旅×自転車 記事

【東京都】うららかな春の多摩丘陵で 写真を楽しむ15kmサイクリング


「南多摩尾根幹線」は東京西部の多摩丘陵を走るスカイライン。「オネカン」という愛称で有名です。
調布市と町田市をつなぐ道は、広く安全で走りやすく、週末には多くのローディーが遠方から集います。緑に囲まれたアップダウンはヒルクライムの練習に最適です。
「オネカン」のもう一つの魅力は横道。昔ながらのくねった道は田畑を縫い、その先に里山や公園の美しい景観が待ち構えます。写真映えしそうなスポットを巡りながら、約15kmのサイクリングを楽しんで来ました。

多摩丘陵

「多摩丘陵」は多摩武蔵野に横たわる地形で小さな山の連なりです。古い地形には「谷戸(やと)」と呼ばれる浸食谷が点在します。そのため平坦な土地は限られ、変化に富んだ景観が多く見られます。1960年代からニュータウンの開発が進みましたが、今も昔を伝える里山の景色が多く残されています。

矢野口駅から「くじら橋」へ


スタートはJR南武線の矢野口駅。


「稲城福祉センター」の辺りからヒルクライムのスタートです。


最初の坂を越えると「くじら橋」が現れます。


「オネカン」に架かる橋の中でも最も個性的。橋の底は美しい曲面で、まさに鯨のお腹のようです。命名したのは地元の小学生。そのセンスに脱帽です。


「くじら橋」は眺望も抜群。新宿副都心やスカイツリーまでをも見通すことができます。

上谷戸親水公園


美味しいコーヒーが楽しめる「ZEBRA Coffee & Croissant」。ここで左折し、「上谷戸(かさやと)親水公園」を目指します。


稲城中央公園を横目に進むと、すぐに「上谷戸大橋」が見えてきます。谷戸の上に架けられた橋は高さがありますが、ぜひ欄干から下を覗いてみてください。



眼下に素晴らしい景色。日本庭園の箱庭を眺めているかのようです。「上谷戸親水公園」は、水田や竹林、水車小屋など、昔ながらの景観が保存されており、4月下旬には鯉のぼり、5月下旬には蛍を楽しめます。


橋のたもとには公園にアクセスするための階段があります。柵の脇に自転車を置き鍵で繋いだら、橋の上から撮影。
真上からでは自転車のフォルムが判りづらいので、影をアクセントにすると良さそうです。欄干の撮影では腕を伸ばしてカメラを構えます。ストラップを取り付けるとフレーミングがしやすくなるだけでなく、落下防止にもなるのでオススメです。

大塚牧場

公園から小田良通りを南下。谷戸からの移動はどこに行くにも登り坂です。



住宅街に入ろうとする手前で「大塚牧場」が現れます。ブランド牛として育てられる牛たちは格好よく、愛らしい姿はずっと見ていられます。


春には、牧場の裏手に河津桜が咲き誇ります。競うように咲く桜は丘を美しく染め上げ、里山を彩ります。


見事な桜並木には言葉もありません。どこから撮影しても素敵なサイクルフォトが出来上がります。


並木の隅に切り株テーブルと椅子。持参したコーヒーを啜りながら春を楽しみます。

若葉台公園

牧場をあとにして北上します。目指すは「若葉台公園」。鶴川街道を越えると里山の風景が一転し、ニュータウンの整理された美しさに様変わりします。


京王線・若葉台駅の周囲には、多くの量販店やスーパーマーケットが立ち並びます。その中心にあるのが「若葉台公園」。


「若葉台公園」の特徴は、大部分を占める広大な斜面です。これも谷戸が作り出す風景ですね。

斜面には構造物が殆どありません。シンプルなミニマルフォトに最適なスポット。望遠レンズを使えば一部を切り取るように撮れるので、なお良しです。

桜ヶ丘公園

「オネカン」に戻り、難所の「バーミヤン坂」を登ります。登り切って現れる交差点で右折。しばらく道なりに走ると「桜ヶ丘公園」に至ります。


「桜が丘公園」は多摩丘陵の麓にあります。公園内の「ゆうひの丘」からは、府中市や日野市の街並みはもちろん、多摩の広大な景色が一望できます。


多摩のパノラマをバックに愛車を撮影すれば、爽快なショットが納められます。

Hugsy Doughnut

頃合いよくお腹が空いてきました。聖蹟桜ヶ丘に向かって坂を下ります。



関戸橋近くの隠れ家的なお店。「Hugsy Doughnut」。


オーダーしたのは、「さくら」と「熟成カカオ」のドーナツ。ドリンクは「シナモンラテ」です。
ドーナツは、どれも甘さが程よく、硬さもハードとソフトが揃っています。ソフトなドーナツは本当にしっとり、ハードなものはサックサクで美味しいです。

装飾もとてもオシャレ。のんびりと優雅な時間を過ごせます。


もちろんサイクルラック完備です。

聖蹟桜ヶ丘

お腹が満足したら、多摩川サイクリングロードをもう一走りするも良いし、京王線・聖蹟桜ヶ丘駅から帰路に着くのも良いでしょう。

コース紹介


距離:13.6km 獲得標高:252m

まとめ

都心からのアクセスに優れ、ヒルクライムの練習に最適な「オネカン」。ひとたび横道に入れば、豊かな自然や里山の景観が迎えてくれます。
距離はそれほどではないものの、アップダウンが多いため初心者や初級者の方には大変かもしれません。しかし、谷戸が作りだす景観は、それに見合う十分な価値があります。
少し足を伸ばせば、撮影スポットはまだまだ見つかりそうです。春を迎えて華やかさを増した多摩の丘。カメラを片手にふらっと出掛けてみてはいかがでしょうか。

執筆:Shin

東京都府中市在住。会社員。週末は、四季折々の美しい色彩を求め、折りたたみ自転車「Brompton」で輪行旅を楽しむ。愛車購入を機に始めたInstagram(@knowcarma)では、多くの人に自転車と自然を楽しんでもらえるよう、旅の景観や体験を発信している。

 

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