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【千葉県】南房総エリアの春を満喫!ステーションライド in 南房総 2023


B.B.BASEで参加したみなさん

南房総エリアの美しい自然と地元のグルメを堪能できるサイクリングイベント、ステーションライド。今年は3月11日に館山市の北条海岸をスタート&ゴールとして行われ、170人の参加者が南房総の春を楽しみました。
コースは脚力に応じた50kmコースから120mコースの4種類。今回はスペシャルコースとして設定された、ガイド付きで観光スポットを巡る、約40kmの「アドベンチャーコース」に参加してきました。

スタート会場は館山市の北条海岸

このイベント、参加方法がふたつあります。ひとつはサイクリング専用列車、B.B.BASEに乗って東京のJR両国駅から参加する、通称「B.B.BASE組」。もうひとつはサイクリングスタート地点の北条海岸に集合する「現地集合組」。今回私は現地集合で参加しました。

まず120kmコースの参加者がスタート。120kmコースは時間がかかるため、B.B.BASEに乗る場合は参加できません。そして9時すぎにB.B.BASEがJR館山駅に到着すると、両国から乗車してきた参加者たちが、続々とスタート会場に。

開会式のあと、ゼッケンに名前を記入したりして、準備をしながらスタート時間を待ちます。

ステーションライドはJR東日本千葉支社が中心になって2013年に始まったサイクルトレインイベント。ステーションライドという名のとおり、開会式には館山駅の駅長と副長も駆けつけてくれました。

また今回はB.B.BASE組のゲストとして、国土交通省道路局参事官の金籠史彦さん(写真左)と、昨年現役を引退したもとプロレーサーの中島康晴(ナカジ)さんも参加。
ふたりとも鉄道マニアとして知られ、B.B.BASEの旅を心から楽しんだようです。中島さんは2010年千葉国体のロードレースチャンピオン。まさにキング・オブ・千葉。でも千葉を走るのはそれ以来だそうです。

イベントにはガチンコサイクルTVから声優の東城咲耶子さん、お笑いタレントの石井ミカンさんも参加、取材クルーが来ていました。

アドベンチャーライドの参加者でスタート前のミーティング。

アドベンチャーライドの参加者は12人。スタッフとともにスタート前の記念撮影。

赤山地下壕初体験

北条海岸を出て、まずは赤山地下壕跡へ。あっという間に到着します。

館山には戦争の遺構が数多く残っています。

ふだんは「船形倉庫」というギャラリー&カフェを運営している、今回のスタッフ佐生かおりさん.が解説。参加者に地元を知ってもらおうとガイドにも熱が入ります。

赤山地下壕跡は第二次世界大戦で使われた、館山海軍航空隊の地下壕。資料がほとんど残されておらず、はっきりしたことがまだわかっていません。
全国的に見ても大きな壕で、壕内には発電所の跡が確認できるほか、病室や電信室があったとの証言もあります。また戦後はキノコ栽培に使われていたといい、不法に住居として使用していた人もいたそう。

手掘りの荒々しい削り跡。地層の模様も見られます。

天井の照明のまわりに注目。もともと壕内は真っ暗で植物はありませんでしたが、なんと明かりのせいで光合成して草が生えてきています。

次はこれまた近くの掩体壕(えんたいごう)へ。この切通しの壁にも穴が掘られています。房総の地層は海底で砂や泥が堆積した積層岩。掘りやすく崩れにくいため、素掘りのトンネルや穴が数多くあります。

掩体壕は戦争中に敵から戦闘機を隠すために使われた倉庫。敵機が現れると、空から見えないように戦闘機をこの中に入れました。
穴が飛行機を前から見たカタチになっているのがおもしろいですね。

シラハマ校舎でお昼ごはんです!

裏道を縫って次の目的地へ。ガイド付きツアーでなければ来られないような道をズンズン走っていきます。自分ではとても見つけられない道です。

遍智院 小塚大師で休憩。この小塚大師は安房地方の弘法大師信仰の中心で、関東厄除け三大師のひとつとも言われています。
弘法大師(空海)がここに滞在した際、夢に天太玉命(あめのふとだまのみこと)が現れ、言われたとおりに2つの大師像を彫ったといいます。そのひとつをここに祀り、もうひとつは海に流してそれが漁師の網にかかったのが川崎大師のご本尊だと言い伝えられています。
ほかにも安房南部には弘法大師伝説が多く残されています。

