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実走調査! 日本の自転車道 トカプチ400 ①解説編

DATA
北海道帯広市→幕別町→中札内村→更別村→大樹町→豊頃町→浦幌町→池田町→音更町→帯広市→音更町→鹿追町→糠平温泉郷→三国峠→糠平温泉郷→上士幌町→士幌町→音更町→帯広市
距離:403km 獲得標高:3368m 最大標高:1139m
実走調査日:2024108日〜12

日本のサイクリングルートを走破してレポートするシリーズ。国土交通省のナショナルサイクルルートのHPに掲載されている「サイクルツーリズムの推進モデルルート」を中心に、各地の自転車道を紹介していく。各レポートは解説編と実走編で構成され、これから走る人に向けた実用ガイドを目指している。

第2回目はナショナルサイクルルートである北海道のトカプチ400。まずはその概要を解説していこう。

三国峠直下にある松見大橋。トカプチ400の雄大さを象徴する絶景だ


帯広駅バスターミナルにある壁面地図

 

成り立ち

2021年5月にナショナルサイクルルート(第2次)に指定

 日高山脈、大雪山系に囲まれた十勝平野の中心部を、大きく8の字を描いて結ぶこのトカプチ400は、富山湾岸サイクリングコース、太平洋岸自転車道と同時に、2021年5月に第2次ナショナルサイクルルートに指定された。
全長403kmにおよぶそのルートは、ナショナルサイクルルートとして太平洋岸自転車道に次ぐ長さ。広大な森林地帯、肥沃な農業・酪農地帯、さらにはそれを結ぶ河川や湖沼など、北海道のダイナミックな風景のなかを走るスケールの大きなサイクリングルートとなっている。
またその中心地である帯広市に、とかち帯広空港があることも、海外からのアクセスのよさを含めナショナルサイクルルート指定を受けた大きな理由だろう。

ナショナルサイクルルート指定までの道のり

2016年に閣議決定された第8期北海道総合開発計画のなかに盛り込まれた「サイクルツーリズム等の振興」に続き、翌2017年には自転車活用推進法が制定。それを受けて2018年には北海道自転車条例にサイクルツーリズムの振興が謳われた。
この流れを汲んで全道で5つのサイクリングモデルルートが設定され、その後2年間かけてルートの検証などが行われた。そのうちのひとつとして初めてトカプチ400のルート名が登録された。

さらに2019年には北海道開発局の道路部門と北海道の経済部観光局などを中心に、北海道サイクルルート連携協議会が設立され、北海道各エリアのルート協議会が募集により設立・認定された。
この各協議会が提案したサイクリングルートを「サイクルルート北海道」(基幹ルート)と呼び、トカプチ400をはじめ翌2020年には「きた北海道ルート」、「オホーツクサイクリングルート」、「羊蹄ニセコエリアサイクルルート」など7つのルートが公開されている(その後3ルート追加され現在10ルート)。

トカプチ400は10ルートのなかのひとつ

ナショナルサイクルルートとして指定されるまで、第8期北海道総合開発計画から5年、サイクルルート北海道認定からわずか1年半というスピード出世であるという点。さらにほかのナショナルサイクルルートが単独のルート設定であるのに対し、このトカプチ400は観光振興のために作られた10ルートのなかのひとつであるという点は、ルート整備や案内の不十分さなどに少なからず影響を及ぼしている。

ちなみにトカプチとはアイヌ語で十勝川のことを指し、十勝という地名の語源と言われている。


トカプチ400のルート案内サイン。じつはこのようにナショナルサイクルルートのルート案内として掲示されているものは多くない

ルート概要

8の字を描いて十勝平野を走る403km

起終点はJR帯広駅(MAP①)。ここから8の字ルートの南半分を反時計回り、北側を時計回りで走るのが、オフィシャルMAPに掲載されているルート。
ぬかびら温泉郷(MAP⑳)から三国峠(MAP㉕)までは往復路となる。コース設定当初は北半分を反時計回りで走るルートもあったようだが、現在は時計回りで統一されている。
ただ逆回りの走り方でもルート案内の表示はされているので、基本的にどちらの回り方でも自由に走ることができる。

距離は南半分が約185km、北半分のループが約155km、三国峠の往復が約60kmといったところ。

南半分は海岸沿いのわずかなアップダウンをのぞけば、おおむねフラットで走りやすい。
大樹町までの区間は道の駅などもルート上に点在し、補給に困ることもないだろう。
だが太平洋に沿って走る大樹町から豊頃町の区間、さらにそこから十勝川に沿って北上する部分などは自販機も少なく、とくに夏場は注意が必要だ。

