閉じる

閉じる

TABIRIN

facebook

Twitter

Instagram

YouTube

English Page

お問合せ

NEMU
  • TOP
  • コース・マップ検索

    コース・マップ検索

    コース検索
    コース条件から検索
    都道府県から検索
    地図から検索
    スポットから検索
    コースランキング
    コースで人気のスポットランキング
    マップ検索
    都道府県から検索
    マップランキング
  • 都道府県検索

    都道府県検索

    都道府県別サイクリング情報
    都道府県アクセスランキング
  • 旅×自転車 記事

    旅×自転車 記事

    記事一覧
    カテゴリから探す
    フリーワードから探す
    タグから探す
  • 旅×自転車 情報

    旅×自転車 情報

    サイクリストにやさしい宿
    サイクルトレイン
    レンタサイクル
    予約ができるレンタサイクル
    スポーツタイプのe-bikeがあるレンタサイクル
    スポーツタイプがあるレンタサイクル
    マウンテンバイクがあるレンタサイクル
    子供用自転車があるレンタサイクル
    タンデム自転車があるレンタサイクル
    鉄道駅に近いレンタサイクル
    レンタサイクルがある道の駅
    サイクリングコースがある公園
    交通公園
    自転車でも乗れるフェリー
    サイクルターミナル
    サイクルステーション
    サイクルステーションがある空港
    自転車店
  • ギャラリー

    ギャラリー

    写真ギャラリー
    動画ギャラリー
  • TABIRINについて
  • お問合せ
  • English Page
  • facebook

    Twitter

    Instagram

    YouTube

記事タグ: ナショナルサイクルルート

日本を代表するサイクルルートの指定制度、”ナショナルサイクルルート制度”が新たに創設されました!

日本を代表するサイクルルートの指定制度、”ナショナルサイクルルート制度”が新たに創設されました!

日本を代表するサイクルルートと言えばどこ?

最近だと外国人の方から聞かれることも多くなっているのではないでしょうか。
わかっているようで、はっきりとしてこなかったこの質問。。。
ついに!はっきりと答えることができるようになります!

2019年9月上旬に国土交通省が、自転車通じて優れた観光資源を有機的に連携させるサイクルツーリズムの推進を図るため「ナショナルサイクルルート制度」を創設しました!

現在、3つのルートがナショナルサイクルルートに選出され、委員会の審査を経て、10月中に正式に指定される見通しです。

そこで、今回はこの「ナショナルサイクルルート制度」について紹介します!

 ナショナルサイクルルート制度とは?

『日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート』を指定する制度です。

ナショナルサイクルルートの指定要件は、①ルート設定、②走行環境、③受入環境、④情報発信、⑤取組体制の5項目で構成されています!

※以降の図表は、国土交通省ナショナルサイクルルート制度検討小委員会の配布資料より抜粋しております

出典:国土交通省HP 

1. ルート設定

① サイクルツーリズムの推進に資する魅力ある安全なルートであること
  • ナショナルサイクルルートは複数自治体を跨ぎ、主要な観光地を連絡する延長100km超のロングライドルートを想定。
  • ルート近傍の主要アクセスポイントである空港、鉄道駅、道の駅等に、サイクリストの受入施設となる「ゲートウェイ」を整備することが必要。
出典:国土交通省HP 

2. 走行環境

① 誰もが安全・快適に走行できる環境を備えていること
  • ガイドラインに基づき歩行者・自動車と分離された自転車通行空間が整備されている。
  • トンネル部における安全確保のため、自転車だけではなく、自動車などに対しても注意喚起をしている。
  • 100m程度の設置感覚で矢羽根が設置されている。
  • 未舗装区間がないこと。

出典:国土交通省HP 
② 誰もが迷わず安心して走行できる環境を備えていること
  • ルート名や自転車ピクトによる経路や距離に関する路面表示・案内看板等を設置。
  • 現在位置が分かる地点表を一定間隔(500m)ごとで設置

出典:国土交通省HP 

3. 受け入れ環境

① 多様な交通手段に対応したゲートウェイが整備されていること
  • 鉄道駅と直結した駅ビル内に周辺観光情報や宿泊情報の提供、レンタサイクル、コインロッカー、屋内ラック、宅配ロッカー、シャワー等が利用可能なゲートウェイ施設を整備。

出典:国土交通省HP 
②  いつでも休憩できる環境を備えていること
  • 休憩やメンテナンス、食事等に利用するサイクルステーションの整備。
  • 地域産品による飲食の提供、土産物販売などに加え、レンタサイクルにも対応している。

出典:国土交通省HP 
③  ルート沿いに自転車を運搬しながら移動可能な環境を備えていること
  • ルート上の迂回手段としてサイクルトレイン、サイクルバス、サイクルタクシーなどがある。
  • サイクリストの体力や経験・実力による「走行できる距離」を考慮し、拠点までの自転車回送サービスとしてのサイクルトレイン、サイクルバス、サイクルタクシーなどがある。
  • 迂回手段・自転車回送サービスについて、計画を立てるのに必要な情報が提供されている。

出典:国土交通省HP 
④ サイクリストが安心して宿泊可能な環境を備えていること
  • ルート付近にサイクリストが必要とする機能を備えた宿泊施設が概ね60kmごとにある。

【上記の宿泊施設に必要な機能】

  • 室内(フロント、ロビー、客室等)で自転車の預かり・保管が可能
  • フロント等にて荷物の保管が可能
  • 洗濯が可能

【上記の宿泊施設に推奨する機能】

  • 宅配の受け取りができる
  • 洗車施設がある
  • 日帰り利用も可能なシャワー設備がある

出典:国土交通省HP 
⑤  地域の魅力を満喫でき、地域振興にも寄与する環境を備えていること
  • サイクリストに向けに地域の魅力を紹介するツアーガイドなどがある。(日英2か国語以上に対応)
  • 幅広い層を対象としたサイクルイベントが定期的に開催されている。

出典:国土交通省HP 
⑥  自転車のトラブルに対応できる環境を備えていること
  • ルート近くにトラブル発生時に必要な補修部品、自転車用品などが販売されている。
  • トラブル発生時に利用できる自転車修理サービスや自転車の出張修理などのサービスがある。
  • 自転車修理サービス、出張修理などのサービスについて、緊急時に利用するために必要な情報が提供されている。
  • トラブル発生時に利用できるメンテナンスの緊急時に利用するために必要な情報が提供されている。

出典:国土交通省HP 
⑦  緊急時のサポートが得られる環境を備えていること
  • 自転車専用道路等に緊急車両の侵入が可能な環境が整備されていること。または、概ね2kmごとにアクセスが可能な環境が整備されている。
  • 緊急時の連絡体制やサポート可能な施設情報がルートマップ及びホームページなどに記載されている。
  • 緊急通報が可能なように、全線が携帯電話の圏内である。又は一定間隔で公衆電話が設置されている。
  • 救急箱・担架・AED機器などの緊急支援物品が途中のサイクルステーションに設置されている。

出典:国土交通省HP 

4. 情報発信

① 必要な情報が容易に入手可能であること
  • ホームページ、SNS及びパンフレットなどで必要な情報発信をしていること。
  • ルートマップが作成されていること。
  • ルートマップが観光案内所、交通拠点等で容易に入手できること。
  • 海外の自転車展示会、旅行関係のイベント等に出展し、PRを積極的に実施していること。

出典:国土交通省HP 

5. 取組体制

① 官民連携によるサイクリング環境の水準維持等に必要な取組体制が確立されていること
  • 官民が連携し一体的に協議・検討・議論を行う常設の協議会、事務局が設置されていること。
  • 指定されたナショナルサイクルルートに関する水準維持等に向けた取組内容を都道府県・政令市の地方版自転車活用推進計画に具体的に位置づけること。

第1次ルート候補が決定

9月9日、第1次ルートの候補として茨城県の「つくば霞ヶ浦りんりんロード」 、滋賀県の「ビワイチ」、広島県・愛媛県の「しまなみ海道サイクリングロード」の3ルートが選ばれました!

※以降の図面は、国土交通省の報道発表資料より抜粋しております

つくば霞ケ浦りんりんロード

出典:国土交通省HP 

つくば霞ヶ浦りんりんロードは、旧筑波鉄道の廃線敷と霞ヶ浦を周回する湖岸道路を合わせた全長約180kmのサイクリングコースです。
都心から約1時間でいくことができ、アクセスが良いのが特徴。

【たびりんコースマップ】

ページが見つかりません。 - TABIRIN(たびりん)

【地元自治体HP】

つくば霞ヶ浦りんりんロードがナショナルサイクルルートの第1次候補ルートに選定!...
つくば霞ヶ浦りんりんロードは、つくばりんりんロードと霞ヶ浦自転車道などを一体とした総延長約180kmのサイクリングコースです。全国でも屈指の安全で快適に走行できる環境が整備されています。

ビワイチ

出典:国土交通省HP 

 

日本最大の湖琵琶湖を一周する全長約200kmのルート。勾配が少ないなど、初心者でも取り組みやすいのが特徴。
サイクリングマップは日・英・中の3言語版があり、海外旅行者も安全に周遊できる環境が整っています。

【たびりんコースマップ】

守山~琵琶湖一周(ビワイチ)ルート

【地元自治体HP】

「ビワイチ」が第1次ナショナルサイクルルート候補ルートに選定されました!|滋賀...

しまなみ海道サイクリングルート

出典:国土交通省HP 

 

瀬戸内海の島々が織りなす絶景を望む、日本初の海峡を横断する約70kmのサイクリングロード。
平成26年7月に自転車通行料金の無料化を実施。料金所で一旦停止する必要がなくなり利用環境が格段に向上した。

【たびりんコースマップ】

しまなみ海道サイクリングロード

【地元自治体HP】

愛媛県庁/ナショナルサイクルルート制度におけるしまなみ海道の候補ルートへの選...

ロゴマークを募集中!

現在ナショナルサイクルルートのロゴマークを募集しています!誰でも応募できます!
選定されたロゴマークはポータルサイト等で使用する他、現地のルートで路面表示、案内看板に設置されます!
デザインに自信がある方は、応募してみてはいかがでしょうか。

募集期間が2019年10月9日(水)までですので、お早めに!

報道発表資料:ナショナルサイクルルートのロゴマークを募集します! - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

※国土交通省の報道発表資料より抜粋しております。

関連リンク

  • ナショナルサイクルルート制度を創設 ~日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルートを国内外へPRします~(国土交通省)
  • 第3回 ナショナルサイクルルート制度検討小委員会 配付資料

【インタビュー】茨城県自転車政策の立役者・根本博文さんに聞く

【インタビュー】茨城県自転車政策の立役者・根本博文さんに聞く

ナショナルサイクルルートに選定されている「つくば霞ケ浦りんりんロード」。
令和2年度の利用者は10万人を超えていて、「水郷筑波サイクリング環境整備ガイドライン」が完成した平成28年度から2倍以上もの人が訪れたことになります。
車社会の茨城で自転車を活用して地域振興を考えたのか、これまでとこれからについて、元茨城県職員でりんりんロードの立役者である根本博文さんに、自転車と地域振興について伺いました。

ナショナルサイクルルート2019年指定「つくば霞ケ浦りんりんロード(筑波山側)」

つくば霞ケ浦りんりんロードの整備計画がはじまったのは?

平成28年(2016年)に「水郷筑波サイクリング環境整備総合計画」を国に先駆けて策定です。

「始まりは一人の職員の“気づき”」

震災の翌年2012年に、県庁企画部にいた頃、自転車の政策に取り組み始めました。

一人の職員が休日にりんりんロードの近くを車で通ったときに、自転車で走っている人が多いので何かできるのではという考えがきっかけになりました。何気ない職員の“ 気づき” から、もしかしたら地域振興につながるのではというアイディアがスタートだったんです。

「“どうせやるなら面白く!”」

私のモットーは、“県庁の仕事は選べない、どうせやるなら面白く”でした。職員が気づいたところから、直感的に面白そうだからやってみようと動きだしました。
当時は課長というポストにいたので、動き出すのは早かったです。

「“ヒト”を探すとこから始まった」

まずは何も知識がなかったので実態調査から始めました。1、2年くらいは自転車の専門家の意見や、りんりんロード周辺で、地元ではどういう印象をもたれているのか地道に聞きこみなどしたところ、りんりんロードは、フラットで、初級・中級者、女性向けのコースづくりが可能だということになりました。
首都圏から近い本県では、これはいけるぞと確信に変わり、本腰を入れて予算確保に向かうことになったんです。
企画部の仕事は意外と地道なことが多いです。どう転ぶかわからないところに実は種があって、後に花が咲くといったものなんですよね。まさか、(計画ができて)10年経たないうちにナショナルサイクルルートに選ばれるとは思ってもいませんでした。私が一線を退いて後任の担当者が凄く頑張ってくれたおかげもあり、ナショナルサイクルルートに選ばれました。

県民に自転車に振り向いてもらうためにどうしたら良いのか、色んな人の話をきいたのが楽しかったので今でも印象に残っています。

自転車で地域振興とは

「地域にお金が落ちる政策を」

私が考える「地域振興」って、“その地域が儲かること”なんです。
他の地域から来た人たちが満足して何度も足を運ぶことだけでは地域振興になりません。地元の人たちが心を込めておもてなしをしたとしても、まるっきりのボランティアで、そこから得られる達成感だけでは地域活動の継続性は担保できないと思うんです。

地域になんらかの形でお金が落ちる仕組みが必要です。それには、多様な主体の連携も必要になってきます。行政主体だけでは決して成しえないのです。
その仕組みを作ること、考えることが地域振興策だと思うんです。その仕組みの中で、おもてなしする側の地元の皆さんも一緒に楽しめるといいと思っています。