昼食会場のシラハマ校舎に到着。ここは旧長尾幼稚園・小学校の木造校舎をリノベーションし2016年にできた多目的施設。
オフィス、宿泊、レストランなどで構成され、自然や歴史と向かい合いながら住む・泊まる・学ぶ・食べる・働くなどを体験できる複合施設となっています。

レンタルオフィスの一室。こんな環境で仕事してみたいですねー。

レストランの「バルデルマル」で、あらかじめ注文してあった、房州エビと海の幸カレー、野菜ごろごろカレー、リゾット、ピザなどを、みんなでいただきます。

私がいただいた海の幸カレー。これにキッシュの前菜とヨーグルトのデザート、ドリンクがついて1430円(税込。今回は参加費に含まれる)。うーまーいー。

出発前にスタッフの方に記念撮影のカメラマンをしてもらっちゃいました。

お腹いっぱいになってシラハマ校舎を出発。

野島埼からだいぼへ

海岸に出ると、房総半島最南端の野島埼を目指します。

到着したのは野島埼灯台のすぐわきにある白浜海洋美術館。

中には漁師が大漁のお祝いのときに作って着用したという藍染めの着物、万祝(まいわい)を中心に、地元の海に関連した工芸品や生活用品を展示。
万祝は展示していないものも含め400着ほどあるということで、日本最大のコレクションを誇っています。

万祝は試着することもできます。

ここからは海沿いに安房神社を目指します。

安房神社に到着。

安房神社は安房の国の一宮で、本宮に天太玉命を祭っています。
紀元前660年(今から2683年前!)に神武天皇の命を受けた天富命(下の宮御祭神)が阿波の国(徳島県)に続き開拓したのがここ安房の国だと言われているそうです。
このときに天富命が自分の先祖を祭ったのが安房神社の起源だと言われています。

説明してくれた神職さんはサイクリストで、房総半島の神職者で作るサイクリングチーム、「房総神社サイクルライド推進委員会」のメンバー。

参加者が「あまりにキレイで感激した!」と言うフラワーロード。追い風に乗ってさらに館山方向へ。

休憩場所の「漁港食堂だいぼ」に到着。

ここで館山名物「なかぱん」(中村屋)のクリームパンが参加者にふるまわれた。私も館山を訪れたら必ず買っています。疲れた体に甘いものがうれしいタイミング。

全員で笑顔の完走。お疲れ様でしたー

そして最後はゴールの北条海岸までラストスパート……ではなく、あくまでのんびりと走行。

ゴールの北条海岸!
すでにほかのコースの人たちがたくさんゴールしていました。

全員で完走の記念撮影!
逆光だー。

ゴールでは再び中村屋のクリームパンと、これまた地元で有名な老舗カフェ「サルビアコーヒー」のサービスが。

今回のスタッフ。左から今回のツアーを企画した南房総サイクルツーリズム協会の瀬戸川賢二さん、私(ペダルプッシャー岩田)、館山市役所の川名茂樹さん、観光地のガイドとサポートを努めてくれた佐生かおりさん。お世話になりました!

コース紹介

ステーションライド
http://www.stationride.com/

赤山地下壕跡
https://www.city.tateyama.chiba.jp/syougaigaku/page001892.html

シラハマ校舎
https://www.awashirahama.com/nagao/index.html

白浜海洋美術館
http://kaibi.art.coocan.jp/

南房総サイクルツーリズム協会
http://minamiboso-cycle-tourism.jp/

▼イベント情報
イベント名:RIDE and FUN~ Station Ride in 南房総2023 produced by Bicycle Club
開催日:2023年3月11日(土)
開催地:千葉県南房総エリア(館山市、南房総市、鴨川市、鋸南町)
主催者:Station Ride in 南房総実行委員会

まとめ

じつはステーションライドにはバイシクルクラブの編集長時代からずっと関わってまして、運営スタッフとはツーカーの間柄。
でもこのアドベンチャーコースに参加したのは初めてで、参加者の立場から楽しく走らせてもらいました。とくに赤山地下壕跡は、前から行きたいと思っていた場所。佐生さんの説明を聞きながらまわれて大満足でした。
シラハマ校舎は、またプライベートで行ってみたい場所。ゆっくり食事して、コーヒーでまったりしたいなー。
あと、オーナーの多田さんともゆっくりお話をしてみたいです。こういうのんびりしたライドが、これからはいいよねー。
といいつつ、年齢的にそろそろあんまり長距離走れなくなってきているので、次回のステーションライドでは120kmコースにチャレンジしたいなんて気持ちもちょっとだけ。いえ、ちょとだけですけどね。

ステーションライドのスタッフのみなさん、お世話になりましたー。

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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