北半分は三国峠までが白樺峠(MAP⑰)、幌鹿峠(MAP⑲)越えを含む山岳ルート。
ルートMAP上では中級者向けとなっていて、初級者では電動アシスト付き自転車でなければ厳しいかもしれない。注意しなければならないのは、この白樺峠からぬかびら温泉郷までの区間、さらには三国峠往復の全区間でドコモ以外の携帯電話の電波が届かないこと。
トラブルにあった場合に助けを呼ぶことができないのは困りものだ。

ぬかびら温泉郷から帯広までの最終区間は、これまた超フラットな快走区間となる。


フラットな直線路が延々と続く豊頃南町付近


白樺の木が山肌に密生する風景に驚かされる白樺峠への道

アクセス

とかち帯広空港から空港連絡バスで帯広駅へ

ゲートウェイとして指定されているであるとかち帯広空港(MAP②)へは、東京羽田空港からJALまたはANA(AIR DOとの共同運航便)が1日に7便運行されている(2024年12月現在)。
首都圏からはこれを利用してトカプチ入りするのがベストの選択だろう。飛行機だと1時間半程度のフライトですむのが、鉄道だと東京駅から新幹線と在来特急を乗り継いで帯広駅まで10時間以上かかってしまう。

空港から帯広駅までは飛行機の到着時間に合わせて空港連絡バスが運行されていて、1000円で乗車することができる。帯広駅までの所要時間は約40分。

帯広駅を起点とせず空港から走り始めてしまうというプランニングも考えられるが、バス利用で帯広駅に着いたとき同様、そこまで使った輪行用機材(飛行機輪行に適したパッド入りの輪行袋、あるいは箱)をどうするかが問題となる。調査時も非常に悩んだが、これに関しては次回の実走編で実例とともに紹介したい。

いずれにせよルートの起終点とされる帯広駅・バスターミナルおびくるからスタートするのが気持ち的にもスッキリするので、リムジンバスを使って移動することをお勧めしたい。

また首都圏以外からであれば、最寄りの空港から羽田乗り換えでアプローチするのもいいが、まず札幌の新千歳空港へ飛び、そこから列車で帯広駅へ向かうという方法も選択肢だろう。

ちなみにトカプチ400にはゲートウェイに設定されている施設が3つある。帯広駅・バスターミナルおびくる、とかち帯広空港、そして音更町にある「道の駅おとふけ なつぞらのふる里」だ。鉄道およびバス、飛行機、そしてクルマでのアプローチを念頭に置いた3つの起終点と言うことができるだろう。

 
羽田空港からはANA(AIR DO共同運航便)、JALが毎日7便往復している


空港からは連絡バス利用となる。輪行バッグのまま運んでくれた


帯広駅にあるバスターミナル「おびくる」。レンタサイクルも扱っており、実質ここがトカプチ400の起終点となる

ルート高低差

全ルートの獲得標高は3368m

プロフィールマップを見ればわかるとおり、難所は白樺峠、幌鹿峠、三国峠の3カ所。ただし難所といってもそれほどキツいわけではない。

まず白樺峠。推奨ルートに沿って走る場合、帯広から延々55kmほど上ってたどりつく。プロフィールマップを見れば絶望的な上りに思えるが、じつは獲得標高は930mほど。峠の手前までの平均勾配は0.4%(!)。言われなければ上りだと気づかないほどで、恐れるに足らない勾配なのだ。

これはプロフィールマップのトリックだと言えるかも。ただ峠の手前7kmほどで平均勾配7%になるので少し厳しく、ここが全ルート中最大の難所だ。

続く幌鹿峠は白樺峠から少し下ったあと、15kmで300mアップ。ここも然別湖沿いはわずかに上るものの、勾配を意識するほどではない。峠の手前6kmほどで少し勾配がキツくなるが、それでも4%ほど。

そして三国峠。ぬかびら温泉郷から峠手前のカフェまで26kmで獲得標高650mほど。前半16kmは獲得標高170mで平均勾配1.1%。後半10kmは少し勾配が厳しくなるものの平均勾配5%ほど。途中で何度か休憩しながら行けば、それほど大変な坂ではないだろう。

このようにルートの北部分はプロフィールマップ上は大変そうに見えるが、覚悟を決めていっても空回りするほど。恐れる必要はないと言える。

注意したいのは音更町にある西九線(MAP⑭)という道。上り返しの長めのアップダウンが5連続し、前方に見える上りに備えて下りで全力疾走してしまうこともあり、思いのほか体力を消耗する。プロフィールマップには現れない勾配だけに、不意を突かれる場所だ。

