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【鹿児島県】海や川そして野生動物と出会える「世界遺産の自然」を楽しむ屋久島一周サイクリング


世界自然遺産の屋久島は縄文杉で知らていますが、海や滝などの風景をはじめ、海の幸やスイーツなどのグルメも楽しめるサイクリングに最適な島でもあります。
一周約100kmを自転車でぐるっと巡る屋久島の魅力をご紹介します。

屋久島とは

鹿児島市から南に約135km、太平洋と東シナ海に面した洋上に浮かぶ屋久島は、1993年に日本初の世界自然遺産として登録されました。樹齢2000年代から7200年とも言われる縄文杉をはじめ、九州最高峰の宮之浦岳(1,936m)など、多様な自然で知られています。
そんな屋久島は「山歩き」のイメージが強いですが、島を周回する約100kmの道路はサイクリングにも最適で、海や川・滝などの風景や地元グルメも楽しむことができます。

アクセスは屋久島空港利用

屋久島へのアクセスは、鹿児島からの海路(高速船またはフェリー)と、屋久島空港への空路があります。空路は、日本エアコミューター(JAC)による、大阪(伊丹空港)、福岡空港、鹿児島空港からの直行便が就航していますので、首都圏からはそれらの空港を経由することになります。

屋久島空港の滑走路は1500mしかないため、ジェット機は就航できず、現在就航しているのはプロペラ機のみです。

サイクリングの拠点はサマナホテル屋久島

旧屋久島ホテルから、2024年4月26日に「Samana Hotel Yakushima」としてリブランドオープンしたリゾートホテルは、屋久島南端の海に面した360度のロケーション。

季節によっては、夕日と朝日の両方を望むことができる希少な立地で、客室はオーシャンビューやマウンテンビュー、展望風呂付きの客室などがあります。

地下から湧き出る、とろみのある天然温泉を源泉かけ流しで楽しめほか、地元の食材を活かしたビュッフェスタイルのレストラン「THE VIEW」も人気です。
また、ホテルではEバイクのレンタルも用意されています。

屋久島一周サイクリング

海から昇る朝日を望み、豊富なメニューの朝食を楽しんで、サイクリングスタート。

まず目の前には、「東洋のマッターホルン」とも言われるモッチョム岳の雄大な景色が広がっています。

ここから屋久島を反時計回りに走ります。

島の南部トローキの滝

約4km走って、屋久島の農産物・工芸品の直売所「ぽんたん館」へ。ここでは人気の「たんかんジュース」。

道を渡って海の方へ歩けば、美しい滝を望むことができます。

高さ6mのトローキの滝は、鯛ノ川が海に直接流れ落ちる、日本では非常にめすらしい「海岸瀑」です。

安房エリア

安房(あんぼう)エリアは、屋久島の南東部に位置し、安房川を中心に広がる屋久島で2番目に大きな集落です。
安房川ではカヤックやサップが楽しめ、半日ツアーなど手軽なリバーアクティビティも利用できます。

屋久杉工芸店「武田館」に隣接する「YAKUSHIMA BLESS」は、屋久杉の素材を使ったオリジナル商品や島の特産品を扱うお店。

屋久杉のチップを使用した石鹸や香りの商品など、お洒落なアイテムが揃っています。

空港・役場エリア

屋久島空港の手前でちょっと内陸部へ入れば茶畑が広がっています。

温暖な気候、豊富な水、山から吹き降ろす風など特有の条件が揃う屋久島は、日本で最も早い時期に収穫される新茶を生み出す「お茶の産地」でもあります。

屋久島空港を過ぎれば屋久島町役場があり、目の前に海が見える美しい風景が現れます。

宮之浦エリア

島の北東部に位置する宮之浦にはフェリーが発着する宮之浦港があり、屋久島への玄関口としても機能し、飲食店も多く中心的なエリアです。
屋久島の海の幸を楽しめる「潮騒」でランチタイム。
潮騒では、鮮度を保つために、水揚げ後すぐに首を折って血抜きをする、屋久島を代表する首折れサバや、水揚げ量日本一を誇るトビウオ料理が人気。
骨まで食べられる「トビウオ唐揚げ定食」をいただきます。