「県や市町村単位の垣根を無くすこと 広域的政策」

自転車のイベントを開催するにしても、やる以上は主催する側も一緒に楽しんでほしいと感じています。

また、道はどこにでもつながっているので、その道路はあそこの市、あの道路は県がなどと、垣根を作ってはいけないと思っています。走りに来る人は、〇〇市で自転車乗りたいとかって来ているわけではないと思うので、市町村単位で県単位で垣根を作ってはいけないですね。

それこそ「広域的な連携政策」にならないといけないですからね。

「周回遅れのトップランナーを目指す」

実態調査と様々な人の意見を聞いたうえで、 “広域的な連携による地域振興策” として、予算を取り本格的に取組もうということになったのは、取組み開始から3年目だったと思います。

当時、関東各県では既にレンタサイクルも含め、自転車を観光に取り入れたりサイクルツーリズムを実施したりしていたので、茨城県は最後発のスタートでした。職場内では、最終目標は日本一のサイクリング環境づくり!先ずは “周回遅れのトップランナー” を目指そうと、自分たちを揶揄して取り組んでいたことが懐かしいです。

そうした取組みの成果が、2019年、「しまなみ海道サイクリングロード」と「ビワイチ」に並んで、わが国最初のナショナルルート指定につながったと思います。

茨城のサイクルツーリズムとは

茨城県は、人口割りの自家用自動車保有率が全国3位となっていて、県民の日常生活での移動は自動車に依存しています。県民が自転車を生活の移動手段としてあまり認識していないのです。通学のときに自転車を使うくらいでしたからね。

そうした中で、自転車政策の裾野をどう広げていくかは課題でした。

「五感でたのしむサイクリング 生業をみせて魅せるツーリズムを」

茨城県は、大規模な観光資源が少なく、拠点も各地域に点在していることも不利な条件ですが、一方、ドラマロケ地に選ばれるような風光明媚なところがたくさんあります。そして、その場所に行く道もたくさんあるわけです。

その資源を存分に活用し、サイクリングと一緒に楽しんでもらえると考えたときに、生業をみせ人の営みをみせることができ体験してもらい感動してもらえる観光ができるのは茨城県ならではと思いつきました。

生業をみせる観光ができないかと思ったとき、五感で感じる観光が自転車ならできるんです。車でスタート地点まで来てレンタサイクルを利用し体験してもらう観光をりんりんロードで実現できたら外向けのアピールになると思いました。りんりんロードのように180キロも走ると、いろんな地域を走ることになるのですね。
花やフルーツとかが季節ごとに変わっていくので、それを自転車と組み合わせたら地元にもお金が落ちたりするのではと考えました。直売所や農家さんのところで食べたりお土産を宅配したりと、お金を使ってもらえるんですよね。

▼外国人を交えて、つくば霞ヶ浦りんりんロード沿線でのサイクリング&そば打ち体験。

「広域レンタサイクル」

レンタサイクルだと発着地点が同じなので、長い距離を走ってくるのは大変だと思うんです。茨城県内を走って乗り捨てができると良いなと思って、行った先でレンタサイクルを返せる広域レンタサイクルをはじめました。

りんりんロードでは、例えば土浦市で借りて桜川市の岩瀬駅や潮来市の高速バスターミナルでレンタサイクルを返して電車で帰ってくるなんてことができるようになっています。各地域でそういったことができるんです。観光で来た人に往復80kmは大変ですからね。

「サイクリング・ミックス・ツーリズム!」

さらに自転車で行って電車や船でかえってきたりと、自転車は色んな乗り物とセットにして楽しめると気が付きました。茨城県は、海、山、川、湖、平地、丘陵地、山間地とすべての自然があるので、様々なアウトドア資源に恵まれています。おそらく、関東では茨城だけだと思います。

去年、自転車とカヌーを組み合わせた「ペダル&パドル」というイベントを企画したんです。

サイクルツーリズムではなく、それらアウトドア資源をサイクリングに組み合わせて楽しむサイクリングミックスツーリズムが茨城にはぴったりだと思いました。

海、山、川、湖と自然豊かな茨城県では、可能性がたくさんあると感じています。今までは、なんでもあるがゆえに「まとまりがない」とか「アピールポイントがぼやけている」とか言われていたんですが、なんでもあるのを逆手にとって「サイクリング・ミックス・ツーリズム」ができると思いましたね。
他の県にはない茨城の魅力だと強く感じています。

▼河川敷のサイクリングとカヌー体験 「ペダル&パドル」

▼茨城県北部の林業地帯の山間サイクリング

日本一のサイクリング環境へ向けて

これほど資源が多くある地域は他にないと思っています。この自転車の環境にこだわりをもっていて、海、山などそういったサイクリング環境を大事にしていきたいです。
道だけでなく、広くとらえて、地域ごとの魅力をサイクリング環境に脚光をあてられるのが理想です。身近にあるも自然環境に光があたることを願っています。

また、茨城県で自転車を使った観光がさらに楽しめると思っています。

コロナ禍でイレギュラーな環境ですが、自転車は個人で楽しめるものだと思います。密を避けながら、健康管理ができ、心のリフレッシュのためにもサイクリングは良い道具です。私は、自転車に乗る習慣の少ない市民意識の転換を図る意図もあって、夏季限定の早朝ライドを企画実施しています。コロナ禍で楽しめる遊びの手段のひとつです。最近は、朝に自転車に乗ることが多く、例えば6時から90分ときめて毎週日曜集合し、行先を決めずに行っています。今は、自分なりに自転車を楽しんでいますが、今後コロナが収まったら、サイクリングミックスツーリズムメニューをどんどん提供していきたいと考えています。

▼早朝サイクリング 水戸朝ライド

▼鯉のぼりに思いを託しながら、日本一のサイクリング環境づくりを展望する根本さん

▼茨城県国際交流協会にてインタビュー

プロフィール

名前:根本博文(ねもとひろふみ)
1957年生まれ、茨城県水戸市出身

<略歴>
1981年4月、茨城県庁入庁
2012年4月、県庁企画部に所属。県域の地域振興政策に従事。そのひとつとして自転車政策を立ち上げ。
以降、公私におけるサイクリング関係のネットワークづくりに関与

2018年3月、茨城県庁退職
2018年4月、石岡市副市長就任
2020年5月、同上 退職
2021年8月現在、公益財団法人 茨城県国際交流協会 理事長、茨城県選挙管理委員、行方市自転車活用推進会議会長

仲間とともにサイクリングを楽しみながら、自動車依存率の高い茨城県民の日常生活に自転車活用を促進するため「水戸朝ライド」を主宰している。

<モットー>
どうせやるなら面白く

 

インタビュー・執筆:水越恭子

茨城県出身。地元ラジオ局でリポーターをしていた頃にロードバイクを購入。公私ともに自転車を楽しんでいる。現在はフリーランス。SNSで茨城サイクリングの魅力を発信。自転車のさまざまな楽しみ方を研究中!現在は、行方市自転車活用推進会議委員を務め、行方エリアテレビ「なめテレ」に出演し自転車で市内をめぐりレポートし放送している。

関連記事

【インタビュー】ロングライドからレンタサイクルまで6人にお聞きしたサイクリング...
6人のインタビューでお届けするロングライドからレンタサイクルまでサイクリングの様々な楽しみ方や、おすすめのサイクリングコースなどをご紹介します。雑誌バイシクルクラブ編集長 岩田淳雄さん普段は取材する側の岩田編...

【茨城県】注目度上昇中いばらき!石岡市の伝統を巡るサイクリング
2019年11月、ナショナルサイクリングルートに「つくば霞ヶ浦りんりんロード」が認定され、2020年10月には都道府県魅力度ランキングで42位となり長年の最下位から脱出し、茨城県はいま話題となっています。そんな茨城県には...

【茨城県】土浦でワーケーション×自転車を体験 ~筑西市・桜川市サイクリング~
テレワークが一般化したいま、仕事とバケーションを兼ねた新しいライフスタイルを表現する「ワーケーション」という言葉が生まれました。ワーケーションには自転車も相性がいいと言われているので、実際に自転車を持ってワ...

太平洋岸自転車道実走調査①:ナショナルサイクルルート「太平洋岸自転車道」の走り方

太平洋岸自転車道実走調査①:ナショナルサイクルルート「太平洋岸自転車道」の走り方

2022年の秋に筆者(ペダルプッシャー岩田)が太平洋岸自転車道を銚子から和歌山まで走破した体験をもとに、その走り方をお伝えするシリーズ。これから太平洋岸自転車道を走る人の参考になればと思う。第1回目は太平洋岸自転車道の概要から。

太平洋岸自転車道とは

2021年5月にナショナルサイクルルートに指定

千葉県から神奈川県、静岡県、愛知県、三重県を通り和歌山県までをつなぐ、日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートが太平洋岸自転車道だ。その名のとおり、おもに太平洋岸を通るルート設定で、案内表示や周辺施設の整備などを含め大規模な整備が行われている。

太平洋岸自転車道は、2019年11月に指定されたしまなみ海道サイクリングロード、ビワイチ、つくば霞ヶ浦りんりんロードに続き、富山湾岸サイクリングコース、トカプチ400と並んで2021年5月にナショナルサイクルルートに指定された。

ナショナルサイクルルート制度は、「優れた観光資源を走行環境や休憩・宿泊機能、情報発信など様々な取組を連携させたサイクルツーリズムの推進により、日本における新たな観光価値を創造し、地域の創生を図るため、ソフト・ハード両面から一定の水準を満たすルートを国が指定することで、日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルートとして国内外にPRを行い、サイクルツーリズムを強力に推進していくもの」とされ、国土交通省により推進されている。
簡単に言うとナショナルサイクルルートは、国が認めた「日本を代表し世界に誇りうるサイクリングコース」ということになる。

太平洋岸自転車道はもともと1970年代に全国に作られた大規模自転車道事業のひとつとして整備された。
和田白浜館山自転車道線、静岡御前崎自転車道線など、太平洋岸自転車の一部として11の自転車歩行者専用道路が整備され、現在も供用されている。それらをつなぐ形でナショナルサイクルルート指定に向けて路面の矢羽根表示、案内看板などが整備され、現在のような姿の新しい太平洋岸自転車道となった。
「自転車道」と名乗ってはいるものの、自転車歩行者専用道路として整備されているのは196kmのみ。あとは既存の国道・県道に矢羽根を設置し、ルートとしている。

▼国土交通省ナショナルサイクルルート
https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/good-cycle-japan/national_cycle_route/


昭和の時代から太平洋岸自転車道として整備が進められてきた

ルート概要

千葉県銚子市から和歌山県和歌山市までの1400km

起点は千葉県銚子市の銚子駅前。終点は和歌山県和歌山市の加太港。銚子駅前と加太港にあるモニュメントには1400kmという距離表示があるが、太平洋岸自転車道ナショナルサイクルルート指定推進協議会のアクションプランによれば総延長は1481kmとなっている。
だがこれは整備の総延長距離であり、実際に銚子から和歌山まで走ってこの距離になるというわけではない。ルートには伊豆(伊豆半島を回るルートと箱根を越えるルート)や伊勢志摩(山沿いルートと海沿いルート)など、二手に分かれてから合流する部分もあり、距離にはこれらが合算されている。また三重県の志摩半島や浜島、ほかにもサイクルステーション(サイクルラックなどを備えたサイクリスト対応施設)である道の駅までを往復する部分など、ルートを走るためには往復せざるを得ない場所でも片道分しかカウントされていない。

筆者の実走によれば、伊豆半島をまわり伊勢志摩は海沿いコースを走って約1400km。これは志摩半島などの往復に加え、ルートから少し外れた宿や一部ルートにない景勝地への往復も含まれているが、ルートとなっている一部の道の駅などのサイクルステーションには立ち寄っておらず、その距離は含まれない。


出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省 近畿地方整備局)

▼2019年時点でのアクションプラン(予定)
https://www.kkr.mlit.go.jp/road/pcr/news/pcr_actionplan201225.pdf

ルート高低差

総獲得標高は12,782m

太平洋岸自転車道ナショナルサイクルルート指定推進協議会によるMAP(以下MAPと呼称)によれば、総獲得標高は12782mという驚くべき数字。エベレストの1.5倍近い標高を上ることになる。
ただこれは前述した並行ルートなどを含んだ計画総延長の数字。しかも獲得標高の計算にトンネル部分がカットされていない。
トンネル部分はそのまま山を直登して越える設定になっているので、実際よりかなり大きな数字になっていると思われる。実際はこの半分から3分の2程度の獲得標高になるのではないだろうか。


出典:国土交通省 関東地方整備局
プロフィールマップ(高低差図)を見ると、短い距離で激しく標高差のある部分(スパイク状にグラフがとがっている部分)がいくつもあるが、これは実際にはトンネルで通過することができ、このような標高差にはならない

ルート案内の状況

矢羽根や看板が充実している

ルート上にあるおもな誘導表示はおもに3種類。

①矢羽根

路面にペイントされた青い矢印状の表示。基本は100mに1カ所設置されているが、場所により50mに1カ所だったり、迷いやすい場所ではさらに多い場合もある。ナショナルサイクルルートの整備として設置されたものがほとんどで、従来からある自転車歩行者専用道には少ない傾向がある。自転車歩行者道は道に迷う可能性が少ないという判断からか、案内看板や路面表示の整備が後手に回っている印象だ。

また都市部の自転車通行安全のために設置された矢羽根と規格が同じであるため、都市部では混同してルートを誤る可能性がある。


矢羽根の色と大きさは一部をのぞき統一されている


都市部では自転車安全用の矢羽根と区別がつかない

②案内看板

ルート上に設置された幅15cm、高さ45cmの小さな看板で、ナショナルサイクルルートの統一ロゴが描かれているが、サイズが小さく見落としがち。
5km間隔で進行方向左側の路肩または歩道上に設置されているものと、分岐部の前に設置されているものがある。5km間隔で設置されているものは、次のゲートウェイやサイクルステーションまでの距離が表示されているが、施設名が小さすぎて走行しながらの判読は不可能。

