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記事タグ: 有名コース

太平洋岸自転車道実走調査⑲ ルート上の珍百景&おもしろ名所

太平洋岸自転車道実走調査⑲ ルート上の珍百景&おもしろ名所


2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介していくシリーズ。
お待たせしました、今回はルート上で見つけた珍しいスポットや、なんだこりゃ?なものを紹介していくおもしろ総集編、名付けて「太平洋岸自転車道珍百景」。お楽しみください。

おもしろ珍矢羽根ベスト5

太平洋岸自転車道を走るときに頼りになるのが路面標示。自転車の走行空間を表す矢羽根や、方向を示す路面標示は統一基準が定められていて、どこでも同じもの……のはずが、そうでもない。そのエリアならではの事情や経緯により、さまざまな「珍種」が存在する。
そんな変わり種たちベスト5を第5位から紹介していこう。

5位:三保半島のミニミニ矢羽根

静岡県の清水区。三保松原で有名な三保半島にある超ミニサイズの連続矢羽根。小さいにもほどがある! これはナショナルサイクルルート指定前からあったもので、今後は規定のサイズに変更していくという。同様のものは神奈川県の湘南エリアなどでもも見られる。

「三保の小矢羽根」とマニアに珍重されるミニ連続矢羽根


湘南エリアにも見られる「サザン・オール小矢羽根ーズ」

4位:サイクリングロードに矢羽根!?

矢羽根は「自転車の走行空間を示す」ものとされている。
つまりクルマと混走する場所にはあるが、すべてが自転車の走行空間である自転車歩行者専用道にはないはずのもの。
ところが千葉県匝瑳市の海岸沿いを走る自転車歩行者専用道には堂々とした矢羽根が!なんでだ!?

散歩する歩行者などに「ここは自転車が通るんだね」と思わせる効果はある

3位:伊豆半島のミニ矢羽根

伊豆半島に入ると出現する、サイズの小さい矢羽根。これは太平洋岸自転車道がナショナルサイクルルートに指定される前に敷設されたもので、路肩の狭さなど伊豆の道路事情を考慮しての措置だという。
今後も伊豆はこれでいく!ということだ。

路面標示や路側帯と比べると、その小ささがわかる。標準のものとくらべ半分程度の大きさだ。伊豆半島はすべてこの大きさ。伊豆半島を回って沼津に入ると標準タイプに変わり「矢羽根デカッ!」と思う

2位:蒲原・由比の薄紫矢羽根

太平洋岸自転車道が静岡市清水区の蒲原に差し掛かるところで現れる、ビミョーに色の違う矢羽根。
聞いてみたら「工事の時期の関係などで多少色が変わることはある」ということだが、そんな馬鹿な!?と岩田は思っている。またこのあたりには「薄い」矢羽根もある。

個人的には環境に配慮したものだろうと睨んでいる


由比にある薄型の矢羽根。いすれにせよこれらは太平洋岸自転車道用の矢羽根ではないことは判明しているのだが

1位:鬼ヶ城の鬼曲がり矢羽根

ナンバーワンはぶっちぎりでコレ!
三重県熊野市の景勝地、鬼ヶ城の前を通過する歩道橋の先、鬼ヶ城歩道トンネルの前にある、90度曲がった珍矢羽根。いや、もう矢には見えないから矢羽根でもない。これはトンネル内の歩道部分を通らせるために苦肉の策として採用されたもの。わかりやすい!

もう矢羽根とは言えない


トンネルは一方通行、その手前まで対面通行という複雑な交通規制がこの芸術を生んだ

ここってホントに太平洋岸自転車道!?

日本が世界に誇るサイクリングルートであるナショナルサイクルルート。
その指定を受けた太平洋岸自転車道だが、そのルートにはなかなか楽しい場所が登場する。

階段自転車道

ルートには階段を通るところもある。青森県の竜飛岬にはクルマが通れない「階段国道」があるが、こちらも自転車が走れない「階段自転車道」だ。
しかしPCRサイクリストたるもの、こんなことでひるんではいられない。担いだり押したりして難所をクリアするのだ。

愛知県田原市戸越町の階段自転車道


静岡県磐田市の浅場海岸近くの階段自転車道。自転車をスムーズに押せるようにスロープが設けられている


静岡県吉田町にも


こんな地下自転車道もある。静岡県牧之原市

由比ワンダーロード

交通標識も路側帯もない、なんとも不思議な道路。
いや、道路じゃなくて空き地を走っているような気分にさせる道路。静岡市清水区の由比から興津へ抜ける区間にある、名付けて「由比ワンダーロード」。
この「ここってホントに道路なの?」感は、ぜひ走って確かめてほしい。

ここがワンダーロードへの入り口


なんだか高速道路と国道の間にできちゃった空き地、って感じの道。標識や路側帯がないのは警察による規制がされていないから。規制されてないってことは警察的には道路と認識してない、ってことらしい。

歩道橋自転車道

太平洋岸自転車道は歩道橋もガンガン渡る。
静岡県駿河区や三重県熊野市にある歩道橋はルートを通じて珍しい歩道橋自転車道だ。もちろんSNS映えスポット。

三重県熊野市の歩道橋自転車道。スロープがあるので自転車を押しやすい

グラベルさんいらっしゃい

ほんの短い区間だが太平洋岸自転車道には未舗装路も存在する。
富士川を渡ったところと三保松原にあるが、こういうのは舗装したりせず、ぜひ「名所」として残してほしい。

静岡県の新富士川橋を渡った先にある短いグラベル区間


静岡市清水区の三保半島にあるグラベル区間。松林を抜ける場所だ

すれ違えない太平洋岸自転車道

こ、ここがホントに日本が世界に誇るナショナルサイクルルートかっ !?と岩田も目を疑った。
静岡県の太平洋岸自転車道にはこんなに細い歩道がルートになっている場所があるんです。静岡県、ワイルドだー。

静岡市駿河区にある国道150号。この場所は和歌山方面行き、銚子行き両方がこの狭い歩道を走る。この写真、ランドナーマニアはトラックの「TOEI」に激しく反応


ここもかなり狭い。静岡市清水区


ここもすごい!静岡県磐田市、太田川を渡ったところ、太平洋岸自転車道狭い道選手権1位かも

砂に書いたラブレター

海岸沿いのサイクリングロードは砂が堆積しやすい。そのためタイミングによってはこんなに砂が堆積していることも。
千葉県、神奈川県、静岡県の海岸沿いではありがちな風景。ここはサハラ砂漠か!?

千葉のサハラと呼ばれる千葉県匝瑳市吉崎浜付近


神奈川の辻堂海岸付近もこんな状態のことが。砂まじりの茅ヶ崎♪どころではない 写真協力:pressports.com

大磯プリンス自転車道

ホテルの敷地内(?)に敷設された矢羽根。ここってホテルの敷地内では!?と誰もが思うおもしろポイント。

こんなとこが太平洋岸自転車道だったなんて。どう見てもホテル内の私道

自転車は横断歩道を渡りましょう

横断歩道も太平洋岸自転車道の一部。道路交通法的には歩行者がいない場合は乗って通れるはすだが、まあ降りて歩くのがいいよね。

静岡県富士市。このあたりはかなりテクニカルにルートが作ってある


静岡県清水区の「由比ワンダーロード」入り口の西倉沢の信号。ここで国道1号をわたる

自転車は右側通行。ええっ!?


写真を反転したわけではない。三重県の紀北町長島にあるダブルルート分岐部分。和歌山川から走ってきて長島トンネル(ルートは歩行者用トンネル)を出ると、こんな路面表示が!

こんな珍スポットを見逃すな!

ほかにもまだまだ楽しいスポットはいっぱい。こんな場所に出合ったら、ぜひ写真におさめて発信しよう!

天国への階段

以前はここに車止めがなく、うっかり突っ込むとそのまま天国行き、ということで名付けられた「天国への階段」。
今はしっかり対策されています。利用者が声を上げることでしっかり改善されていくという、太平洋岸自転車道改善における記念碑的な場所。

和歌山県白浜町の国道42号から自転車歩行者専用道に入る場所にある

出会いの矢羽根

双方向の矢羽根がいちばん接近しているのはどこだ問題。
いくつかの候補があるが、まだ決着はついていない。メジャーを持って計測しながら走る太平洋岸自転車道マニアの出現を待っている!

2021年に全ルートを走破した「和歌山サイクルプロジェクト」が推すのがここ。和歌山県由良町の白崎海洋公園手前にある。写真左がメンバーのGONZAさん、右が野地教弥さん


岩田が推すのはこちら。静岡県吉田町


これもかなりのもの。千葉県匝瑳市。不毛な戦いに終わりはない

ガングロな案内看板

三重県の志摩エリアにだけある、茶色の案内看板。屋外広告物条例による配慮だという。パールロードなどにあるので、見つけたら記念写真を!

同じ志摩市内でも青いものもある。これは三重県志摩市浜島町にある

もうどうにも止まらない

なぜそんなに止まらせたいのか。まったく意味がわからないがゆえに笑ってしまう表示。この「止マレ 一時停止」が連続して登場するからたまらない。「またかよー!」と叫びながらブレーキングするのが正しい走り方。

愛知県田原市には、こんな「止マレ 下車」の指示が多い。きっちり止まって楽しむのが正しい

大磯の関

こんなにも多くの表示を用いながら、それでも旅人を迷わせる、人呼んで「大磯の関」。
作った人は一生懸命ルートを案内しようとしているのだが、それでも初めての人は必ずここで迷ってしまうという呪われた場所。

神奈川県大磯市の大磯港近くにあるワンダースポット。独特の結界が張られた場所で、看板の「太平洋岸自転車道右折してください」という悲痛な呼びかけが、さらに利用者を迷わせる。あなたも事前情報なしで挑戦してみては?

キミの行く道は……そっちじゃない!

矢羽根と路面標示が違う方向を指示する。そんなトラップをかいくぐって走るのが太平洋岸自転車道サバイバー。正しくは路面標示に従う、です。

名所となりつつある静岡市清水区のJR新蒲原駅手前のY字路。路面表示に従い左折が正解です


静岡県沼津市街。この案内看板を見逃したら、矢羽根とともに果てしなく直進できます

キミの行く道は……こっちだ!

矢羽根は自転車の走行空間を明示するもので、進行方向を示すものではない、と国土交通省も明言している(次回の連載にインタビューを掲載)が、どう見ても方向を指示している矢羽根もある。
いいじゃないか、わかりやすければ。

車道から堤防上の道へと力づくで誘導する矢羽根。千葉県旭市


三重県熊野市の鬼ヶ城前にある歩道橋。鬼ヶ城ゴーイングマイウェイ


歩道から車道へ誘導する矢羽根。なぜここで車道に出なければならないのか。矢羽根は黙して語らず

キミの行く道は……どっち?

太平洋岸自転車道にはルートが2方向に分かれる場所がいくつもある。この表示だけではどっちへ行けばいいのかわからない。だからMAPをしっかり確認して走りましょう、ということを教えてくれる案内表示。

三重県の紀北町長島にあるダブルルートの案内看板。どちらに行ってもその先どうなるかはわからない。人生の岐路と同じだ


和歌山県由良町の分岐。危険なトンネルを行くか、険しい山道を選ぶか。自転車人としての生き方を問われる分かれ道

もうどうにでもして!

快調に矢羽根とともに走ってきたのに、急にその矢羽根が信じられなくなるのは沼津市街。どっちへ行けっていうんだ!?

初めてここに出くわしたときは驚いた。もう驚かない。矢羽根なんてそんなもん

太平洋岸自転車道激坂選手権!

ルート上の上り坂(銚子から和歌山方向)のキツさをランキング。個人的な感覚と、データ計測による勾配のキツさで選んだが、距離的にハードな上りも入れてみた。(協力:太平洋岸自転車道をタンデムでつないじゃえプロジェクト)

5位:太地の鯨坂

千葉の銚子にあるドーバーラインの手前「地球の丸く見える展望館」への坂と争って栄えある5位を獲得。
和歌山県太地町の太地港を左手に見ながら上る勾配9%の坂。道の駅たいじの先、くじらのモニュメントやくじらの博物館をすぎて、油断したところに現れる。景色はサイコーだが見る余裕はない。

左手に小さくなっていく太地漁港を見ながらの苦行

4位:潮見坂

道の駅潮見坂をすぎてすぐの、国道1号潮見バイパスの横を走る上り。本来の潮見坂は別の場所にあるが、太平洋岸自転車道サイクリスト的にはここが潮見坂。最初は5%くらいの坂が、最後は瞬間最大勾配12%に!

地元サイクリストが「走るたびにキツいと思う」という潮見坂。じわじわと勾配が増していく

3位:亀石峠

伊豆半島をショートカットするルートにある亀石峠は、海岸から峠まで6.7kmの上り。
6〜7%の上りが続き、瞬間最大勾配は10%。これに匹敵するビッグクライムは三重県尾鷲市の大又トンネルまでの上りだが、勾配で亀石峠の勝ち。

2023年5月にタンデムで太平洋岸自転車道を走破した「太平洋岸自転車道をタンデムでつないじゃえプロジェクト」もここがキツかったと太鼓判

2位:キンチョー坂

和歌山県海南市の大崎漁港からキンチョーでおなじみ大日本除虫菊の和歌山工場までの坂。
とくに上り口の250mは10%超えの激坂。途中下り部分もあるが、たたみかけるように続く上りに心が折れるサイクリスト多数。

上り口からキツいが、その奥に見える坂の勾配に絶叫。岩田は早々にあきらめて押しまくった


キンチョーの工場があるからキンチョー坂

1位:伊良湖のドーナツ坂

勾配でダントツ1位になったのは愛知県の伊良湖岬手前にあるこの坂。
なんと路面がコンクリートのドーナツ(Oリング)模様になっていて、これは全ルートでここだけ。距離は短いが勾配はなんと15%!

アスファルトが流れてしまうような急斜面にコンクリートの舗装がされるんだそうだ


激坂を上り切って見られる絶景

岩田的「映え写真」10選

最後に岩田が撮影した写真のなかから、映えスポット紹介を兼ねて10カット選んでみた。撮影はすべてスマホで、走りながら適当に撮ったものや立ち寄り先で撮ってもらったもの。
天候や時間帯がよくて偶然撮れたものも多いが、太平洋岸自転車道には映えスポットが多いので、ぜひカッコいい写真をねらってみてほしい。


和歌山県串本町の橋杭岩。有名なスポットだが、この写真は道の駅駐車場の先を左に入ったところで撮れる。ほんとうは岩に朝日が当たる早朝がキレイ


愛知県田原市赤羽根町の太平洋ロングビーチに下りていく坂道。通称アカフォルニア(赤羽根のカリフォルニア)


静岡県の菊川にかかる自転車歩行者専用道の橋、潮騒橋。ここで走り写真を撮るとバックに海と風力発電の風車が入ってキレイ


静岡県伊豆市の土肥港。こういう夕暮れの写真は天気とタイミングが合えばどこでも撮れる


和歌山県すさみ町にあるFRONT110は元警察署を改装した観光案内施設。昔使われていた留置場などが残されていて、記念撮影できる


愛知県田原市の自転車歩行者専用道沿いにあった、ビーチハウスか何かの残骸。なぜか雰囲気がある


三重県鳥羽市。生浦湾越しにパールロードの入り口である麻生の浦大橋を望む


静岡県伊東市で見かけた温泉の巨大看板。怖いほどの迫力


三重県鳥羽市の大王埼灯台。ルート上にはカッコいい灯台がたくさんあるので、それを巡るのもおすすめ


静岡市清水区の三保半島にある清水三保海浜公園から見た富士山。光学望遠で画質が荒いが、うまく望遠系のレンズを使えば富士山を大きく入れられる。天気がよければもっとキレイだったろう

次回最終回!

ついに国土交通省へ乗り込む!担当者に「ホントのとこ」を直撃インタビュー

太平洋岸自転車道実走調査⑳ 国土交通省担当者に直撃インタビュー!
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執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

※写真・取材協力:太平洋岸自転車道をタンデムでつないじゃえプロジェクト

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太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

 

実走調査!日本の自転車道 ルート1 富山湾岸サイクリングコース ①解説編

実走調査!日本の自転車道 ルート1 富山湾岸サイクリングコース ①解説編

日本のサイクリングルートを走破していく新シリーズ。国土交通省のナショナルサイクルルートHPに掲載されている「サイクルツーリズムの推進モデルルート」を中心に、各地の自転車道を不定期連載で紹介していく。各レポートは解説編と実走編で構成され、これから走る人に向けた実用ガイドを目指している。

第1回目はナショナルサイクルルートにも指定されている富山湾岸サイクリングコース。まずはその概要を解説しよう。

DATA
富山県氷見市脇(石川県境)→富山県下新川郡朝日町境(新潟県境)
距離:102km 獲得標高:435m 最大標高:35m
実走調査日:2023年7月26日〜27日

 


魚津市の海の駅しんきろう先の海岸線。シーサイドコースとして日本屈指の爽快さだ

成り立ち

2021年5月にナショナルサイクルルート(第2次)に指定

富山湾に沿って石川県との県境から新潟県側の県境までを結ぶ全長約102kmのサイクリングルート。2014年から整備が開始され、2015年に氷見市から朝日町までの88kmが富山湾岸サイクリングコースとして制定された。2018年には「富山県サイクリングコース整備連絡調整会議」の発足にあわせ、ナショナルサイクルルートの指定要件(ルートの延長がおおむね100km以上であること)を満たすべくそれぞれ県境までルートが伸延され、現在のルートとなった。

2021年には国土交通省により第2次ナショナルサイクルルートの指定を受け、連絡調整会議が「富山県自転車活用推進連絡会議」に発展、現在の整備推進を担っている。

おおもととなったのは1973年から全国で整備が始まった大規模自転車道のうちのひとつ、富山県道375号富山朝日自転車道線。富山市鵯島と朝日町の越中宮崎駅をつなぐ約43.9kmの自転車歩行者専用道(サイクリングロード)は、富山魚津自転車道線、富山黒部自転車道線など複数の名称で呼ばれながら、現在は一部が「しんきろう自転車道」(愛称)として親しまれている。この海岸線ルートに氷見側の海岸線(おもに国道160号)を追加して整備されたのが富山湾岸サイクリングロードだといえる。


多言語で表示された全体コース案内看板が全部で6カ所設置されている

ルート概要

富山湾に沿って走る超フラットな102km

ルートは基本的には一本道。西の端は富山県氷見市内、JR氷見駅から約15.5kmほど海沿いに行った石川県との県境(MAP①)。反対側は朝日町の越中宮崎駅から3kmほど先の新潟県との県境(MAP⑲)。どちらが起点終点というわけではなく、両方にルートの起終点を示す表示がある。

海岸沿いといっても日本海から連想されるリアス式の海岸ではなく、出入りのほとんどない穏やかな地形の富山湾に沿った道なので、高低差はほとんどないと言っていい。実走した印象としては氷見側起終点と氷見市街の間にひとつアップダウンがあるだけで、坂が苦手な初級者やファミリー層にも安心して走れるルートとなっている。

