旅×自転車 記事

【オーストラリア】冬のブリスベン川 アート散策ライド30km


6〜8月、北半球の日本は夏を迎えますが、南半球で季節が反対のオーストラリアは冬。寒いと何かとこもりがちですが、短めの距離でもテーマを決めて走ってみると満足感が得られるものです。
自転車に乗ってブリスベン川沿いを北上しながらお気に入りのアートを探してみましょう。

スタートはサウスバンク・パークランズから

ブリスベン川の南側に広がる公園、サウスバンク・パークランズから出発です。
川の向こう岸に広がるのはブリスベンのシティ中心部のビル街。2032年開催予定のオリンピック・パラリンピックに向けて新たな橋やカジノなど建築ラッシュです。

自転車・歩行者専用のグッドウィル・ブリッジ(写真手前)を渡り、対岸へ渡ります。

ブリスベン市内を始め、オーストラリアの各都市ではここ数年電動キックボードがポピュラーになってきました。
グッドウィル・ブリッジの入口にもスマホアプリでレンタル可能な電動キックボードが複数並んでいます。
なお、オーストラリアでは自転車・電動キックボードどちらも走行時はヘルメット着用が義務となっているので必ず着用しましょう。

橋の真ん中のビュースポットからはシティを望めます。手前の斜めに切り立ったビルにはクイーンズランド州政府が入っています。

ビュースポットの隣には、世界でも珍しい橋の上のカフェ、グッドウィル・ブリューがあります。

シティの憩いの場ボタニックガーデンズ

グッドウィル・ブリッジを抜ければQUT(クイーンズランド工科大学)があり、その右手にブリスベンシティ植物園(ボタニックガーデンズ)があります。
緑の木々がジャングルのように重なり合って繁り、ビル群の一角であることを忘れてしまうほどです。

ストーリーブリッジとフェロンズ・ブリューイング

植物園を川沿いに走り、水上に設けられた自転車・専用道を進みます。
リバービューのレストランが立ち並ぶイーグルストリートのエリアへと続きます。

イーグルストリートからはブリスベンのシンボル的存在であるストーリー・ブリッジを拝めます。

イーグルストリートを抜けてストーリーブリッジの麓のフェロンズ・ブリューイングを目指します。
日本ではオーストラリアのお酒と言えばワインのイメージの方が強いかもしれませんが、実はクラフトビール文化も盛んです。
ブリスベン市内各地にもブリューワリーが点在し、ここフェロンズ・ブリューイングもその一つ。ビアレストランも併設しており、地元民や観光客で昼も夜も賑わいます。

レストランの真横には、子供達が遊べるように船を模した遊具も。後ろの部分が滑り台になっています。

フェロンズ・ブリューイング内にはバイクスタンドの壁、倉庫の壁などウォール・アートが複数あります。

オーストラリア特有の野鳥を描いたものなど個性的な作品が並びます。

リバーウォークとパワーハウス


フェロンズ・ブリューイングから続くニューファーム・リバーウォークへと進みます。
ニューファーム・リバーウォークは自転車・歩行者専用道になっていて、ちょっとした水上散歩気分を味わえます。

リバーウォーク沿いに立ち並ぶ家。冬でも比較的温暖なブリスベンでは年中を通してブーゲンビリアが色鮮やかに茂っています。

リバーウォークはニューファームエリアの市街地へと続きます。
ニューファーム・パークから再び自転車道に入ります。

ニューファーム・パークはジャカランダの名所としても知られています。
毎年10〜11月(春)になると公園一面がジャカランダの花で紫色に染まります。

ブリスベン・パワーハウス

ニューファーム・パークを抜けたところにあるのがブリスベン・パワーハウスです。
グッドウィル・ブリッジからここまでで約6km。
かつては発電所でしたが、現在はミニシアターとして使用されており、年中を通して様々な舞台が催されています。

パワーハウスの一角にあるウォールアート。芸術劇場でありながら、建物自体もまたアートです。

ニューステッドからノースショアの自転車専用道を走る

パワーハウスから引き続き川沿いを走り、約6km先のミルトンのエリアにあるポートサイド・ワーフを目指します。
道中のテネリフのエリアには、かつて第二次世界大戦の潜水艦基地があり、今ではサブマリーナーズ・ウォーク・ヘリテージ・トレイルとして自転車・歩行者専用の遊歩道になっています。潜水艦をモチーフにしたベンチが印象的です。

