自転車の数あるパーツの中でも、ハンドルは特に重要な役割を果たします。
自転車の進行方向を定めるだけでなく、体重を支え、走行を安定させる役割もあるのです。
そんなハンドルには様々な種類があり、自分に合ったハンドルを選択することで、乗り心地が大きく変化します。
今回はハンドルの種類と特徴について解説します。是非あなたに合ったハンドルを見つけてみてください。
※この記事は2021年9月28日に公開したものを2023年9月に更新したものになります。
ハンドルの選び方
ハンドルには、自転車の用途やフレームの素材によって相性の良し悪しがあります。
自分に合ったハンドルを見つけるためにも、自転車の用途と素材について押さえておくべきポイントをご紹介します。
自転車の用途に合わせて選ぶ
自転車は用途によって形状が異なります。
たとえば、ロードバイクは高速走行を目的としているため、軽いフレーム、細いタイヤが装着されています。
そんなロードバイクのハンドルは、その目的に合わせた、スピードが出やすい前傾姿勢を保つためのドロップハンドルが採用されています。
一方、ママチャリなどのシティサイクルは買い物など日常生活での使用が想定されているため、スピードよりも安定感重視。
そのため、ハンドルも走行が安定しやすいセミアップハンドルがついているのです。
このようにハンドルを選ぶ際は、自転車に乗るシーンを踏まえて選択する必要があります。
フレームの素材に合わせて選ぶ
フレームの素材によってもハンドルの選択は異なってきます。基本的にはフレームと同じ素材のハンドルが装着されていますが、軽量化したい場合や、より丈夫な素材を求める場合は、ハンドルだけ別素材のものに変えることもできます。ハンドルやフレームに用いられる、主な3つの素材の長所と短所をご紹介します。
スチール
スチールはとても丈夫で壊れにく素材ですが、重いのが難点です。ただ、他の素材に比べて安価であるため、多くの自転車のフレームとハンドルはスチールで作られています。
アルミ
アルミはスチールよりも軽いため、高価なロードバイクのように、スピードを出すために軽いことが求められる自転車で採用されていることが多い素材です。自転車の軽量化を図りたい方におすすめです。ただし強度はスチールよりも劣り、値段も高価になります。
カーボン
正式には「カーボン樹脂」と呼ばれます。カーボンファイバーを固めた素材で、他の素材に比べて軽いのが特徴です(ただ、近年ではカーボンに近い軽さのアルミ製品も登場しています)。欠点としては想定外の衝撃に弱いこと、アルミよりもさらに高価であることが挙げられます。
ロードバイク、クロスバイクにおすすめのハンドル
それでは、自転車の種類ごとに適したハンドルをご紹介していきます。まずはロードバイク、クロスバイクから見ていきましょう。
ドロップハンドル
ロードバイクの外観を特徴づけるパーツといっても過言ではないのがドロップハンドルです。
下ハンドルを握り、前傾姿勢を保てば空気抵抗が減り、スピードをあげることができます。
長時間サイクリングする場合には、上ハンドルと下ハンドルを交互に握って、定期的に姿勢を変え、疲労を軽減することも可能です。
前傾姿勢はスピードが上がる点では良いのですが、デメリットとして、首、肩や腰が痛くなることもあります。
また、高速走行に重点を置いたハンドルのため、低速になると安定感を失う恐れもあります。
ドロップハンドルの細かい種類についてはこちらも参考にするとより知識が深まります。
フラットハンドル
主にクロスバイクに装着されているのがフラットハンドルです。
文字通りまっすぐなハンドルで、低速でも安定した走行ができます。
ドロップハンドルほど深い前傾姿勢とはならないため、長時間の高速走行には不向きですが、その分腰や首への負担は軽減されるでしょう。
ロードバイクに乗っていて、腰痛に悩まされている方は、フラットハンドルに付け替えるのも手かもしれません。
ただ、ずっと同じ姿勢を維持しなければならないため、ドロップハンドルと比べて腕はかなり疲労します。
ブルホーンハンドル
牛の角に形状が似ていることから「ブルホーン」という名称が付けられたハンドルです。
前に突き出た部分を握り、肘をハンドルバーに乗せることができるため、前傾姿勢でも疲れにくいのが特徴です。
ただ、フラットハンドルに比べるとバーの幅が短く、操作性にはやや難があるのが欠点です。