また一部ダブルルートとなっている場所があるが、これはルートの海沿い部分で冬期や荒天時の予備ルートが設定されているもの。基本は海沿いのルートをたどれば問題ない。

おおまかに言うと氷見川起終点から富山市の神通川を渡るまでが一般道、そこから朝日側起終点までが自転車歩行者専用道をつないで走るイメージ。一般道はコンビニや商店などもあるので問題ないが、自転車歩行者専用道部分は自動販売機などがなく補給に困ることも考えられるので、注意したい。

海沿いのルートということで風の影響を受けやすいので、季節や風向きによって氷見側から走るか朝日側から走るか判断するといいだろう。


一般道と自転車歩行者専用道を組み合わせてルートとしている


地図上の数字は解説中の数字に対応

アクセス

氷見側起終点へは往復するしかない

東京から北陸新幹線で行くとJR富山駅は意外に近く、最速2時間8分で着いてしまう。しかしここから起終点までのアクセスはあまりいいとは言えない。

今回の実走調査では氷見側の起終点から走り始めることにしたが、時間帯によってはあいの風とやま鉄道高岡駅→JR氷見駅までの接続が悪く(運行本数も少ない)、さらに氷見駅から起終点までの公共交通機関は利用できない。高岡駅からの路線バスがあるにはあるのだが、輪行状態にしても自転車は持ち込み不可だ。そのため氷見側の起終点までは氷見駅からの往復を余儀なくされる。片道15kmなので走ってしまえばいのだが、一度走った道を引き返すのは面白みがない。また実質裏道もない。

また反対の朝日側はあいの風とやま鉄道の越中宮崎駅から3kmほどなのだが、東京から来るとここまでのアクセスも悩ましい。北陸新幹線で糸魚川に出て、そこから自走してしまえと思うかもしれないが、この間には親不知・子不知(おやしらずこしらず)という交通難所があり、道幅が狭くトンネルも多い。クルマでも大変だというこの区間を自走するのはおすすめできない。結局糸魚川からえちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインで市振駅までそのまま輪行してしまうことになるが、ここも運行本数は少ない。

どちらから走り始めるにせよ、列車の接続をよく考えないと大変なことになる。または全線を走るのをあきらめ、西側は氷見駅から走るのも手だ。または起点を富山駅にしてあいの風とやま鉄道の「あいの風サイクルトレイン」を利用して入善駅へ行き、そこから氷見側へ向かい、帰りは氷見駅から輪行して富山駅で新幹線に乗り継いで帰る、といった行程も考えられる。いずれにせよ富山湾岸サイクリングコース攻略にはアクセスの工夫が必要だ。


氷見駅はJR氷見線の終着駅。ここから先は自走するしかない


氷見側の起終点は石川県との県境


第3セクターであるあいの風とやま鉄道は、素晴らしい専用ラックを使ったサイクルトレインを運行している。予約制なので注意

ルート高低差

獲得標高は430m

JR氷見駅から起終点までの国道160号で、2つめのトンネル(MAP④)を過ぎた大境という集落付近にゆったりしたアップダウンがある。あとは雨晴海岸にも少し上り下りがあるが、あとはルートに起伏はほとんどなく、とくに富山市から東側は真っ平らだと言っていい。とはいえ細かいアップダウンの累積なのか獲得標高(上りの標高差の合計)は435m(実走値)となった。初級者やファミリーにも走りやすいのがこの富山湾岸サイクリングコースだ。


出典:とやまサイクリングマップ(富山県観光振興室)


氷見市の上庄川にかかる比美乃江大橋(MAP⑤)。こういう橋の上り下りがアップダウンといえばアップダウン

道路状況

一般道、自転車歩行者専用道含めおおむね良好

海沿いの自転車歩行者専用道を多く走るので砂の堆積などが心配だったが、通行に支障をきたす箇所はみられなかった。また草の繁茂などもなく、自転車歩行者専用道部分はしっかり管理されている印象。

また一般道部分は自転車走行帯の狭い部分もあるが、とにかく交通量が少ないので問題に感じることはなかった。この交通量に関してだが、今回は学校の夏休み期間中とはいえ平日の調査。さすがに土日は観光などで交通量も多いのかと地元の人に聞いたところ、やはり少ないとのこと。自転車にとっては走りやすい環境だ。


海岸線の自転車歩行者専用道も砂の堆積はこの程度


氷見市内の国道160号。とにかく交通量が少ない

走行注意ポイント

氷見市内と高岡市内にトンネルが3カ所

交通量の少なさもあって、走行に危険を感じるような場面は皆無だった。氷見側の起終点から富山市方面に向かって走ると3カ所のトンネル(MAP③④⑦)があるが、短いうえにクルマも来ないのでまったく問題なかった。富山市内では交通量の多い国道415号を通るが、状況に応じて歩道を走るようにすれば問題なく通過できる。

富山市内の海岸沿いの自転車歩行者専用道には車道を横切るところに車止めが多く設置されている(MAP⑭)が、これが進行方向に対して見づらい設置となっていて、ぼんやり走っていると接触してしまう危険がある。この設置方法は一考する必要があると感じた。


道の駅雨晴先のトンネル(MAP⑦)。歩道もあるが交通量が少ないのでまったく怖くない


全ルートでもっとも交通量が多いのがこのあたり。富山市内の国道415号(MAP⑫)


なぜこういう設置方向なのか。走りやすいとも言えるが、見落とすと接触する危険がある。何か看板を付けてほしい

ルート案内の状況

新旧の案内表示が混在する

路面に複数の案内表示が混在するのがよくも悪くも富山湾岸サイクリングロードの特徴。

まず路面標示だが、氷見側で最初に目につくのが新しいブルーの矢羽根。これはナショナルサイクルルート指定後に整備されたもの。またそのナショナルサイクルルートのシンボルマークと多色を用いた自転車ピクトグラムも要所に配置されていて目につく。しかしこの矢羽根と混在して、10m間隔で敷設された青い破線のコース表示もある。これはナビゲーターラインと呼ばれ、ナショナルサイクルルート指定以前に整備されたルートガイド。ラインの先に進行方向を示す小さな矢印がありコースの確認には有用だが、西へ向かうにつれほかのコースとの分岐などで迷う場合もある。

とくに魚津付近では「魚津周遊コース」などほかのルートの表示が混在するようになり、コースミスしないように注意が必要だ。

矢羽根はルートガイドではなく自転車の走行空間を示すものだが、ナショナルサイクルルートの指定要件になってしまっているため、今後はナビゲーターラインではなく矢羽根中心の整備になっていくかもしれない。ただナビゲーターラインはわかりやすいので、うまく併用したルート表示にしていってほしいと思う。


ナショナルサイクルルートのシンボルマークと自転車ピクトグラム。多色を用いたものはコスト高になるので、全国的に見ても珍しい


自転車の走行空間を示す矢羽根とナビゲーターラインが共存する。ナビゲーターラインは古い表示とのことだったが、新しいナビゲーターラインも散見された


分岐点手前のナビゲーターラインには小さな矢印がついていて、ルートの方向を示している


しんきろうサイクリングロードと重複する区間ではこのような表示が多くある


細い路地がルートになるところにはミニ矢羽根も

途中で表示がしんきろうサイクリングコースに

次に案内看板。「富山湾岸サイクリングコース」と表示されたコース分岐点誘導標識が分岐部にあり、非常にわかりやすい。ルート案内の役割は矢羽根ではなくこの標識が担わされている。ただひとつ問題は、この表示が富山市の岩瀬浜海水浴場から生地町の間で約30kmにわたり「しんきろうサイクリングコース」に変わってしまうこと。このしんきろうサイクリングコースの表示は平成26年に富山湾が「世界で最も美しい湾クラブ」に加入したのにあわせ、台湾などからの観光客に向けて整備されたもの。サイクルルートとして富山湾岸サイクリングコースが整備される前からあったため、重複する部分はそのまま活用されているという。

その成り立ちを知らないとサイクリストが混乱するおそれもあり、今後は富山湾岸サイクリングコースへの表示切替が検討されていくことだろう。ちなみにしんきろうサイクリングコースは愛称で、正確には富山県道375号富山朝日自転車道線となる。本来この富山朝日自転車道線は富山市鵯(ひよどり)町から朝日町の越中宮崎駅まで続くのだが、生地町から先は表示などが未整備であったため、この区間は富山湾岸サイクリングロードの表示になっているというわけだ。

またルート上には現在地から起終点までの距離を表示する目的地距離標と呼ばれるポールが5kmおき(計画時)に設置されていて、距離の目安としてとても便利。さらにサイクルステーションまでの距離を示すポール標識も整備されている。


非常にわかりやすい分岐誘導標識。進路の指示は矢羽根ではなくこの標識が担っている


富山市から入善町までの間はしんきろうサイクリングコースの表示に変わる(MAP⑭)。事情を知らないと富山湾岸サイクリングコースはどこへ?と思う


しんきろうサイクリングコースの案内。ライトレールの岩瀬浜駅からJR生地駅まで。表示は日本語、英語のほか韓国、台湾、中国の言語にも対応


ゴールまでの距離を表示する目的地距離標


サイクルステーションまでの距離表示

迷いやすいポイント

迷うことはほとんどない

しんきろうサイクリングコースの表示が混在することさえ理解していれば、路面標示、分岐点の誘導標識とも充実しているので、迷うことはない。

ただ高岡市の伏木から小矢部川を渡った先の交差点(信号のない交差点を鋭角に右折)は、メインの道路から急にそれるため、事前の指示を見落とすとコースミスしがちだと思った。よく見ると事前のナビゲーターラインの矢印があるのだが、橋からの下りでスピードがのっているため見落としがちで、分岐点誘導標識が突然現れる、という感覚。路面に大きめの表示を設置してほしいと感じた。

またサブルートになっている場所が大小合わせ5カ所あるが、予備知識なしに通りかかるとどちらへ進めばいいか迷いがち。以前太平洋岸自転車道を走ったときも感じたが、なぜサブルートになっているのかを案内できるといいと思う。


急にこの分岐誘導標識が出てきた!と思ったが……


手前をよく見たら矢印があった


どっちへ行けばいいのかわからない


こうやって表示があればわかりやすい


これもわからない

観光&ビューポイント

ルートから少しそれて観光を楽しみたい

ナショナルクラスの観光地も多い富山県だが、このサイクルルート沿いにはそれほど多くの観光スポットがあるわけではない。だが氷見市のまんがロード、射水市の内川エリア(MAP⑨)、富山市の海王丸パーク(MAP⑩)、新湊大橋(MAP⑪)、岩瀬の町並み(MAP⑰)、黒部市にある生地の清水(しょうず)(MAP⑰)、朝日町のヒスイ海岸(MAP⑱)など、ぜひ訪れたい場所がたくさんある。

またビューポイントはなんといっても氷見市の米良から見る「虻ケ島越しの立山連峰」(MAP②)と、高岡市の道の駅雨晴近辺から見る「海越しの立山連峰」(MAP⑥)だ。富山湾の海の向こうに3000m級の山々が連なる様子は、富山県を代表する絶景。12月から2月ころの積雪があり空気が澄んだ時期にきれいに見えるというが、サイクリングシーズンにも運がよければその雄大な景色を見ることができる。また氷見側から走ると右側に見える山々のパノラマも美しい。


氷見市は藤子不二雄Ⓐの故郷。まんがロードには怪物くんや忍者ハットリくん、プロゴルファー猿などのオブジェがたくさん


日本のベニスとも言われる内川地区


海王丸パークの「世界で最も美しい湾クラブ」モニュメント。ここには商船学校の練習船として活躍した海王丸が展示係留されている。横浜港の日本丸とは姉妹船


新湊大橋は自動車道の下が自転車と歩行者の通路となっていて、ここがルートに設定されている


ヒスイ海岸。熱心にヒスイを探す観光客がいた


虻ケ島越しの立山連峰。今回の調査時はこんな感じ。ちなみに立山という名前の山はなく、3つの峰の総称だそう


電車の中で見た海越しの立山の景色。いつかしっかり見てみたい!

DATA

とやまサイクルナビ
https://cycling-toyama.jp/

とやまサイクリングマップ
https://cycling-toyama.jp/wp-content/themes/cyclemap/top/pdf/TOYAMACYCLINGMAP_jp.pdf

次回は富山湾岸サイクリングコース②実走編その1

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

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実走調査!日本の自転車道 ルート1 富山湾岸サイクリングコース ②実走編その1

実走調査!日本の自転車道 ルート1 富山湾岸サイクリングコース ②実走編その1

日本のサイクリングルートを走破していくシリーズ。国土交通省のナショナルサイクルルートHPに掲載されている「サイクルツーリズムの推進モデルルート」を中心に、各地の自転車道を不定期連載で紹介する。第2回めは富山湾岸サイクリングコースの実走レポートその1。

DATA
富山県氷見市脇(石川県境)→富山県富山市岩瀬
距離:63km 獲得標高:260m 最大標高:35m
実走調査日:2023年7月26日

どうやってスタート地点へ行くか?

富山湾岸サイクリングコースは、自転車雑誌編集長時代に取材で訪れたことがあり知識は人一倍あるのだが(笑)実際に自分で走ったことはない。ナショナルサイクルルートを走ってないってのはまずかろう。そんな思いでシリーズ1回目は富山に決めた。

この富山湾岸サイクリングコースは基本的に一本道。氷見市側から走るか朝日町側から走るかだが、なんとなく氷見側からにしようと決めていた。どっちが起点とか終点とかないらしいんだけど、自分のなかのイメージだ。左側通行で湾を左手に見て走る。T字路でも道が交差しないので安全だというのもある(同様の理由で島は時計回り、湖は反時計回りが基本だとされている)。

で、どうやって氷見側の起点まで行こうか。じつはこれがなかなか難問だった。


千葉の最寄り駅を始発で出て、富山着は9時28分。しかし氷見駅に着いたのはそこから2時間後だった。JRのチケットはとやまあいの風鉄道もスルーで買えた


新幹線は混んでいなかった。これより遅い便だと接続はいいかもしれないが、平日だったので東京駅までの通勤ラッシュに巻き込まれる恐れが


北陸新幹線には東海道新幹線のような特大荷物コーナーつき座席はない。でも空いていたので問題なく輪行袋を置けた

富山駅から氷見駅は遠い?

解説編にも書いたので詳細は省くが、結局東京駅から北陸新幹線で富山、そこからとやまあいの風鉄道で高岡、さらにJRに乗り継いで氷見、というルートにした。富山まではあっという間に着くんだけど、高岡で1時間待ちになったのが痛かった。


高岡駅まではスムーズに来られたのだが、そこで1時間待ち。氷見行きのバスがあったので乗れるか聞いたら輪行してもダメだって。冷房の効いたバス待合室で過ごせたのはラッキー


待っているあいだに通勤ラッシュ時間を過ぎたので輪行も問題なし


氷見線の電車はボタンを押してドアを開ける方式


懐かしい扇風機


氷見駅でやっと輪行を解く。走ったのは7月末。外にいると恐ろしいほど暑い


やっとサイクリングの始まりー。結局氷見駅からスタート地点まで自走に。行きは違うルートを走りたかったが、いい道がなかったので結局往復することになってしまった


駅を出るとさっそく富山湾岸サイクリングコースの道標が


そして路面にはナショナルサイクルルートのシンボルマークと富山湾岸のピクトグラムが。気分が盛り上がる

やっとスタート地点にたどりつく

スタート地点まで約15km。猛暑でヒーヒーいいながらようやく氷見側の起終点である石川県との県境まで来た。太平洋岸自転車道の起点である銚子や終点の和歌山のようなモニュメントを期待していたが、わりとシンプルな看板のようなものしかなかった。設置スペースがないってことかな。

そして路面にはゴールまで102kmと表示されたペイントが。いよいよスタートだ!


路面のペイントがゴールまでの距離102kmを示す


堤防の上にある石川県と富山県の県境標


堤防に貼り付けられたスタートのモニュメント(?)


その上にあるコンパスみたいなオブジェは、ほぼ真東にあるゴールの朝日町の方向を示している


道の反対側には朝日町側から走ってきた場合のゴールのペイントが。ここはスタートでありゴールでもある、ということだ


「ここから」と表示された誘導標識も

暑い、あまりに暑い

スタートで時間を食いすぎてしまい、なんだかんだで走り始めたのは午後1時半。家を出てから8時間もたっている。日が長い時期とはいえ焦る。風はほぼ無風。平坦な海沿いをゆるゆると走り始める。

平日の午後。それにしてもクルマが少ない。自動販売機やコンビニで休憩しながら走り、氷見市街に戻ってきた。食事は氷見漁港の魚市場食堂。取材経験があるので、立ち寄りポイントなどどこに何があるかはわかっている。そういう意味ではちょっとつまらないかも。

あまりに暑いのでデイリーヤマザキでアイスクリーム休憩。店員さんに、このへんはいつもこんなに暑いのかと聞くと、「ここ数日はとくに暑いですね。でも東京のほうがもっと暑いってニュースで見ましたよ」。そうなんです。東京も危険な暑さ。ここ富山でも外での運動は控えましょうと言われているなかでのサイクリング。すみません。


米良の駐在所前に虻ケ島越しの立山連峰のビューポイントが。このハート型のモニュメントはルート上で3つあった


国道160号は堤防脇を走ったり集落を抜けたりしながら氷見を目指す。クルマは来ない


コンビニにはシンボルマーク入りのサイクルラックも


切り立った白い崖が印象的な半島。ここには阿尾城という城の跡がある。後で知ったが展望台もあるので行ってみればよかった


魚市場食堂で海鮮丼。大きい方から順にはんさ盛り、やわやわ盛り、ちょっこし盛りとあり、今回は暑さで食欲がないのでちょっこし盛りで。それでも十分なボリューム


比美の江公園。休日にはランニングする人などで賑わうのだろうが、平日の炎天下とあって誰もいない

ミニ矢羽根発見!

氷見市街地を海沿いに抜け、漁火ロードという道から海沿いの自転車歩行者専用道へ。富山市より西側では唯一の自転車歩行者専用道部分だ。この分岐には「12月から3月の間及び荒天時は迂回ルートへ」という表示があり、海岸沿いの道は海が荒れたときなどは危険なんだなとわかる。ダブルルートの分岐では、こうやってちゃんと理由を書いてほしいよね。

この自転車歩行者専用道でミニ矢羽根を発見。通常の矢羽根の半分くらいの大きさで、伊豆半島にあるものと同じくらいのサイズ。知る人ぞ知る秘密結社、日本矢羽根研究所の所長(笑)としてはテンションが上がる。


漁火ロードから海岸沿いの自転車歩行者専用道へ


ところどころゲートが閉まっていて、そこを迂回する


ミニ矢羽根発見。ちなみにこのサイズも県の道路仕様書で認められていれば設置が可能


こんな路地を通って雨晴駅へ


雨晴駅には「海越しの立山連峰」の大きな写真が。これをナマで見たいなー

チャンスかピンチか!?