1870年代から1900年代にかけて、オーストラリアは羊毛輸出で栄えました。クイーンズランド州内の羊農家が、このテネリフの川沿いに建てられた4階建ての大きな倉庫に羊毛を運んできていたそうです。
当時の景色や様子を窺い知ることができます。

川沿いにはブラジル原産のカエンカズラが鮮やかに咲いていました。
英名は「オレンジ・トランペット・バイン」。バイン(vine)は「蔓(つる)」の意味ですが、オレンジ色の細長い筒状の花がトランペット状になっていることに由来するそうです。

いったん一般道に出て、ブリスベン川の支流を渡り、再び歩行者・自転車専用道へと入っていきます。
ベンツと「XXXX」の文字があるクラシックな建物が目標です。

屋根の上の「XXXX」は「フォーエックス」と読み、クイーンズランド州を代表するラガービールです。そしてこの建物はブレックファスト・クリークホテルです。
フランスルネッサンス様式で1889年に建設されました。ホテルとしてはもちろん、ステーキレストランとしても人気です。

ブレックファスト・クリークホテルの前から高架をくぐり、キャメロン・ロックス保護区の歩行者・自転車専用道へ。
キングスフォード・スミスドライブの車道沿いにバイクウェイが走っています。

写真右下はカウンターで、年間・日単位でここを通った自転車・歩行者の数が表示されています。

道沿いにはストレリチア(極楽鳥花)も。南アフリカ原産、ロサンゼルスの州花にもなっているこの花が冬でも見られるのはブリスベンが温暖な証でしょう。

ポートサイドワーフで折り返し

バイクウェイを3km弱走れば、クルーズ船のドックにもなっているポートサイドワーフに到着です。
平日の昼間は比較的ひっそりとしていますが、和食・中華・中東・イタリアンと様々なレストランが入り、リバービューで食事が楽しめるとあって、週末は多くの人で賑わいます。

ポートサイドワーフに隣接するエキシビションエリアでは、「モネ in パリ」と題したアート映像展覧会が開催されていました。
印象派などの西洋画を映像で楽しむ没入型の展覧会は、最近日本でも各都市で開催されていますが、オーストラリアでも人気の催し物です。

特設会場はパリの「ムーラン・ルージュ」を模したものになっています。

なお、ポートサイドワーフ近くには公共交通機関のシティフェリーのターミナル、ブレッツワーフがあります。
自転車も解体せずそのまま持ち込み可能なため、ここから出発地のサウスバンクエリアへちょっとした船旅を楽しみながら戻ることもできます。

今回はフェリーには乗らず、引き続きバイクウェイを辿って折り返しました。

道沿いの店舗やバス停の壁などにふと目をやるとウォールアートが描かれていることも。
こういった偶然の出会いもまた楽しいですね。

クイーンズランド州発祥のBetty’s Burgersでランチ

フェロンズ・ブリューイングまで戻ったところで、ベティーズ・バーガーズ(Betty’s Burgers)でランチタイムです。
ベティーズ・バーガーズはブリスベンから北へ約140km行ったヌーサ・ヘッズ発祥のハンバーガーショップ。
アンガスビーフと特製ソースの入ったクラシックバーガーに、パイナップルを追加していただきました。

ブリスベン市内以外にもゴールドコーストなどにも店舗があるのでぜひクイーンズランド州を訪れたら試して欲しいお店です。

コース紹介

まとめ

アート作品と一緒に自分の愛車を写真に収めると、いっそう自転車への愛着が湧きます。
ブリスベンの姉妹都市である兵庫県神戸市にも、街中に壁画を中心にアートが数多く点在しています。ぜひお気に入りの作品を見つけに、走りに出かけてみてはいかがでしょうか。

執筆:Ayaka

2011年に社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。
ニュージーランドでのワイナリーロードレース、タイの寺院巡り、ドイツ古城巡り、インドネシアでの遺跡巡りなど世界各地で自転車旅を催行し、その様子を雑誌『Cycle Sports』に寄稿。
2017年には自転車ツーリズムを探究しにオーストラリアへ留学。現地の様子を『Cycle Sports.jp』にて『G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより』として1年間連載。帰国後は英語教材編集者の傍ら、自転車イベントで通訳・MC・PR担当等を務める。
2022年4月、オーストラリア クイーンズランド州ブリスベンへ移住。
座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」。

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