5kmおきに出てくる案内看板。K08というのは神奈川県の8番目のサイクルステーションを表すが、走りながらこの文字を判読することはできない


200m先でルートが右へ向かうという表示

③路面表示

案内看板と同様デザインの路面表示が分岐部手前にペイントされている。また統一ロゴのペイントもルート上に5kmおきに設置されることとなっているが、これは設置箇所が少ない。


路面表示。この先40mでルートが左折するという表示


統一ロゴのペイントは路面表示とセットになって表示されていることが多い

そのほかエリアによっては電柱や道路標識の支柱に統一ロゴやゲートウェイ、サイクルステーションまでの距離が記されたものも見受けられる。



電柱に貼り付けられて表示されることも多い


サイクルステーションには、両方向のサイクルステーション、主要都市までの距離が入った大きめの案内看板が設置されている

また矢羽根や路面表示の設置には各自治体により法則性が異なる場合があり、県境をまたいだとたんに方式が変わり戸惑うこともある。これに関しては今後の各県実走編で解説していきたい。

ゲートウェイとは

サイクリスト受入用施設として指定された公共施設

太平洋岸自転車道にアプローチするために適当だと判断された空港や駅、さらに休憩施設として適しているとされた道の駅などがゲートウェイとして指定されている。
レンタサイクルが用意されている、タイヤチューブ、パーツ、携行食が購入可能、エアポンプや工具の貸出が可能、必要な情報が得られ、緊急サポートが受けられるなどの要件を満たす施設が全15カ所。
ルートから離れた道の駅など、その利用価値は微妙だが、MAP上に記載されている。ほかに126カ所のサイクルステーション(サイクルラックなどを用意した施設)、125カ所のサイクリストにやさしい宿も指定されているが、ナショナルサイクルルート指定要件を満たすために準備した感が強く、サイクリストの利用の実情に即しているとは言えないという印象を受ける。


ジャイアントストアが入った白浜キーテラス ホテルシーモアはゲートウェイに位置づけられている


サイクルステーションに指定されている道の駅富士に備え付けられたサイクルラック

ルート情報の入手先

ルートMAPのKMLデータがダウンロードできる

太平洋岸自転車道ナショナルサイクルルート指定推進協議会のホームページ、「太平洋岸自転車道」がとても役に立つ。グーグルマップで作った全行程のルート図が見られるほか、そのデータをKMLデータとしてダウンロードできる。
また情報満載の各県版、各県詳細版のガイドMAPもダウンロードできるなど、太平洋岸自転車道を走る人には欠かせないサイトとなっている。各エリアの観光情報のリンクも充実。


すべての情報が網羅されたサイト。ガイドマップが各県別だけでなく各県詳細版まであるなど、注意深く探さないと大切な情報を見逃してしまう

https://www.kkr.mlit.go.jp/road/pcr/index.html

次回は千葉県の解説編

※このシリーズは次回からエリアごとに解説編、実走編に分けて掲載していく。

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査②千葉県:房総半島の道路状況や走行ポイントを解説

太平洋岸自転車道実走調査②千葉県:房総半島の道路状況や走行ポイントを解説

2022年秋にナショナルサイクルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。今回は最初のエリアである千葉県の、銚子市銚子駅から富津市の浜金谷港まで。

<DATA>
銚子駅→金谷港/距離:219km/獲得標高:1327m/最大標高:85m

ルート概要

房総半島をぐるっとまわる海岸沿いルート

千葉県銚子市のJR銚子駅前が太平洋岸自転車道のスタート地点。ここからずっと海沿いをたどって房総半島を時計回りに富津市金谷の浜金谷港(東京湾フェリー乗り場)までが千葉県内のルート。
アップダウンは少なくとても走りやすいが、海岸沿いのため風向きの影響を受けやすいので注意。
基本的にずっと海に沿って走るが、じつは海を見ながら走れるのは外房エリアの一部のみ。ルートは国道128号、127号、県道30号など幹線道路がメインだが、海岸沿いの自転車専用道を走る部分もあり、その入り口を見落とさないよう注意が必要。

南房総エリアはルート沿いに道の駅が点在し、休憩もしやすい。自転車専用道部分をのぞけばコンビニも適宜あり、補給やトイレで困ることはない。
出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省  近畿地方整備局)

ルート高低差

一部をのぞきほぼフラットな房総半島

銚子市ドーバーラインの手前に1カ所、短い激坂がある。太平洋岸自転車道全ルートを通じて、1、2を争う勾配だ。地元のサイクリストもあまり行きたくないと言うほど。さらにその後は急な下りが待っている。またその銚子ドーバーラインから飯岡までと、御宿町から鴨川市にかけて、さらに南房総市の洲崎灯台の前後に、それぞれアップダウンがあるが、長い上りではないので軽いギヤを回してクリアできる。ほかはほぼ平らで、とくに九十九里浜に沿って走る部分は、まっ平らだと言っていい。

出典:国土交通省 関東地方整備局

道路状況

自転車専用道は砂の堆積に注意

基本的に幹線道路を走るため、走行環境はおおむね良好。ただ市街地を抜ける部分などで路肩が狭い箇所はところどころある。

九十九里浜沿いと和田浦付近に自転車専用道を通る部分がある。ここは砂が堆積しているところもあり、走行に注意が必要。細いタイヤで無理に砂地の上を走ると落車する危険性が高いので、押して歩きたい。また夏から秋にかけては雑草が生い茂って走りづらいことも多い。

国道410号、野島埼灯台の先にも砂が堆積しやすい場所があるので注意したい。

基本的に海沿いの県道、国道を走る。集落をつなぎながら走っていく感じ

海沿いの自転車専用道はどうしても砂が溜まりやすい(MAP②)

海沿いを快適に走れる部分も多い。市街地以外は交通量も少なめ

走行注意ポイント

勝浦のバイパスと南房総のトンネルが難関

勝浦市を抜ける部分は国道128号バイパスを走るルートになっているが、路肩が狭く、時間帯によって通勤のクルマなどがスピードを上げて走っているのでかなり怖い。

御宿から鴨川の間にあるトンネルは、自転車歩行者用の小さなトンネルが左側にある場合が多い。短いトンネルだがクルマが多い場合はこちらを通りたい。

対して内房側、南房総市の国道127号にあるトンネル群には、岩富隧道や小浦隧道、南無谷隧道など、距離がある程度あって交通量が多いものがいくつか。しかも路肩が狭く非常に危険。後続をよく確認して走行したい。

勝浦の国道128号バイパスは、朝夕の通勤時に交通量が多い(MAP⑥)

このような歩行者用トンネルは積極的に利用したい(MAP⑦)

内房には路肩の狭いトンネルがいくつかある(MAP⑧)

ルート案内の状況

チーバくんの案内看板

チーバくんのマークがついた案内看板と太平洋岸自転車道のシンボルマークの路面表示、矢羽根が頼り。自転車専用道部分をのぞけばルートはわかりやすい。海岸沿いルートなので、たとえ太平洋岸自転車道から外れても、見当違いの方向に走ってしまう心配はない。ルートがシンプルで迷う心配が少ないからか、外房エリアの矢羽根の数は少なめ。

ただ内房エリアの鋸南町から富津市浜金谷にかけては、迷いやすいポイントに矢羽根を連続して配置してあってわかりやすい。

九十九里浜沿いでは70年代に整備された大規模自転車道を通る。ここは広い歩道に車止めがしてある場所があり、特徴的な道路となっている。この歩道を走るのが正規ルートのはずだが、車道にも歩道にも矢羽根はない。

チーバくんの案内看板

路面表示は一部をのぞき必要に応じて設置されている

鋸南町からは迷いやすい場所で連続矢羽根が登場。わかりやすい

特徴的な広い歩道は、1970年代に大規模自転車道として整備された部分(MAP③)

迷いやすいポイント

犬吠駅手前にMAPにない分岐路が

スタートして犬吠埼灯台を過ぎると、銚子電鉄犬吠駅の手前でルートがふた手に分かれる。右折して犬吠駅前を通過、「地球の丸く見える丘展望館」への激坂を行くルートと、直進して戸川の漁師町を抜けるルート。どちらにも矢羽根が敷いてある。太平洋岸自転車道ナショナルサイクルルート指定推進協議会によるHPのMAPを確認すると、ルートは右折して激坂を行くコース。どちらもドーバーラインに出るので、好みに応じて選ぼう。雰囲気がいいのは直進の戸川ルートだ。


ここを右へ行くと激坂、左へ行くと海岸まわり(MAP①)


戸川方面へ行くルートの方が雰囲気がいい

そのほか自転車専用道に入る部分は案内看板を見落としがち。もし自転車専用道に入りそびれても、そのまま行けばいずれルートに合流できる。忠実にルートを走破したい人以外は、そのまま走ってしまっても問題ないだろう。



白子付近の自転車専用道入り口。この表示を見逃すと直進してしまう。手前に予告表示はない(MAP④)

2023年3月9日追記:手前に案内看板とシンボルマークが設置されていた

迂回路情報

いすみ市にごく短い迂回が1カ所

大原手前の海岸沿いを走る自転車専用道は、夷隅川を渡った先で一部通行止めとなっており(2022年10月現在)、川に沿って左折せずに国道128号を表示に従っていったん直進、その先の表示で左折することになる。

ここから自転車専用道が始まるが、残念ながら通行止め(MAP⑤)

貼り紙によると令和4年3月に工事が終わることになっていたが、10月時点でまだ通行止めだった

観光&ビューポイント

海が見える場所は意外に少ない

ルートから見えるランドマークとしては、犬吠埼灯台、野島埼灯台、洲崎灯台などがわかりやすい。とくに犬吠埼はルートのすぐ脇にあり、自転車に乗ったまま灯台まで行けるので、ぜひ立ち寄りたい。東洋のドーバーとも呼ばれる銚子市の屛風ヶ浦は、近くで見ると絶景だがドーバーラインからは見えない。

海を見ながら走れるのは、銚子市の隣町、旭市の飯岡漁港から吉崎浜まで。あとはいすみ市の自転車専用道部分、南房総市の野島埼周辺などだ。


犬吠埼灯台はコースのすぐ脇にあり、自転車で灯台入り口まで行ける

野島埼灯台までは少し歩く。灯台先のラバーズベンチまで往復するなら30分以上はみたほうがいい

次回は千葉県の実走レポート編


太平洋岸自転車道実走調査③千葉県:銚子駅から金谷港までのサイクリングレポート
2022年秋にナショナルサイクルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。前回のルート解説に続き、今回は銚子市銚子駅から富津市の浜金谷港までの実走レポート。<DAT...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査③千葉県:銚子駅から金谷港までのサイクリングレポート

太平洋岸自転車道実走調査③千葉県:銚子駅から金谷港までのサイクリングレポート

2022年秋にナショナルサイクルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。前回のルート解説に続き、今回は銚子市銚子駅から富津市の浜金谷港までの実走レポート。

<DATA>
銚子駅→金谷港/距離:219km/獲得標高:1327m/最大標高:85m
実走調査日:2022年10月19日〜20日


出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省  近畿地方整備局)

銚子から飯岡まで

スタート地点は千葉県銚子市のJR銚子駅前。ロータリーを渡ったところにあるチーバくん(千葉県のマスコットキャラクター)のモニュメント。駅前にはコンビニもあり、出発準備はここですませられる。また銚子駅は太平洋岸自転車道のゲートウェイになっている。

チーバくんの位置は駅前メインストリートの入り口。

反対側から見る。太平洋岸自転車道の起点とある。銚子と和歌山、どちらからスタートしてもいいんだろうが、一応銚子が起点、和歌山が終点ということになっている。

スタートは北へ向かうので、さあ房総半島を南へ!という感じからズレる。

海岸に出ると犬吠埼灯台が見え、テンションがあがる。

犬吠埼灯台はルートのすぐ脇にある。

チーバくんのマークが入った標識看板。

銚子ドーバーライン。もとは有料道路だった。アップダウンが4つある。

日本に2カ所しかない洋上風力発電施設が見える。

飯岡から白子まで

飯岡漁港から堤防上の自転車専用道に入れる。

正規のルートはこちらの堤防上。ただ並行する県道側にも途中から矢羽根が現れる。

堤防が終わっても自転車専用道が続く。路面の継ぎ目で腕に伝わる振動が大きい。

砂が堆積している場所も。

自転車専用道が終わると県道30号をひたすらまっすぐ。

蓮沼海浜公園を過ぎたあたりでいきなり現れる路面表示。テンションが上がる!