あとは大樹町から豊頃町に至る国道336号もゆるいアップダウンを繰り返し、思いのほか脚を削られるので注意が必要だ。



提供:北海道TOKACHIサイクルツーリズムルート協議会 ※クリックで拡大


然別湖手前。このあたりは平均勾配6%くらい


三国峠への上り。この先から少し勾配が増す

道路状況

全線にわたって現れる舗装の継ぎ目が非常に不快

舗装率ほぼ100%。なので北海道だからといって悪路を走るような太いタイヤは必要ない……と思ったら大間違い。トカプチ400を走るなら、ロードでも太めのタイヤが必須だと断言する。

その理由は舗装の継ぎ目にある。進行方向に対して直角に、アスファルトのひび割れのような段差が延々と続く。道路を横断するこのような継ぎ目は「横断クラック」と呼ばれている。イメージとしてはルート全線の半分以上にこういった横断クラックがある。

国道や道路といった幹線道路だけでなく、堤防上の「サイクリングロード」にも横断クラックは見られる。場所によって異なるが、5mから20mくらいの間隔で、この継ぎ目が次々に襲ってくる。そのたびに不快な振動、衝撃が体に伝わってくるのだ。

この継ぎ目の原因は寒暖差にある。気温の差が激しい北海道では、急激な気温低下により舗装が収縮し、その温度応力により舗装に一定間隔のひび割れが発生する。この温度応力ひび割れは寒冷地域に発生しやすく、アスファルト舗装が薄い区間で発生本数が多い。

クルマで走っているぶんには気づかないような振動だが、自転車とくに高圧タイヤで走るロードバイクの場合は非常に気になるものだ。そのためトカプチ400を走るなら、グラベルバイクを用意するか、ロードでも28C以上の太さのタイヤを装着することをお勧めする。


豊頃町内。ひび割れた路面が前方に繰り返し現れるのがわかるだろうか


十勝川の堤防道路にも横断クラックの連続が


音更町内の横断クラック


幕別町の十勝川沿い道路。もうイヤ

走行注意ポイント

交通量の多い場所はほとんどない

交通量が圧倒的に少ないので、クルマに注意すべき場所はほとんどない。交通量が多いわりに路肩が狭く走りにくいと感じたのは池田町の利別駅から十勝川温泉に抜ける道道73号くらい。
ちなみにこの道道73号は進行方向左手に幅のある歩道があって、そこを走ることも考えたが、草の繁茂などあり走りにくいので、実際には車道を走ることになった。

帯広駅をスタートして11kmほど走った帯広市桜木町内には、幅の広いブロック路面があり、ロードバイクの場合はパンクを避けるためスピードを落として走行したい。


道道73号。クルマが連続してやってくる。路肩部分に段差のある排水口があり、それを避けるために車道に膨らみがちなので注意したい


道道73号には幅の広い歩道がある


帯広市桜木町内にあるブロック路面

携帯電話が使えないエリアに注意

前述したが、補給やトイレのないエリア、携帯電話が使えないエリアがあるので、それがどこなのかしっかり頭に入れておきたい。

補給できないエリアは20kmほど続く部分もあり、夏場はとくに注意が必要だ。トイレもないのでとくに女性は気をつけたいところ。

また携帯の電波が入らないエリアは然別湖畔を除く白樺峠からぬかびら温泉郷、さらにそこから三国峠までのおおよそ50kmにおよぶ。ただドコモだけは幌鹿峠からぬかびら温泉郷の間、ぬかびら温泉郷と三国峠の間で使用できるようだ。

クルマのトラブルも含めた対策として、ぬかびら温泉郷から三国峠までの区間には非常電話が3箇所設置されている。

これらの情報は北海道TOKACHIサイクルツーリズムルート協議会が配布するルート案内地図に掲載されているので、必ず事前にチェックしておきたい。


爽快な三国峠への道だがドコモ以外の携帯電話は使えない


トカプチ400サイクルマップ

ルート案内の状況

サイクルルート北海道の表示に導かれる

予備知識なしに走り始めてすぐに気がつくのは、矢印の付いた案内表示にある「4」という数字。どうもこれがルート案内表示のようだが、どこにもトカプチ400の文字はない。矢印と自転車のピクトに4という数字が組み合わせられたステッカーが、ルートの進行方向を示している。これは何なんだ?