宮之浦港近くの屋久島環境文化村センターは、屋久島の自然や文化に関する総合的な情報を提供するビジターセンター。

2024年3月には「THE NORTH FACE 屋久島」がオープンしました。

島の最北端、一湊エリア

一湊(いっそう)は、古くから漁業で栄えた島最北端のまち。屋久島最大の広さを誇る美しい白砂の一湊海水浴場は、入江状の地形なので波が穏やかで、ダイビングスポットとしても人気があります。

一湊地区の公園内にある布引の滝は、落差約40mの滝です。

島唯一のトンネル「新一湊隧道」を抜けて、島の西側へ出れば「東シナ海展望所」。

東シナ海に浮かぶのは口永良部島。島の人たちは、ムーミンが寝てるように見えるからムーミン島とも呼んでいるそうです。

島の北西部、永田エリア

島の北西部に位置する永田地区の「いなか浜」は美しい砂浜で、太平洋を回遊するウミガメが産卵のために上陸する日本屈指の場所として知られています。11月ごろはふ化した卵の殻がいくつも砂浜に残っています。

約1kmに渡って続く花崗岩の白砂の潮だまりでは、水鏡のような写真を撮ることができます。

屋久島の水で作った豆腐料理を提供する、永田地区にある隠れ家のような「柴とうふ店」。

豆腐は一丁が大きくしっかりとして、濃い大豆の味が広がります。店先で食べられる「48(シバ)セット」は、おからで作った菓子と豆乳が付いています。

世界遺産を走る「西部林道」

屋久島の西側、屋久島灯台入口から大川(おおこ)の滝周辺を結ぶ約17kmの沿岸道路を西部林道と呼びます。
日本最大級の照葉樹林や亜熱帯植物が続き、「緑のトンネル」とも呼ばれ、世界自然遺産地域に指定されているエリアを車や自転車で通行できる数少ない場所です。

道路上でくつろぐヤクザルやヤクシカに出会える可能性が高く、車や自転車は遠慮しながらゆっくり走っています。
二車線道路になってもまだ、路上でくつろぐヤクザルやヤクシカ達に出会えます。

その先には長い下りが続き、海と山を望む壮大な屋久島の自然を感じられます。
西部林道の終点辺りに位置する大川の滝(おおこのたき)は、島内随一の規模を誇る落差88m滝で、「日本の滝100選」にも選ばれています。
島の南西部、中間地区にある巨大なガジュマルの木「中間ガジュマル」は、幹から無数の気根が伸びていて、トンネルのようになっているのが特徴です。また、NHK連続テレビ小説「まんてん」のロケ地としても知られています。

ゴールは屋久島のスイーツと夕日

サマナホテルを少し過ぎて「やくしま果鈴」でスイーツタイム。自社農園で栽培したタンカンや、屋久島名産のパッションフルーツやグァバなどのフルーツを使用したスイーツを販売しています。

店内イートインスペースで頂くこともできますが、店先のベンチで食べることもできます。

また、トローキの滝の先へ行けば、「屋久島ジェラート・そらうみ」で美味しいジェラートを楽しむこともできます。

ホテルへ戻れば、ちょうどサンセットタイム。

テラスから海に沈む夕陽を望んだ後は、天然温泉と美味しい食事でサイクリングを疲れを癒します。

ヒルクライムを楽しむなら「雲の展望台」へ

もっと坂も楽しみたい「坂好き」サイクリストには、白谷雲水峡への道がおすすめ。

雲の展望台は、眼下に白谷川の青い水、見渡す先には宮之浦の街並みと大海原を望む絶景を楽しめます。

コース紹介

距離:102km 獲得標高:2,608m

屋久島観光協会
samana hotel Yakushima

まとめ

屋久島と言えば「山」や「縄文杉」のイメージが強いですが、海や川も美しく、特に西部林道は野生の動物たちを見ながら(遠慮しながら)走れる、世界遺産ならではの素晴らしい島です。
島内の交通量は少なく、ぐるっと島を周遊するので道に迷うこともないので、サイクリングには最適は島だと感じました。
首都圏からの直行便が無いのでアクセスが悪いように思っていましたが、乗継便を使えば三連休を使って十分楽しめることも実感できました。
毎年2月には、イベント「サイクリング屋久島」も開催されています。2026年は三連休の時に開催され、50kmのコースもあるので、まずはイベントに参加してみるのもおすすめです。

執筆:花田 康

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