九十九里町に入ると現れるミョーに広い歩道。大規模自転車道として整備された名残りだ。
ここを走ってもいいが、車道も走りやすい。

白子から太東崎まで

白子海水浴場から始まる自転車専用道の入り口。ここは表示を見逃して直進してしまいやすい場所。手前に予告はない。

2023年3月9日追記:案内看板が設置されシンボルマークがペイントされていた

九十九里有料道路をくぐる。

最近整備された部分。

九十九里有料道路に沿った道が続く。

その先は表示がなくなり、迷いやすい。MAPと照らし合わせながら進むしかない。妙に広い歩道が現れたら、それがルートだ。

2023年3月9日追記:路面標示が設置されていた

水門を回り込んだり、歩道橋を渡ったりと、かなりテクニカルな区間。

このあたりの自転車専用道は昔、県が整備したもの。

ここを左折して、県道の1本裏の道に入るのだが、案内はない。

2023年3月9日追記:路面標示が設置されていた

これが裏道。このように以前から自転車道として供用されてきた部分は、表示などの整備が後回しになっている感じだ。

2023年3月9日追記:路面標示が設置されていた。ただし入口のみ

太東埼灯台の手前で国道に合流。ここは歩道を走るようにという指示がある。

太東崎から勝浦まで

MAPのルートだと夷隅川を渡って左折するルートだが、通行止め。矢羽根は直進を指示している。

少し直進すると左折の誘導が。

迷いそうになりながら海岸沿いの自転車専用道へ。

砂が堆積している部分もある。

国道128号に復帰し、あとはひたすら国道サイクリング。この後ナイトランになってしまったので写真はないが、勝浦まではずっと国道を走るだけ。路肩は狭めで、とくに走って楽しい道ではない。

勝浦から鴨川まで

勝浦市街手前で国道128号が市街へ行く道とバイパスに分かれる。ルートはバイパスだがクルマが多くスピードも出していて危険だ。写真はバイパスが終わる手前。

このあたりからトンネルが増えてくる。車道トンネルの横に歩行者用の隧道があるところは積極的に利用したい。

安房小湊駅前を過ぎたところで長いトンネルの入り口が。MAPだと左側の旧道を行くことになっているが、矢羽根は直進を指示する謎部分。NAVI TIMEのMAPではトンネルを行くことになっている。トンネル内にも矢羽根がある。長いトンネルで怖いので、ここは歩道?を押して歩いた。

安房天津の手前でまたしても国道128号とバイパスが分かれるが、今度はバイパスではない道へ。

バイパスとの合流手前。鴨川の海岸が一望できる。

鴨川シーワールド前。

鴨川の市街地方面へ。

景勝地の鴨川松島を通る。

鴨川から野島埼まで

道の駅和田浦WAO!には大きな鯨の骨格標本(模型)がある。

和田浦漁港入り口交差点から、堤防上の自転車歩行者道が現れるが、ルートはそのまま国道128号を行く。

和田サーフ橋手前から自転車歩行者道へ。

和田サーフ橋。

サーフ橋から海沿いの自転車歩行者道に入る。砂が堆積しているところもあるので注意。

川を渡る部分はいったん県道に出る。

この海沿いの自転車道は和田白浜館山自転車道として整備された部分。

千倉漁港手前でルートは右へ。ここは左へ行った方が漁港の脇を走れて楽しいのだが。

道の左手に堤防を利用した「ちくらアートな海の散歩道」が現れる。千倉出身の安西水丸のイラストも。

千倉のランドマーク、南房千倉大橋。

乙浜港の手前でまたしても市街地方面を通らされる。ここも直進したほうが景色はいい。

野島埼から館山まで

野島埼灯台が見えてくる。

野島埼灯台には食堂やトイレがある。灯台までは少し歩く。

このあたりは海女漁で有名。若い海女の像。

海沿いの快適な走りが楽しめる。この先からアップダウンが始まる。

スーパーおどやの手前、相浜交差点を左へ。ここからが房総フラワーラインのハイライト。

信号のない快適な道が続く。多くのトライアスリートが練習に訪れる。

左手に洲崎灯台が見える。

館山市の北条海岸。

館山から浜金谷まで

館山市を過ぎるとトンネルが増えてくる。路肩は狭い。房総半島一の危険区間だ。

鱚ヶ浦(きすがうら)の夕暮れ。

保田駅手前。こういう路面表示がいちばんわかりやすい。

東京湾フェリー乗り場手前。路面表示が素晴らしい。

フェリー乗り場まで矢羽根が続く。

浜金谷港の東京湾フェリー乗り場。

銚子駅から219kmの表示。

フェリーターミナルには食堂や土産物店が。

自転車は1500円(旅客込み)。

運行は1時間に1本。

船内ではこんなふうに自転車を固定。係員がやってくれる。

さらば千葉。ここで太平洋岸自転車道実走レポート、千葉編が終了。

次回は神奈川県のエリア解説編

太平洋岸自転車道実走調査④神奈川県:久里浜港から湯河原までの道路状況や走行ポイ...
2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道の全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。今回はルート上で2番目の県である神奈川県の、久里浜港から湯河原まで。DATA久里浜港→湯河...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査④神奈川県:久里浜港から湯河原までの道路状況や走行ポイントを解説

太平洋岸自転車道実走調査④神奈川県:久里浜港から湯河原までの道路状況や走行ポイントを解説


2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道の全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。
今回はルート上で2番目の県である神奈川県の、久里浜港から湯河原まで。

DATA
久里浜港→湯河原(静岡県との県境) 
距離:104km 獲得標高:712m 最大標高:82m

ルート概要

三浦半島をまわり駿河湾沿いに走る平坦ルート

東京湾フェリーで到着するのが神奈川県の久里浜港。ここが太平洋岸自転車道の神奈川県スタート地となる。
ここから三浦半島を時計回りにたどり、相模湾沿いに湘南を経て静岡県との県境(湯河原町と熱海市の境)までが神奈川県内ルートだ。
ルートの距離は愛知県の51kmに次いで少ない104kmで、三浦半島と湯河原の手前以外はアップダウンもなくほぼフラット。

真鶴町手前で海ルートと山ルート(千葉方面用)に分かれる区間(約9km)がある。また大磯町には新たに整備された自転車歩行者専用道部分があり、湘南の鵠沼海岸から茅ヶ崎海岸にかけては国道のルートと並行して海岸沿いの自転車歩行者専用道もルートになっている。

基本的に幹線道路を走るので、コンビニや食事どころには困らないが、交通量の多い部分がほとんどなので、必要に応じて歩道を走るなどして安全を確保したい。


出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省  近畿地方整備局)

ルート高低差

三浦半島はゆるやかなアップダウンが続く

三浦半島の南側と西側はにはある程度の上りがあるが、トンネルで通過する部分もあり、それほど脚にはこない。ただ油壺のあたりから半島内側に入り込み京急三崎口駅の前を通るルートには、ゆるやかで長いアップダウンがある。湘南から小田原にかけてはほぼフラットと言っていい。

真鶴町手前の根府川交差点右にで分かれる山ルートは、真鶴道路の渋滞を避けるためにクルマが使う迂回路。距離9kmで獲得標高139m。トンネルもないのでそこそこ脚を使わされるだろう。海沿いルートも多少のアップダウンがあるが、気にするほどの高低差はない。

出典:国土交通省 関東地方整備局

道路状況

幹線道路のため路面の状態はいい

鵠沼海岸から焼く8km続く海沿いの自転車歩行者専用道は今回走っていないが、地元のサイクリストによれば「砂の堆積が著しく、とてもロードバイクで走れる道ではない」とのこと。砂の除去作業がされていない場合は、通らないほうがよさそうだ。またサーファーも多いため走行には注意が必要だろう。

大磯町の自転車歩行者専用道は海岸から自動車専用道(西湘バイパス)を挟んで離れているため、千葉県で見られたような砂の堆積などは見られない。


湘南の自転車歩行者専用道。奥は砂が堆積していて通行不能。2022年12月撮影。 (MAP⑦)
写真協力:http://pressports.com


大磯の自転車歩行者専用道は砂の堆積などはない (MAP⑬)

場所によっては交通量が多く路肩が狭い部分があるため、やむをえず歩道を走ることになる場合もある。その場合は段差に注意が必要だ。

交通量の多い場所は歩道を通ったほうがいい場合も。夕方の湯河原町市街地

走行注意ポイント

葉山周辺の渋滞と辻堂からの国道134号に注意

三浦半島、葉山、江ノ島、茅ヶ崎といった湘南イメージで快走ルートを期待したいところだが、交通量が多く路肩の狭いところが多い。
とくに休日の七里ヶ浜付近など、渋滞するクルマの横をすり抜けるのは神経をつかう。また辻堂海岸、茅ヶ崎海岸の横を走る国道134号は大型トラックが路肩の狭い道路をスピードを上げて通り過ぎるため、かなり怖い思いをする。
ここは歩道をゆっくり走るほうが安全だ。または並行して海岸沿いに指定されている自転車歩行者道を行くことになるが、入り口に誘導はなく、景色はともかく走りやすくはないようだ。


湘南エリアの国道134号は休日になると渋滞が多い (MAP⑤)


国道134号の江ノ島から茅ヶ崎市にかけては交通量も多く危険。歩行者はほとんどいないので、歩道を走るという選択も (MAP⑨)


茅ヶ崎市柳島の湘南大橋入口。ここも歩道を走ったほうがいい (MAP⑩)


湘南大橋。広い歩道は走りやすい 

ルート案内の状況

分岐の手前に誘導がない

分岐の手前に進行方向の表示がない部分が現れる。これは千葉とはあきらかに違う部分。矢羽根の先に分岐(T字路など)があるのに、それをどちらに進めばいいかの指示が手前にないのだ。
矢羽根を頼りに走る場合、分岐に出て左右を見渡し、矢羽根を見つけてその方向に進む、ということになる。これはこのあと静岡に入っても同様の場面がある。まだ整備が追いついていない部分なのだろう。

三浦市の城ヶ島近くにある日の出交差点。手前に方向の表示はないが直進方向は通行止め(MAP②)


交差点に入って左を見ると矢羽根が

鎌倉で現れるミニ矢羽根

鎌倉市から平塚市にかけて、見慣れない連続した小さな矢羽根が出現する。
これは太平洋岸自転車道とは関係ないものかと思ったが神奈川県の藤沢土木事務所によると、幅員が十分でない道路に矢羽根を設置するための苦肉の策として設置したもので、れっきとした太平洋岸自転車道の矢羽根。
このあたりの設置方法は各管轄土木事務所の苦労がにじんでいて興味深い。


鎌倉市の由比ヶ浜で出現するミニ矢羽根 (MAP④)


大磯町にもミニ矢羽根が (MAP⑪)

迷いやすいポイント

江ノ島の矢羽根は太平洋岸自転車道のものではない

国道134号の江ノ島入口交差点から江ノ島方面を見ると、路面に矢羽根が続いているのが見える。もちろんこれを追って江ノ島まで往復してもいいが、現在ここは太平洋岸自転車道のルートにはなっていない。

江ノ島へ向かう道にも矢羽根が敷いてある (MAP⑥)

サイクリストを惑わす人呼んで「大磯の関」

大磯港から自転車歩行者専用道に入る部分は非常にわかりにくい。新しくできた道路へ誘導しようとさまざまな表示や案内があるのだが、まず交差点手前に右折の路面表示。
次いで「太平洋岸自転車道 右折してください」という誘導看板に従い右折すると、その先の急坂にミニ矢羽根とブルーライン。ところがこれはルートではない。推進協議会のグーグルマップでルートを確認すると、その坂を少し上って左折することになっているが、そんな道はない。
結局、西湘バイパスに並行して歩道に設置された「自転車道入口」の表示に従って進むのだと気づくまでしばらくかかった。

交差点手前の右折表示、「右折してください」の看板、そしてブルーラインの3段攻撃に惑わされず、そのまま直進方向の自転車道に入るのが正解だ。

手前に右折の指示、看板にも「太平洋岸自転車道 右折してください」。ごていねいに奥の矢羽は右を向いている (MAP⑫)


斜向かいの様子。ここにも「右折してください」の看板。奥に自転車道らしきルートがあるが、そこへは入るな、という強い指示に思える

指示に従って右折する。路面にはブルーラインが。ただその先でブルーラインは途絶える


結局、「直進方向」のここを入っていくのが正解。よく見ると太平洋岸自転車道の表示も

迂回路情報

鵠沼海岸への入り口は閉鎖中

とくに迂回箇所は見当たらなかったが、国道134号から鵠沼海岸の自転車歩行者道に入る部分は橋梁工事のため進入禁止だった(2022年10月現在)。
その先にも海岸への入り口はあるので、そこからは入れる。 (MAP⑧)

観光&ビューポイント

有名観光地がひしめく神奈川県

三浦半島の城ヶ島、湘南の江ノ島、小田原城など、ルート沿いには有名観光地がひしめいている。とくに鎌倉市の由比ヶ浜から七里ヶ浜、江ノ島にかけての海岸線は湘南観光のゴールデンルート。走りながら輝くビーチと立ち並ぶカリフォルニアテイストのレストランやサーフショップを眺めるだけでリゾート気分を味わえる。

サイクリスト的には三浦半島南端の宮川公園にある風力発電施設や、ルート沿いにヨットが停泊しているのが見える油壺京急マリーナのあたりが撮影スポット。

江ノ島が見えてきた。サザンオールスターズの勝手にシンドバッドが脳内にグルグル渦巻く


三浦市の丘陵を上ったところにある宮川公園にある風力発電施設の風車 (MAP①)


油壺京急マリーナ。ルートからの景色 (MAP③)

次回は神奈川県の実走レポート編

太平洋岸自転車道実走調査⑤神奈川県:久里浜港から湯河原までのサイクリングレポート
2022年秋に太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。前回の神奈川県ルート解説に続き、今回は横須賀市久里浜港から静岡との県境までの実走レポート。実走調査日:2022年10月21...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査⑤神奈川県:久里浜港から湯河原までのサイクリングレポート

太平洋岸自転車道実走調査⑤神奈川県:久里浜港から湯河原までのサイクリングレポート

2022年秋に太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。前回の神奈川県ルート解説に続き、今回は横須賀市久里浜港から静岡との県境までの実走レポート。
実走調査日:2022年10月21日

DATA
久里浜港→湯河原(静岡県との県境)
距離:104km、獲得標高:712m、最大標高:82m


出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省  近畿地方整備局)

久里浜港から三崎まで

千葉県の金谷港から東京湾フェリーで久里浜港に到着。着岸したところに矢羽根があったりするのかと思ったが、そういうお出迎えはない。

案内がないので、たぶんこっちだろうという方向に進むと三崎方面は左との表示。

左折したところにやっと矢羽根が現れた。その左側にはサイクルステーションにある大きめの表示看板が。

県道212号が海沿いの道に出る。

三浦市の三浦海岸交差点。直進方向の矢羽根指示。

直進方向はマクドナルドの右に思える。

しかし交差点に入って見回すと、左方向に矢羽根が。神奈川県に入るとこのように事前の進行方向指示がない場所が散見されるので注意。

三浦市の金田海岸。

三浦市の宮川公園付近。三浦半島名産のキャベツ畑が広がる。

坂を上った先にある宮川公園。風力発電の風車がランドマーク。トイレもある。

みうら・宮川フィッシャリーナを望む。

三崎から江ノ島まで

ルートに面して建つ三崎港の三崎フィッシャリーナ・ウォークうらり。産直のうらりマルシェやレンタサイクルがある。

坂道を下ったところに現れる油壺京急マリーナ。フォトスポットだ。

陸上自衛隊武山駐屯地先。油壺から先は三浦半島の内陸部を走る。市街地、住宅地をつないで走っていく。路肩が狭い部分は歩道を走るほうがいい場面も。

再び海岸に出る。開放感にペダルも軽くなる。

景勝地の長者ヶ崎がルート沿いにある。

逗子海岸手前で左折。このあたりは観光シーズンには渋滞する場所だ。

逗子海岸。この手前の葉山あたりから逗子、稲村ヶ崎、七里ヶ浜、江ノ島までは湘南観光のゴールデンルート。

変わり種矢羽根発見!と思ったが、神奈川県藤沢土木事務所によれば「新しく車道部分だけ舗装して、側道部分の矢羽根が残ってしまったものでしょう」とのこと。

江ノ島が見えてきた! ♪ラーララーララララーラーラー!