この4という数字が、前述したサイクルルート北海道(基幹ルート)のルートナンバー。トカプチ400はサイクルルート北海道の第4ルートだということだ。つまりサイクリストはナショナルサイクルートとしてのトカプチ400ではなく、サイクルルート北海道の第4のルートとして整備された案内表示に従って走ることとなる。ほかのナショナルサイクルルートにはそういった例がないので、なんとなく違和感を感じる。

このステッカーによるルート案内が、印象としては全ルートの9割を占めている。このステッカーは道路標識や電柱、橋の欄干や施設の看板といった既設の柱などにベタベタと設置されている。ほかのナショナルサイクルルートに比べ、低予算で整備されているという印象だ。

また数は少ないがナショナルサイクルルートのシンボルマークやトカプチ400のロゴがデザインされた案内看板も見受けられる。これは令和6年度中をめどに増設していくということだ。


基本的なトカプチ400の案内表示。自転車のピクトが北海道の形をデザインした枠の中に入っているバージョンもある


あらゆる場所にステッカーが貼ってある


このようにナショナルサイクルルートとトカプチ400のシンボルマークが入った案内看板も今後設置が進んでいく

路面の案内表示は少ない

ほかのナショナルサイクルルートでは多く見られる、路面にペイントされた矢印やシンボルマークは少ない。これは冬季の除雪作業などによりペイントが削られてしまうため、ポールなどに設置する案内ステッカー・看板が優先されているからだ。柱などがない場合に路面表示が設置される。調査時に見かけたもののなかには傷みが激しい路面標示もあった。

また矢羽根による路面表示もいくつかのエリアでは見かけたが、あるところにはある、ないところにはまったくない、という状況だ。ちなみにトカプチ400の矢羽根は右肩に高輝度の白線をあしらった夜間視認性向上型。


路面のペイントによる案内表示はステッカーを貼る柱などがない場合に設置される


案内看板と同時に路面標示もあるが、ほとんど見えない


損傷した路面標示


基本は100mおきに設置される矢羽根。自治体によって設置されている場所とない場所がある。たとえば更別町に入ると矢羽根が登場し、忠類町に入ると消えてまた浦幌町で現れる、といった具合

迷いやすいポイント

案内表示のない分岐がある

いくつか案内表示のない場所があった。

道の駅かみしほろを出て2kmほど行った右折部分。ここには右折の案内表示がない(MAP㉗)。

帯広市内に向かう音更町には間違えやすい表示があった(MAP㉙)。十字路直前の道路標識支柱に右折の指示があるが、ここは直進。その先のY字路を右側に進むという表示がまぎらわしい。

また表示の不備以外に表示があっても雑草で隠れて見えないこともあった。進路の表示を頼りに走っていく場合、表示を見落としてしまうとかなり無駄にルート外を走らされる可能性もある。GPSでコースマップと自車位置を表示させながら走ると、こういうミスが防げると思う。


道の駅かみしほろ付近。右折の指示がない


右折の表示があるが、ここは直進。先のY字路を道なりに右へ、という表示

十勝大橋は鬼門

帯広市内を流れる十勝川にかかる十勝大橋。この帯広側のたもとは案内が不十分で混乱しやすい場所だ(MAP⑪)。混乱の原因はサイクルルート北海道が制作するトカプチ400サイクルマップの案内と、トカプチ400のHPに掲載のRide with GPS(Googleマップも同様)のルート表示が異なっていることにある。

トカプチ400を走る際、トカプチ400サイクルマップではルートの詳細まではわからないので、迷った場合はマップを拡大できるRide with GPSのルートを参照することになる。ところがこのシーニックバイウェイ制作のルート表示が、北半分を反時計回りで走行するルートで描かれているのが混乱のもと。現在の推奨ルートである時計回りで走ろうとすると、各所で不都合箇所が現れてしまう。

例えば帯広駅から音更町方面に向かう場合、Ride with GPSでは十勝大橋の南側にある「西3条通」交差点をそのまま突っ切って堤防下の細い道をいくルートになっているが、案内は皆無。おかしいと思ってトカプチ400サイクルマップにある拡大図を見ると、交差点手前でループを描いて国道をくぐり、堤防下の道に出る案内があった。Ride with GPSのルートを見ながら走る場合、これではわからない。

さらに道路上の案内表示では、この交差点を普通に右折して、十勝大橋を渡るように誘導されるのだ。反時計回りルートの案内だろうが、ここで道を間違えるサイクリストは多いのではないか。