道の駅雨晴(あまはらし)の前は海越しの立山連峰を見る絶景ポイントであり、電車とサイクリストの並走シーンが撮れる場所として有名。今回はカメラマンもいないので海岸に出て潮干狩りをしている人達を横目に見えない立山連峰に目を凝らすのみ。この海岸に出るのに小さな踏切を渡る。聞けばここにはもともと踏切はなかったんだそうだが、線路を横切って海岸に出る人が後を絶たず、設置することになったんだそうだ。

と思ったら踏切の警報機の音が。一時間に1本しかない電車が来る! シャッターチャンスか!? いやアングルなんかを決めてる時間がない。シャッターピンチだ! とっさの判断で線路際に自転車を立てかける。そして電車が来た! 撮影! ……風圧で自転車が倒れた。


シャッターピンチ。この後、電車の風圧で自転車が倒れた。ブレーキレバーがガリッといってしまい涙


道の駅雨晴。一応サイクルステーション。個人的にはこういサイクルステーションの存在意義がわからない。サイクルラックがあって工具やポンプがあるらしいが使ったことはない。中級者以上なら工具やポンプは持ってるし。初級者はそもそも工具使えないし。パンクしてチューブ交換した後にエア圧をキッチリ上げるのにポンプがあればラクだけど。そうか、そのためのものか

世界唯一のエレベーター自転車道

取材のときに教えてもらった内川エリアへ。ここは日本のベニスと呼ばれる、運河沿いに趣のある町並みがある場所で、漁船がたくさん係留されている。秋とか暑くないときに来たかった。

しばらくグルグルと運河沿いを散策した後、海王丸パークへ。休日にイベントなどがあるときは賑わうのだろうが、酷暑の平日はデートしてる男女が一組いただけだった。そのカップルに写真を撮ってもらう。「どこから来たんですか?」と聞かれたので千葉からと答えると「えっ!?」とすごく驚かれた。走ってきたと思われたらしい。新幹線ですよ。

海王丸パークのすぐ先は新湊大橋という美しい橋。ここは車道の下にあいの風プロムナードという通路があって、歩行者と自転車が通れる。ただし自転車は押して通行する。

じつはこの橋ではなく、橋ができるまで主要な交通手段だった渡船(自転車は無料)で富山新港を渡ったほうが雰囲気があっていいんだけどコースはこちら。このプロムナードへはエレベーターで上がるのだが、このあいの風プロムナードは正式な富山湾岸サイクリングコースのルート。つまりここはナショナルサイクルルート唯一の、いや世界唯一の(日本矢羽根研究所調べ)エレベーター自転車道なのだ! それに気が付きいきなりテンションアップ。


内川。もうちょっと頑張ればいい写真が撮れそうだが、あまりに暑くやる気ゼロ


海王丸パークは写真映えするスポット。海王丸が帆を上げるのはイベントのときなどだけらしい


ルートはエレベーターへと誘導される


世界唯一のエレベーター自転車道。太平洋岸自転車道に見られる階段自転車道や未舗装自転車道が裸足で逃げ出す珍自転車道だ。エレベーターの中にもぜひ自転車のピクトグラムを! ちなみにあいの風というのは日本海沿岸に海から吹くそよ風のこと。愛の風じゃない


エレベーターを出ると、この眺望


あいの風プロムナードの全長は480m。地上と違い冷房が効いているのかと思うくらい涼しい。そのせいかランニングしているオジサンがいた。雨の心配もいらないし最高のトレーニング環境かも。運動部の学生が練習に来ているとの話も

歴史を伝える廃線跡の道

もう5時すぎ。夕暮れが迫るなか、今日の宿を目指す。海老江海浜公園のあたりから自転車歩行者専用道に入るのだが、その途中でパイプラインと書かれた看板を見つけた。注意してみると、道路脇にパイプみたいなものが埋設されているようだ。この道はこのパイプラインを地下に通すために作られた道なのかな、なんだか軌道跡を利用した自転車歩行者専用道みたいな感じだ、と思っていた。だが後で話を聞いたら、やはり昔はここに富山地方鉄道射水線という線路があったということだ。

調べてみたら新湊の越ノ潟から富山駅近く(旧新富山駅)まで続く線路(西側は今も万葉線として営業中)は富山新港の建設により鉄橋が壊され線路が分断され、富山側は廃線となったという。海を渡る代替交通機関として渡船が営業を始めたものの、新湊大橋の開通によりその渡船も利用客が激減している。つまりこのエリアの交通の歴史がここに凝縮されているのだ。地図をたどると今でもその軌道跡が富山駅近くまで確認できる。こういった歴史を伝える道を富山湾岸サイクリングコースは走っているのだ。ジーン。
新港建設によりぶった切られた線路跡が復元されていることも後で知った。ああ、行ってみたかったなあ。俺は鉄道マニアでも歴史好きでもないんだけど、人間が作ったものが廃れた場所が好きなんだよなあ。鉱山跡とか廃線跡とか空港跡とか廃墟とか。なんか夢の跡って感じに惹きつけられるのだ。

宿には18時半くらいに到着。ゲストハウス岩瀬。民家を改装して宿にしているとのことで、話し好きでオートバイでの旅経験が豊富なご主人がこのあたりのことをいろいろ教えてくれた。ほかのお客さんとも話ができ、シンプルでいい宿でした。サイクリストのお客さんも多いんだって。

今日は朝早起きだったし炎天下に走ったので疲れた。風呂に入ってスーパーで買ってきた惣菜をノンアルビールで流し込んだらバタンキュー。明日はゴールの朝日町まで走る!


軌道跡のようなサイクリングロード


道路脇にパインプラインの看板。よく見ると道路脇にパイプが。重油が通っているようだ


車道との交差点には車止めがあって走りづらい。軌道跡のサイクリングロードあるあるだ


交差の多い場所はこのありさま。もうどうにでもして


こういう型にはまらない臨機応変な案内表示はありがたい


ルートを通じていちばん交通量が多い国道415号。車道が走りづらければ歩道に逃げる


ゲストハウス岩瀬。安くて清潔。同じ旅人どうしで話ができるのも楽しかった


部屋は和室だった。ドミトリーもある。ゲストハウスなので食事は出ない。トイレ風呂共同。食事などに使える部屋でみんなで話す感じ

DATA

とやまサイクルナビ
https://cycling-toyama.jp/

とやまサイクリングマップ
https://cycling-toyama.jp/wp-content/themes/cyclemap/top/pdf/TOYAMACYCLINGMAP_jp.pdf

魚市場食堂
https://www.kitokitohimi.com/site/gourmet/uoichibashokudou.html

ゲストハウス岩瀬
https://www.gh-iwase.com/

次回は実走編その2

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

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日本のサイクリングルートを走破していくシリーズ。国土交通省のナショナルサイクルルートHPに掲載されている「サイクルツーリズムの推進モデルルート」を中心に、各地の自転車道を不定期連載で紹介する。第3回めは富山湾岸サイクリングコースの実走レポートその2。

DATA
富山県富山市岩瀬→新潟県糸魚川市市振駅
距離:61km 獲得標高:175m 最大標高:10m
実走調査日:2023年7月27日

しんきろうサイクリングコースってなんだ?

ほんとうは前日の早めに宿に着き、夕暮れに岩瀬の古い町並みを見てまわるつもりだったができなかったので今日は朝イチで散策。メインの通りだけでなく、観光地化されていない周辺の路地も雰囲気があってよかった。

岩瀬を出て少し走るとさっそく事件が。分岐誘導標識に「しんきろうサイクリングコース」の文字。あれ? 富山湾岸サイクリングコースじゃないの? 一瞬戸惑ったが、おそらくルートが重複してるんだろうということで、しんきろうサイクリングコースの表示に従って進むことに。公式HPのMAPで見てもルートは同一のようだ。

後で問い合わせてみると、富山湾岸より先にしんきろうが整備されて、標識なども新しいのでそのままになっているということだった。ふーん。でもナショナルサイクルルートとしちゃまずいだろう、それじゃ。この状態は生地(いくじ)まで続いた。


岩瀬の古い町並み。観光地として整備しているようだけど、あんまり整備しないほうが雰囲気があっていい


この手前の駐車場に、もと歌舞伎座という映画館があったらしい


映画とは違い予告編なく現れるしんきろうサイクリングコースの分岐案内標識。案内によればこのしんきろうサイクリングコースは富山地方鉄道富山港線の岩瀬浜駅から黒部市のJR生地駅まで続いている

滑川の街道がいい感じ

岩瀬浜海水浴場からは海岸沿いの自転車歩行者専用道が続く。危険な車止めなどをチェックしつつ、ちんたら走っていく。今日も酷暑だ。

こういう海岸の松林を抜けていく自転車歩行者専用道は、最初はいいんだけどすぐに飽きる。海の眺めがいいわけでもなく、生活感もなく単調だから。

常願寺川を渡り滑川市へ。白石川を渡るとだんだん雰囲気がよくなってくる。ここは県道1号富山魚津線。もうひとつ内陸側にふれあい通りという広い道があり、クルマはそっちを走るのでここは交通量も少ない。ああ、いい感じのサイクリングだなあ、と思っているとさらに味のある街道に。県道1号というくらいだから、そうとう歴史のある道なんだろう。調べてみたらこのあたりはなめりかわ宿場回廊と呼ばれているエリアで、16世紀初頭から加賀藩の宿場町として栄えた場所だという。ふーん。いいじゃないか滑川。今回はルートしか走らなかったが、次回はゆっくり散策してみたいな。


松林のなかのサイクリングロード。夏でなければもっと快適なのか?


解説編でも書いた見落としがちな車止め。横方向に置いたら通りにくいのかもしれないけど


今川橋を渡る


白岩川。前の週に行われた水道橋まつりの提灯がまだ残っていた


滑川市に入る手前の海岸沿い


「大岩道 是ヨリ四里」と彫られた石の道標。立山・大岩への参拝者に向けたものだということだ。以前は別の場所にあったという説明書きが


滑川の宿場回廊。今回のルートでいちばん気に入った場所だ

松林の中のサイクリングロードはつまらない

建物がカッコいいほたるいかミュージアムで大休止。隣接するタラソピアという海洋深海水体験施設(プール)は閉業していた。自販機でペットボトル2本を飲み干し、さらに進む。地味な向かい風がイヤな感じ。

ここから再び防風林に沿った自転車歩行者専用道に。海も見えずやはりつまらない。こういうルートを「快適な海岸線のサイクリングコース」だと思っているのは、自転車に乗らない観光行政マンだけだと思う。


ほたるいかミュージアム。ウェーブパークなめりかわという道の駅の一部。食事もできる


ここからダブルルート。左折が海沿いで、直進が荒天時のルート。この表示だけじゃわからないよお


滑川港をぐるっと回り込んで松林の自転車歩行者専用道へ


こういう感じの道を延々と走る。木陰もなく太陽がガンガン照りつける。自販機もない。泣きそう


見つけると幸せになれると言われている(?)ナビゲーターラインとセットのミニミニ富山湾岸シンボルピクトグラム。俺はルート上で5カ所くらい見つけました


こういう休憩所も整備されている。トイレは使えなかった


ミラージュランドというアミューズメント施設の観覧車が見える


ミラージュランド手前。富山湾岸サイクリングコースは左折。直進は? 調べてみたら「魚津市サイクリングマップ(PDF)」では直進が正規のコースとなっている。ええ?


次のサイクルステーションまでの距離を示す道標。太平洋岸自転車道では小さな字でどんな施設までの距離かが書いてある(走りながらでは読めない)が、ここでは表示なし。たいがい道の駅

生地で昼食難民に

道の駅蜃気楼に到着。すでに13時なので食事をしたいところだが、食堂がビミョーに観光地値段なのと暑いせいで食欲もイマイチなのでアイスクリームでクールダウンするだけにして、食事は先で探すことにする。そうだ、以前取材で訪れた道の駅生地(いくじ)にレストランがあった。グーグルマップで確認したら15時までやっている。よし。

海岸沿いを走って黒部市生地へ。道の駅のレストラン到着は14時。入っていくと「すみませーん、今日は2時で終わりなんですー」。おい。

このへんで食事ができるとこはないか聞くと、「うーん、このへんはあんまり……。牡蠣の星とか……」。そのレストランは知ってるが、高級でサイクリングの昼食にはどうか。ディナーならいいんだけど。

結局、コンビニでパンとペットコーヒー。まあサイクリングあるあるだ。いつもいつも名物料理が食べられるとは限らない。


道の駅蜃気楼にあるモニュメント「風の地平線 蜃気楼」


お刺身定食1900円にビビる庶民な俺。ソフトクリームでがまん


冷房の効いたところで食べるソフトクリームでリフレッシュ


富山の方言。きときとは有名。正座する→おちんちんかく で爆笑


3つめのハートマークのモニュメント。ここは蜃気楼のビューポイント


ルートでも最高に気持ちいいシーサイドロード。日本海とは思えない


ファミリーマート前の駐輪場。クルマの駐車場もあり、このあたりも蜃気楼スポットらしい


炎天下で散歩中のおじさんに写真を撮ってもらった。どこから来てどこへ行くのかと聞かれたので氷見から朝日まで走っていると答えると、例によって驚かれる。俺はどこから来てどこへ行くのか。哲学的な命題だ


また出た。これは先ほどの魚津市サイクリングマップによれば直進すると「田園コース」(これも富山県が作ったルート)への接続コースということなんだけど、つまり魚津市からすると、ここを左折するとそのまま富山湾岸サイクリングコースで黒部市へ行っちゃうんだけど、真っ直ぐ行くと魚津市内の田園コースに出られるからそっちに行って魚津市内で楽しんでね、ということなのだろう。まぎらわしいわ!! チョークで✕印が付けられているところを見ると、「これアカンから表示変えよう」ってことなのかな


道の駅生地。この日レストランは14時まで。腹が減った


結局コンビニだよ

世界的にも珍しい旋回可動橋

そこから生地の街中を散策。生地には清水(しょうず)という、黒部川の伏流水が湧き出ている場所がたくさんあり、観光名所となっている。もともとは地域の人たちが野菜や食器を洗ったりする生活用の水場なのだが、現在は一部をのぞきほとんど観光用になっているようだ。

そして生地での最大の目当ては生地中橋。黒部漁港にかかる可動式の橋で、もとは上下に開閉する昇降式の橋だったものを、橋の片側を軸として水平に回転する旋回式可動橋に架け替えたという。この旋回式可動橋は世界でも珍しいものだそうだ。

前に取材で来たときは運良く船が通るのに行き当たり、橋が動くのを見られたが、今回はしばらく待ったものの船が来る気配はなく、橋はピクリとも動かなかった。残念だ。


生地の清水。一部はまだ生活用に使われているようだ


生地中橋。こちら側を軸にして橋が水平に回転する


反対側。動く前に少し持ち上がる


橋がこちら側に移動してくる。知る人ぞ知るというか、興味のない人にはまったく興味のないB級スポットという扱いだが、俺にはビシビシ刺さる場所。だって道路が水平に動くんだよ? すごくない?

防潮堤の内側を延々と走る

そこから再び自転車歩行者専用道。これが防潮堤の内側(下側)を延々と走らされる道。海は見えないしつまらない。俺と前後して同じルートを逆から走った知り合いも「あれなんなん? 修行?」って言ってた。防潮堤の海側には、海が見える道が続いていて、ずっと楽しそうなんだけど。なんでそっちをルートにしないのかと思うが、道路として規制されていないとか、管轄が道路じゃなくて港湾だとか、いろいろ事情があるのだろう。最近は走るだけでそういう行政の苦労もわかるようになってきた。俺も成長したのだ(笑)。


黒部川を渡る


ここも荒天時用のダブルルートとの分岐。説明はない。当然直進。ちなみに富山湾岸サイクリングコースHPのMAPではこの少し手前、「牡蠣の星」というレストランのところから県道2号方面に入っていくことになっているが、新しい道ができて、今はそのまま直進できる


生地を過ぎて入善町に入ると分岐誘導標識の表示がしんきろうサイクリングコースから富山湾岸サイクリングコースに戻る


歩行者に対して注意しろというのはわかるが、クルマに注意しろというのはどうなんだ? クルマに対して自転車に注意しろというべきだろう。おじさんはそういう細かいところにうるさいのだ


ずっとこんな道なんで、ハシゴがあるところで防波堤に登ってみたら


海側にいい道あるじゃーん!


なぜ海側の道を走らせないのか、と思うよね


風力発電。小さく見える海洋上の風車は、入善洋上風力発電施設。日本でもまだ数カ所しかない洋上の発電施設だ


県道60号に出た。ヒスイテラスまであと少し

突然現れた行き止まりがゴール地点

そしてひすい海岸にあるサイクルステーション、ヒスイテラスへ。アイスコーヒーでも飲みたかったが飲食施設はなく、海岸で拾ったヒスイの鑑定をしてくれるコーナーと、ライフジャケット?の貸出をしているだけ。思いのほか何もない施設。

冷房の効いていない館内でしばらく休んで、さあゴールまでラストスパート……じゃなく、相変わらずの牛歩戦術で進む。ヒスイテラス横の駐車場から防波堤の道に入って3kmほど。ゴールは突然現れた。というか道が行き止まりに。はあ?と思ったら少し広場みたいになったその場所に起終点を示すモニュメントが。おお! ここが朝日町側の起終点だった。まさか行き止まりの場所にあるとは。おそらくナショナルサイクルルート唯一の、いや世界でも珍しい「行き止まり自転車道」なのでは(興奮)?


ヒスイテラス。館内で自販機のスポドリを飲んでヘバっていたら、「5時で閉館です」と追い出された


県道60号から防波堤の道へ。ゴールまであと少し


いきなり現れた行き止まり。ここがゴールなのか!?


ここまでと書いてある! ゴールです。パチパチパチ


2023年に入って作られたばかりのモニュメント。ルートを形どったプレートを、ポールに取り付けてある。周囲の景色がよくないので、こういう撮り方がいいかな

残念! サイクルトレインは時間外

とりあえずルート全走破ということで写真を撮りまくる。

そして名残惜しいが富山湾岸サイクリングコースをあとにすることに。ここからはヒスイテラスの前にあるあいの風とやま鉄道の越中宮崎駅まで戻らなければならないかと思っていたが、ちょっと戻ったところに線路をくぐって国道8号に出られるアンダーパスが。グーグルマップには載っていない道だった。これをくぐればすぐに新潟県に入って市振駅から輪行できる。

で、市振駅に着いてみると、なんとえちごトキめき鉄道(新潟側に入るとあいの風とやま鉄道から会社が変わる)ではサイクルトレインを絶賛実施中。今晩は糸魚川に泊まり、翌日は別のルートをサイクリングしようと思っていたので、これは超ラッキー!