江ノ島から大磯まで

あまりにも自信たっぷり(?)に矢羽根が設置されているので、思わずルートと勘違いして走ってしまった江ノ島往復。

大磯海水浴場手前に自動車専用道の西湘バイパス入り口があるので左方向へ。

ここでほんとうに迷ってしまった「大磯の関」(勝手に命名)。
洞察力と判断力が試される、まさにサイクリストの関所だ。詳細は「④神奈川県の道路状況や走行ポイント解説」編参照

大磯の関の先は歩道橋のような道を上ったり下ったりするテクニカルコース。

直進が本ルートで、右へそれるとサイクルステーションの大磯城山公園の表示。

本ルートから見下ろすと、城山公園までのルートらしきところに矢羽根が。これが太平洋岸自転車道の矢羽根だとすると、この道もルートだということになるが、MAPに道は記載されていない。

大磯から湯河原まで

大磯プリンスホテル手前で海岸からそれてホテル方面へ。複雑なルートだが案内はしっかりしていて迷うことはない。

大磯ロングビーチの駐車場脇。間違って駐車場に入らないように念入りな矢羽根表示が。

大磯プリンスホテル。これはホテルの敷地内じゃないのか!?と思うところに矢羽根が。太平洋岸自転車道のおもしろポイントのひとつだ。
この道路、所有者はプリンスホテルなので私道扱いなのだが、関東地方整備局とプリンスホテルで協定を結び、路面標示や看板の補修は関東地方整備局の横浜国道事務所が行うことになっている、ということだ。なので太平洋岸自転車道のルートになっても矢羽根を設置しても問題なし!

大磯プリンスホテルを出たら国道1号で小田原まで。箱根駅伝でおなじみの風景だ。

小田原市街を抜けるとだんだん車道幅員が狭くなり、走りづらくなってくる。徐々に伊豆に近づいているイメージ。この先の根府川駅手前でルートは2つに分かれる。海側ルートが和歌山方面、山側ルートが銚子方面行きで走るために設定されている模様。

夕方の渋滞が始まっていた湯河原の市街地。注意して走りたい。市街地を抜けた千歳川が神奈川県と静岡県の境。今回はここまで!

次回は静岡県東部のエリア解説編

太平洋岸自転車道実走調査⑥静岡県:熱海から沼津までの道路状況や走行ポイントを解説
2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道の全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。今回はルート3番目の県である静岡県の、熱海から沼津までの解説編。DATA熱海(神奈川県との...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査⑧静岡県:沼津から湖西までの道路状況や走行ポイントを解説

太平洋岸自転車道実走調査⑧静岡県:沼津から湖西までの道路状況や走行ポイントを解説

2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道の全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。今回は静岡県の後半、沼津から浜名湖の先、湖西までの解説編。

DATA
沼津→湖西(愛知県との県境)
距離:225.4km、獲得標高:416m、最大標高:118m

ルート概要

焼津市手前で大きく迂回する箇所が

静岡県を通るルートは441.3kmと長いため、伊豆半島部分とそれ以降の部分の2つに分けて紹介している。この静岡県後半パートは、沼津を出て富士川、安倍川、大井川、天竜川といった一級河川を渡りながら、浜名湖の先、湖西市の愛知県との県境まで走るダイナミックなルート。
昭和の時代に整備された自転車歩行者道、いわゆるサイクリングロードを走る区間が長いのも特徴だ。

三保松原で有名な清水市の三保半島で寄り道する以外は、海岸線を一路浜名湖まで目指すイメージ。だが焼津市手前では海岸線からそれて内陸をルートとした部分があり、距離的にかなりの大回りを余儀なくされるので、スケジュールを組む際には余裕をもちたい。

静岡県の交通基盤部道路局によると、この「迂回」ルートに関しては昭和40年代に太平洋岸自転車道が整備されたとき、海沿いに焼津に入るルートは「大崩」という危険をともなう箇所があるためルートが山側に設定され、それが現在も踏襲されているのではないかということだ。現在も丸子川、朝比奈川に沿って静岡御前崎自転車道として自転車歩行者専用道が整備され、それが太平洋岸自転車道となっている。静岡県内の自転車歩行者専用道(サイクリング ロード)の情報はこちらからPDFをダウンロードできる。

長期の工事で迂回させられる箇所も

御前崎から浜松までの「浜松御前崎自転車道線」では、長期にわたり自転車歩行者専用道が工事で通行不能となっていて、長い迂回を強いられる。

街をつないで走っていくため、コンビニやスーパーはコース沿いに多くある。ただがこの浜松御前崎自転車道線の迂回路となっている部分は、自販機を見つけるのにも苦労することがあるので注意。

富士川を渡るところで国道1号を走る部分もあるが、歩道を走るため危険ではない。ほかはうまく交通量の少ない道をつないだルートとなっていて、クルマの多さに危険を感じる場面は少ない。

またルートが分岐するのは牧之原市内の国道150号が走る新坂口谷川橋たもと部分、および道の駅潮見坂付近の短い区間のみ。


出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省 近畿地方整備局)

ルート高低差

標高160mの峠がひとつあるだけ

焼津手前でルートは海沿いを離れ内陸部へ。丸子川の堤防をたどって国道1号に合流、その側道を走ると国道1号宇津谷トンネル。これを避ける形で旧道に誘導されると宇津谷隧道で峠を越える。ここがこのルートの最高地点で、高低差図によれば標高118m(グーグルマップの等高線によれば標高160m)。あとはルートの最後、愛知県との境にある「道の駅潮見坂」の先で短い激坂が登場するだけ。ほかはほぼフラットで、脚力に自信がない人でも走りやすいコースだ。

出典:国土交通省 関東地方整備局

道路状況

砂が堆積した場合の連絡先を明記した看板が

ルートが階段を通る場所、歩道橋を渡る部分、道の駅の中を通過する部分、さらには銚子へ向かうルートと和歌山へ向かうルートが狭い歩道を対面通行する部分など、話題ポイント満載の静岡県西部。

大井川を渡った吉田町から牧之原市相良までは一部をのぞき旧静岡鉄道駿遠線の軌道跡を通るなど、快適なサイクリングが楽しめる。

砂浜沿いを走る浜松御前崎自転車道線は砂の堆積が多い部分だが、現在は工事による迂回ルートが多いせいか、一部をのぞき走行の妨げになる場所は見られなかった。また砂のたまりやすい部分には県の土木事務所により「砂がたまって通りにくい場合は下記にご連絡ください」という看板が出されており、必要に応じて砂の撤去が行われている。

このエリアは全般に安全を優先したルートどりのせいか、車道ではなく歩道を走らせる部分が多く、走行には歩行者や対向の自転車に対する注意が必要。

大井川を渡ると階段自転車道に(MAP⑦)


富士市内の国道1号にある道の駅富士。ルートはこの敷地内を通る(MAP③)


この歩道が太平洋岸自転車道。しかも対面通行


砂が堆積した場合の連絡先を明記した看板(MAP⑩)


旧静岡鉄道駿遠線の軌道跡が自転車歩行者道に。スピードは出せないが走りやすい(MAP⑧)

走行注意ポイント

クルマに気を遣う場面はほとんどない

ルートがうまく引かれていて、車の通行が多く路肩が狭い道路でヒヤヒヤしながら走る、という状況はない。ただそのせいで歩道を走る場面も多く、段差や路面が荒れている部分では注意が必要。また非常に細い歩道を無理やりルートに設定している部分では、歩行者優先を心がけたい。


歩道がある場所はとにかく歩道にルートが設定されている

ルート案内の状況

色と形が違う「変異矢羽根」が出現

このエリアは交通量の多い道を避けるため歩道や歩道橋、階段などを駆使して複雑なルートを通らせる部分も多い。しかし案内表示はしっかりしていて、迷う部分はあまりない。細い通路のような場所に表示がひしめいているのを見ると、行政関係者の苦労がしのばれるほど。

おもしろいのは静岡市清水区の蒲原駅を過ぎたあたりから、矢羽根の色が薄いブルーに変わること。さらに同じ色で矢羽根の長さが短い「縮小型」の矢羽根も現れる。標準の矢羽根が幅750mm、高さ1500mmであるのに対し、縮小型は幅が同じで高さが600mmとかなり「薄い」。これは太平洋岸自転車道全ルートを通じてここだけに見られるもの。静岡市の道路保全課によると、縮小型は景観配慮と幅員の狭さに対応するため、この蒲原から由比にかけての旧東海道沿いに設置してあるそう。ただ色に関しては設置工事の時期によるものではないかということで、とくに意図はないということだ。

ちなみに標準型、縮小型とも、従来から交通安全目的で使用されているものもあるということで、太平洋岸自転車道専用ではない。事実、矢羽根は直進を示しているのに路面表示が左折を促すといった場所もあった。


標準型だが色が薄い。少し紫がかったような灰色っぽいような(MAP④)


縮小型。色はやはり薄い(MAP④)


矢羽根は右へ、路面表示は左へ。矢羽根の色の違いがよくわかる(MAP④)

迷いやすいポイント

矢羽根や路面表示に頼りすぎないこと

清水市の三保松原で海岸の防波堤沿いの道から羽衣東公園を抜けるところは、案内がないので道に迷いやすい。防波堤沿いの舗装路を突き当たりまで行くのではなく、手前の「自転車」という矢印に従って松林の中に入るのが正解。

そのほか筆者がルートミスしたのは富士市田子の浦港付近の右折。これまでにない右折の誘導方法にやられてしまった。藤枝市内の朝比奈川沿いや、大井川を渡った先の左折、天竜川の先の工事中箇所でも迷ったが、このあたりの詳細は次回の「実走編」に記す。

いすれにせよ矢羽根や路面表示に頼りすぎず、MAPを確認しながら進めばロストルートは防げるはずだ。


三保松原。防波堤の道からここを右に入る(MAP⑥)


田子の浦港付近のこの交差点、直進の路面表示があるが、じつは右折だ(MAP①)

迂回路情報

長期にわたる通行止め区間がある

御前崎から浜松までの「浜松御前崎自転車道線」には、長らく工事で通行止めの区間がある。趣のあるルートだけにもったいない。延々と迂回路を走ることになるが、その迂回路の案内はしっかりしていて、迷うことはない。本来ならば海岸沿いの松林や防波堤上を通るルートなのだが、MAP上ではすでに迂回路がルートとして案内されている。それほど通行止めが長期化しているということだろう。詳細はこちら(PDF)。


とにかく工事による迂回が多い(MAP⑬)(MAP⑭)


本来の自転車歩行者道方向ではなく、迂回路方面に路面表示が!(MAP⑪)


延々と迂回路を走ることになるが、案内はしっかりしている(MAP⑫)

観光&ビューポイント

富士山を見ながら走りたい

ルート沿いには旧東海道の街並み、三保の松原、御前埼灯台、浜名湖など、有名観光地が目白押しだ。しかしサイクリストにとっては、なんといっても富士山を間近に見られる沼津市や富士市からの眺望がうれしい。伊豆半島から見えていた富士山がだんだん大きくなってくるのは、走りながらわくわくする。しかし富士市を過ぎると富士山は背後にまわるので、あまり楽しむことはできない。そして清水市を過ぎると、富士山はどんどん小さくなっていく。

御前崎市の御前崎周辺、袋井市の浅羽海岸付近などは海岸沿いに雄大な太平洋を眺めながら走ることができ、これぞ太平洋岸自転車道!という爽快さを満喫できる。

ちなみに太平洋岸自転車道サイクリストとして気になる、ルートの中間地点の杭が、磐田市内の浜松御前崎自転車道線に設置されている。取材時は迂回指定場所だったため立ち寄れなかったが、詳細はこちら(PDF)。


富士市田子の浦港付近からの富士山(MAP②)


清水市の三保松原からの富士山。もうかなり小さい(MAP⑤)


御前崎風力発電所の風車を右手に。快適なシーサイドライドを楽しめる(MAP⑨)