タイムトライアル用のロードバイクにはブルホーンハンドルにDHバーと呼ばれる、肘を揃えて乗せるバーが装着されていますが、これはあくまでもロードレースのタイムトライアルに使用する特殊な装備であり、一般的に使われることは稀です。
実際にロードレースやトライアスロンに出場する方にお薦めです。
ママチャリ、シティサイクルにおすすめのハンドル
買い物、通勤、通学など、日常生活に便利なママチャリやシティサイクル。カゴに荷物を入れたり、リュックサックを背負ったりしながら乗ることが多いのではないでしょうか。
そんなママチャリやシティサイクルに求めるのは、スピードよりも安定性と安全性。安定性を高めるには、ハンドルの位置が低すぎないことが重要です。ハンドルの位置が低すぎると上体が沈むため、バランスを取りづらくなりますし、視界も狭くなります。
また、ハンドルの幅の広さにも注目してください。椅子の足の幅が狭いと倒れやすくなるように、自転車のハンドルも幅が広くなれば、腕を広げられるので安定性が増します。
セミアップハンドル
セミアップハンドルは多くのママチャリに装着されているハンドルです。
状態を起こし、腕を広げてハンドルを握ることができるため、安定性は抜群で街中をゆったりと走るのに適しています。
上体がほぼ地面と垂直になるため、ペダルを踏み込む際には力を入れる必要があり、スピードが出しにくいのが欠点です。
アップハンドル
外観がカマキリのハサミのように見えることから、昔はカマキリハンドルと呼ばれていました。
背筋を伸ばした姿勢で走ることになりますので、ゆったりとした雰囲気を楽しみたい方にお勧めです。
セミアップハンドルよりもさらにバーが高く、そして長く、胸の高さでグリップを握ります。
走行性におけるメリットはほとんどなく、見た目を楽しむためのハンドルです。
オールラウンドハンドル
オールラウンドハンドルはフラットハンドルと似たような形状です。
セミアップハンドルと比べると幅が広く、低いため、やや前傾姿勢になり、スピードが出やすいという特徴があります。
マウンテンバイク、BMXにおすすめのハンドル
マウンテンバイクやBMXは悪路を走るのに適した自転車です。道の凹凸を受け止め、上体のバランスを保つ安定性が求められるでしょう。
そんな自転車のハンドル選びの際に注目したいのが、ハンドルバーの幅。幅が広いほど、腕を広げてグリップを掴むことができ、上体を安定させることができます。
多くの場合、マウンテンバイクやBMXには、クロスバイクやシティサイクルよりさらに幅広のハンドルが装着されています。ただし幅広のハンドルで街中を走行する場合は危険が伴いますので、注意が必要です。
※道路交通法では自転車のハンドルの幅は60㎝まで、と定められており、これ以上大きな幅のハンドルを装着することはできません。自分でハンドルを装着し直す場合や、海外のハンドルを購入して装着する場合には、60㎝以内に収まるように気を付けましょう。
ライザーバーハンドル
主にマウンテンバイクに装着されているのがライザーバーハンドルです。
フラットハンドルよりも更に幅広くなっており、悪路でも安定した走行ができます。メーカーによって様々なサイズがありますので、自分の体格に合ったものを選ぶ必要があります。
海外から製品を輸入する場合、日本の道路交通法で定められている規定の60cmを超えてしまう可能性があるので、購入前にはサイズを念入りに確認しましょう。
ストリートハンドル
高さがあるのが特徴で、主にBMXのような、小径のタイヤと小型のフレームを持つ低いタイプの自転車に装着されます。
ライザーバーハンドルと同様に幅が広く、安定性を重視した造りになっています。
自分に合ったハンドルで乗り心地と安全性を確保しよう
ハンドルは自転車の乗り心地に直結する大切なパーツです。
変えるだけで、乗り心地は格段に変化します。自分の体格と、自転車の用途に合ったハンドルを選ぶことは、操作性と安全性の面から考えても必要なことであると言えるでしょう。
ただ、付け替えや改造には、かなりデリケートな作業が要求されます。少しでもパイプの径が違うと装着できませんし、バーをカットする際には専用の工具が必要です。
初めてハンドルを付け替える方は、自転車屋に相談し、ハンドル選びや装着をサポートしてもらうことをおすすめします。
TABIRIN(たびりん)では他にも、自転車のパーツに関する情報を発信しています。以下も合わせてご覧ください。
最終更新:WI(2023年9月)