ところが時間制限があり、下り(直江津方面)は市振駅発15時06分発の電車まで。今は18時10分。がーん。そして次の糸魚川方面行きは19時06分。がーんがーん。結局のんびり輪行支度をして自販機のない駅で喉の乾きに耐えながら電車を待った。


グーグルマップには載っていない線路をくぐる道


国道側には案内もあった。市振駅まで輪行で来て氷見側に走る人向けか


なんとサイクルトレイン実施中


しかし時間外


いい感じにひなびた市振駅で1時間


19時06分発の直江津行に乗る。今回は別取材のため糸魚川に泊まったが、この電車で糸魚川から新幹線に乗り換えると千葉の自宅最寄り駅には23時52分着。ギリだね

DATA

とやまサイクルナビ
https://cycling-toyama.jp/

とやまサイクリングマップ
https://cycling-toyama.jp/wp-content/themes/cyclemap/top/pdf/TOYAMACYCLINGMAP_jp.pdf

まとめ

シリーズ1回目として選んだ富山湾岸サイクリングコース。東京から行きやすく、ナショナルサイクルルートということで選んだが、いろいろ勉強になった。総合的にはさすがナショナルサイクルルートといえるものだったが、しんきろうサイクリングコースとの案内の交錯など、うーんという部分もあった。
だが「サイクリングコース」といういまどきイケてないルート名称がしんきろうサイクリングコースと揃える意味合いだったのだろうとか、いろいろ発見?も多かった。
また実際に公共交通機関を使ってアプローチしてみて、アクセスには注意が必要なこともわかった。これらは調査者としての視点だが、いちサイクリストとして言わせてもらうと……。
次回は涼しい季節に来たーい! 絶対にもっと楽しいと思うもん。

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
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【愛媛県】「えひめ・しまなみサイクルトレイン(JR四国・予讃線)」を利用した秋のサイクリング計画を立てませんか

【愛媛県】「えひめ・しまなみサイクルトレイン(JR四国・予讃線)」を利用した秋のサイクリング計画を立てませんか

日中は暑さの厳しい毎日が続いていますが、夜は少しずつ涼しくなってきたように感じる今日この頃。

この時期を過ぎると、サイクリングに持ってこいの季節でもある秋の到来です。

そんな季節には自転車と一緒に列車に乗れるサービス”サイクルトレイン”を利用して、サイクリングを楽しんでみるのもおすすめです。

少し季節を先取りして、サイクリングパラダイス愛媛県での秋の自転車旅を計画してみませんか。

「えひめ・しまなみリンリントレイン(JR四国 予讃線)」詳細

JR四国・予讃線(松山駅~伊予西条駅間)の一部普通列車ではサイクルトレインサービス(混乗)が実施されており、好評のため2025年2月24日まで期間が延長されています。

えひめ・しまなみリンリントレイン :JR四国

実施期間

2025年2月24日(月・祝)までの土休日

ご利用区間

予讃線 松山駅~伊予西条駅間

松山駅、三津浜駅、伊予北条駅、波止浜駅、今治駅、壬生川駅、伊予西条駅の7駅で自転車乗降が可能

※上記以外の駅では、自転車の乗降はできません。

対象列車及び利用可能台数

20本(下り10本、上り10本)

1人1台(先着順)
 自転車の利用可能台数は列車の編成両数により異なる

※対象列車及び利用可能台数などの詳細は公式サイト、トップページ「えひめ・しまなみリンリントレイン」バナー内より上記項目をご確認ください。

持込料金

この区間に有効な乗車券以外の追加料金は不要

注意事項

イベントなどで混雑が予想される、列車の運行に支障がある、という際は、サイクルトレインを中止する場合がある

車内の混み具合により、利用可能台数未満であっても自転車の持ち込みをお断りする場合がある

ご自身で自転車を固定するゴム紐等の固定具の準備が必要

※その他「注意事項」は、公式サイト、トップページ「えひめ・しまなみリンリントレイン」バナー内よりご確認ください。

サイクリングパラダイス愛媛県

愛媛県はサイクリスト向け観光誘致に尽力し、愛媛県今治市と広島県尾道市をつなぐ「しまなみ海道」は言うまでもなくサイクリングのメッカとして周知されています。

季節ごとに表情を変える瀬戸内の風光明媚な景観を体験できる「しまなみ海道」は、飽きのくることのない魅力的なサイクリングスポットと言えるでしょう。

また、県では「しまなみ海道」を中心に、「愛媛マルゴト自転車道」を展開し、愛媛がサイクリングパラダイスとなることを目指しているようです。

詳しくは以下公式サイトをご覧ください。

愛媛県の自転車旅にはTABIRINを

TABIRINは日本の自転車旅の世界をもっと広げたく、様々な角度から旅×自転車の情報を発信しています。

愛媛県でのサイクリングを楽しむための情報もコンテンツ別で掲載しています。

旅×自転車 情報「サイクルトレイン」

「旅×自転車情報」ー「サイクルトレイン」は全国の様々な場所で実施されているサイクルトレインサービスをご案内しています。

この記事でご紹介している「えひめ・しまなみリンリントレイン」も掲載しています。

えひめ・しまなみリンリントレイン(JR四国 予讃線)
松山駅~今治駅間都道府県愛媛県名称えひめ・しまなみリンリントレイン路線JR予讃線区間伊予西条~松山 実施実施区間路線図期間・利用可能日2022/3/19~2025/2/24(月・祝)までの土、日、祝日利用除外日-時間帯■往路・伊予...

旅×自転車 情報「サイクリストにやさしい宿」

TABIRINは、サイクリストにやさしい宿を「自転車を安心して屋内に保管できるサービスを提供する宿泊施設」と定義しています。

「旅×自転車情報」ー「サイクリストにやさしい宿」を活用して、サイクリストに寄り添った宿をお探しください。

「えひめ・しまなみリンリントレイン」の自転車乗降駅であるJR波止浜駅が最寄りの宿も掲載しています。

今治市サイクリングターミナル「サンライズ糸山」
 ジャンルしまなみ自転車旅の宿施設名称今治市サイクリングターミナル「サンライズ糸山」住所今治市砂場町2-8-1電話番号0898-41-3196自転車の保管方法・客室(洋室限定)・洋室以外の客室(輪行袋使用)保管可能台数-そ...

コース・マップ検索

「コース・マップ検索」では都道府県やコース条件からお好みのサイクリングコースを探すことができます。

愛媛マルゴト自転車道「今治・道後はまかぜ海道」マップの中から、えひめ・しまなみリンリントレイン(JR四国 予讃線)沿線のおすすめスポットをいくつかご紹介します。

こちらは前段で触れた「愛媛マルゴト自転車道」の設定コースのうちの一つです。

・コース掲載マップはこちら

今治・道後はまかぜ海道
糸山公園(来島海峡展望館)

日本三大潮流の一つで知られている来島海峡を一望できる公園です。高台に建つ展望台からも絶景が臨めます。

住所:愛媛県今治市小浦町2-5-2 最寄り駅:JR波止浜駅
鹿島〈かしま〉

瀬戸内に浮かぶ周囲約1.5kmの島には海水浴場やキャンプ場がありレジャーにぴったり。野生の鹿が生息するなど豊かな自然と触れ合えます。

住所:愛媛県松山市北条辻鹿島 最寄り駅:JR伊予北条駅

旅×自転車 記事

「旅×自転車 記事」では、様々なカテゴリーの記事を掲載しています。

その中の一つ、”サイクリングレポート”の中から、愛媛県の魅力がたっぷり、のんびりポタリングとしっかりサイクリング、タイプの違う2コースを巡ったレポートをお届けします。

しまなみ海道ではないエリアにはなりますが、愛媛はエリアごとに違う魅力があり、サイクリストを飽きさせない街ということを改めて発見できます。

【愛媛県】2泊3日の自転車女子旅~興居島(ごごしま)& 松山から宇和島へ~ ...
愛媛県松山市から一番近い島「興居島」をめぐる“のんびりポタリング”と、松山駅から「宇和島」までの約100km“しっかりサイクリング”。女子2人でグルメレポートも豊富な、折り畳み自転車を使った輪行での「サイクリングパラ...

まとめ

愛媛県でサイクリングした経験がある方も、”サイクルトレイン”サービスは未体験という方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

この機会にこちらのサービスを利用して、愛媛県の魅力を探しに秋の自転車旅計画を立ててみてください。

TABIRINアプリを自転旅のお供に

TABIRINにはサイクリングのお供として使えるアプリもあります。

WEBサイト「TABIRIN」で掲載している自治体等が作成した全国のコース・マップやサイクリストにやさしい宿、レンタサイクルといった「旅×自転車 情報」の各施設、サイクリングの魅力を伝える「旅×自転車 記事」の情報などをまとめて一つの地図で見ることができるアプリです。

サイクリングに役立つ様々な機能をぜひお試しください。

iphoneの方はこちらかダウンロードできます。

androidの方はこちらかダウンロードできます。

 

執筆:mochi

 

茨城県のサイクリングコースおすすめ11選!TABIRINで見つける茨城の魅力を満喫!

茨城県のサイクリングコースおすすめ11選!TABIRINで見つける茨城の魅力を満喫!

茨城県は、豊かな自然や歴史ある街並みが広がり、サイクリングに最適なエリアです。都心からもアクセスしやすく、初心者から上級者まで楽しめるさまざまなコースが揃っています。
ナショナルサイクルルートのひとつ「つくば霞ヶ浦りんりんロード」をはじめ茨城県のおすすめサイクリングコース11選ご紹介します。

自治体などから発行されているマップに掲載されているコースをサイクリングしたい方は茨城のサイクリング情報ページから探してみて下さい。

茨城県のサイクリングコースおすすめ11選!

【茨城県】筑波山麓の桜を満喫!つくば霞ヶ浦りんりんロードサイクリング

筑波山の麓を走る15kmのサイクリングコースは、春には桜が咲き誇る絶景ルートとして特に人気があります。桜並木が続く道では、花びらのシャワーを浴びるような贅沢なライドを楽しむことができます。また、桜の名所として知られる観光スポットも点在しており、立ち寄りながら美しい写真を撮るのもおすすめです。

【茨城県】筑波山麓の桜を満喫!つくば霞ヶ浦りんりんロードサイクリング
ナショナルサイクルルート「つくば霞ヶ浦りんりんロード」のつくば方面廃線跡は、長い桜並木が有名です。2022年4月に開催された、筑波総合体育館からつくば霞ヶ浦りんりんロードの桜並木などをめぐる約15kmの「筑波山麓さく...

【茨城県】大洗・ひたちなか海浜シーサイドルートから、約16kmコースサイクリング

海岸線を走る16kmのサイクリングコースは、水辺の景色を楽しむのに最適です。道中には、地元で取れた新鮮な魚介を使ったグルメスポットや、自然を楽しめる観光地が点在しています。リラックスしたライドを楽しみたい方におすすめです。

【茨城県】大洗・ひたちなか海浜シーサイドルートから、約16kmコースサイクリング...
ナショナルサイクルルート「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を有する茨城県は、県内にいくつかのサイクリングルートを設定しています。そのひとつ「大洗・ひたち海浜シーサイドルート」は、ネモフィラやコキアが丘一面を染め...

【茨城県】奥久慈ヒルクライムルート 1泊2日で滝をめぐり坂を楽しむサイクリング

茨城県奥久慈エリアのヒルクライムルートは、自然と挑戦を楽しみたい方におすすめのコースです。このコースでは、袋田の滝をはじめとする名瀑を巡ることができ、爽やかな風景とともに達成感のあるライドを体験できます。道中には地元の食材を使ったグルメスポットもあり、観光と運動を兼ねた充実の一日を過ごせます。

【茨城県】奥久慈ヒルクライムルート 1泊2日で滝をめぐり坂を楽しむサイクリングレ...
ナショナルサイクルルート「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を有する茨城県には、魅力あるサイクリングルートがいくつかあります。福島と茨城の県境にそびえる八溝山(やみぞさん)を源とする久慈川が流れる大自然エリア「奥...

【茨城県・千葉県】初詣におすすめ、神栖市からめぐる東国三社めぐりサイクリング

神栖市を起点に、東国三社(鹿島神宮・息栖神社・香取神宮)を巡るサイクリングコースは、歴史と信仰の深さを感じられる魅力的なルートです。約50kmの距離で、主に平坦な道が多いため、初心者から中級者まで楽しむことができます。三社を参拝しながら、日本の伝統的な文化や自然を体感でき、心身ともにリフレッシュできるライドです。初詣や季節ごとの参拝ライドにぴったりです。

【茨城県・千葉県】初詣におすすめ、神栖市からめぐる東国三社めぐりサイクリング...
鹿島神宮、香取神宮、息栖神社を巡る東国三社巡りは、東京からも日帰りで行くことができます。約50kmを1日でめぐる、年始の初詣に向けた「東国三社めぐりサイクリング」をご紹介します。東国三社とは遡ること江戸時代、お...

【茨城県】注目度上昇中いばらき!石岡市の伝統を巡るサイクリング

石岡市は、茨城県の中でも豊かな伝統文化を誇る場所です。サイクリングでは、200年以上続く「廣瀬商店」の酒蔵や、茨城の特産物「しし鍋」を味わえる「そば処中津川」を巡ります。さらに、手作り線香の「駒村清明堂」や、新たに蒸留所を開設した木内酒造八潮蒸留所など、地域のモノづくりを感じられるスポットも満載。自然と歴史を感じながら、地元の名産品を堪能することができ、サイクリングにぴったりのコースです。

【茨城県】注目度上昇中いばらき!石岡市の伝統を巡るサイクリング
2019年11月、ナショナルサイクリングルートに「つくば霞ヶ浦りんりんロード」が認定され、2020年10月には都道府県魅力度ランキングで42位となり長年の最下位から脱出し、茨城県はいま話題となっています。そんな茨城県には...

【茨城県】土浦でワーケーション×自転車を体験 ~筑西市・桜川市サイクリング~

茨城県土浦市を起点に、筑西市や桜川市を巡る美しいサイクリングコースです。スタート地点は「県西公園」、途中には歴史的なスポットや自然美が堪能できるスポットが点在。筑波山の絶景を背景に走るコースでは、真壁の町の魅力や文化・情報発信している「蔵布都」なども訪れることができます。心地よいサイクリングと共に、地域の魅力を発見できるルートです。

【茨城県】土浦でワーケーション×自転車を体験 ~筑西市・桜川市サイクリング~
テレワークが一般化したいま、仕事とバケーションを兼ねた新しいライフスタイルを表現する「ワーケーション」という言葉が生まれました。ワーケーションには自転車も相性がいいと言われているので、実際に自転車を持ってワ...

【茨城県】小美玉市にある珍しい神社をめぐる約40㎞のサイクリング

茨城県小美玉市を舞台にしたこの40kmのサイクリングコースは、歴史と自然が融合した魅力的なコースです。珍しい神社を巡りながら、風光明媚な田園風景を楽しむことができます。道中では、観光スポットも豊富で、サイクリングだけでなく観光も同時に楽しめる点が魅力です。特に、自然や歴史に興味のある方や、ゆったりとしたライドを楽しみたい方におすすめのコースです。

【茨城県】小美玉市にある珍しい神社をめぐる約40㎞のサイクリング
2006年に小川町、美野里町、玉里村が合併してできた「小美玉(おみたま)市」は県央地域に位置しています。茨城空港があり空の玄関口としても人の往来があり、つくば霞ケ浦りんりんロードへのアクセスもよい所です。小美玉...

【茨城県】笠間市で新栗の季節。いろんな栗を食べる約23㎞のポタリング!

秋の味覚を存分に楽しめる笠間市の栗ポタリングコースは、23kmと適度な距離です。笠間市は栗の名産地として知られ、秋には新栗を使ったスイーツやグルメが豊富に楽しめます。このコースでは、栗をテーマにしたカフェやレストランを訪れることができ、食べ歩きをしながらゆったりとした時間を過ごせます。自然豊かな田園風景の中で、季節感を味わいながらのサイクリングは、まさに秋の一押し体験です。

【茨城県】笠間市で新栗の季節。いろんな栗を食べる約23㎞のポタリング!
食欲の秋。美味しいものがたくさん出てくる時期ですね。秋の味覚「栗」の栽培面積、生産量日本一の笠間市へ栗を食べに行ってきました。一括りに栗と言っても楽しみ方食べ方は様々。笠間市でどんな栗に出会えるのでしょうか...

【茨城県】牛久市でカッパ探しの約16kmサイクリング

牛久市で楽しめるこの16kmのサイクリングコースは、地元の伝説「カッパ」をテーマにしたコースです。カッパ伝説にちなんだスポットを巡りながら、歴史的な街並みを楽しむことができます。比較的平坦な道が多く、ファミリー向けのライドにも最適です。カッパ探しをしながら、自然の中を気軽にサイクリングできる楽しいコースです。

【茨城県】牛久市でカッパ探しの約16kmサイクリング
牛久市は関東平野に現れる高さ120mの牛久大仏が有名な街ですが、実は「カッパ」の街でもあるんです。牛久の街と歴史を知るカッパ探しの約16kmサイクリングに行ってみました。牛久市とは茨城県の南部に位置する街。東京都心...

【茨城県】タイムスリップを味わえる常総市で約25㎞のポタリングとサイクルトレイン

常総市で楽しめる約25kmのポタリングコースは、歴史好きな方や、異なるアクティビティを組み合わせたライドを楽しみたい方にぴったりのコースです。途中、サイクルトレインを利用して、サイクリングと鉄道旅の両方を楽しむことも可能です。

【茨城県】タイムスリップを味わえる常総市で約25㎞のポタリングとサイクルトレイン
鬼怒川が流れる自然豊かで歴史的建築が残るまち、常総市は茨城県の南西部に位置し、2006年に水海道市と石下町が合併し誕生しました。2015年の関東・東北豪雨で決壊した鬼怒川の堤防は、堤防天端等を活用しサイクリングロー...

【茨城県】女子旅にもオススメ!つくば市で約30㎞のグルメライド

つくば市を舞台にした約30kmのグルメライドは、美味しいものを食べながらサイクリングを楽しみたい方にぴったりのコースです。道中でのグルメスポットが点在しており、美味しいスイーツや食事を楽しむことができます。女子旅にも最適で、友達と一緒に食べ歩きをしながら楽しい時間を過ごせること間違いなし。

【茨城県】女子旅にもオススメ!つくば市で約30㎞のグルメライド
季節の変わり目。花の盛りもまだ先だしどこへ行こうか迷ってしまいますね。そんな時こそ、見た目も可愛く写真に撮りたくなるグルメを探しにサイクリングをしてみてはいかがでしょうか。つくば市内にはオシャレなカフェやSNS...

サイクリングに便利な「TABIRINアプリ」PR動画

この動画でも茨城県のサイクリングが紹介されていますので、ぜひご覧ください。

まとめ

茨城県は、豊かな自然と歴史、グルメが楽しめるサイクリング天国です。初心者から上級者まで、幅広いレベルで楽しめるコースが揃っており、観光やアクティビティも充実しています。ぜひ、自分に合ったコースを見つけて茨城のサイクリングを満喫してください。

執筆:花田 康

TABIRINアプリを自転旅のお供に

TABIRINにはサイクリングのお供として使えるアプリもあります。

WEBサイト「TABIRIN」で掲載している自治体等が作成した全国のコース・マップやサイクリストにやさしい宿、レンタサイクルといった「旅×自転車 情報」の各施設、サイクリングの魅力を伝える「旅×自転車 記事」の情報などをまとめて一つの地図で見ることができるアプリです。

サイクリングに役立つ様々な機能をぜひお試しください。

iphoneの方はこちらかダウンロードできます。

androidの方はこちらかダウンロードできます。

〈たくさんのご応募ありがとうございました〉【愛媛県】「しまひめライド×TABIRINフォトコンテスト~自転車で旅しよう!~」開催中《PR》

〈たくさんのご応募ありがとうございました〉【愛媛県】「しまひめライド×TABIRINフォトコンテスト~自転車で旅しよう!~」開催中《PR》

※本フォトコンテストは終了しています。

【愛媛県】しまひめライドデジタルスタンプラリー2024 開催中

グレーターしまなみ・えひめ推進協議会(愛媛県、松山市、今治市、西条市、上島町等で構成)は、しまなみ海道と隣接する愛媛県側エリアにおいて、サイクリングとあわせて自然やアクテビティ、ショッピング、美味しいグルメを楽しむデジタルスタンプラリー”しまひめライド”を開催中です。
指定されたスポットのスタンプを集め、合計3,000円(税込み)以上の買い物をしてスタンプを集め応募すると、抽選で地元の特産品などの豪華賞品が当たります。

詳しくはこちらから
https://gse.cycling-ehime.com/shimahime-ride/

【愛媛県】「しまひめライド×TABIRINフォトコンテスト~自転車で旅しよう!~」も開催中

今回、旅×自転車の情報メディア「TABIRIN」でも「TABIRINアプリ」による「しまひめライド×TABIRINフォトコンテスト」を2025年1月29日(水)より開催しています。
2025年3月10日(月)まで開催しておりますのでふるってご参加ください。
フォトコンテストのテーマは「しまひめライド~思い出の風景×自転車旅」です。
入賞者には豪華賞品をご用意しております!TABIRINアプリやInstagram、Xを使って是非ご応募ください。
たくさんの写真の投稿をお待ちしております!