次回は沼津から湖西までの実走レポート編

太平洋岸自転車道実走調査⑨静岡県西部:沼津から湖西(愛知県境)までのサイクリン...
2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介していく。静岡はルートが長距離であるため、東部と西部に分けて解説している。静岡県西部のルート解説に...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査⑥静岡県:熱海から沼津までの道路状況や走行ポイントを解説

太平洋岸自転車道実走調査⑥静岡県:熱海から沼津までの道路状況や走行ポイントを解説

2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道の全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。今回はルート3番目の県である静岡県の、熱海から沼津までの解説編。

DATA
熱海(神奈川県との県境)→沼津
距離:215.9km、獲得標高:3660m、最大標高:272m

ルート概要

伊豆半島をまわるルートとショートカットルートがある

神奈川県の湯河原町から千歳橋を渡ると静岡県の始まりだ。静岡県を通るルートは441.3kmと長いため、伊豆半島部分とそれ以降の大平洋沿岸部分の2つに分けて紹介していく。じつは太平洋岸自転車道の伊豆エリアには、伊豆半島をぐるっとまわる海沿いルートと、伊東市の宇佐美から伊豆半島の根元をショートカットして伊豆の国市の江間で海沿いルートと合流する山越えルートの2つがある。

分岐から合流まで、海沿いルートが約181kmあるのに対し、山越えルートはわずか約23km。どちらのルートを行くかで距離が大きく変わってくる。標高446mの亀石峠を越える山越えルートは厳しいが獲得標高は約500m。対して海沿いルートには亀石峠ほどの大きな峠はないものの、連続するアップダウンにより、獲得標高は3000mを超える。距離と獲得標高でいえば、海沿いルートのほうが厳しいと言わざるをえない。

ただひとつの峠としては、亀石峠が太平洋岸自転車道で最大の峠になり、ここが太平洋岸自転車道全ルートを通じての最高地点となる。

東海岸にくらべ西海岸は交通量が少ない

今回実走したのは海沿いルート。伊豆半島の東海岸は交通量が多く路肩も狭い。さらに危険なトンネルも多く、走行には十分な安全対策と注意が必要。また西海岸は交通量はぐっと少なくなり走りやすいが、大きめのアップダウンが続く。また西海岸はコンビニや食事ができる場所が限られるためルート上の町までの距離をしっかり頭に入れて走行したい。

また伊豆半島の西の付け根、沼津市の口野放水路交差点から海岸線ではなくいったん伊豆の国市に入りショートカットルートと合流し、狩野川に沿うように沼津市街を目指すルートは、かなりの大回りを余儀なくされる部分だ。静岡県沼津河川国道事務所によれば、まっすぐに国道414号経由でルート設定しなかったのは、国道の道幅が狭く交通量が多いこと、狩野川の景観を楽しんでほしいことなどの理由からだそうだ。

なおMAPを見ると熱海市街など海岸沿いに3カ所、亀石峠までにも1カ所、あと沼津市街に1カ所、上下線でルートが分かれる部分があるが、どれも一方通行によるもの。


出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省 近畿地方整備局)

ルート高低差

アップダウンの厳しい難ルート

アップダウンを繰り返しながら伊豆半島をまわる海沿いルートは、太平洋岸自転車道でもっとも厳しい。日本全国でみても有数の難路だと言っていいだろう。
獲得標高は3000mを超え、イメージとしてはつねに上りか下りで、フラット部分は市街地や漁港を通過する部分のみ。熱海市から伊東市、下田市を抜けて石廊崎にかけての東海岸側は、大きな峠はないものの、つねに細かいアップダウンを繰り返す。
石廊崎から松崎町をへて伊豆市土肥、沼津市へ至る西海岸は、松崎町手前の石部あたりに250mほどのアップ、さらに土肥と戸田の間にも厳しい上りが待ち受けている。ほかにも150m程度の上りがいくつもあり、脚にこたえる。

ちなみに下に掲載している高低差図は、左側の標高のスケールが異なっているので、参考にする際には注意が必要だ。おおまかに言うと①が東海岸、②が西海岸、③がショートカットルートの高低差だ。

出典:国土交通省 関東地方整備局

道路状況

伊豆半島はほとんど一般道を通る

伊豆半島をまわるルートには、沼津市街の狩野川沿いをのぞき、ほかのエリアにあるような自転車歩行者専用道、いわゆるサイクリングロードは見られない。

伊豆半島の東海岸は、神奈川県から続く国道135号で下田市まで、そこからは国道136号に西海岸を伊豆市土肥まで。そこからは県道17号で沼津まで、というのがおおまかなルート。伊東市の川奈から城ヶ崎海岸のあたり、それと半島最南端の石廊崎付近は国道をそれて県道へ。だが、どこもエリアの主要ルートとなっているため、路面状態はおおむね良好。
また無理やり歩道を走らせたり、歩道橋を渡るような場所は見られないが、トンネルが多いのがこのルートの特徴で、上りの先にはトンネルが現れる場合が多い。


とくに東海岸はトンネルが多い(MAP①)


石廊崎手前の県道16号。快適なシーサイドルートだ(MAP⑥)

走行注意ポイント

伊豆半島東海岸のトンネルは慎重に

とにかくトンネルの通過に注意が必要だ。とくに伊豆半島東海岸の熱海から下田にかけては交通量が多く、片道1車線でトンネルでなくても路肩が狭い。
対向車がなければクルマも自転車を避けて追い抜いてくれるものの、対向車がある場合は自転車のすぐ横すれすれを抜いていくので危険きわまりない。信号の関係でまとまってクルマが通過するので、トンネル手前で停車し、クルマが来ないタイミングを見計ってトンネルに突入することになる。
ここでの危険を考えると、亀石峠を越えるショートカットルートを選ぶほうが賢明かもしれない。


路肩が狭く、交通量の多いトンネル通過には細心の注意が必要(MAP⑤)


クルマが来ないタイミングで突入するしかない(MAP②)

ルート案内の状況

伊豆半島の矢羽根はミニサイズ

ルートが基本的に半島周回の主要道であるせいか、距離のわりに分岐はそれほど多くなく、一部をのぞきルート案内に不足は感じられない。神奈川県内で見かけた、分岐の手前に方向の指示がないようなケースも見当たらなかった。

例外は沼津市街。太平洋岸自転車道の矢羽根と、従来から設置されていた自転車レーン(?)用の矢羽根が入り乱れ、どこがルートなのか混乱する場面も。これはこの後のルートでも市街地などでしばしば現れる状況。怪しいなと感じたら、MAPと照らし合わせて確認するしかない。

また伊豆半島ではサイズの小さい「ミニ矢羽根」が出現する。標準のサイズである幅750mm、長さ1500mmに対し、面積で4分の1程度の大きさ。これは沼津市に入り、亀石峠越えのショートカットルートと合流するまで続く。静岡県沼津河川国道事務所によれば、伊豆半島部分の矢羽根は太平洋岸自転車道の矢羽根の規格が決まる前に設置されたため、独自規格のミニサイズになっているそう。今後新たに設置したり補修したりする場合も、統一規格ではなく現在の大きさになるということだ。


沼津市街。直進方向がルートだが、路面には矢羽根が入り乱れる(MAP⑧)


上が規定の矢羽根サイズ。下が伊豆半島のミニサイズ。路側帯の幅で比較すると、そのサイズの違いがわかる。伊豆半島をまわるルートすべてでこのミニ矢羽根が敷設されている


路面表示と比較しても明らかに小さいのがわかる

迷いやすいポイント

沼津市街でのロストルートに注意

県道139号で狩野川に沿って沼津市街にアプローチしていくと、県道を右折して狩野川サイクリングロードに出る交差点には、矢羽根や路面表示による方向指示がなく、そのまま直進してしまいがち。
よく見ると案内看板はあるが、これを見落とすといつしか矢羽根がなくなり、ルートから外れてしまう。困ったことに矢羽根は直進しているので、それにつられてまっすぐ走ってしまいがちなのだ。つまりこの矢羽根は太平洋岸自転車道の矢羽根ではないということ。

また狩野川サイクリングロードには太平洋岸自転車道の案内看板や路面表示がほとんどなく不安になる。これも「サイクリングロードあるある」なので、そういうものだと思うしかない。従来より自転車歩行者専用道として供用されてきた部分は、すでに整備済みということで新たな案内看板や路面表示の設置が後回しになっているのだろう。


高い位置にある案内看板。この手前に右折の指示はない。しかも矢羽根は直進している(MAP⑨)


狩野川サイクリングロードには矢羽根や案内看板がない(MAP⑩)

観光&ビューポイント

有名な温泉地がたくさんある

伊豆半島東海岸には、熱海、伊東、熱川など有名な温泉地がずらりと並ぶ。また西海岸の松崎、土肥、戸田なども温泉自慢だ。
伊豆に来たからには温泉宿に泊まって、ゆっくり疲れを癒したい。ペリー艦隊が来航した下田や、ルートから少し足を延ばすことになるが、伊豆半島最南端の石廊崎、沼津市の大瀬崎なども立ち寄りたいポイント。
下田市の伊豆白浜海岸、松崎町の「なまこ壁」などもルート上にあり立ち寄りやすい。有名選手が立ち寄ることで有名な沼津市のサイクルカフェ「チェレステカフェ」もルートに面している。


伊豆といえば温泉。この看板は大きくてインパクト抜群


伊豆白浜海岸。太平洋岸自転車道沿いには房総半島の安房白浜、伊豆半島の伊豆白浜、紀伊半島の白浜と3つの「白浜」がある(MAP③)


公園として整備された下田市の海岸(MAP④)


松崎のなまこ壁。ルートから入った路地にある(MAP⑦)



沼津のサイクルスポット、チェレステカフェ。今はハンバーガーカフェに

次回は静岡県、熱海から沼津までの実走レポート編

太平洋岸自転車道実走調査⑦静岡県東部:熱海から沼津までのサイクリングレポート
2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。静岡県東部ルート解説に続き、今回は神奈川との県境から沼津までの、伊豆半島実走レポート...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査⑦静岡県東部:熱海から沼津までのサイクリングレポート

太平洋岸自転車道実走調査⑦静岡県東部:熱海から沼津までのサイクリングレポート

2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。静岡県東部ルート解説に続き、今回は神奈川との県境から沼津までの、伊豆半島実走レポート。
実走調査日:2022年10月21日〜24日


出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省 近畿地方整備局)

DATA
熱海(神奈川県との県境)→沼津
距離:215.9km、獲得標高:3660m、最大標高:272m

神奈川県境から伊東まで

神奈川と静岡の県境を流れる千歳川を渡るとすぐに、自動車専用道である熱海ビーチラインとの分岐。ここは右へ。山ルートになるのでアップダウンを覚悟。

ここでミニ矢羽根に遭遇! なんで小さいんだ?と思ったが、これが伊豆半島のスタンダード。
太平洋岸自転車道での矢羽根の大きさが決められる前に設置したので、標準の大きさの半分くらいのミニサイズになっている。

熱海の街が見えてきた。

伊東市に入り、宇佐美の手前で連続する長いトンネル。左側の旧道を行った方が安全だと思うが矢羽根は路肩の狭いトンネルに突っ込んでいく。

宇佐美の市街地が見えてきた。

宇佐美の海岸に出た。

この亀石峠入口交差点を右に曲がると、亀石峠を越えて伊豆半島をショートカットするコースへ。

伊東市街のオレンジビーチの隣にある「なぎさ公園」。伊東市にアトリエを置く彫刻家、重岡健治の作品が多く展示されている。

なぎさ公園の先の按針メモリアルパーク。日本で初めて洋式帆船を建造した三浦按針の業績を讃えたモニュメント。

伊東から下田まで

伊東港をすぎてすぐに、国道135号を左にそれて県道109号へ。

交通量の多い国道から外れてほっとする。海沿いルートだからアップダウンも少ないだろう。

しかし川奈港から厳しい上りが続き思わず押しが入る。交通量は少ないのですごく走りやすいが勾配はキツい。

伊豆急城ヶ崎海岸駅近くで再び国道135号に合流、東伊豆町大川の海岸線。

東伊豆町の熱川手前にも路肩の狭いトンネルが連続する。

稲取の街が見えてきた。まあまあ高いところから見下ろしているが、この程度のアップダウンは多い。

河津町の海岸。

河津町子安海岸近く。このあたりの国道135号は東伊豆道路とも呼ばれる。風景はいいがアップダウンは続く。

伊豆白浜海岸。太平洋岸自転車道のルートにある3大白浜のひとつだ。サーファーが多く、このあたりだけ少しにぎわっている。

下田に到着。ここも温泉が有名だ。あとはペリー。

下田の先にあるトンネル。路肩橋小。矢羽根は構わずトンネルに突っ込んでいくが、俺は迷わず側道のトンネルへ。

下田から松崎まで

伊豆半島の南端、石廊崎手前。こういう小さな漁港・漁村をつないでいく。

石廊崎風力発電所の風車が見えてきた。

石廊崎への分岐。ここを左折すると石廊崎灯台だが、ルートは直進。

石廊崎先のユウスゲ公園からの景色。

ルートは県道16号をたどる。ここは国道から外れているので交通量も非常に少ない。

南伊豆町入間付近。9%の上り勾配は、すでに脚を使わされている俺には、迷わず押しに入る勾配。

南伊豆町子浦付近。この子浦で食事をしようと思ったが、食べられるところはなかった。

子浦で教えてもらったカレー屋「ティハール」まで6km。伊豆の西海岸は気をつけてないと意外に食事ができるところが少ない。大きめの町ですませないとコンビニもないので注意。

松崎町に入った。三競付近の眺望。アップダウンは続く。

松崎町手前。国道番号は下田から136号になっている。

松崎町の市街に入った。

松崎町市街にある「なまこ壁」。なまこ壁通りというのがあり、江戸末期の古い壁塗り様式を残している。足湯もある。ルート沿いなので気軽に立ち寄れる。

松崎から沼津まで

西伊豆町宇久洲手前の黄金崎トンネル。全長が965mもあり、路肩も狭い。だが伊豆半島西海岸は交通量が少ない分、東海岸よりはまし。

伊豆市土肥の手前。富士山が見えてきた。こういう平坦路はほっとする。

土肥港の夕景。

土肥からは海岸線の道が県道17号に。碧の丘展望台。

土肥を過ぎると次は戸田。この西伊豆ルートはワインディングが続き交通量も少ないのでバイクのツーリングライダーが多い。休日はクルマよりバイクのほうが多いほど。

戸田の町に入った。朝、土肥を出てから16kmほどしか走っていないが、上りにやられまくっていたのでここで昼食。この先沼津市街まで食事処がなさそう。

再び坂を上ると、戸田の街が見下ろせる。

ここを左へ行くと大瀬崎。だが海まで下りてまた上ってくる気力はすでにない。

富士山ビュースポット西浦江梨にあった石製のサイクルラック。地元の石材加工組合の寄贈とある。このあたりで採掘される伊豆石でできている。

沼津市街へ向かう伊豆半島「北海岸」は、意外やフラット。交通量も少ない。

弁天島のヨットハーバー。

ついに伊豆半島の西側の付け根、口野放水路交差点まで来た。ここを左に行けばまっすぐ沼津市街に向かえるのだが、ルートは右折。いきなりトンネル。

しばらく行くと左折指示があり、口野放水路を渡る。

県道134号を行くと石徳高神社(豆塚神社)の交差点へ。ここで東海岸の宇佐美で分かれた亀石峠経由の伊豆半島ショートカットルートと合流!

