インバウンド観光客が多く賑わいを見せている国内最北の地・稚内においても、サイクリングを通じた海外との交流が活発化しています。
このたび9月24日(火)~28日(土)の4泊5日の行程で、北海道の道北地域である旭川~稚内・宗谷岬をつなぎ、さらには利尻島を一周するサイクリングルートである「きた北海道ルート」をステージとして、台湾から関係団体の訪問によって、自転車を通じた新たな交流機会が実現しました。
1.取組みの背景
この取組みは、きた北海道DMOが主催のアドベンチャートラベルを好む個人観光客の誘客促進事業の一つとして、きた北海道サイクルツーリズム連絡会議の共催により本ツアーが実現したものです。
自転車ツアーが盛んな台湾から、台湾島横断や島一周ツアーに関わっている社団法人台湾自転車協会創設者の林恵中副理事長、日本の関東圏で台湾人向けの自転車ツアーを企画している旅行会社の曽健州氏が、4泊5日の行程で稚内-利尻島-旭川間を訪れ、サイクルルートの試走をはじめ、サイクル施設及び地域内における観光施設の視察、意見交換などを行いました。
社団法人台湾自転車協会HP:https://www.flca.tw/about.php
2. 訪問初日は稚内へ ~白い道の自転車走行や防波堤ドームなどを見学~
稚内空港で林さん一行の到着を出迎えた後、「きた北海道ルート」の終点にあたる宗谷岬まで移動し、レンタサイクルを実施している“Base-Soya”を見学しました。その後、Base-SoyaからE-Bikeで出発し、宗谷丘陵~白い道~宗谷岬の区間を周遊しました。
林さんは、“白い道”の走行後、宗谷の周氷河地形とともに、歴史観光施設をはじめ台湾では見ることのできない丘陵地帯の美しい風景などを大絶賛していました。
その後、日本最北のバス会社である「宗谷バス」が運行している“サイクルバス”や、稚内駅周辺の観光施設、北海道遺産でもある“稚内港北防波堤ドーム”を見学しました。
3. 2日目は利尻島へ ~利尻島では自転車道走行や利尻山など自然を満喫~
2日目は、宿泊先を出発し稚内フェリーターミナルからフェリーにてE-Bikeを積載し、「きた北海道ルート」のルート2として指定されている利尻島を訪問しました。
その後、島内観光地の“姫沼”を訪れ、利尻富士の眺望や風景を鑑賞した後、日本最北の自転車道である、道道1076号利尻富士利尻自転車道線を走行しました。途中、“白い恋人”でも有名な“オタトマリ沼”、利尻島で一番古い歴史的建造物がリニューアルによって活用されている“島の駅利尻海藻の里”を訪れました。
自転車道の沿道脇にあるススキの植生に覆われた走行環境の風景は、台湾では見ることができない風景としてそれだけで価値や魅力があり、イギリスの雰囲気が感じられる風景であると話していただきました。
4. 3日目は名寄市を経由し旭川へ ~北国独自の歴史・文化にも触れる~
3日目は宗谷地域を離れ、「きた北海道ルート」の最南端である旭川市へ向かうため、その途中にゲートウェイとして位置付けられている名寄市を目指しました。
名寄市を目指す道中の音威子府村では、現代彫刻家・砂澤ビッキが創作活動の拠点としていた村立旧筬島小学校を改修し2003年にオープンした“エコミュージアムおさしまセンター”を訪れ、ギャラリー内での作品を鑑賞しました。
また、訪れた名寄市では、天塩川沿いのサイクリングに加え、“名寄市北国博物館”の広場に展示されているJR運行当時の歴史を物語る、名寄だけにしかない“SL排雪列車「キマロキ」”を見学しました。
見学を行った施設は、いずれもサイクリング観光に欠かせない付加価値や魅力を提供する重要な観光施設として、北国特有の歴史や文化を発見する貴重な機会となりました。
5. 最終日は台湾へ ~市内で有名な老舗有名店舗を訪問~
最終日は「きた北海道ルート」の最南端である旭川市内で時間ギリギリまでサイクリングを満喫しました。
旭川駅を出発してすぐに、駅に直結したまちの中心にあるロケーションガーデン“北彩都ガーデン”を散策、鑑賞した後、レンタサイクルを利用して市内道路を走行しました。
また、サイクリングの目的地として設定した場所は、市内で創業百年以上の歴史を持つ老舗酒蔵として全国的にも有名な“高砂酒造”を訪問。
新旧各々の魅力ある場所を訪れたことで、地元の歴史やまちの成り立ちに思いを巡らせる時間となりました。その後、新千歳空港へ向かい、林さん一行は帰国の途へつきました。
まとめ
4日間と非常に短時間ではありましたが、今回の事業を通じて「きた北海道ルート」に対する意見や評価を頂き、身近過ぎたがゆえに気づかずにいたことなど、私たちが住む地域の魅力を海外の方から改めて教えていただいたように思います。
海外からのインバウンド観光を対象とした自転車による団体向け観光ツアーは、道北地域では馴染みが薄い状況です。しかしながら、稚内市などでは海外からの観光客がグループや個人でレンタル自転車を利用して街中を観光・周遊する姿が各地で見られるようになっています。
今回の自転車による海外との交流をきっかけとして、国内・海外との更なる交流を深め、「きた北海道ルート」におけるサイクルツーリズム推進を通じて、インバウンド観光客やサイクリストにとって魅力や価値ある場所となるよう、取組みを進めていきたいと思います!
写真・執筆:きた北海道サイクルツーリズム連絡会議