ホイールの交換は、スポーツ自転車のカスタマイズのひとつです。ホイールをアップグレードすることで、スピードや走り心地の劇的な向上が見込めます。
今回は、そんなクロスバイクのホイール交換についてまとめました。ホイールの交換方法と選び方を解説しているほか、おすすめの製品も取り上げています。
クロスバイクのホイールの交換を検討している方は、記事を参考にしてさっそく愛車をカスタマイズしてみましょう。
実は簡単!クロスバイクのホイール交換方法
まずはホイールの交換方法をおさらいしましょう。
スポーツ自転車の場合、「クイックリリースレバー」と呼ばれるツールを使いホイールを固定します。クイックリリースレバーの脱着には力加減にコツが必要なので、繰り返し練習しておくとホイール交換時に困りません。
慣れれば1分ほどで手際よく出来るようになりますよ。
フロントホイールの交換方法
フロントホイールの交換は以下の流れで行います。
【取り外し】
- ブレーキのゴムカバーを抜き取り、リードパイプをガイドから外す(Vブレーキの場合)。
※リードパイプ…Vブレーキとアウターケーブルの間にある部品を指します
もしくはブレーキのクイックリリースレバーを引き起こす(キャリパーブレーキの場合) - ホイールのクイックリリースレバーを引き起こす。
- 逆側のナットを緩め、ホイールをフロントフォークから外す。
【取り付け】
- フロントフォークの溝にホイールをセットする。
- ナットを締め込んでいく。
- ある程度締め込んだらクイックリリースレバーを倒す。
- ブレーキを元に戻し、ホイールが正常に取り付けられたことを確認する。
リアホイールの交換方法
基本的な流れはフロントと同じですが、リアホイールにはチェーンがあるため、ディレイラーを動かして外しやすくする工夫が必要です。
※ディレイラー…ギアを変える時にチェーンを差し換える変速機
【取り外し】
- あらかじめチェーンが最小スプロケットにかかるよう変速させておく。
※スプロケット…後輪に取り付けられているギアの集まり - フロントホイールの場合と同様にブレーキを開放する。
- ホイールのクイックリリースレバーを引き起こす(ナットを緩める必要はない)。
- リアディレイラーを後ろに押すと、ホイールを下に外すことができる。
【取り付け】
- 最小スプロケットの位置にチェーンを合わせる。
- ホイールを後ろに引き、チェーンステーの溝にはめる。
- ナットを締めこみ、クイックリリースレバーを倒す。
- ブレーキを元に戻し、ホイールが正常に取り付けられたことを確認する。
またYouTubeでは着脱方法などを詳しく解説した動画がいくつか上がっています。実際に手順を確認するとイメージしやすくなるでしょう。
クロスバイク用ホイールの選び方は?3つのポイントを解説
スポーツ自転車のホイールにはさまざまな規格があります。それぞれの違いを知っておかないと、せっかく買ったホイールが取り付けられない可能性も。
買い間違いを防ぐために、ホイールを選ぶときは以下の項目をチェックするようにしましょう。
①リアエンド幅|130mm/135mm
「エンド幅」というのは、フロントフォークやシートステーの先端、ホイールを取り付ける部分の幅のことです。このエンド幅がホイールのハブの長さと一致しないと、正しく取り付けることができません。
以下の通り、クロスバイクとロードバイクでは一部エンド幅の規格が異なっています。
クロスバイク | ロードバイク | |
フロントエンド幅 | 100mm | 100mm |
リアエンド幅 | 130mm/135mm | 130mm |
※リムブレーキの場合
フロントについては、クロスバイクもロードバイクも同じ100mmの規格を採用しており、一般的なロードバイク用ホイールをクロスバイクに取り付けられます。
注意すべきはリアで、クロスバイクのなかにはエンド幅135mmの製品が存在します。このフレームにロードバイク用のホイールを取り付けようとすると、長さが5mm余ってしまうことに。
無理に取り付けると事故の危険があるため、エンド幅の合わないホイールは絶対に使用しないでください。