「TABIRINアプリ」は位置情報周辺の自転車情報の確認や、旅の計画やお出かけの記録、サイクルイベントの参加など、自転車旅がもっと楽しくなるアプリです。

▼アプリのダウンロードはこちらから▼

「しまひめライド×TABIRIN フォトコンテスト~自転車で旅しよう!~」概要

応募条件

以下の全ての条件を満たす応募を対象とします。

●しまひめライドのデジタルスタンプラリーが実施されている4市町(松山市、今治市、西条市、上島町)のいずれかをサイクリング中に撮影した写真

●サイクリング時の写真であることが分かるように、自転車もしくは自転車アイテム(ヘルメットなど)が映っている写真

●「 しまひめライド×TABIRINフォトコンテスト応募規約  」への同意

●応募資格
資格不問

●応募写真の撮影時期は問いません。

応募方法

応募方法は、TABIRINアプリ、Instagram、Xと3種類あります。

※応募作品につきましては、できるだけ高解像度(1280 px×960px相当以上)の画質での撮影を推奨いたします。

応募方法①TABIRINアプリ

1、スマートフォンにTABIRINアプリをインストール(インストール済の方はストアで最新版に更新をお願いします。)

2、ホーム画面の開催中イベント一覧から「しまひめライドフォトコンテスト~自転車で旅しよう!~」を選択する

3、「しまひめライドフォトコンテスト~自転車で旅しよう!~」のページにて画面をスクロールし、”写真を登録する”を押し、MAP画面へ移ります

画面長押しでオリジナルスポットマーカーを出し、オリジナルスポットアイコンを表示させ先端を再度長押しし、写真を登録したい場所で指をはなします

確認画面に遷移するので、”はい”をクリック

 

4、応募の際は先に画面右上のプロフィール詳細設定を行ってからご参加ください

 

5、プロフィール詳細設定が完了したら、”スポット名””スポットの説明”に入力、”画像”に応募写真を登録し、

”フォトコン・イベントに応募する”をクリック

6、「しまひめライドフォトコンテスト~自転車で旅しよう!~」を選択する

7、規約に同意後、最後に登録を押すと応募完了です!

オリジナルスポット管理機能について詳しく知りたい方、その操作方法を動画で確認されたい方、その他アプリの基本機能の使い方などは以下の記事をご覧ください。

TABIRINアプリ大幅アップデート!サイクリング情報の検索・計画・記録・共有がもっ...
「TABIRINアプリ」をバージョンアップしました!「TABIRINアプリ」は、WEBサイト「TABIRIN」で収録している自治体等が作成した全国のコース・マップやサイクリストにやさしい宿、レンタサイクルといった「旅×自転車 情報」...
応募方法②Instagram

1.InstagramでTABIRINの公式アカウントをフォロー
(アカウント:@tabirin_jp)

2.ハッシュタグ「#しまひめライド」と「#TABIRIN」をつけて応募写真を投稿
※応募写真の撮影場所について明記すること

応募方法③X

1.XでTABIRINの公式アカウントをフォロー
(アカウント:@TABIRIN_jp)

2.ハッシュタグ「#しまひめライド」と「#TABIRIN」をつけて応募写真を投稿
※応募写真の撮影場所について明記すること

賞品

①一位 Aランク 1名

②二位 Bランク 1名

③三位 Cランク 1名

※各賞とも賞品内容は変更になる場合がございます。

旅の魅力が伝わる写真をお待ちしております!

開催期間

応募期間

2025年1月29日(水)~2025年3月10日(月)23:59まで

審査期間

応募締切後~2025年3月中旬(予定)

結果発表

2025年3月中旬~下旬(予定)

受賞写真をTABIRINサイト及びTABIRINのSNS等にて発表します。
受賞者のうちTABIRINアプリからの応募者は、登録されたメールアドレス宛に個別に通知します。
Instagram、Xからの応募者は、ダイレクトメッセージにて通知します。
※賞品の発送は、TABIRINアプリのアカウントに登録した住所へ発送します。Instagram、Xからの応募者は、ダイレクトメッセージで住所を確認後、発送します。発送時期は結果発表から2週間以内を予定しております。

注意事項

ヘルメットの着用について

令和5年4月1日から、改正道路交通法が施行され、すべての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました。
法改正の趣旨を踏まえて、本フォトコンテストにおいても、ヘルメットを着用されずに自転車走行されている写真は応募対象外とさせていただきますのでご注意ください。

交通ルールなどについて

応募作品の撮影に際しては、交通ルールを遵守し、法令違反行為、危険行為および迷惑行為に該当することのないよう、十分ご注意願います。例えば、次のような行為はしないでください。

・運転中のスマートフォン・携帯電話等の使用、並進
・信号無視や遮断踏切立ち入り
・他人の敷地への無断の立ち入りや無断の写真撮影、他人の敷地内への自転車の放置 等

撮影にあたっての注意事項の詳細については、「 しまひめライド×TABIRINフォトコンテスト応募規約  」をご確認ください。

お問合せ先

主催 グレーターしまなみ・えひめ推進協議会(事務局:愛媛県自転車新文化推進課)

〒790-8570 愛媛県松山市一番町4-4-2
Tel:089-912-2234 Fax:089-912-2256

メールでのお問い合わせはこちら
Mail:jitenshashinbunka@pref.ehime.lg.jp

運営 TABIRIN事務局

お問合せはこちら

 

広告主:グレーターしまなみ・えひめ推進協議会

記事制作:mochi

 【愛媛県】高速道路を走る「サイクリングしまなみ 2024」出走レポートをお届けします〈前編〉

 【愛媛県】高速道路を走る「サイクリングしまなみ 2024」出走レポートをお届けします〈前編〉

高速道路や瀬戸内の美しい島々を舞台に行われる参加人数が3,000人を超えるサイクリングイベント、「瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会 サイクリングしまなみ 2024」、が2024年10月27日(日)に開催されました。

「サイクリングしまなみ」は2014年から2年おきに開催され、今回で5回目の開催となります(2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止)。大規模大会が4年に1回、規模を縮小した中規模大会がその中間に開かれています。

今回は中規模大会となり、約40~140キロの8コースに3,446人が出走して、うち外国人は台湾や米国、韓国など27の国と地域から479人が出走する盛大な大会となりました。

イベント情報

・大会名:瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会 サイクリングしまなみ2024

・主催:サイクリングしまなみ2024実行委員会
共催:一般社団法人愛媛県観光物産協会、愛媛新聞社、中国新聞社
特別協力:グルメ・海の印象派ーおのみちー実行委員会、せとうちみなとマルシェ実行委員会

・開催日:2024年10月27日(日)

・コース:瀬戸内しまなみ海道及びその周辺地域/約40km~140km の全8コース

・[スタート会場]:西瀬戸自動車道今治 IC〈今治市〉、西瀬戸自動車道向島 IC〈尾道市〉

・[フィニッシュ会場]:広小路(今治市街地)〈今治市〉、向島運動公園〈尾道市〉、弓削港〈上島町〉

コースは合計8ルート

愛媛県の今治市と、広島県の尾道市を結ぶしまなみ海道。その高速道路を通行規制して行うこの大会は地元でも一大イベントです。事前に高速道路通行止めの告知をするなどして、地元が一体となって大会をサポートしています。

~大会コース一覧~

コース名称 内容 走行距離
※( )内は高速道路走行距離
サイクリングレベル
A IMABARI 70 尾道発、瀬戸内海縦断の片道コース 尾道(向島)⇒今治〈片道〉約70km(約23㎞) 中級者向け
B IKUCHIJIMA 55 尾道発、生口島を周遊するコース 尾道(向島)⇔生口島〈往復〉約55㎞(約17㎞) 初・中級者向け
C INNOSHIMA 70 尾道発、「しまなみ」と「ゆめしま」の 5つの島を巡る往復コース 尾道(向島)⇔上島(岩城島)〈往復〉約70㎞(約17㎞) 中級者向け
D COMPLETE SHIMANAMI 140 瀬戸内海縦断往復の最長コース 今治⇔尾道(向島)〈往復〉約140㎞(約43㎞) 上級者向け
E ONOMICHI 65 今治発、瀬戸内海縦断の片道コース 今治⇒尾道(向島)〈片道〉約65㎞(約43㎞) 中級者向け
F YUMESHIMA 75 8つの島を巡る、島三昧のコース 今治⇒上島(弓削島)〈片道〉 約75㎞(約35㎞) 今治 IC→生口島南 IC→生口島周遊→弓削港 中級者向け
G OMISHIMA 100 走りごたえのあるミドルコース 今治⇔大三島〈往復〉 約100㎞(約30㎞) 上級者向け
H OSHIMA 40 初心者・ファミリーも楽しめるエンジョイコース 今治⇔大島〈往復〉 約40㎞(約17㎞) 初心者向け

上記、40kmから140kmの全8コース。人気のあるコースはあっという間に定員に達して抽選になってしまう、参加競争倍率の高いイベントです。

出典:サイクリングしまなみ公式HP

今回参加したのはA~Hの8コース中で最短の約40kmのHコース(OSHIMA40・参加定員500人)で、小学校4年生から参加可能な初心者向けの今治~大島の往復ルート。今治をスタートして、しまなみ海道で最長の来島海峡大橋を含む17kmの高速道路を走り、途中大島 BS から一般道へ降り、エイドステーション「よしうみバラ公園」を折り返し、帰りは一般道を走って再び今治へ戻ってくるコースです。

前日の受付会場「みなと交流センター(はーばりー)」

大会前日の26日(土)には今治会場(みなと交流センター はーばりー)に午前10時から午後5時 の間に受付を完了してゼッケンを受け取る必要があります。
指定されたブースにて事前に郵送された「ゼッケン引換証(自転車検査証/誓約書)」を全て記入の上手続きを完了すると、参加記念品と会場内で開催されている”せとうちみなとマルシェ”で使うことのできる「おもてなしクーポン(1,000 円分)」をもらいました。

袋の中身を確認するとゼッケンの他にパン・ジュース・ゼリー・入浴剤・今治タオルハンカチ・アルコールティッシュ・コーヒー・焼肉のたれ・塩・補助食・整備道具等多くの品々が入っていました。

会場内では自転車メーカーや観光協会の展示物販・地元マルシェ(せとうちみなとマルシェ)も行われており、クーポンを使ってアコウ(キジハタ)でダシを取ったラーメンと極生ぷりん等を食べましたが、とてもおいしいかったです。

会場内ではイベントも盛りだくさん。

ゆるキャラグリーティングではダークみきゃん・みきゃん・わたるが大集合

出展ブースPRステージの後、MAVICのタイヤパンクについてのお話を聞き、自転車関係の物販では、アウトレット品が1,000円均一で販売されるなど、大会前日から満喫できました。

いよいよ出発!高速道路を走ります

大会当日の27日(日)早朝から車で指定された駐車場へ向かい、そこから少し走ってスタート地点付近の待機場所へ向かいます。ここで100人ずつのブロックに分かれ今治 IC 前までゆっくり前進します。
周りにいる全国からの参加者との会話を楽しんでいると、あっという間にHコースのスタート時間となりました。

先頭には蘇嘉全会長や廖本煙さんなど台湾日本関係協会の皆さんと徳永繁樹今治市市長、豪州自転車団体Bicycle NSWのメリンダ会長がいました。

数日前までは大会中止の懸念すらあった天気もすっかり上々。雨は夕方まで大丈夫とのアナウンスのもと、秋の絶好のサイクリング日和でのスタートを迎えます。合図とともに料金所のゲートを抜けて高速道路を走ります!

高速道路本線を封鎖して自転車で走れることがこのイベントの醍醐味であり、走行中、立哨スタッフが「いってらっしゃーい」と声を掛けてくれたり、手を振ってくれたり、手を叩いたりして応援してくれて励みになりました。

20分ほど走り、ようやく来島海峡大橋に突入。普段は車でしか走れない道路ですが、この日ばかりは自転車の占有です。
来島海峡大橋からの眺めは最高でした。橋の境目の段差にはシートが敷いてあり、ハンドルをとられることなく、衝撃が少なくて済む配慮がされており快適に走れました。

やがて20分ほどかけて来島海峡大橋を渡り終え、シーンは海から山へと変わりスタートから17kmほどで、Hコース参加者は自動車道から一般道へ誘導されます。Hコースだけは小学校4年生から参加可能なので、沢山の親子連れが参加してほほえましい光景です。

その後一般道を少し走ると待ちに待った折り返し地点のエイドステーション「よしうみバラ公園」へ到着しました。

エイドステーション「よしうみバラ公園」

会場にはすでに大勢のサイクリストが到着していました。

早速今回の楽しみのフードコーナーへ向かいます。

地元の方と思われる大会スタッフの方から地元の名産品を貰います。

嬉しいことに全て無料です。居心地の良さそうな芝生の広場を囲んで、食べ物や飲み物、無料のマッサージサービスなどのテントが並び参加者がくつろいでいます。

Hコース以外にはAコース(IMABARI70尾道発、瀬戸内海縦断の片道コース中級者向け)の方々も次々に到着。爽やかなカラーのお揃いのジャージで走ってきたのは国土交通省中国地方整備局の皆さんのようです。

エイド食は愛媛県今治市を象徴する吉海の焼き豚スライスと島じゃこ天、冷凍ブルーベリー。飲み物は協賛企業のコカ・コーラボトラーズジャパンから提供されている「アクエリアス」です。

エネルギーチャージ後は、能島水軍太鼓保存会が丁度太鼓の披露をしていましたのでゆっくり鑑賞。

鑑賞後は参加者向けの無料マッサージのサービスを受け身体をリフレッシュ。その後、「よしうみバラ公園」へ向かいバラ鑑賞をしました。

只今開催中のスタンプラリー「しまひめライド」について

世界のバラ約10万本が咲き誇るローズガーデン「よしうみバラ公園」には隣接する「よしうみローズ館」と「野間仁根バラのミュージアム(吉海郷土文化センター)」の2つの施設があります。

ここで、イベントのお知らせです。

現在、グレーターしまなみ・えひめ推進協議会(愛媛県、松山市、今治市、西条市、上島町等で構成)は、しまなみ海道と隣接する愛媛県側エリアにおいて、サイクリングとあわせて、自然やアクテビティ、ショッピング、美味しいグルメなどを楽しむデジタルスタンプラリー”しまひめライド“を開催中です。

バラグッズや地元特産品、手作りリースなど各種おみやげ品を販売している

「よしうみローズ館」

吉海出身の画家野間仁根画伯の絵画が所蔵されている「野間仁根バラのミュージアム」は

そのスタンプラリーのスポットに指定されています。愛媛県各地のこの幟があるスポットで

このQRコードを読み取ってスタンプを集め、合計3,000円以上の買い物をして応募すると、

抽選で地元の特産品などの豪華賞品が当たります。

詳しくは下記

【愛媛県】しまひめライドデジタルスタンプラリー2024 についてをご覧ください。

https://gse.cycling-ehime.com/shimahime-ride/

サイクリングしまなみ 2024Hコースのレポートは後編へ続く

ここまでご覧いただきありがとうございます。後編では大島や今治市街地を走った様子をお届けします。楽しみにお待ちください!

 

執筆:日本旅行ビジネスソリューションズ株式会社

【愛媛県】高速道路を走る「サイクリングしまなみ 2024」出走レポートをお届けします〈後編〉

【愛媛県】高速道路を走る「サイクリングしまなみ 2024」出走レポートをお届けします〈後編〉

前編では来島海峡大橋の景色を眺めながらサイクリングし、エイドステーションではフードコーナーをはじめとした各種サービスを満喫し、充実したライドの様子をお届けしましたが、ここからは後編の模様をお届けします。ぜひ最後までご覧ください。

大島の西海岸は絶景の連続です!

エイドステーション「よしうみバラ公園」を出発して、初心者にもおすすめの大島西海岸の海岸沿いを快適に走ります。アップダウンも少なく、真横に海を眺めながら走れます。

このカーブの先に海が見える風景。これが、しまなみ海道の醍醐味です。

素晴らしい景色のなかを走り抜けると、「来島海峡大橋」を一望できる大島の映えスポットに到着です。

このスポットでは、多くの方が脚を止め写真を撮っています。

この大会はグループ走行をしなくてもいいので、自分のペースで走れるのが良いですね。

私はこの道を愛犬とのんびりサイクリングをしたり、ドローンを飛ばしたりで良く来ていたので、思い入れがあるスポットです。
まだここにいたい気持ちもありましたが、この先にある隠れスポットに移動することにしました。

死角になっていて知らないと通り過ぎてしまう場所ですが、スロープになっていて簡単に自転車を海岸まで下ろすことが出来、来島海峡大橋を背景に愛車が撮影できるのでおすすめです。

再び「来島海峡大橋」を渡り今治市街地へ

しまなみ海道らしい景観を味わえる大島の西海岸を抜けると、「来島海峡大橋」への入り口が見えてきました。
行きは高速道路部分を走りましたが、帰りは自転車歩行者専用道を走ります。

橋の上で発見したのは、ナショナルサイクルルートのペイント。

”日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート”として、ビワイチやつくば霞ヶ浦りんりんロードと同時に最初に認定されたのが、しまなみ海道サイクリングロードです。

橋を渡り終えると、海峡沿いの静かな道路を経て今治市街のフィニッシュ会場へ向かいます。
途中に何か所か細い道もあるのですが、交差点に立哨スタッフがいるので安心して走行できました。

フィニッシュラインに近づくと一般道を車線規制して、サイクリストを安全に誘導してくれました。

そして今治市の広小路で感動のゴール。

フィニッシュラインを超えたその先では、恒例の大会の記念パネルでの記念撮影をしました。

スタッフさんが1枚1枚自転車と一緒に丁寧に撮影してくれます。

この列で待っている間に甲ちゅうを着て「村上海賊」の大旗を持った人と記念撮影を楽しんでいる参加者もいました。

感動のフィニッシュ後は再び「みなと交流センター(はーばりー)」へ

撮影終了後、アーケード街の中を走るように誘導がありました。

やがて前日に受付をした、みなと交流センター「はーばりー」に到着。

大会フィニッシュフードは、今治のB級グルメ「今治焼豚玉子飯」、または「いも炊き」のどちらか一つを選べ、「うずしおパイ」、「早生みかん」もいただきました。

会場には大きなヘルメットをかぶった「みきゃん」が登場しました。

会場内では、自転車関連ブランドやサイクルツーリズム関連の団体が出展しており、のんびり練り歩いていたら、あっという間に1時間以上経過していました。

サイクリングしまなみ2024を全力で楽しみ、充実した時間を過ごすことができました。

しまなみ温泉 喜助の湯

みなと交流センター「はーばりー」の展示ブースを満喫した後は、
しまなみ温泉 喜助の湯に向かいます。

今治駅の近くにあり、多くのサイクリストが立ち寄る今治市の有名な天然温泉施設です。
国内外から集まるサイクリストへのおもてなしを目的とし、施設にはサイクルスタンドや1台1台収納が可能な自転車ロッカーが設置されています。
また、この施設は、現在愛媛県で開催中のデジタルスタンプラリー、「しまひめライド」のスポットに登録されています。
スタンプを集め、合計3,000円以上の買い物をして応募した方の中から抽選で地元の特産品が当たります。
スタンプラリーへの参加方法やスタンプの獲得については、以下のサイトをご確認ください。
https://gse.cycling-ehime.com/shimahime-ride/
皆様の参加をお待ちしております。

次回は「上島町ゆめしま海道」のレポートをお届け予定です。楽しみにお待ちください!