狩野川に沿うように北西方向へ。ここで気づいた。矢羽根が標準サイズになっている! 伊豆半島が終わったということを実感。

沼津市清水の徳倉交差点。やっと大きくなった矢羽根が大サービスで設置してある。矢羽根ではなくMAPを確認しながら進むしかない。沼津市は自転車行政が進んでいて、太平洋岸自転車道の矢羽根以前に自転車安全用の矢羽が設置してあったのだと思われる。ほかにもこういった「自転車行政先進都市」ではこういうことがありがち。

この矢羽根も太平洋岸自転車道のものではない。

沼津市内の香貫橋のたもとで県道139号は西へ。ここは舗装が新しく、矢羽根や路面表示がなかった。右折の表示看板を見落とし、ルートを見失った。

狩野川サイクリングロードに出るが、そこにも矢羽根などはない。ルートはここなのだが。サイクリングロードとして従来から供用されてきた道の整備が遅れているのは、「太平洋岸自転車道あるある」だ。前方に沼津の繁華街が見える。

今回の記事は沼津駅に続く国道414号の三園橋までで終了!

次回は静岡県西部のエリア解説編

太平洋岸自転車道実走調査⑧静岡県:沼津から湖西までの道路状況や走行ポイントを解説
2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道の全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。今回は静岡県の後半、沼津から浜名湖の先、湖西までの解説編。DATA沼津→湖西(愛知県との県...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査⑨静岡県西部:沼津から湖西(愛知県境)までのサイクリングレポート

太平洋岸自転車道実走調査⑨静岡県西部:沼津から湖西(愛知県境)までのサイクリングレポート

2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介していく。静岡はルートが長距離であるため、東部と西部に分けて解説している。静岡県西部のルート解説に続き、今回は長いなが~いい静岡県のうち、沼津から湖西までの実走レポート。

実走調査日:2022年10月25日〜26日、11月15日

DATA
沼津→湖西(愛知県との県境)
距離:225.4km、獲得標高:416m、最大標高:118m

沼津から富士まで

沼津市内に宿泊したので、駅前のホテルからルートに戻る。沼津は自転車の安全な通行に対する施策がしっかりしているのだと実感する。ただそれが仇となって、矢羽根が交錯するなどの混乱が起こっているのが残念だ。

沼津市街地から狩野川堤防に出たところからサイクリング再開。堤防が自転車歩行者道になっているが、太平洋岸自転車道の表示などはない。

ここも直進したらそのまま道路を渡ることになるが、もしやと思い橋をくぐる右の側道へ。すると橋の下に小さな青い表示が。

とても控えめな案内表示。なぜこんなに遠慮しなければならないのかと思わせる。

この港大橋を渡るわけだが、ルートに対して明らかに大回り。

永代橋たもとの左折箇所。案内は左折。

しかし矢羽根は直進。この矢羽根は太平洋岸自転車道のものではないのだ。

富士市田子の浦港付近からの富士山。もっとも富士山が近く見えるのがこのあたりだ。

⑧の解説編で指摘した問題の(?)交差点。右へ分岐するT字路なのだが、矢羽根は直進を指示。

その先の路面標示も直進。

が!その交差点を抜ける手前で急に右折指示が!

歩道側から見るとこんな感じ。つまり「ここは二段階右折しなさいよ!」ということなのだ。しかしこんな指示があるのは初めてだと思う。通常は交差点手前に右折の表示がある。こういう部分のルートを通じたルール統一が必要ではないかと思う。

田子の浦港から西へ向かう県道。標識の柱に何かステッカーが。

こんなに小さい案内表示はここだけでは!?

異様に広い歩道のようなこのスペース。しかし左側にはちゃんと歩道が。そうです、これは自転車歩行者道(実際には自転車道)です。道の駅の看板がじゃまで走れません。

でもそこを越えて走っていくと。

この先で右折の表示が。

で、その先は行き止まり。

どうもその左側の側道を行くようで。つまり、自転車歩行者道ではなく、歩道を走るのが正しいルートだったというわけ。

さらに進んで右折すると横断歩道。ここも横断歩道がルートになっているという珍しい部分。

道は歩道から道の駅富士に入っていく。ここも道の駅の中をルートが通るという珍しい場所。

富士山型(?)の手作りサイクルラックが。

サイクルステーションになっているので、工具やポンプの貸し出しがある。

愛知県境にある湖西市まで200km以上。静岡はデカい!

富士川を渡る。この先は静岡市だ。昔は清水市だったが、2003年に静岡市と合併して今は清水区。
ちなみに路面のシンボルマークの向きは、ときどきこのように進行方向を向いていないものがある。なぜなんだろう?

富士から三保松原まで

渡り切ったところで階段自転車道。

解説編で触れた、JR蒲原駅の先で現れる色が薄い矢羽根。「縮小型」も登場。この縮小型は、びわ湖を一周するビワイチのルートでも見かけた。

雰囲気のいい由比の旧街道を抜ける手前で、有名な薩埵峠への分岐が現れる。ルートは左なので、この激坂を上らずにすむのはラッキー。

薩埵峠との分岐をすぎるとすぐにJR東海道本線の線路と国道1号を渡る。

しばらく歩道を走っていくと、左側の道に誘導される。
ここからがじつは不思議な道。標識や路側帯などのない、道路のようで通路のような空き地のような……。なんだか走ってはいけないところを走っているような気分になる。
薩埵峠を迂回する、サイクリストにとってはありがたい道なのだが。 以前から気になっていたので、国交省中部地方整備局静岡国道事務所に問い合わせてみると、ここはれっきとした公道。国道1号の道路区域のなかにあり、この国道事務所が管理しているという。
国道1号の管理道路的な部分を、便宜的に自転車歩行者道として供用している、ということだ。興津川を渡る手前に自転車歩行者道の標識があり、そこからは自歩道として規制されているが、それより手前の部分はとくに規制のかかっていない部分だということ。
今回勝手に命名、「由比ワンダーロード」。ここも太平洋岸自転車道名物(?)の場所になるかも。。


清水市街は先に整備された自転車歩行者道や自転車通行帯が幅をきかせており、太平洋岸自転車道は注意深く見ていかないとルートを見失う。しかも「以前から供用されている自転車歩行者道の整備は後まわし」という謎ルール(?)のせいか、太平洋岸自転車道のルート表示はとっても控えめ。


太平洋岸自転車道のルートを正確に走破しなくては!という筆者のような使命に駆られた人を除いては、とりあえず清水市街を抜ければなんとかなる、という気持ちで走るのが正解だと思う。迷ってしまっても、とりあえず海に沿って南下していけば、そのうちルートに合流できるはず。

巴川を越えた先で、ルートは旧国鉄清水港線の線路跡を走る。終点の三保駅跡地を利用した三保ふれあい広場には、実際にここを走っていたアルミのタンク車と小型ディーゼル機関車が展示されている。

三保松原から清水まで

三保半島に入ると現れるミニ矢羽根。神奈川県にあったものと似ている。静岡市の建設局によると、これは太平洋岸自転車道がナショナルサイクルルートに指定される以前からあったもので、今後補修する場合は規定の大きさの矢羽根に置き換えられていくという。

清水灯台(愛称:三保灯台)の前がルート。日本最古の鉄筋コンクリート造りの灯台で、頂部の風見鶏は三保松原の羽衣伝説にちなみ天女の形をしている。

防波堤上の道を進む。

「自転車」という表示と矢印で松林の中に誘導されるが、太平洋岸自転車道の表示がないので直進してしまった。だがここで松林を抜けるのが正解。

松林の中はこんな感じ。ついにダート区間に。トイレの建物の右側へ進む。

先ほどの右折地点を無視してまっすぐ行くと、堤防の突き当りに出て、やはり松林の中へ。
ここから海沿いに歩いていくと、ずっと砂地でエラいことになる(なった)。

ルートは御穂神社の前を通って再び怪しげな道へ。

そこを抜けると再び海岸線の道に戻る。

安倍川を渡る手前でも工事で迂回。

清水から牧之原まで

安倍川を渡った静岡市駿河区の国道150号。ここでなぜか道の右側へと誘導される。

この歩道が和歌山方面、銚子方面両方で共用する太平洋岸自転車道。500mほど右側の歩道を走る。

ここで右折、丸子川(まりこがわ)に沿っての焼津大迂回路の始まりだ。

丸子川の右岸と左岸を激しくスイッチしながら、国道1号と合流。

国道1号の側道を行く。この広い歩道は……。70年代に整備された太平洋岸自転車道の名残り(?)がここにも!

この先、国道の長いトンネルを避けて宇津ノ谷峠を越える。そして朝比奈川沿いに南下して焼津市街に。
しかしこの大迂回のせいで予定がすっかり狂い、暗くなってしまったので写真はない。先ほどの丸子川の分岐から焼津駅前のホテルまで、15kmほどの距離を撮影したり確認したりしながらだが2時間もかかっている。

焼津市街から県道416号、国道150号をたどって大井川を渡る。渡った先は階段だ。

MAPでは県道79号をずっと行くことになっているが、実際の案内では並行して南側を走る旧静岡鉄道駿遠線の軌道跡を通る。だが筆者は県道230号を渡ったところでもとのルートに戻れず県道79号に戻ってしまった。

そして問題の榛原郡吉田町にある神戸交差点。ここに左折の案内がなく、いいペースで通り過ぎてしまった。しかし不安になってMAPを確認すると、この神戸交差点で左折することになっている。

しかしこのMAPが間違っていて、実際はひとつ南側の自転車歩行者道(旧静岡鉄道駿遠線の軌道跡)が正しいルート。ルートじゃないおころを走っているのだから、案内があるわけはない。正規ルートはその自転車歩行者道でカーブを描いて左折し、先の県道34号を地下道で横断して道路右側の自転車歩行者道を走る、というのが正しいようだ。

この案内の左折部分。これを見てもわからないけど。

これはこの記事を書くにあたってストリートビューと自分のGPSログで確認して判明したことで、走っているときは激しく混乱していた。
そこからは先ほどの軌道跡をたどっていけばいい。

快適な軌道跡のサイクリングロード。

太平洋岸自転車道全線を通じて、対向する矢羽根がいちばん近いのがここ。

牧之原から御前崎まで

牧之原市の静波海水浴場に出る。海を見るのが久しぶりのような気がする。

勝間田川を渡ると、再び旧静岡鉄道駿遠線の軌道跡を走る。

いったん国道150号、県道69号を通ったあと、牧之原市の市街にある小堤山公園付近から再び軌道跡が始まる。小堤山公園の下をくぐる小堤山トンネルに解説があって、歴史がよくわかる。


軌道跡を快適に走る。

地頭方駅跡に出た。当時の駅舎の写真があった。

階段の地下通路で国道150号をくぐる。

みなとトンネルをくぐる。御前崎への入り口だ。

御前崎ヤシの木通り。海が近いことを感じさせるものの、まだ海は見えない。

マリンパーク御前崎の前をすぎると……海だ!

御前崎に到着!

