【佐賀県】玄海灘がもたらす食と生業を辿る旅「唐津・玄海アドベンチャートラベル」
佐賀県唐津市・玄海町を舞台に、玄界灘がもたらす食と生業を辿り、大自然の魅力をE-Bikeで感じるモニターツアーが、欧米豪のサイクリストを招聘して実施されました。
その素晴らしい唐津・玄海の魅力を、TABIRINを通じて日本のサイクリストにもご紹介いたします。
Karatsuは漢字で「唐津」と書き、大陸へ通じる港を意味しています。日本の食の中心である「お米」は、その昔に大陸から唐津に伝わったと言われています。日本人はこのお米をさらにおいしくする工夫をするとともに、そのお米に合う食材や調理の方法を追い求めてきました。
唐津はそれらの食材を探すには最適の場所です。台地にはよい風が吹き、農作物を育てるには良い環境です。そして山々からの豊富な栄養は大河によって運ばれ、豊かな海も支えています。ここで生活をする人々はその自然の恵みに感謝の気持ちを抱きながら生活をしています。
この旅で、そんな唐津の食、人々の生活、自然の恵みに対する感謝など、過去から受け継がれている文化を、E-Bikeを使って追い求めていきましょう!
※2024年12月に取材したサイクリングレポートです。
唐津城
スタートはJR唐津駅。レンタルEバイクに乗り唐津・玄海の旅をスタートします。
まずは唐津城の天守閣展望台へ行き、360度見渡せる壮大な絶景パノラマをお楽しみいただきます。
これから向かう広大な玄界灘に囲まれた上場台地を望みこれから2日間のサイクリングへの思いを馳せてみましょう。
末盧館
日本最古の稲作発祥の地「菜畑遺跡」の出土品を展示している末盧館では、古代から続く稲作の歴史と玄界灘がもたらした食文化のルーツに触れることができます。
古代米「赤米」は、かつて唐津の人々の主食であり、長い年月をかけて品種改良され、今日の白米へと進化を遂げました。収穫時期にはその「赤米」の話を聞くこともできます。また、自然豊かな広場には竪穴住居や古代の水田が復元されています。
切木農産物直売所
市街地から丘陵地へと移り行く景色を楽しみながら切木農産物直売所へ向かいます。坂道もEバイクなら快適に走ることができます。
のどかな田園風景を走り着いた農産物直売所では地元で採れた新鮮な野菜や果物が並んでいます。名物の切木ぼたんだんごを食べながら売店の農家さんとの会話も楽しんでください。
国民宿舎いろは島
窓越しに波静かな伊万里湾の島々を眺められる素敵なレストランで、羽釜焚きご飯や新鮮な海産物など玄界灘の恵みがたっぷりのランチをお楽しみいただきます。
唐津の人々は、米をより美味しく食べるために、様々な工夫を凝らしてきました。玄界灘で獲れる新鮮な魚介類や、上場台地で育った野菜は、米を引き立てる最高の「おかず」となりました。こうして、「米」と「おかず」を組み合わせるという和食文化が誕生し、受け継がれてきたことを感じてください。
三島神社
いろは島をはじめ美しい島々を見下ろせるダイナミックな景色を見ながら坂道を上り、吹く風が心地良い海沿いの道へ出れば玄海町の三島神社が近づいてきます。
地元の伝統行事で560年余りの歴史を持つ祭りは、御座船に乗せた2台の神輿を大漁旗を掲げた船で伴走しながら湾内をパレードし、担いで御幸所に安置するという勇壮な祭り秋祭りとして有名です。
ここでは、地元の方から漁業と信仰が密接に結びついた文化について話を聞きます。
浜野浦棚田
小さな入り江に面した玄海町浜野浦地区は、海岸から階段のように斜面を幾重にも連なる棚田が広がっています。土地の少ない日本では稲作が始まった時代から続く風景です。
先人たちの知恵と努力によって築かれた美しい景観を眺めながら、棚田農家の方から米作りの苦労や喜び、そして未来への展望を聞き、自然と共生することの大切さを感じてください。
波戸岬
波戸岬では、目の前で焼いてくれる「さざえのつぼ焼売店」が名物です。手慣れた手つきで採れたてのサザエを焼いてもらいながら、美味しさと会話を楽しんでください。
すぐそばの、玄界灘の青い海と水平線一望できる絶景の波戸岬国民宿舎では、波戸岬の近海で獲れたイカの活造りなど旬の素材を最大限に生かしたお料理の数々をお楽しみいただきます。食事までの時間は、自転車で岬を走ったり美しい夕陽もお楽しみいただけます。
また波戸岬は朝日も見られる素晴らしいロケーションです。朝早起きして玄界灘から昇る朝日を眺めるのもおすすめです。
呼子朝市
旅の2日目は、波戸岬から呼子(よぶこ)朝市へ。
大正時代から開かれているという呼子の朝市は日本三大朝市の一つとして有名です。約200mの通りには50軒近くの露店が並びとれたての魚介類や加工品、野菜や花が販売されています。
活気あふれる朝市で、新鮮な魚介類や地元の特産品や、屋台の人たちとの触れ合いも楽しんでください。
七ツ釜
呼子港から観光船に乗れば、国の天然記念物にも指定されている七ツ釜(7つのカマドを並べたような海蝕洞窟)を間近で見ることができます。
大自然の力と長い年月でできた壮大は景色を、海から眺めるのは違った感動を与えてくれるでしょう。
唐津神社
唐津湾沿いの気持ちいい道を走り市街地へと戻れば、街の中心に立地し白い鳥居が目をひく唐津神社があります。
毎年11月2~4日の3日間行われる収穫感謝祭である「唐津くんち」が行われる神社で有名です。ここでは、特別に宮司から唐津の歴史や文化について話を聞きます。
曳山展示場
ユネスコ無形文化遺産「唐津くんちの曳山行事を含む『山・鉾・屋台行事』」として登録されてる14台の曳山が一堂に展示されています。製作後200年を超えている曳山本体は県重要有形民俗文化財に指定されています。
ここでは、唐津の食文化のルーツである「米」と、それを支える人々の生業、そして「唐津くんち」に込められた感謝の気持ちを感じていただけます。
魚処亀山/太閤(酒販店)
現在唐津では、海鮮丼を出すお店が増えてきています。その海鮮丼ブームの火付け役となったのが魚処亀山です。ここでは人気の海鮮丼を食べていただきます。唐津の台所とも呼ばれている中町商店街では海鮮丼のほかにも飲食することができます。
旅の最後はEバイクを降りて老舗の酒屋を訪問し、お米から作る日本酒の話を酒屋の店主から聞きます。お酒は試飲して購入できるので、お酒好きの方は好みの日本酒を選んでみてください。
動画レポート
コース紹介
1日目:距離46km 獲得標高:860 m
2日目:距離31km 獲得標高:244 m
まとめ
起伏に富んだ地形と海沿いの美しい風景を楽しみながら、唐津市・玄海町に伝わる「食」に対する思いが感じられる1泊2日のツアーでした。
スタート地点のJR唐津駅までは、福岡空港から車で1時間強のアクセスの良さ。東京や関西圏から1泊2日でも巡れるコースです。
季節によって異なる楽しみ方もできるので、このモニターツアーレポートを参考に、ぜひ佐賀県を訪れてみてください。
執筆:花田 康