関連リンク

▼サイクリングしまなみ 2024
https://cycling-shimanami.jp/

▼しまなみ温泉 喜助の湯
https://kisuke.com/yu-matsuyama/

▼【愛媛県】しまひめライドデジタルスタンプラリー2024
https://gse.cycling-ehime.com/shimahime-ride/

まとめ

A~Hの8コース中で最短のHコース(OSHIMA40・参加定員500人)を走りましたが、コンパクトなコースながらも大会全体からあふれ出るエネルギーを感じることができ、サイクリングを全力で楽しむことができました。
また、高速道路上をサイクリングできる優越感を得られ、橋や海沿いからの眺めは格別であり、他のサイクリングイベントでは得られない体験でした。

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「しまひめライド×TABIRINフォトコンテスト~自転車で旅しよう!~」も開催中です。

〈たくさんのご応募ありがとうございました〉【愛媛県】「しまひめライド×TABIRIN...
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執筆:日本旅行ビジネスソリューションズ株式会社

実走調査! 日本の自転車道 トカプチ400 ①解説編

実走調査! 日本の自転車道 トカプチ400 ①解説編

DATA
北海道帯広市→幕別町→中札内村→更別村→大樹町→豊頃町→浦幌町→池田町→音更町→帯広市→音更町→鹿追町→糠平温泉郷→三国峠→糠平温泉郷→上士幌町→士幌町→音更町→帯広市
距離:403km 獲得標高:3368m 最大標高:1139m
実走調査日:2024年10月8日〜12日

日本のサイクリングルートを走破してレポートするシリーズ。国土交通省のナショナルサイクルルートのHPに掲載されている「サイクルツーリズムの推進モデルルート」を中心に、各地の自転車道を紹介していく。各レポートは解説編と実走編で構成され、これから走る人に向けた実用ガイドを目指している。

第2回目はナショナルサイクルルートである北海道のトカプチ400。まずはその概要を解説していこう。

三国峠直下にある松見大橋。トカプチ400の雄大さを象徴する絶景だ


帯広駅バスターミナルにある壁面地図

 

成り立ち

2021年5月にナショナルサイクルルート(第2次)に指定

 日高山脈、大雪山系に囲まれた十勝平野の中心部を、大きく8の字を描いて結ぶこのトカプチ400は、富山湾岸サイクリングコース、太平洋岸自転車道と同時に、2021年5月に第2次ナショナルサイクルルートに指定された。
全長403kmにおよぶそのルートは、ナショナルサイクルルートとして太平洋岸自転車道に次ぐ長さ。広大な森林地帯、肥沃な農業・酪農地帯、さらにはそれを結ぶ河川や湖沼など、北海道のダイナミックな風景のなかを走るスケールの大きなサイクリングルートとなっている。
またその中心地である帯広市に、とかち帯広空港があることも、海外からのアクセスのよさを含めナショナルサイクルルート指定を受けた大きな理由だろう。

ナショナルサイクルルート指定までの道のり

2016年に閣議決定された第8期北海道総合開発計画のなかに盛り込まれた「サイクルツーリズム等の振興」に続き、翌2017年には自転車活用推進法が制定。それを受けて2018年には北海道自転車条例にサイクルツーリズムの振興が謳われた。
この流れを汲んで全道で5つのサイクリングモデルルートが設定され、その後2年間かけてルートの検証などが行われた。そのうちのひとつとして初めてトカプチ400のルート名が登録された。

さらに2019年には北海道開発局の道路部門と北海道の経済部観光局などを中心に、北海道サイクルルート連携協議会が設立され、北海道各エリアのルート協議会が募集により設立・認定された。
この各協議会が提案したサイクリングルートを「サイクルルート北海道」(基幹ルート)と呼び、トカプチ400をはじめ翌2020年には「きた北海道ルート」、「オホーツクサイクリングルート」、「羊蹄ニセコエリアサイクルルート」など7つのルートが公開されている(その後3ルート追加され現在10ルート)。

トカプチ400は10ルートのなかのひとつ

ナショナルサイクルルートとして指定されるまで、第8期北海道総合開発計画から5年、サイクルルート北海道認定からわずか1年半というスピード出世であるという点。さらにほかのナショナルサイクルルートが単独のルート設定であるのに対し、このトカプチ400は観光振興のために作られた10ルートのなかのひとつであるという点は、ルート整備や案内の不十分さなどに少なからず影響を及ぼしている。

ちなみにトカプチとはアイヌ語で十勝川のことを指し、十勝という地名の語源と言われている。


トカプチ400のルート案内サイン。じつはこのようにナショナルサイクルルートのルート案内として掲示されているものは多くない

ルート概要

8の字を描いて十勝平野を走る403km

起終点はJR帯広駅(MAP①)。ここから8の字ルートの南半分を反時計回り、北側を時計回りで走るのが、オフィシャルMAPに掲載されているルート。
ぬかびら温泉郷(MAP⑳)から三国峠(MAP㉕)までは往復路となる。コース設定当初は北半分を反時計回りで走るルートもあったようだが、現在は時計回りで統一されている。
ただ逆回りの走り方でもルート案内の表示はされているので、基本的にどちらの回り方でも自由に走ることができる。

距離は南半分が約185km、北半分のループが約155km、三国峠の往復が約60kmといったところ。

南半分は海岸沿いのわずかなアップダウンをのぞけば、おおむねフラットで走りやすい。
大樹町までの区間は道の駅などもルート上に点在し、補給に困ることもないだろう。
だが太平洋に沿って走る大樹町から豊頃町の区間、さらにそこから十勝川に沿って北上する部分などは自販機も少なく、とくに夏場は注意が必要だ。

北半分は三国峠までが白樺峠(MAP⑰)、幌鹿峠(MAP⑲)越えを含む山岳ルート。
ルートMAP上では中級者向けとなっていて、初級者では電動アシスト付き自転車でなければ厳しいかもしれない。注意しなければならないのは、この白樺峠からぬかびら温泉郷までの区間、さらには三国峠往復の全区間でドコモ以外の携帯電話の電波が届かないこと。
トラブルにあった場合に助けを呼ぶことができないのは困りものだ。

ぬかびら温泉郷から帯広までの最終区間は、これまた超フラットな快走区間となる。


フラットな直線路が延々と続く豊頃南町付近


白樺の木が山肌に密生する風景に驚かされる白樺峠への道

アクセス

とかち帯広空港から空港連絡バスで帯広駅へ

ゲートウェイとして指定されているであるとかち帯広空港(MAP②)へは、東京羽田空港からJALまたはANA(AIR DOとの共同運航便)が1日に7便運行されている(2024年12月現在)。
首都圏からはこれを利用してトカプチ入りするのがベストの選択だろう。飛行機だと1時間半程度のフライトですむのが、鉄道だと東京駅から新幹線と在来特急を乗り継いで帯広駅まで10時間以上かかってしまう。

空港から帯広駅までは飛行機の到着時間に合わせて空港連絡バスが運行されていて、1000円で乗車することができる。帯広駅までの所要時間は約40分。

帯広駅を起点とせず空港から走り始めてしまうというプランニングも考えられるが、バス利用で帯広駅に着いたとき同様、そこまで使った輪行用機材(飛行機輪行に適したパッド入りの輪行袋、あるいは箱)をどうするかが問題となる。調査時も非常に悩んだが、これに関しては次回の実走編で実例とともに紹介したい。

いずれにせよルートの起終点とされる帯広駅・バスターミナルおびくるからスタートするのが気持ち的にもスッキリするので、リムジンバスを使って移動することをお勧めしたい。

また首都圏以外からであれば、最寄りの空港から羽田乗り換えでアプローチするのもいいが、まず札幌の新千歳空港へ飛び、そこから列車で帯広駅へ向かうという方法も選択肢だろう。

ちなみにトカプチ400にはゲートウェイに設定されている施設が3つある。帯広駅・バスターミナルおびくる、とかち帯広空港、そして音更町にある「道の駅おとふけ なつぞらのふる里」だ。鉄道およびバス、飛行機、そしてクルマでのアプローチを念頭に置いた3つの起終点と言うことができるだろう。

 
羽田空港からはANA(AIR DO共同運航便)、JALが毎日7便往復している


空港からは連絡バス利用となる。輪行バッグのまま運んでくれた


帯広駅にあるバスターミナル「おびくる」。レンタサイクルも扱っており、実質ここがトカプチ400の起終点となる

ルート高低差

全ルートの獲得標高は3368m

プロフィールマップを見ればわかるとおり、難所は白樺峠、幌鹿峠、三国峠の3カ所。ただし難所といってもそれほどキツいわけではない。

まず白樺峠。推奨ルートに沿って走る場合、帯広から延々55kmほど上ってたどりつく。プロフィールマップを見れば絶望的な上りに思えるが、じつは獲得標高は930mほど。峠の手前までの平均勾配は0.4%(!)。言われなければ上りだと気づかないほどで、恐れるに足らない勾配なのだ。

これはプロフィールマップのトリックだと言えるかも。ただ峠の手前7kmほどで平均勾配7%になるので少し厳しく、ここが全ルート中最大の難所だ。

続く幌鹿峠は白樺峠から少し下ったあと、15kmで300mアップ。ここも然別湖沿いはわずかに上るものの、勾配を意識するほどではない。峠の手前6kmほどで少し勾配がキツくなるが、それでも4%ほど。

そして三国峠。ぬかびら温泉郷から峠手前のカフェまで26kmで獲得標高650mほど。前半16kmは獲得標高170mで平均勾配1.1%。後半10kmは少し勾配が厳しくなるものの平均勾配5%ほど。途中で何度か休憩しながら行けば、それほど大変な坂ではないだろう。

このようにルートの北部分はプロフィールマップ上は大変そうに見えるが、覚悟を決めていっても空回りするほど。恐れる必要はないと言える。

注意したいのは音更町にある西九線(MAP⑭)という道。上り返しの長めのアップダウンが5連続し、前方に見える上りに備えて下りで全力疾走してしまうこともあり、思いのほか体力を消耗する。プロフィールマップには現れない勾配だけに、不意を突かれる場所だ。

あとは大樹町から豊頃町に至る国道336号もゆるいアップダウンを繰り返し、思いのほか脚を削られるので注意が必要だ。



提供:北海道TOKACHIサイクルツーリズムルート協議会 ※クリックで拡大


然別湖手前。このあたりは平均勾配6%くらい


三国峠への上り。この先から少し勾配が増す

道路状況

全線にわたって現れる舗装の継ぎ目が非常に不快

舗装率ほぼ100%。なので北海道だからといって悪路を走るような太いタイヤは必要ない……と思ったら大間違い。トカプチ400を走るなら、ロードでも太めのタイヤが必須だと断言する。

その理由は舗装の継ぎ目にある。進行方向に対して直角に、アスファルトのひび割れのような段差が延々と続く。道路を横断するこのような継ぎ目は「横断クラック」と呼ばれている。イメージとしてはルート全線の半分以上にこういった横断クラックがある。

国道や道路といった幹線道路だけでなく、堤防上の「サイクリングロード」にも横断クラックは見られる。場所によって異なるが、5mから20mくらいの間隔で、この継ぎ目が次々に襲ってくる。そのたびに不快な振動、衝撃が体に伝わってくるのだ。

この継ぎ目の原因は寒暖差にある。気温の差が激しい北海道では、急激な気温低下により舗装が収縮し、その温度応力により舗装に一定間隔のひび割れが発生する。この温度応力ひび割れは寒冷地域に発生しやすく、アスファルト舗装が薄い区間で発生本数が多い。

クルマで走っているぶんには気づかないような振動だが、自転車とくに高圧タイヤで走るロードバイクの場合は非常に気になるものだ。そのためトカプチ400を走るなら、グラベルバイクを用意するか、ロードでも28C以上の太さのタイヤを装着することをお勧めする。


豊頃町内。ひび割れた路面が前方に繰り返し現れるのがわかるだろうか


十勝川の堤防道路にも横断クラックの連続が


音更町内の横断クラック


幕別町の十勝川沿い道路。もうイヤ

走行注意ポイント

交通量の多い場所はほとんどない

交通量が圧倒的に少ないので、クルマに注意すべき場所はほとんどない。交通量が多いわりに路肩が狭く走りにくいと感じたのは池田町の利別駅から十勝川温泉に抜ける道道73号くらい。
ちなみにこの道道73号は進行方向左手に幅のある歩道があって、そこを走ることも考えたが、草の繁茂などあり走りにくいので、実際には車道を走ることになった。

帯広駅をスタートして11kmほど走った帯広市桜木町内には、幅の広いブロック路面があり、ロードバイクの場合はパンクを避けるためスピードを落として走行したい。


道道73号。クルマが連続してやってくる。路肩部分に段差のある排水口があり、それを避けるために車道に膨らみがちなので注意したい


道道73号には幅の広い歩道がある


帯広市桜木町内にあるブロック路面

携帯電話が使えないエリアに注意

前述したが、補給やトイレのないエリア、携帯電話が使えないエリアがあるので、それがどこなのかしっかり頭に入れておきたい。

補給できないエリアは20kmほど続く部分もあり、夏場はとくに注意が必要だ。トイレもないのでとくに女性は気をつけたいところ。

また携帯の電波が入らないエリアは然別湖畔を除く白樺峠からぬかびら温泉郷、さらにそこから三国峠までのおおよそ50kmにおよぶ。ただドコモだけは幌鹿峠からぬかびら温泉郷の間、ぬかびら温泉郷と三国峠の間で使用できるようだ。

クルマのトラブルも含めた対策として、ぬかびら温泉郷から三国峠までの区間には非常電話が3箇所設置されている。

これらの情報は北海道TOKACHIサイクルツーリズムルート協議会が配布するルート案内地図に掲載されているので、必ず事前にチェックしておきたい。


爽快な三国峠への道だがドコモ以外の携帯電話は使えない


トカプチ400サイクルマップ

ルート案内の状況

サイクルルート北海道の表示に導かれる

予備知識なしに走り始めてすぐに気がつくのは、矢印の付いた案内表示にある「4」という数字。どうもこれがルート案内表示のようだが、どこにもトカプチ400の文字はない。矢印と自転車のピクトに4という数字が組み合わせられたステッカーが、ルートの進行方向を示している。これは何なんだ?

この4という数字が、前述したサイクルルート北海道(基幹ルート)のルートナンバー。トカプチ400はサイクルルート北海道の第4ルートだということだ。つまりサイクリストはナショナルサイクルートとしてのトカプチ400ではなく、サイクルルート北海道の第4のルートとして整備された案内表示に従って走ることとなる。ほかのナショナルサイクルルートにはそういった例がないので、なんとなく違和感を感じる。

このステッカーによるルート案内が、印象としては全ルートの9割を占めている。このステッカーは道路標識や電柱、橋の欄干や施設の看板といった既設の柱などにベタベタと設置されている。ほかのナショナルサイクルルートに比べ、低予算で整備されているという印象だ。

また数は少ないがナショナルサイクルルートのシンボルマークやトカプチ400のロゴがデザインされた案内看板も見受けられる。これは令和6年度中をめどに増設していくということだ。


基本的なトカプチ400の案内表示。自転車のピクトが北海道の形をデザインした枠の中に入っているバージョンもある


あらゆる場所にステッカーが貼ってある


このようにナショナルサイクルルートとトカプチ400のシンボルマークが入った案内看板も今後設置が進んでいく

路面の案内表示は少ない

ほかのナショナルサイクルルートでは多く見られる、路面にペイントされた矢印やシンボルマークは少ない。これは冬季の除雪作業などによりペイントが削られてしまうため、ポールなどに設置する案内ステッカー・看板が優先されているからだ。柱などがない場合に路面表示が設置される。調査時に見かけたもののなかには傷みが激しい路面標示もあった。

また矢羽根による路面表示もいくつかのエリアでは見かけたが、あるところにはある、ないところにはまったくない、という状況だ。ちなみにトカプチ400の矢羽根は右肩に高輝度の白線をあしらった夜間視認性向上型。


路面のペイントによる案内表示はステッカーを貼る柱などがない場合に設置される


案内看板と同時に路面標示もあるが、ほとんど見えない


損傷した路面標示


基本は100mおきに設置される矢羽根。自治体によって設置されている場所とない場所がある。たとえば更別町に入ると矢羽根が登場し、忠類町に入ると消えてまた浦幌町で現れる、といった具合

迷いやすいポイント

案内表示のない分岐がある

いくつか案内表示のない場所があった。

道の駅かみしほろを出て2kmほど行った右折部分。ここには右折の案内表示がない(MAP㉗)。

帯広市内に向かう音更町には間違えやすい表示があった(MAP㉙)。十字路直前の道路標識支柱に右折の指示があるが、ここは直進。その先のY字路を右側に進むという表示がまぎらわしい。

また表示の不備以外に表示があっても雑草で隠れて見えないこともあった。進路の表示を頼りに走っていく場合、表示を見落としてしまうとかなり無駄にルート外を走らされる可能性もある。GPSでコースマップと自車位置を表示させながら走ると、こういうミスが防げると思う。


道の駅かみしほろ付近。右折の指示がない


右折の表示があるが、ここは直進。先のY字路を道なりに右へ、という表示

十勝大橋は鬼門

帯広市内を流れる十勝川にかかる十勝大橋。この帯広側のたもとは案内が不十分で混乱しやすい場所だ(MAP⑪)。混乱の原因はサイクルルート北海道が制作するトカプチ400サイクルマップの案内と、トカプチ400のHPに掲載のRide with GPS(Googleマップも同様)のルート表示が異なっていることにある。

トカプチ400を走る際、トカプチ400サイクルマップではルートの詳細まではわからないので、迷った場合はマップを拡大できるRide with GPSのルートを参照することになる。ところがこのシーニックバイウェイ制作のルート表示が、北半分を反時計回りで走行するルートで描かれているのが混乱のもと。現在の推奨ルートである時計回りで走ろうとすると、各所で不都合箇所が現れてしまう。