御前崎から袋井まで

坂の上から。御前崎風力発電所、浜岡原子力発電所などが見える。

国道150号で新野川を渡り、これから海沿いのサイクリングロードへ。県道浜松御前崎自転車道線だ。

浜岡砂丘(白砂公園)わきの道を抜け、海に出る。

太平洋岸自転車道のハイライトと言ってもいいだろう、海岸の爽快な道。これぞ太平洋岸自転車道だ。

砂の堆積もあるが笑って許せるレベル。

ところがさっそく迂回路が。

というかこの迂回路はすでに恒常化したルートとなっていて、MAPにもここがルートとして掲載されている。

延々田舎道の迂回路を走ることになるが、案内はしっかりしていて、迷うことはない。

菊川河口にかかる潮騒橋。自転車歩行者専用の橋として、日本でも有数の規模だと思う。

潮騒橋だけ渡らせて、ルートは再び田舎道へ。交通量が少ないのはいいが、コンビニなどがないので注意。

弁天大橋で再び海岸線へ。

ここで銚子側を振り返ると、かなり大規模な工事をしており、これが開通すると非常に快適に走れるようになりそうだ。

弁天大橋を渡ると袋井市。歓迎(?)の路面ペイントが。走っていて県境は標識などで意識できても、市境はわからない。こういう表示はうれしい。

袋井から浜松まで

袋井市の浅羽体育センター近くの路上に、モニュメンタルペイントを発見! ここで写真を撮ってください、ってことだろう。こういうSNSを意識した場所はスタートの銚子とゴールの和歌山にしかなかった。もっと作ればいいのに。

太田川を渡る手前で海岸線から内陸へ。階段だ。自転車の車輪を乗せて通過しやすいようになっている。

太田川を渡って再び海岸線に出ようとするが、工事中で迂回の指示。

ここは以前走ったとき、松林の間を縫って走るなかなか楽しい区間だった。天竜川河口にはカッコいい掛塚灯台もあるのだが、全部迂回になっている。

やっと天竜川に出て、橋を渡るために北上する。この左側の堤防の向こうが天竜川だ。

天竜川を渡り浜松市に入る。河口側の遠州大橋ではなく、ひとつ川上の掛塚橋を渡る。

そこからまた天竜川右岸を海に向かって走る。

で、また工事中。

散歩の人に聞いたら自転車なら行けるというので、車道側を走って行ってみたが、完全に阻まれUターン。

結局指示どおりに迂回し、夜の自転車歩行者道を走る。

中田島砂丘でこの日のゴール。

浜松から湖西まで

中田島砂丘からは海沿いの路肩の狭い「さざんか通り」を走り、舞阪宿の松並木へ。

浜名湖の南にある弁天島に入る。ここから湖西市だ。自転車は通れない浜名大橋が見える。ルートから浜名湖が見渡せる場所はなく、浜名湖に来た!という感じはしない。

道の駅潮見坂をすぎると一瞬海に出る。ここは和歌山行きと銚子方面でルートが分岐している部分だ。

ここ、大丈夫なの?という感じの道を行く。

すぐに国道1号バイパスの側道に出る。ここは上りがけっこう厳しい。

上り切って国道42号へ。国道なのだが交通量の少ない田舎道だ。

すぐに愛知県との県境に!これで長い長い静岡県が終了。

次回は愛知県のエリア解説編

太平洋岸自転車道実走調査⑩愛知県:豊橋から伊良湖までの道路状況や走行ポイントを...
2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道の全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。今回は愛知県部分の解説編。DATA豊橋(静岡との県境)→伊良湖距離:50.9km、獲得標高:456m...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

太平洋岸自転車道実走調査⑩愛知県:豊橋から伊良湖までの道路状況や走行ポイントを解説

太平洋岸自転車道実走調査⑩愛知県:豊橋から伊良湖までの道路状況や走行ポイントを解説

2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道の全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介するシリーズ。今回は愛知県部分の解説編。

DATA
豊橋(静岡との県境)→伊良湖
距離:50.9km、獲得標高:456m、最大標高:75m

ルート概要

自転車歩行者専用道と国道のダブルルート部分がある

愛知県内のルートは約51kmと、全体でもっとも短い。基本的に渥美半島の南側を太平洋に沿ってひたすら西へ向かうルートだ。ところがイメージと違い、海を見ながら走れる部分はそれほど多くない。
しかし田原市の太平洋ロングビーチから伊良湖岬までの海岸線は、ところどころ途切れるものの、整備の行き届いた自転車歩行者専用道(田原豊橋自転車道線)となっていて、爽快なシーサイドランを楽しめるルート。ただ一部通行止め区間もあるのが残念だ。

おもしろいのはこの田原豊橋自転車道線と並行する形で国道42号にもずっと矢羽根が敷設されていて、こちらも正規のルートとなっていること。
さらに伊良湖岬直前の部分は、MAPをよく見るとひとつの道に2本のルート(線)が引かれている(MAP⑫)。ここは歩道部分が自転車歩行者専用道となっているが、国道本線にも矢羽根を敷いて、「ダブルルート」となっている部分。

このようにサブルートが並行して長く続いているのもダブルルートとなっているのも、太平洋岸自転車道全ルートを通じてここだけだ。速く走って距離を稼ぎたい人と、のんびり景色を見ながら走りたい人のコースを分けるという考え方は、今後ほかのエリアでも取り入れられていくかもしれない。

自転車歩行者専用道はもちろんだが、国道42号にもコンビニはあっても食事ができるところが少ない。エリアにはサイクルステーションとしても指定されている「道の駅とよはし」と、「道の駅田原めっくんはうす」があるが、どちらもコースからは3kmほど離れている。食事の場所は前もって確認しておきたい。


出典:「太平洋岸自転車道」(国土交通省 近畿地方整備局)

ルート高低差

全ルートを通じて最強の激坂が登場

なだらかなアップダウンはあるが、全体的にはフラット基調だ。
ところが伊良湖岬の手前で激坂が2つ現れる。ひとつめは国道42号の「日出(ひい)の石門」北側の直線路。わずか100mほどの短い坂だが勾配は15%ほどあり、路面はOリング模様のコンクリート舗装。
激坂にしか見られないこの路面が現れるのは、太平洋岸自転車道全ルートを通じてここだけ。おそらく勾配ではもっともキツい部分だ。またずっと直登していくため、先まで見えているのがつらい。

そして伊良湖岬を回り込む自転車歩行者専用道部分。峠越えというほどの坂ではないが、ここもかなりの勾配で心が折れる(MAP⑬)。

ここがOリング舗装された全ルートでもっとも急勾配の激坂(MAP⑩)


出典:国土交通省 関東地方整備局

道路状況

整備された海岸沿いの自転車歩行者専用道

海岸沿いを走る自転車歩行者専用道はよく整備され、砂の堆積などはみられない。豊橋市内の自転車歩行者専用道部分で、一部舗装が荒れた部分や落ち葉が積もった部分があったが、気になるほどではない。
道の駅あかばねロコステーションの先で、自転車歩行者専用道が国道42号に合流する部分に階段があるが、じつはその手前、越戸海岸近くにも海岸沿いから国道に抜けるルートがある(MAP⑥)。これは階段を通りたくない人のためにエスケープルートとして設定されているとのことだが、利用者にはわかりづらい。

整備された自転車歩行者専用道(MAP⑦)


林の中を抜ける自転車歩行者専用道部分(MAP②)

走行注意ポイント

「止マレ 下車」の路面標示

交通量は国道であっても少なく、大型車と戦いながら走るという場面はないので安心できる。

注意点ではないが、道の駅あかばねロコパークの先から自転車歩行者専用道に入るところで、「止マレ 下車」の路面標示が数多く現れる。これは交差する道との安全を確保するためのものだろうが、なぜこのエリアだけに頻出するのか、調べても明確な答は出てこなかった。

交通量は全体に少なく走りやすい



駐車場の入口や道路との交差部に多く見られる「止マレ 下車」の表示(MAP④)

ルート案内の状況

「下り坂走行注意」の看板が出現

標準サイズの矢羽根、路面標示、案内看板を基本としているのはほかのエリアと同じ。また自転車歩行者専用道に入るとそういった指示が少なくなるのも同様だ。
前述した自転車歩行者専用道と国道が並行する部分は、基本的に自転車歩行者専用道を案内するようになっていて、路面標示をたどっていくと、自然に自転車歩行者専用道に入っていく。

特徴的なのは愛知県に入るとすぐに現れる「この先下り坂 走行注意!」の注意喚起看板。この種類の看板は太平洋岸自転車道全ルートを通じて愛知県と三重県にしか見られない。
国土交通省中部地方整備局によれば、これは全ルートに対して掲示が推奨されている看板で、愛知県で設置しているものだという。今後整備が進んでいけば、各地で見られるようになっていくだろう、とのこと。

愛知県に入るとすぐに現れる注意喚起看板(MAP①)


2カ所を案内するステッカータイプの案内看板は珍しい

迷いやすいポイント

案内が不十分で迷いやすいところがある

MAPを見ないで路面標示と案内看板だけで走る場合、迷いやすい場所が数カ所。

豊橋市内の自転車歩行者専用道(高塚海岸付近)では、矢羽根の表示方向に惑わされてルートロストしてしまいがち。左奥方向へ行くべきところを右へ行ってしまい、その先に矢羽根はないという状況に。それまであった矢羽根が急に消えたような場合は、ルートミスを疑うことが必要だ。

道の駅あかばねロコステーションの先で自転車歩行者専用道に入る部分も案内が不十分。冷静に見渡すと、細い自転車歩行者専用道のような道があるので、それを発見して入っていく。

あとは伊良湖岬の手前、日出町の伊良湖みなと市場の駐車場から内陸側に右折する部分。ここにも案内はない。

また自転車歩行者専用道が伊良湖岬のフェリーターミナル、伊良湖クリスタルポルトに出て国道42号を陸橋で渡る部分は、MAPではそこから国道に下りることになっているが、実際には陸橋で横断してしまうので国道とは交差することになる。ターミナルは見えているので、迷うことはない部分だが。
高塚海岸付近。矢羽根を見て右に行きたくなるが、ルートは左奥方向(MAP③)


道の駅あかばねロコステーションの先。左から来て、右奥のブルーラインが敷いてある細い上り坂がルート(MAP⑤)


日出町の伊良湖みなと市場の駐車場の先。直進すると行き止まりで、ルートは右折。
愛知県のルート上でしばしば見かけるブルーラインは、田原市が渥美半島周遊サイクリングコースを設定(詳細はこちら)した際に敷いたものとのことで、太平洋岸自転車道とは関係ない(MAP⑨)


道の駅伊良湖クリスタルポルト手前の陸橋。MAPではここで下の国道を左折することになっているが……(MAP⑭)

迂回路情報

防波堤工事で海岸の自転車歩行者専用道が通行止め

伊良湖岬手前の海岸を走る自転車歩行者専用道は、長期にわたり工事通行止めとなっている。ファミリーマート田原小塩津店の先にあるサーフ駐車場(MAP⑧)から堀切町西畑海岸のあたりまでが工事中で通れない。
愛知県道路建設課によれば、津波対策で高い防波堤を作る工事を行っており、完成すると自転車歩行者専用道はその堤防の海側を通ることになるという。この工事は2026年度末まで続く予定だということだ。迂回ルートの情報はこちらから。

観光&ビューポイント

美しい海岸線と恋路ケ浜の絶景

最大の観光スポットはやはり伊良湖岬。伊良湖岬灯台にはルートを少し外れて遊歩道を行かなければならない。ほかにはルート沿いにある太平洋ロングビーチ(赤羽根海岸)。2018年にワールドサーフィンゲームスが開催されるなど、サーフィンの聖地。パームツリーが立ち並ぶなどウエストコーストイメージを醸し出す。ほかにはルート沿いにこれといった観光地はない。

太平洋ロングビーチから先の海岸線は海が美しく、静岡県の御前崎付近とならび「これぞ太平洋岸自転車道」を感じさせる部分。また伊良湖岬手前の激坂を上り切ると、眼下に恋路ヶ浜と伊良湖岬を望む絶景が現れ、坂を上り切ったサイクリストを祝福してくれるかのようだ。
鳥羽へ渡る伊勢湾フェリーが出る伊良湖港。渥美半島の先端部に来たというだけで気分があがる


太平洋ロングビーチはサーファーの聖地だ


激坂を上り切った先の絶景(MAP⑪)

次回は豊橋から伊良湖までの実走レポート編

太平洋岸自転車道実走調査⑪愛知県:豊橋から伊良湖までのサイクリングレポート
2022年秋にナショナルサイクルルートである太平洋岸自転車道を全ルートを実走調査した経験をもとに、その全容を紹介していくシリーズ。前回の⑩愛知県ルート解説に続き、今回は豊橋市内となる静岡県との県境から伊良湖のフェ...

執筆:岩田淳雄

愛知県出身、千葉県在住。
自転車雑誌「サイクルスポーツ 」「バイシクルクラブ」の編集長を歴任。現在は「ペダルプッシャー」を主宰し、サイクリングの啓発活動を展開しています。
https://pedalpusher.jp/

関連記事

太平洋岸自転車道実走調査シリーズの記事一覧
日本最長1400kmのダイナミックなサイクリングルートである太平洋岸自転車道を実走調査したシリーズの他記事もご覧になりたい方はこちらから

投稿ナビゲーション

過去の投稿
ワイズロードオンライン(フッター)
ワイズロードオンライン(フッター)
CONTENTS
  • TOP
    コース・マップ検索
    都道府県検索
  • 旅×自転車 記事
    • ニュース・トピックス
    • 旅のおすすめ
    • サイクリングレポート
    • 国外情報
    • インタビュー
    • お役立ち情報・ハウツー
    • 自転車アイテム
    • 自転車の一般常識
  • 旅×自転車 情報
    • サイクリストにやさしい宿
    • 予約ができるレンタサイクル
    • サイクリングコースがある公園
    • 交通公園
    • サイクルターミナル
    • サイクルステーション
    • 自転車店
    • サイクルトレイン
    • サイクルステーションがある空港
    • スポーツタイプのe-bikeがあるレンタサイクル
    • スポーツタイプがあるレンタサイクル
    • マウンテンバイクがあるレンタサイクル
    • 子供用自転車があるレンタサイクル
    • タンデム自転車があるレンタサイクル
    • 鉄道駅に近いレンタサイクル
    • 自転車でも乗れるフェリー
    • レンタサイクルがある道の駅
    • レンタサイクル
    • シェアサイクル
    • サイクルレスキュー
    • サイクルバス
    • 自転車活用推進計画
    • 自転車関連リンク集
  • ギャラリー
    TABIRINについて
    • 広告・情報掲載について
    • プライバシーポリシー
    • 免責事項
    • 著作権・商標について
    • 約款
    • 注意事項
    • お問合せ
    TABIRINアプリについて
    • 利用規約
    • プライバシーポリシー
copyright © TABIRIN all rights reserved.