エンド幅は実際に長さを測ることで把握できます。愛車のリアエンド幅が135mmだった場合は、フロントホイールのみの交換にとどめるか、お近くの自転車ショップに相談してみましょう。
②ブレーキタイプ|リム/ディスク
近年では、ディスクブレーキを採用したクロスバイクも多く見られるようになりました。
ただし、ディスクブレーキは前述した「エンド幅」が異なっており、リムブレーキのホイールと互換性がありません(多くはフロントエンド幅100mm、リアエンド幅142mmが採用されています)。
たとえば、記事の後半で取り上げたホイールのなかでは、以下の3製品にディスクブレーキ用モデルが存在します。
メーカー | 型番 |
FULCRUM(フルクラム) | RACING 3 DB |
Campagnolo(カンパニョーロ) | ZONDA DB |
MAVIC(マヴィック) | KSYRIUM S DISC |
上記の他にも多数のディスクブレーキ用ホイールが販売されているので、それぞれ比較検討してみましょう。
自転車のブレーキに関して詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
③ホイールサイズとリム幅|700×15C~19C
最後に、ホイールサイズの確認も必要です。
ロードバイクもクロスバイクも、基本的には「700C」規格のホイールが使用されます。700Cとは、タイヤをはめた時の外径が700mmであるということです。
実際のカタログでは、ここにタイヤの太さが加わり「700×25C」のように表記されます。25Cとは、タイヤ幅が25mmであるということです。
取り付けられるタイヤ幅は、ホイールのリム幅に対応しています。太めのタイヤを履かせたい場合は、リム幅が太いホイールを選ぶようにしてください。
以下の表は、リム幅が細い「ナローリム」のホイールと、リム幅が太い「ワイドリム」の規格を比較したものです。
リム幅 | 適合するタイヤ幅 | |
ナローリム | ~15C(15mm) | ~23C(23mm) |
ワイドリム | 17C(17mm)~ | 25C(25mm)~ |
※あくまで目安であり、適合サイズはメーカーにより異なります。
上記の通り、愛車に25C以上の太いタイヤを履かせたいのであれば、リム幅17mm以上である「ワイドリム」のホイールをおすすめします。
おすすめのクロスバイク用ホイール5選
※価格はすべて税込価格となります。
ここからは、クロスバイクの交換用ホイールを紹介してきます。以下の5つはいずれも手頃な価格帯で、初心者でも扱いやすいアルミホイールです。
シマノ WH-RS100
メーカー | シマノ |
対応するエンド幅(OLD) | 130mm |
ブレーキタイプ | リムブレーキ |
ホイールサイズ・リム幅 | 700×17C |
価格(Amazon) | フロント:9,869円 リア:円 |
商品URL | Amazon |
特徴 | シマノの「WH-RS100」は、最初のステップアップにおすすめのホイールです。
同社のホイールとしては最も安いクラスのもので、カタログ重量は前後で1932g。重量のあるホイールではあるものの、各部品の精度が高いため、乗ってみると漕ぎ出しの軽さを実感できるはずです。 ホイールの肝となるハブには、耐久性の高いカップ&コーンベアリングを採用。比較的メンテナンスのしやすい機構であり、通勤や通学などで毎日乗る場合に適します。 自転車のホイールというと高価なイメージを持たれがちですが、「WH-RS100」なら前後セット2万円以下で購入可能です。ホイールの世界に興味を持ち始めた方は、ぜひ検討してみてください。 |
シマノ WH-RS300
メーカー | シマノ |
対応するエンド幅(OLD) | 130mm |
ブレーキタイプ | リムブレーキ |
ホイールサイズ・リム幅 | 700×17C |
価格(Amazon) | フロント:15,873円 リア:17,057円 |
商品URL | Amazon |
特徴 | もう少し予算に余裕がある方は「WH-RS300」もおすすめ。シマノのコンポーネントとしては、スタンダードな105グレードに相当する製品です。