例えば帯広駅から音更町方面に向かう場合、Ride with GPSでは十勝大橋の南側にある「西3条通」交差点をそのまま突っ切って堤防下の細い道をいくルートになっているが、案内は皆無。おかしいと思ってトカプチ400サイクルマップにある拡大図を見ると、交差点手前でループを描いて国道をくぐり、堤防下の道に出る案内があった。Ride with GPSのルートを見ながら走る場合、これではわからない。

さらに道路上の案内表示では、この交差点を普通に右折して、十勝大橋を渡るように誘導されるのだ。反時計回りルートの案内だろうが、ここで道を間違えるサイクリストは多いのではないか。


十勝大橋の「西3条通」交差点。ここには右折して十勝大橋を行く表示が


右折すると十勝大橋には直進の表示。これは信用してしまう。だがこれは北側ルートを反時計回りにぬかびら温泉郷に向かう場合の案内

RIDE with GPSのルート表示は厳密ではない

またこのRide with GPSに従ってさらに走っていくと、国道241号の平原大橋で十勝川を渡るのだが、ここの通行方法もわからない(MAP⑫)。
堤防上の道を走っていくとこの国道241号にぶつかる。ここを右折することはわかるのだが、右側の歩道を行けばいいのか、無理やり中央分離帯を突破して左側車線に移るのか。
トカプチ400サイクルマップの拡大図でも読み取れないのでRide with GPSのルートを見ると、ルートは中央分離帯を走って(!)、そのうちなんとなーく左側車線に移る。どこで国道を横断するのかといった案内看板もない。

これはこのルートの推奨が反時計回りだった頃のルート図をそのまま使っていることが原因だと思う。反対方向から来れば問題なく左折できるのだ。

時計回り、逆周り両方のルートを表示しなければならないので、それほど厳密にRide with GPSのルートを引いてあるわけではないのだろうが、さらに精度を上げた表示で両方向の走り方が読みとれるようになるといいと思う。


現場写真。ここで中央分離帯のある国道を右折する


しばらく右側の歩道を走り、ふと気がつくと左側車線に矢羽根があったので、中央分離帯の切れ目から左側車線に移った

観光&ビューポイント

超メジャーな観光スポットはない

世界的に有名な観光地も多い北海道だが、意外なことにここ十勝地方には目玉となる観光地がない。とくにトカプチ400のルート上には、特筆すべき観光スポットは見当たらない。それでも少しルートをはずれれば、池田ワイン城、ナイタイ牧場など、名前を聞いたことのある場所があるにはある。

ただここは北海道。地平線を感じられるまっすぐに続く道、広大な牧草地と畑、大自然に抱かれる森林地帯、雄大な川の流れなど、ここ以外では体感できない魅力にあふれている。

そんななかでルート上で見ることができるのは、ばんえい牧場十勝、ハルニレの木、白樺並木、松見大橋、旧国鉄士幌線跡、タウシュベツ川橋梁など。それらを巡りながら、北海道ならではのダイナミックなサイクルルートを楽しむ。それがトカプチ400の正しい走り方だろう。


帯広空港すぐ近くにある、ばんえい牧場十勝(MAP③)では、ばんえい競馬を走る「ばん馬」が飼育・訓練されている。ここではレースは行われないが、練習場には本番と同じ障害物が設置されていて、練習風景を見ることができる


忠類北10線の坂と呼ばれる直線路(MAP⑤)。高速道路の脇にある


豊頃町にあるハルニレの木(MAP⑨)。CM撮影などで有名


調査時に何箇所かで見かけたタンチョウ鶴。渡り鳥だが最近は渡らずに夏をすごすこともあるという


十勝川温泉手前の千代田堰堤(MAP⑩)。ポケットパークもありきれいなトイレが利用できる


音更町にある十勝牧場の白樺並木(MAP⑬)。テレビドラマや映画のロケ地


白樺峠手前の白樺林(MAP⑯)


三国峠への道は国交省が定めた「秀逸な道」に認定されている。この秀逸な道は全道に12箇所あり、この十勝平野・山麓ルートは「樹海に佇む天空の道」と名付けられている


三国峠手前の松見大橋(MAP㉔)は、ルート上から見下ろすことができる。トカプチ400のアイコン的スポット


ぬかびら温泉郷から三国峠に向かっては旧国鉄の士幌線跡に沿って走る。その軌道跡がいまも残っている(MAP㉒)


冬季には湖底に沈むことで知られる幻の橋、旧士幌線のタウシュベツ川橋梁跡。どんどん崩れているので、この状態で見られるのはそう長くないのかも。許可を受けて林道に入ったり、近くまで行くツアーなどもあるが、反対岸となるルート脇からも、森の中を5分ほど歩いた展望所から見ることができる(MAP㉑)


旧士幌線第五音更川橋梁跡(MAP㉓)。道路からよく見える


ぬかびら温泉郷から近い旧士幌線第三音更川橋梁跡(MAP㉖)

DATA

トカプチ400HP

トカプチ400サイクルマップ

Ride with GPS

サイクルルート北海道

次回はトカプチ400②実走編その1

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。ナショナルサイクルルートは全ルート全行程を走破している。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

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実走調査! 日本の自転車道 ルート2 トカプチ400 ②実走編その1

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日本のサイクリングルートを走破していくシリーズ。国土交通省のナショナルサイクルルートHPに掲載されている「サイクルツーリズムの推進モデルルート」を中心に、各地の自転車道を不定期連載で紹介する。今回はトカプチ400の実走レポートその1。帯広市から南半分を反時計回りに走った2日間の模様をレポートする。

2日目終盤に通った十勝中央大橋。日暮れが近づいている

DATA
北海道帯広市→幕別町→中札内村→更別村→大樹町→豊頃町→浦幌町→池田町→音更町→帯広市
距離:186km 獲得標高:856m 最大標高:200m
実走調査日:2024年10月8日〜9日

何日間かけて走るのか?

 2025年1月現在、日本で6カ所指定されているナショナルサイクルルートのうち、このトカプチ400だけ走ったことがなかった。遠いから飛行機代高いし、距離が長いから日数もかかるし、夏は混みそう、冬は雪だし、春秋も寒そうだな、とか思って敬遠していた。

でも年齢も年齢だし、今走らないとずっと走らないような気がした。
行くぞ! 仕事の合間を縫って北海道行きを決めたのは8月下旬だった。だが飛行機も宿もすべて手配したのに、台風のせいですべてキャンセルするはめに。
気を取り直して季節的にも最後のチャンスと、2024年10月の上旬に行くことにした。

このトカプチ400は帯広を中心に南半分のループと北半分のループがあり、その北半分に三国峠までの往復路が付け足された、単位記号のグラム(ℊ)みたいな形をしている。距離は全部で約400km。これを何日で走るのが一般的なんだろう? 実際に走った人のレポートがネットであまり出てこないんだよな。公式MAP(トカプチ400サイクルマップ)とにらめっこしながら自分の脚力と相談して、1日100kmまでの走行、山岳部ではもっと余裕をもったプランニングを考えた。

結論として帯広から南のループを2日間、北のループを2日間、三国峠往復を1日の合計5日間で走ることに決めた。

初日は南側のループをざっくり2分割したところにセキレイ館という宿があるのを公式MAPで発見、いつも使っている宿泊予約サイトからは予約できなかったので、宿のHPから予約を入れた。2日目は帯広市内に戻って一泊。3日目は北側のループを時計回りでぬかびら温泉郷まで。峠が2つあるのでここが厳しそうだ。4日目はぬかびら温泉郷から三国峠までの往復。距離は短いが三国峠はルート最高地点だし、前日までに疲れもたまっているだろうから、往復64kmでも満腹かな。ホテルは連泊だ。そして5日目はぬかびら温泉郷から帯広市内に戻って終了。帯広で祝杯を上げて翌日の飛行機で戻る。うん、完璧だ。

空港から駅までは空港連絡バス

関東に住んでいるので、飛行機で行くことは決めていた。羽田空港からとかち帯広空港までANAとAIR DOとの共同運航便の早朝便があるので、現地までの移動方法はそれ一択。
さっそく頭のなかで移動のシミュレーションをしてみる。自宅から羽田まではクルマで送ってもらえるので問題ない。朝イチの便で現地入りして、その日のうちに走り始めよう。
とかち帯広空港から市内までは空港連絡バスがある。これで起終点となるJR帯広駅まで移動して走り出したい。運行会社のとかちバスに電話すると、「分解して袋に入れた状態であれば、スペースがあれば載せられますよー」という返事。ありがたい。たいていの空港バスは、公式にはNO、現場ではOK。現場判断では輪行状態であれば載せてくれるものの、取材で正面切ってお伺いをたてると「ダメです」と言われるのが一般的。自転車雑誌編集者時代には、ここをどう書くかでいつも悩まされた。

朝6時過ぎには羽田にいた。とかち帯広空港まではJALも運行しているが、朝早い便があるのはAIR DOとANAの共同運航便のほう


とかち帯広空港では飛行機の時間に合わせて空港連絡バスが運行されている


空港にある自転車組み立てスペース。フロアポンプも貸し出してくれる。ただここで組み立ててしまっても、輪行機材を預ける場所がないじゃんか……と思っていた

輪行バッグどうする問題勃発

で、飛行機輪行の場合、いつも問題になるのが自転車を収納してきたバッグや箱の保管場所。俺はオーストリッチのOS-500というパッド入りの輪行バッグを愛用しているのだが、とても持って走るわけにはいかない大きさ。サイクリングしている5日間、これをどこで保管するか。

帯広駅に電話するがコインロッカーは3日間しか保管できないという。バスターミナルも同様。いっそのこと空港から走り始めることにして(ルートは空港のすぐ近くを通っている)、空港に荷物を預けるか? だが空港には荷物預かりのサービスがないという。しかも調査ということもあり、やはり起点は帯広駅にしたいという思いが強い。

悩んだ末、帯広駅までバスで行き、そこから最終日の宿(帯広市内)まで走って輪行バッグを預けることにした。宅配便で空港から日付指定で宿に送ることも考えたが、幸いその宿はルート近くにあり、駅からも3kmほどの距離。OS-500を背負って走っても3kmならなんとかなるだろう。少し工夫すればOS-500が背負えることは過去に体験ずみだった。まあ宿が帯広駅前なら全く問題なかったんだけど予約できなかったんだよね。

しかーし。あとで知ったことだが空港のコインロッカーは、カウンターで申し出れば3日以上預かってもらうことも可能だったようだ。それなら空港を起点にして走り出すこともできるし、なんなら空港バスに乗る前に普通の輪行袋に自転車を詰め替えて、OS-500をコインロッカーにぶち込むこともできたわけだ。むー。


バスターミナルおびくるのコインロッカー。大型のロッカーもあるが、預けられるのは3日まで


JR帯広駅のコインロッカー。こちらも折り曲げればいちばん安いロッカーにOS-500が入りそうなんだけどなー


おびくるには更衣室がある。これはうれしい! 俺もここでサイクルジャージに着替えました


こんなふうにOS-500をザックにくくりつけた。もう少し上に取り付ければよかった

起終点は「帯広駅・バスターミナルおびくる」

朝6時55分の飛行機に乗ってとかち帯広空港に8時25分着。飛行機の時間に合わせて帯広市内行きの空港バスが待っていて、スムーズに乗車できた。乗車時間は約30分なので、朝9時にはスタート地点に立っていた。

だがそこから自転車を組み立てたり、バスターミナルや駅を見たり写真を撮ったりして、スタートは11時くらいになってしまった。

で、スタートの記念写真を撮ろうと周囲を探すが、モニュメント的なものがない。うーん。太平洋岸自転車道や富山湾岸サイクリングコースのような起終点のモニュメントがぜひほしいものです。

気を取り直してスタートしようとするが、まずどっちに行っていいかわからない。公式MAPの二次元コードやHPから飛べるRWGPS(Ride with GPS)のMAPを拡大してみると、どうもJR帯広駅の南口が起点のようだ。バスターミナルおびくるからは駅の反対側ということになる。ところが駅構内は自転車進入禁止。押しても通っちゃだめだって。サイクリストに厳しい。しかたなく駅をぐるっとまわって南口に。ここにもモニュメントはなく、ルートの方向を示す看板などもない。さびしー。

おびくるの壁にある全体MAP。公式MAPと同じものだが、ここが唯一の記念写真ポイント


おびくるの中にはこんな看板(?)があった。ここで写真を撮ってくれということなんだろうけど、そういうことじゃないんだよなー


帯広駅の構内は自転車進入禁止


起点となる駅の南口。ルートの方向を見てもなんの案内もない。これでホントにナショナルサイクルルートなの?

ルートの指示は心もとない

公式MAPだと細かいルートがわからないので、RWGPSを拡大してどの道を行けばいいか特定して走り出す。ルートが国道236号に出る前に最終日のホテルがあるので、そこに寄ってOS-500を預かってもらった。

身軽になって、さあトカプチ400を楽しむぞー!と意気込んだところで、早々とルートミス。札内川を渡って右折するところで、ルートを示す小さな矢印ステッカーを見落として直進してしまったのだ。ダウンヒルの先だったこともあるが、ステッカーの貼付位置が低く、雑草で見えにくかった。その先,どん突きのT字路まで行って、そこに矢印がないことで不安になってMAPを確認すると、4kmほど行き過ぎてることが判明。泣きながらアップダウンを戻って正規ルートに復帰。

この反省から、以降は矢印に頼らず、この先のある程度のルートを頭の中に入れて走る、少しでも不安な交差点などではMAPを確認する、を繰り返して走ることとなった。後述するがこの矢印看板がない場所などもあり、常に油断はできない。ほかのナショナルサイクルルートのようにルート案内看板や路面表示が充実していないので、地図なしで楽々サイクリング、というわけにはいかないのがトカプチ400のワイルドなとこだ。あー、またやられたー!とゲーム感覚で楽しむのが正しいお作法かも。

輪行機材を預かってもらったホテル。事前に言ってあったので問題なく預かってくれた


この交差点で右折の矢印を見落とした。戻ってきてよく見ると、ステッカーの一部が草で隠れている……


これは手前から走ってきて左折する部分の案内なんだけど、左折してからの直進を示す看板は不要では?

10月の北海道、夕暮れは意外に早い

景色は北海道の雄大さを感じさせるものの、天気が曇りなのでイマイチ気分が上がらないまま、ゆるーくアップダウンを繰り返して道の駅なかさつないへ。すでに午後2時。昼飯に豚丼をかっ込んで先を急ぐ。10月の北海道、日の入りは17時ころ。17時半には暗くなってしまうだろう。その前に宿に入りたい。

忠類朝日のあたりで北海道らしい直線路が現れ、思わずシャッターを切る。あとで帯広バスターミナル横の案内地図看板で知ったが、ここは忠類坂という名所。最近は「忠類北10線の坂」と呼んでいるということだ。


北海道らしい風景が見られる


畑に実っているのはホップ。これがビールになるんだねえ


ばんえい牧場十勝。ばんえい競馬を走る「ばん馬」と呼ばれる馬のトレーニングセンターだが見学もできる


矢印ステッカーはどこに貼られているかわかならいので油断禁物


道の駅なかさつないで豚丼


忠類北10線の坂。覚えられないから忠類坂でいいのに

トカプチ400名物の「横断クラック」

この忠類北10線の坂もそうなんだけど、トカプチ400のルートで非常に不快なのが道路の段差。横断クラックと呼ばれる、道路を横断する形で現れる道路の継ぎ目のような段差だ。走り始めて最初のうちは気にならず、まあこのあたりだけかな、なんて思いながら走っていたが、それがどこに行っても現れるものだとわかり、これはひでえなあと思うように。

とにかく10〜20mおきに現れる段差を通過するたびに、腕に振動が伝わる。最初のうちは少しハンドルを引いて抜重しながら走ったものの、すぐにそんな気は薄れてしまった。とにかく数が多すぎる。

これは走った人にしかわからない、トカプチ400の最大の欠点だろう。このルートを推進する人たちもそれはわかっているらしく、なんとかしたいのはやまやまなんだろうけど、クルマだと気にならない程度のものなので、莫大な費用をかけて自転車のために補修するなんてことはできるはずもなく。結果ロードバイクはガッタンコガッタンコと段差の振動に耐えながら走ることに。

トカプチ400走るならグラベルバイクですよ、マジで。


こういう新しい舗装には当然クラックはない


でも古い道路には必ずと言っていいほど横断クラックが

セキレイ館は「とほ宿」だった

道の駅コスモール大樹(の横のショッピングセンター)のベンチで休憩。空模様がだんだん怪しくなってきて、わずかに小雨の気配も。10月の北海道で雨に濡れて震えながら、日が暮れた街路灯もない道路を、クルマに怯えながら走るのは避けたい。とにかく必死でペダルを回し続ける。

大樹町は小型ロケットの打ち上げ施設があり、町をあげて宇宙推し。ルート脇にスペースシャトルを模したモニュメントがあったらしいんだけど、見逃した。いや、パチンコ屋か何かの看板かと思って気にしなかったのかも。

宿に入ったのは17時半。ふー。
本日の走行105km。


大樹町の市街。空模様が怪しいー。このあとは必死で走ったので写真がない

この日の宿であるセキレイ館は「とほ宿」。徒歩、自転車、オートバイなどで旅するツーリストをもてなす、いわゆる旅人宿だ。この日の宿泊客は俺含め4人。俺のほかはオートバイで来ている人たちだった。夜は宿の主人を中心としたミーティング?があり、ビール片手に旅の話に花が咲いた。ご主人は帯広で自転車店勤務の経験もあり、奥さんはランドナーで旅するサイクリストでもある。このご主人に横断クラックの話をすると、ちょっと前に泊まった台湾のサイクリストに感想を聞いたら「道路がだめだ」と言ったきり無口になってしまった、という話をしてくれた。


セキレイ館。MAPに載ってたのでメールで予約を入れた。「サイクリストにやさしい宿」にも指定されていて、自転車は大きな納屋の中にとめさせてもらえた


相部屋になる場合もあるらしいが、宿泊客が少なかったのでツインのシングルユース(?)で泊まることができた


当然2食付き。周囲に飲食施設はない


宿の本当の主である猫

お腹がすいたが店はない

翌朝は9時ころ出発。道幅は広いが交通量の少ない国道336号でアップダウンと戦いながら長節湖。ここからわずかだが太平洋岸を走る。トカプチ400は肥沃な農地と山や川のイメージが強いが、海までが含まれる多彩なルート景観が魅力のひとつなのだ。

豊頃町の大津港町で11時。そろそろ昼飯のことを考えなければならないが、ここにはラーメン屋が一軒あるだけ。まだ大丈夫かと思って先に進むが、とよころヘリポートに向かう鋭角のターン箇所で矢印を見逃し、少しミスコースしてしまったこともあり、だんだん時間がたち腹も減ってきた。聞けばこの先、豊頃の駅前までは飲食できる店やコンビニはないらしい。

北海道はクルマも少なく道もまっすぐで、広い大地を走ってるって実感できるのはいいんだけど、言い換えると民家や商店などが少ないってこと。トイレや補給は計画的にしておかないと、けっこうピンチになることも。

13時ごろ、豊頃町のセイコーマート着。この手前の交差点にも左折の矢印がないことに、あれーっと思いながらパンと飲み物。


アップダウンのある国道336号。クマに注意の看板


ちょっとだけど太平洋岸を走る。空が曇っていてホント残念だ


この「きいちゃん食堂」が大津で唯一の飲食店。あとで気づいたんだが、この店はトカプチ400のサイクルステーション(驚)


やっとあったセイコーマートでパン


豊頃駅近くの国道38号に出るところ。セイコーマートの手前。左折なのに案内はない。だが曲がったところに直進の案内が。この「曲がった先に案内を出す」ってのはトカプチルールなんでしょうか?