十勝大橋の「西3条通」交差点。ここには右折して十勝大橋を行く表示が


右折すると十勝大橋には直進の表示。これは信用してしまう。だがこれは北側ルートを反時計回りにぬかびら温泉郷に向かう場合の案内

RIDE with GPSのルート表示は厳密ではない

またこのRide with GPSに従ってさらに走っていくと、国道241号の平原大橋で十勝川を渡るのだが、ここの通行方法もわからない(MAP⑫)。
堤防上の道を走っていくとこの国道241号にぶつかる。ここを右折することはわかるのだが、右側の歩道を行けばいいのか、無理やり中央分離帯を突破して左側車線に移るのか。
トカプチ400サイクルマップの拡大図でも読み取れないのでRide with GPSのルートを見ると、ルートは中央分離帯を走って(!)、そのうちなんとなーく左側車線に移る。どこで国道を横断するのかといった案内看板もない。

これはこのルートの推奨が反時計回りだった頃のルート図をそのまま使っていることが原因だと思う。反対方向から来れば問題なく左折できるのだ。

時計回り、逆周り両方のルートを表示しなければならないので、それほど厳密にRide with GPSのルートを引いてあるわけではないのだろうが、さらに精度を上げた表示で両方向の走り方が読みとれるようになるといいと思う。


現場写真。ここで中央分離帯のある国道を右折する


しばらく右側の歩道を走り、ふと気がつくと左側車線に矢羽根があったので、中央分離帯の切れ目から左側車線に移った

観光&ビューポイント

超メジャーな観光スポットはない

世界的に有名な観光地も多い北海道だが、意外なことにここ十勝地方には目玉となる観光地がない。とくにトカプチ400のルート上には、特筆すべき観光スポットは見当たらない。それでも少しルートをはずれれば、池田ワイン城、ナイタイ牧場など、名前を聞いたことのある場所があるにはある。

ただここは北海道。地平線を感じられるまっすぐに続く道、広大な牧草地と畑、大自然に抱かれる森林地帯、雄大な川の流れなど、ここ以外では体感できない魅力にあふれている。

そんななかでルート上で見ることができるのは、ばんえい牧場十勝、ハルニレの木、白樺並木、松見大橋、旧国鉄士幌線跡、タウシュベツ川橋梁など。それらを巡りながら、北海道ならではのダイナミックなサイクルルートを楽しむ。それがトカプチ400の正しい走り方だろう。


帯広空港すぐ近くにある、ばんえい牧場十勝(MAP③)では、ばんえい競馬を走る「ばん馬」が飼育・訓練されている。ここではレースは行われないが、練習場には本番と同じ障害物が設置されていて、練習風景を見ることができる


忠類北10線の坂と呼ばれる直線路(MAP⑤)。高速道路の脇にある


豊頃町にあるハルニレの木(MAP⑨)。CM撮影などで有名


調査時に何箇所かで見かけたタンチョウ鶴。渡り鳥だが最近は渡らずに夏をすごすこともあるという


十勝川温泉手前の千代田堰堤(MAP⑩)。ポケットパークもありきれいなトイレが利用できる


音更町にある十勝牧場の白樺並木(MAP⑬)。テレビドラマや映画のロケ地


白樺峠手前の白樺林(MAP⑯)


三国峠への道は国交省が定めた「秀逸な道」に認定されている。この秀逸な道は全道に12箇所あり、この十勝平野・山麓ルートは「樹海に佇む天空の道」と名付けられている


三国峠手前の松見大橋(MAP㉔)は、ルート上から見下ろすことができる。トカプチ400のアイコン的スポット


ぬかびら温泉郷から三国峠に向かっては旧国鉄の士幌線跡に沿って走る。その軌道跡がいまも残っている(MAP㉒)


冬季には湖底に沈むことで知られる幻の橋、旧士幌線のタウシュベツ川橋梁跡。どんどん崩れているので、この状態で見られるのはそう長くないのかも。許可を受けて林道に入ったり、近くまで行くツアーなどもあるが、反対岸となるルート脇からも、森の中を5分ほど歩いた展望所から見ることができる(MAP㉑)


旧士幌線第五音更川橋梁跡(MAP㉓)。道路からよく見える


ぬかびら温泉郷から近い旧士幌線第三音更川橋梁跡(MAP㉖)

DATA

トカプチ400HP

トカプチ400サイクルマップ

Ride with GPS

サイクルルート北海道

次回はトカプチ400②実走編その1

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。ナショナルサイクルルートは全ルート全行程を走破している。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

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