関西方面から大分へフェリーでの旅をお考え中の皆様。
神と仏と自然に触れた、神仏スポット巡りツアーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
地元の歴史に詳しいOita cycle tour Ringのサイクリングガイドさんに神仏パワースポット巡り約80㎞のコースを作っていただきましたのでご紹介します。
自然豊かな神仏習合発祥の地|国東半島
神仏習合の発祥地である国東(くにさき)半島は海、山、川などの自然に恵まれたのどかな地です。
秋には一面見事な紅葉となり、見る人を楽しませてくれます。春には新緑が美しく、冬の雪景色はとても風情があり、一年通して見どころ満載です。
また、「仁王輪道」といわれるサイクリングコースにもなっているところでもあります。
サイクリングを楽しみながら、神仏や自然のご利益をあやかれるかもしれませんね。
「国東半島は、全国ではあまり知られていないかもしれないけど、神と仏が融合した神仏習合の発祥地で、実は八幡総本宮の宇佐神宮と深い関わりを持つところがたくさんある。」
そう話すのは、日出町にあるOita cycle tour Ring代表の藤野昌宏さん(左)と工藤大亮さん(右)です。
全国4万社あまりある八幡総本宮の宇佐神宮は、ご利益を求めて毎年140万人もの参拝者が訪れるほど有名な八幡宮ですが、確かに国東半島はそれほど知られていないかもしれません。
せっかく宇佐神宮まで参拝に来るのなら、国東半島の神仏習合や、より深い宇佐神宮との歴史、海、山、川といった、自然美しい景色を知ってほしい!
そのような思いから、神仏のパワースポット巡りコースを作っていただき、神仏習合の見どころも教えていただきました。
ようこそ別府観光港へ!国東方面を目指して神仏パワースポット巡りに出発
23年1月に新造船「さんふらわぁくれない」が就航し、4月には「さんふらわぁむらさき」が就航予定です。
フェリーの旅も一段と楽しくなることでしょう。
早朝に別府へ到着し、神仏のパワーを求めて国東半島へと出発です。大きな幹線道路(10号線)へ出て、北九州・中津方面へと進みます。
幹線道路は交通量が多いですが、途中213線へ入ると少し落ち着いてくるでしょう。
まずは、約20㎞先の休憩ポイント杵築(きつき)市の城下町に向かいます。
杵築城下町を観光がてら「ます田や」のおにぎりを
「酢屋の坂」のふもとに「ます田や」というおにぎり屋さんがあります。
テイクアウトで立ったまま食べるもよし、店内や外のベンチで座って食べるもよしで、サイクリストにはちょうど良い栄養補給ができる飲食店です。
杵築の城下町は、江戸時代の風情が残る、日本で唯一の「サンドイッチ型」の形状です。
登ってきている坂を「酢屋の坂」、後ろに小さく見える坂を「塩屋の坂」といい、両高台には武家屋敷がありました。
その谷間に、商人が暮らす町が挟まれるようにあったため、土地の形状を「サンドイッチ型」と名づけたそうです。
今も武家屋敷が残り、着物レンタルや風情のあるお店などが並び、昔の生活や雰囲気を味わえます。
観光案内所には、お土産品などがあり、サイクルラックもありました。
杵築城下町だけでも十分に観光を楽しむことができますが、腹ごしらえをしたら213号線を約10㎞ほど 海岸に進み、一つ目の神仏スポットに向かいます。
パワースポット1:神道の女神が降臨した市杵島の八幡奈多宮
八幡奈多宮は杵築市の海岸にあります。宇佐神宮と深い所縁がある神社です。
比売大神(ひめおおかみ)と第14代天皇の皇后である神功皇后(じんぐうこうごう)、その子であるといわれた第15代応神天皇(おうじんてんのう)の三柱が主祭神とされており、うち2人が女神さまであることから、縁結び・恋愛成就・復縁などのご利益があるといわれています。
奈多海岸の砂浜を歩いていくと、沖合に市杵島(いきしま)といわれる岩礁の鳥居が見えてきます。
神道における女神、比売大神(ひめおおかみ)である三女神(いちきしまひめのみこと、たぎつひめのみこと、たぎりひめのみこと)が降臨したといわれ、祀られてきました。
いよいよ次は国東市です。
213号線から34号線へ、そして651号線へと約15㎞走ります。
パワースポット2:八坂神社~神仏習合の象徴小さな仁王像~
国東市安岐(あき)町糸永にある八坂神社です。
小さくて可愛らしいコミカルな仁王像があります。仁王像とは、金剛力士といわれ、仏教の守護神です。
口を開けた「阿形(あぎょう)像」と、口を閉じた「吽形(うんぎょう)像」の2体1対で、寺院の表門に置かれていることが多くあります。
しかし、ここはお寺ではなく神社です。神社にお寺の守り神である仁王像を置いてあるところが、神仏習合の象徴ともいえるでしょう。
