールできないことが次々と増えていくわけです。
俳優陣は懸命に自転車練習に取り組んでくれたので、それなりの完成度を保って現場で撮影できましたが、いざカメラを回して映り方を確認しないとわからない部分もあり、そうした映像のプロセスの難しさを改めて痛感しました。
でも今はそれらを一通り経験できたので、次に同じように(自転車をテーマにした)映画を製作する機会があれば、また次の高みを目指した映画が作れるのではないかと思います。
今回の映画は豪華な顔ぶれでしたが、いかにして配役を実現させたのですか?
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