十勝川沿いのスーパー直線路

ルートからちょっとだけ離れるけど、少し観光しようと思ってハルニレの木へ。そこから十勝川沿いの堤防道路に入る。これが滑走路みたいな直線道路で(横断クラック付き)、しかもクルマがほとんど来ない。支流である利別川を渡るまで10km近いが、クルマは2台しか通らなかった。

池田町ではいけだワイン城に寄ってみたかったが、丘の上にあって坂を上らなければならないようだし、ここ数年酒を断っているのでスルー。


豊頃町の矢羽根。冬期の除雪作業でこんなに削られてしまう。補修費用もバカにならない。案内はステッカーですませておこう、という気持ちがわからなくもない


ハルニレの木。天気がよければきれいなんだろうなー


十勝川沿いのスーパー直線路。残念ながら川は見えない


路面には5kmおきに距離標と呼ばれるペイントが。災害時に航空機からの位置確認用に用いられるという

交通量の多い道道73号

JR利別駅から十勝川温泉までの道道73号は道幅のわりに交通量が多く、深さのある排水口が路肩にあるのでルート上でもっとも危険な箇所だと感じた。道路の左側に幅の広い歩道があるので、これはひょっとして自転車歩行者専用道なのかとも思ったが、どうやら幅が広いのは除雪時に道の端に雪溜まりができた場合のことを考えてあるようで、自歩道ではないらしい。ちなみに北海道開発局によれば、トカプチ400では道路のどこを走るかといった設定はしていないとのこと。太平洋岸自転車道では歩道にガンガン案内表示がペイントされているが、基本、自転車は車道ですからね。

路肩が狭く走りにくい。歩道を走りたくなるが、草やクラックで走りにくそうだ


十勝中央大橋を渡ったところ。矢羽根は自転車の走行空間を明示するものであって、道順を示すものではない、というセオリーには反する気が。でもこういう大胆な使い方はほかでもときどき見かける

帯広に戻って南側ループが終了

十勝中央大橋を渡って十勝川沿いの堤防道路を、相変わらずの横断クラックと戦いながら抜ければ、道は帯広市内へ。市街のビル群や橋がぐんぐん近くなってくる。昨日スタートした帯広駅前に戻り、今日の宿「ホテル ヌプカ」へ。

本日の走行95km。

このホテルヌプカはレンタサイクルがあったり、1階にはおしゃれなカフェがあったりする。トカプチ400のイメージビデオ(?)にも登場する宿だ。コンパクトなシングルルームもあるようだが、今回は空きがなくてドミトリーへ。市内の大きなホテルの温泉に浸かり、居酒屋で乾杯。いやーサイクリングってほんとにいいですね!(淀川長治調)とノンアルコールビールを飲み干した。

次回実走編2はいよいよ北側ループの山岳地帯に突入! オヤジのヘタレっぷりに戦慄が走る!


日が暮れるころ帯広に帰ってきた


帯広駅前にトカプチ400のモニュメントはないがラリー北海道のはある


本日の宿ヌプカ。自転車は入口にあるサイクルラックにとめて鍵をかけるように言われた。ここじゃなくて近くにあるヌプカ・ハナレはサイクリストにやさしい宿に指定されてて、自転車を室内に持ち込めるようだ。そっちにすればよかった!


ドミトリーの2階ベッドは階段を登るときに足が痛いし下の人に気を遣うので好きじゃない


はいお疲れさーん!

DATA

トカプチ400HP

トカプチ400サイクルマップ

Ride with GPS

サイクルルート北海道

 

次回はトカプチ400③ 実走編その2

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。ナショナルサイクルルートは全ルート全行程を走破している。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

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DATA
帯広市→音更町→鹿追町→糠平温泉郷→三国峠→糠平温泉郷→上士幌町→士幌町→音更町→帯広市
距離:216km 獲得標高:2152m 最大標高:1139m
実走調査日:2024年10月10日〜12日


士幌町と音更町の間で見た風景。北海道だー!

3日目はスタートから大混乱

トカプチ400の旅、後半戦は再び帯広駅・バスターミナルおびくるを出発。前半のスタートは駅の南口スタートだったが、後半は北口(おびくる側)から。まずは道の駅おとふけ なつぞらのふる里を目指す。

駅北側のルートをRWGPS(Ride with GPS)で確認して走り出すと、すぐに案内表示が出てきた。それに従って十勝大橋のたもとの交差点を2段階右折。橋の途中にも直進のサインが。十勝大橋を渡ってセイコーマートの交差点で右折のサイン。あれ?

ここは方向としては左折なんじゃないの? そう思ってMAP確認。あ、これは反時計回りで走る場合の矢印だ! 時計回りのルートは十勝大橋を渡る手前で左折。十勝川に沿った堤防の道路を行くことになっている。仕方なく戻るが橋のたもとからどう行けばいいのかわからない。行ったり来たりMAPと比べたりしながら時間だけが過ぎていく。RWGPSのルートを逆走するって考えると、橋の下をくぐるように思えるんだけどなあ。トカプチ400を走るには推理力、忍耐力が必要だ。結局十勝大橋の手前で堤防の道路に入った先に路面標示を見つけ一件落着。車道を走ってたらこれは目に入らないなー。この堤防道路がグーグルマップに表示されていないのも敗因だった。


市内の案内は矢羽根とともに自信満々で「こっちだ!」と言っている


十勝大橋のたもとの交差点も自信満々で右折の指示


だが連れて行かれるのは逆回りのルート


グーグルマップには表示されない堤防の道を入ったとこにこのサインがあった。それを見逃した俺が悪いってことだ。反対側には逆回り用の右折サインも見えるが、ここは手前でアンダーパスに入るんじゃなかったの?

諸悪の根源?は古いまま提供されているRWGPSのMAPデータ

あとで気づいたんだけど、ここの通行方法は公式MAP(トカプチ400サイクルマップ)に注意が掲載されてて、交差点の下のアンダーパスを通れとある。そんなもんがあったんかい! だがこの走行方向が反時計回りのルート用。つまり推奨されている回り方と逆方向に走る場合の案内が掲載されている。これは公式HPから飛べるRWGPSのルートにおいて、北半分が反時計回り(現在の公式MAPの推奨ルートと逆)で作られていることに原因があると思う。なので路上の案内看板も逆ルートを念頭に置いて設置されているんじゃないかな。

ただそのときはそんなことに気づいていないので、頭の中が???マークでいっぱいになりながら先に進む。

すずらん大橋近くでは車両通行止めのゲートを突破(!)し、続く平原大橋でも同じように(これも解説編に記載した)イライラさせられながら北上。道の駅おとふけ なつぞらの里に到着。まだ10kmしか走ってないのに大休止。この道の駅はトカプチ400のゲートウェイにも指定されていて、クルマで来る際にはここを起点にしてね、ということだ。

自動販売機ではタイヤチューブなどが売られていた。


すずらん大橋手前で左側に下りてアンダーパスを行くのがルートなんだけど、ここにも案内はない


そしてその先には通行禁止のゲートが! 「一般車両の通行は御遠慮下さい」とある。日本唯一の「通行止め自転車道」か!? 真面目な俺は迷わず突破。あとで帯広河川事務所に確認したら「自転車はいいですよー」とのこと。自転車も一般車両ですが?


平原大橋の手前にもゲートがある。これは河川敷のゴルフ場を利用するクルマを夜間に規制するためのゲートだったらしいが、今はゴルフ場も使われなくなり、ゲートは閉めたまま


ゲートウェイにもなっている道の駅おとふけ なつぞらの里。十勝を舞台にした「なつぞら」という2019年の連続テレビ小説に登場した建物(のレプリカ)が立ち並ぶエリアもある大規模な道の駅。車中泊のできるパーキングエリアがあるなど、トカプチ400にクルマでアプローチするならここだ


サイクルラックもあちこちに設置されている


自販機には補給食といっしょに自転車タイヤ用700Cチューブ(仏式バルブ)とシーラントが売られていた

不意に現れるジェットコースター坂

ルート沿いにある白樺並木で写真を撮って、さらにズンズン進んでいく。この先、今回最大の難所であろう白樺峠の上り口まで約50kmなんだけど、高低差図を見るとすごく上ってる! だが冷静に考えると50kmで500mなんで、勾配は1%。わははははは! 驚かせるんじゃねえよ! 実際に走ってみても勾配はほとんど感じない。多少のアップダウンはあるけど。

と思ったら、その先ですんごいアップダウンが出現。最初はダウンヒルの先に同じくらいの上り返しが見えた。よーしと思って全開で下りをこいで、上りの途中で失速、あとはヒルクライム。やっとクリアしたと思ったら、またその先に下りと上り返しが! 再び下り全力! うおおおおおおおおーーーーっ!! 結局これが5発あって、下りも上りも全力出すもんだからすっかり疲労困憊。写真? ありませんよそんなもん。

もうここでリタイヤしてもいいんじゃね?

魂抜かれた状態でたどり着いた道の駅うりまく。もう13時だしここで食事していかないと、この先の峠を越えられないのは明らか。だが、ここにはレストランがなく、パンなども売っていない。瓜幕の町中にも食事できるところはなさそう。道の駅で飯食えないってどういうこと!?と憤りつつ、少し先の「森のキッチンかわい」というのをグーグルマップで見つけ、電話すると営業しているとのこと。

ここでカレーライスを食べながら一人作戦会議。この先、白樺峠、幌鹿峠が待ち構えている。時間はすでに2時過ぎ。距離は幌鹿峠まで30km弱。たいしたことはない。でも勾配はそこそこある。しかもじつはかなり疲れている。押すことになるかも。でもそうすると明るいうちに峠を下ることはできないだろう。暗くなるとクマが出るかもしれない。

キッチンかわいのママさんに、ぬかびら温泉郷まで行くバスはないかと聞くが、もちろんそんなものはなく、タクシーも士幌町から呼ばないとダメ。もちろん自転車に乗らずにぬかびら温泉郷にたどり着いたとしても、それってトカプチ400を完走したことになるのか?って思いもある。でもなー。このまま行くと、途中で警察を呼ぶような事態にもなりかねない。

うー。うー。

答えはひとつ。行くしかない。


道の駅うりまく。食事はできない


森のキッチンかわい。開いててよかった。ここでママさんに、バスはないかタクシーは呼べないかと聞いていたら、「幌鹿峠?クルマなら30分なんだけどねー」と言われた


しっかり食べといてよかったカレー。この先に店がないと知って、何かテイクアウトできるものないかと聞いたら、おにぎりを作ってくれた。これがこの先すごく助かった

クマよけに叫びながら走る

非常食としておにぎりを握ってもらい、出発。白樺峠手前5kmくらいから上りがキツくなってきた。頑張らずに押すことに。

シューズはツーリング用のソールが柔らかいものなので、歩くのは大丈夫。

ところが後ろから上ってきたクルマが止まって「さっきクマを見たから気を付けてね」という。やっぱり出るんだ! クマよけの鈴とか持ってくるべきだった!

そこからはあーーーーっ! あーーーーーっ!と声を出しながらの走行、いや歩行。

1時間ほど押しただろうか、白樺峠に着いた。少し下って然別湖。ここには1軒ホテルもある。そうか、今日の宿をキャンセルしてここに泊まればいいんだ!

勇んで電話してみたが満室とのこと。だよねー。

半べそをかきながら然別湖の縁をまわっていざ幌鹿峠へ。


白樺峠直前にある千畳くずれという名所。岩がゴロゴロした斜面が珍しい。ちなみにこの道道85号が通る鹿追町は、町全体が日本ジオパークに指定されているんですね! 原稿書くまで知らんかったよ!


白樺峠。然別湖まではバスがあったんだな


然別湖ネイチャーセンターでおにぎり休憩。リタイアするならここが最後のチャンスだった

孤立無援! 絶叫する自転車オヤジ

ここからの勾配は白樺峠ほどではなかったが、いやいや押しましたよ。もうまわりが暗くなってきてて、クマが来ないように狂人のようにわーわー叫びながら自転車を押す63歳。

助けを求めようにもクルマはまったく通らない。スマホを見ると電波は届かない。元自転車雑誌編集長、サイクリング中にクマに襲われ死亡! そんな新聞の見出しが頭の中を駆け巡る。思い切り叫ぶ。わああああああーーーーーっっ!!

そして幌鹿峠。着いた。生きてる。

写真を撮っただけで即座に下りだす。つづら折りの急な下り。路面は見えない。クマは怖い。わああああーーーーーーっ!!

声が枯れかけたころ、ぬかびら温泉郷のホテルに着いた。然別湖からここまで1台のクルマにもあわなかった。すでに18時。周囲は真っ暗だった。

本日の走行85km。


鹿幌峠に着いたが写真はこれだけ。早く下らないと


トカプチ400にはトンネルやクルマの通行に注意を促す注意喚起看板が4種類ある


2連泊するぬかびら温泉郷の宿は昭和4年創業の糠平温泉ホテル


2泊で23,000円くらい。高かったがほかが空いてなかった


もちろん2食付き。温かさが胃にしみる

北海道の国道最高地点、三国峠へ

翌日はトカプチ400のハイライト、三国峠への往復だ。距離は往復でも60km程度。全然大丈夫でしょう!と、昨日の体たらくをすっかり忘れて走り出す。朝10時。

たしかに上りはユルい。さすがの俺でも押すほどではない。でも長い。ダラダラした上りが延々と続く。途中、観光スポット的なところがちらほらあるが、見向きもせずにペダルを踏み続ける。まさに修行。景色がいいのが救いだが、15分ごとに休憩って感じ。


さあ上っていきますよー


上りの途中にあった幌加除雪ステーション。サイクルステーションになってて、中にきれいなトイレもあるしベンチに座って暖もとれる


トカプチ400の周辺を走る道路パトロールカーには工具やポンプが積んであり、貸出サポートをしてくれる。これは安心感があるね


メンテナンススタンドまで用意してある。拍手

峠のカフェでゆっくり

やっとの思いで三国峠。というよりその手前にある松見大橋の眺望スポット。ここで写真を撮る人がたくさんいて、その人たちとクルマを分離するためのラバーポールが設置され、安全に撮影できるようになっていた。その先すぐに三国峠カフェ。ついにトカプチ400の最高標高地点に到達! 時間はすでに13時になっていた。

あとは下るだけなので余裕。食事をしてコーヒーを飲み、ゆっくり時間をすごす。古いモンキーのロードバイクに乗った人に出会い、しばらく話をした。

ちなみに今回の5日間で出会った(すれ違った)サイクリストは全部で3人! いくらなんでも少なくない?


白樺林の景観が素晴らしい


ところどころ、上士幌からの距離と標高を示す看板があり、励みになる


松見大橋。オートバイのライダーに撮ってもらいました


三国峠カフェ。小さなカフェだがクルマで来る人で大賑わい。俺もかなり待って座った


三国峠展望台。木が茂って眺望を遮ってしまっている

ダウンヒルはノーブレーキで

これから30kmのダウンヒル。手がかじかんだりしないか心配だったが、そんなに寒くはなかった。上りでラクだったぶん、下りも勾配はゆるい。スピードは出ない。コーナーがきつくないので、ほぼノーブレーキで下れる。

途中、旧士幌線の幌加駅跡とか、タウシュベツ川橋梁跡が見える展望台?に寄ったりしながら再びホテルに。

本日の走行62km。


幌加駅跡近く。線路の切り替えが自分でできる


生きててよかった


タウシュベツ川橋梁の展望台みたいなとこ


望遠で撮るとこのくらいには見える


ホテルでは自転車をロビーに置かせてくれた

最終日はまったり

そして最終日はぬかびら温泉郷から帯広までの約70km。わずかーな下り基調なんだけど体感的にはほぼ平坦。朝9時に宿を出て、10時半には道の駅かみしほろ着。ここでのんびりカフェ&スイーツ休憩。帯広まであと40km。いやこりゃもう終わったも同然でしょう。すでに心にはトカプチ400完全制覇の満足感がジワジワ広がってきている。

士幌町の道の駅ぴあ21しほろでもゆっくり。

その後は真っすぐで単調な道にちょっと飽きながらも、ちんたらペダルを踏んで14時半には帯広駅・バスターミナルおびくるにゴール! いやあ、やりましたなあ。これで俺も胸を張ってトカプチ400を走りましたと言えるわけです! あ、一部歩いたので胸は張れないか。

その夜はホテル近くの回転寿司で祝杯を上げ、翌日は預けてあった輪行袋を受け取ってそれを背負って帯広駅へ。そこで輪行してバスで空港まで!

終わってみれば楽しかったぞ北海道。またな!


糠平ダム。糠平湖はダム湖だ


士幌線第三音更川橋梁跡。現存する北海道の鉄道用コンクリートアーチ橋としては最古のものだという


道の駅かみしほろでスイーツ休憩


士幌町で見たばん馬の仔馬、かな。意外に大きいのかも


音更町。こんな季節にひまわりが咲くんだな


バスターミナルおびくるでゴール!


いやーよく走ったねー


翌朝、おびくる前で輪行作業


おびくるにある更衣室はありがたい


また空港連絡バスでとかち帯広空港へ

DATA

トカプチ400HP

トカプチ400サイクルマップ

Ride with GPS

サイクルルート北海道

まとめ

ハッキリ言って整備状況はよくない。ほかのナショナルサイクルルートと比べてしまうとダントツの最下位。とにかくお金を使ってない。これじゃまだナショナルサイクルルートになれてない福井のわかさいくるとか、鳥取うみなみロードとかが怒り出すレベル。そして路面も「横断クラック」のせいで全然走りやすくない。でもね。

やっぱり北海道には旅人を引き付ける不思議な力がある。北の大地を自分の脚で走ったという満足感がある。そして島しかないしまなみ海道とか、湖しかないビワイチなんかと違い、トカプチ400は黒潮洗う太平洋から北海道でいちばん標高の高い峠まで、風景や地形、生活の変化に富んだダイナミックなサイクルルート。こういうのってそうそうないんじゃないかと思う。クマに怯えるのも、食事するとこがなくて腹ペコのまま走るのも、北海道サイクリングの一部だと思う。国交省のエラい人が言っていた。サイクルルートを作り上げるのはそこを走る一人ひとりのサイクリストなんだ、って。まだまだ未完成なトカプチ400。それを作り上げていく歴史のひとつのピースになる。それってすごいことだ。俺はそのひとつになった。

さらばトカプチ400! 眼下に十勝スピードウェイ、中札内の町、そしてトカプチ400のルートが見えた! 俺はこの大地を走ったんだ!

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。ナショナルサイクルルートは全ルート全行程を走破している。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

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