外観は「WH-RS100」と似ていますが、こちらはスポーク本数やハブが変更されています。重量は前後1827gとひと回り軽くなった上に、全体的な剛性もアップしました。坂道での疲労軽減や、コーナリングの安定性が期待できます。 購入価格は前後あわせて2万円前後。本格的なロングライドに出かけたい人から練習用のホイールを探している人まで、WH-R300は幅広いニーズに応えられます。 |
フルクラム レーシング3
メーカー | FULCRUM(フルクラム) |
対応するエンド幅(OLD) | 130mm |
ブレーキタイプ | リムブレーキ・ディスクブレーキ |
ホイールサイズ・リム幅 | 700×17C |
価格(Amazon) | 前後セット:76,940円 |
商品URL | Amazon |
特徴 | 「レーシング3」は、イタリアのメーカー・フルクラムのホイールです。長年にわたり愛されてきた定番製品ですが、2018年に大幅なモデルチェンジ。ナローリムからワイドリムとなったことで、グリップ力や安定性が向上しました。
特徴的なスポーク形状は、フルクラムの代名詞で「2:1組」と呼ばれるもの。よく数えるとスプロケット側から14本、反対側から7本のスポークが伸びていることに気がつくはずです。 自転車のドライブトレインは右側に付いているため、あえて非対称の組み方をすることで剛性のバランスを取っています。 重量は前後あわせて1560g。ここまでの軽さになると、漕ぎ出しや登坂の際に羽が生えたような感覚を得られるでしょう。 なお、レーシング3にはディスクブレーキモデルも登場しています。ディスクブレーキのクロスバイクをお持ちの方は、規格をよく確認した上で購入してください。 |
カンパニョーロ ゾンダ
メーカー | Campagnolo(カンパニョーロ) |
対応するエンド幅(OLD) | 130mm |
ブレーキタイプ | リムブレーキ・ディスクブレーキ |
ホイールサイズ・リム幅 | 700×17C |
価格(Amazon) | 前後セット:72,100円 |
商品URL | Amazon |
特徴 | 「ゾンダ」はフルクラムの親会社・カンパニョーロの定番モデルです。前出のレーシング3と同じ価格帯に位置し、重量や走行性能もよく似ています。
ただし、ゾンダのリアホイールに採用されているのは「G3組」と呼ばれるスポークの組み方。スプロケット側2本、反対側1本のスポークを束にし、全部で7セットの束で構成されています。 乗り心地の向上を意図するだけでなく、イタリアの職人らしい造形美が込められた設計です。 ゾンダは価格と性能のバランスに優れ、平地でも坂道でもオールマイティに活躍できます。「レーシング3」と同様にディスクブレーキモデルが販売されているので、今後も多くのサイクリストに愛され続けるでしょう。 |
マヴィック キシリウムS
メーカー | マヴィック(MAVIC) |
対応するエンド幅(OLD) | 130mm |
ブレーキタイプ | リムブレーキ・ディスクブレーキ |
ホイールサイズ・リム幅 | 700×19C |
価格 | 前後セット:95,000円(税込) |
商品URL | Amazon |
特徴 | 「キシリウム S」は、フランスの老舗メーカー・マヴィックのホイールです。プロユースの製品を数多く発表しているマヴィックですが、この「キシリウム」シリーズは比較的手頃な価格に抑えられています。
本製品の大きな特徴として挙げられるのが「UST(Universal System Tubeless)」の採用です。USTとは、ホイールとタイヤを総合的に設計することで、チューブレスタイヤの性能を大幅に向上させるシステムのこと。 従来のチューブレスは取り付けが難しいという欠点がありましたが、USTなら同じマヴィックのタイヤと適合し、極めて容易に着脱ができます。 チューブレスには特有の乗り心地の良さがあるため、「キシリウムS」をきっかけにクリンチャータイヤから乗り換えてはいかがでしょうか。 |
ホイール交換は効果抜群!クロスバイクをアップグレードしよう
ホイールのアップグレードは多少のコストがかかるものの、非常に大きな効果が期待できます。
スピードや乗り心地がアップすれば、サイクリングの世界にもっと深く足を踏み入れられるでしょう。
最終更新:TABIRIN事務局f(2021年11月)