神社から離れた道路や田園の中にも鳥居がみられます。神仏習合発祥の地を物語っている風景です。
次は7㎞ほど進んだ先のお食事処を紹介します。
国東名水のそば処両子河原座
国東半島のほぼ中央に位置し、両子寺付近にあるお食事処「両子河原座(ふたごかわらざ)」です。
名水で打った美味しいそばということもあり、お客さんが多く、順番待ちになることもしばしば。
待つこと数十分、「鴨ねぎそば」と「とり天むす」を注文しました。
「鴨ねぎそば」は、見た目以上にコショウがきいてピリッと辛いのがやみつきです。
おにぎりから飛び出た「とり天むす」は、ずっしりと食べごたえがあって大満足でした。11:00~14:00のランチ営業のみで、火曜日が定休日となっています。
お腹も満たされ、次に向かうのはすぐそばにある「両子寺」です。
パワースポット3:国東の顔「両子寺」仁王像
両子寺の仁王像は、「国東半島の顔」ともいえるでしょう。
総高245㎝、像高230㎝と、大型で迫力のある仁王像は、人気スポットです。
訪れた多くの人は、必ずといっていいほど仁王像の真似をした写真を撮るでしょう。
仁王像の真ん中に、自転車を置いて写真を撮るサイクリストも多くいます。
像の足をさすると、足腰が強くなるといわれ、訪れたサイクリストも足をさすっていくのだそうです。
国東半島のほぼ中央にあたる両子山から、約28谷を六つの里に分け「六郷」と名づけ、この地に開かれた天台宗寺院を称して「六郷満山」とよびました。
ほとんどの寺院は、718年に宇佐八幡の化身、仁聞(にんもん)菩薩によって開かれます。
両子寺は、山岳修行の道場とされ、総寺院として全山を統括してきました。
六郷満山では、宇佐八幡の影響で神仏習合独特の寺院集団が作られ、六郷満山仏教文化圏が開かれたそうです。
両子寺は、特に子授け祈願が有名で、願成就された方は子どもを連れて毎年一度は参拝するといわれています。
次は約12㎞先の天念寺に向かいます。
パワースポット4:鬼の文化「天念寺」と水害防除「川中不動」
豊後高田市長岩屋の仏教寺院「天念寺」は、六郷満山の修行をする寺「中山本寺」でした。
仁門菩薩によって開かれた寺院の一つで、修厳と祈願の寺院として栄えていたそうです。
毎年旧正月には、有名な「修正鬼絵(しゅじょうおにえ)」という火祭りが行われ、五穀豊穣や無病息災を願って、赤鬼や黒鬼が講堂を暴れます。
鬼にお尻や肩を叩かれると、無病息災のご利益があるそうです。
「修正鬼絵(しゅじょうおにえ)」では、川中不動のある長岩屋川でカラダを清めるために、冷たい川へ飛び込むのだそうです。
天念寺の向かいにある橋から見えるのは、巨大な岩に刻まれた三体の不動、川中不動です。
真ん中の不動明王は高さが約3.7mもあります。
大雨のたびに氾濫していた長岩屋川の水害除けとして作られたものと伝えられました。
パワースポット6:国宝指定富貴寺~九州最古の木造建築物である日本三阿弥陀堂
富貴寺は、宇佐神宮大宮司の氏寺として開かれた寺院で、国宝に指定されています。
宇治の平等院鳳凰堂、平泉の中尊寺金色堂と並ぶ、日本三阿弥陀堂のひとつで九州最古の木造建築物です。
春は新緑、冬は雪景色、何といっても秋の紅葉はとても見事なものです。四季折々の風景を楽しむことができるでしょう。
一泊するなら旅庵「蕗薹」へ
富貴寺の隣に「蕗薹(ふきのとう)」という旅館があります。写経体験や大堂にて本物の座禅体験もできるとのことです。
また、過去にはハワイからのサイクリングチームも宿泊したことがある旅館でもあります。旅の疲れを癒しつつ、本物の神仏に触れる良い機会になるかもしれません。
富貴寺・蕗薹から宇佐神宮までは約17㎞です。
コース紹介
協力:Oita cycle tour Ring
▼Oita cycle tour Ring
https://oitacycletour-ring.com/
▼八幡奈多宮
https://www.visit-oita.jp/spots/detail/9221
▼富貴寺
https://showanomachi.com/spots/detail/139
▼旅庵「蕗薹」
http://ryoanfukinotou.com/
まとめ
たいへんのどかで自然豊かな国東半島の神仏パワースポット巡りのコースと見どころを紹介しましたが、まだまだほんの一部にしかすぎません。
全国でも有名な、八幡総本宮の宇佐神宮と、深く関わるパワースポットは他にも沢山あるそうです。
サイクリングをしながら神仏の歴史やパワースポットに出会う旅を楽しめるでしょう。
プロのサイクリングガイド、Oita cycle tour Ringさんによると、神仏パワースポットの他にもまだまだご紹介できるコースがありそうです。こうご期待!
執筆:結の秋(ゆいのあき)
大分県出身/大分県中津市在住 |