旅×自転車 記事

知ってましたか?ジツはとっても大事な自転車活用推進法のお話

皆さん、「自転車活用推進法」って知ってますか?

自転車活用推進法というのは、昨年5月に施行されたばかりの新しい法律です。ニュースでは全然取り上げられませんでしたが、ジツはコレ、日本の自転車政策の夜明けともいえる、自転車史において歴史的な法律だったのです。

自転車活用推進法の概要

自転車活用推進法は何かというと、「自転車の活用を総合的・計画的に推進」するための法律です。たった15条の短い法律ですが、国や自治体、事業者、国民の責任と義務などをはじめ、いくつもの大事なことが示されました。

そもそもなぜいま「自転車」なのかというと、

  1. 環境に優しい
  2. 健康に良い
  3. 交通渋滞を起こさない
  4. 災害時の活用が期待できる
  5. 交通死亡事故が減少する

からなんですね。これって、海外では当たり前に考えられていることなんです。

でも日本では、なんとなく「クルマは大人の乗り物、自転車は子どもの遊び」という感覚があって、自転車は軽視されがち。むしろ「迷惑なもの」としての認識が強かったのではないでしょうか。しかし、ようやく日本でも自転車の役割やメリットにスポットライトが当たりはじめた、ということなんですね。

ジツは、これまで日本には「自転車」と名のつく法律は3つしかありませんでした。自転車競技法(1948年)、自転車道整備法(1970年)、そして旧自転車法(1981年)ですね。難しい話をすると、これらは課題に対して対処するための法律でしかなく、国として自転車をどう扱っていくか、その理念(イデオロギー)をまとめた法律は存在しませんでした。

今回施行された「自転車活用推進法」は、「自転車」と名のつく4つめの法律として、国としての理念をまとめた理念法であり、自転車史において歴史的なものだったわけです

では、法律で何が示されているか、かいつまんでご説明しましょう。

国や自治体、事業者、国民の責任と義務(第三~第六条)

まず、国や自治体、事業者、国民のやるべきこととして責任と義務が示されました。

  • 国:自転車を活用・推進するための施策を総合的かつ計画的に策定し、実行しなくえてはならない
  • 自治体:国と適切に役割分担して、地域の実情に応じた施策の実行に努めなければならない
  • 事業者:自転車と公共交通機関との連携等に努めなければならない
  • 国民:国や自治体が行うを活用・推進するための施策への協力に努めなければならない

要は、国は自転車をもっと使いやすいよう国のプロジェクトを行っていきますよ。都道府県や市町村はそのプロジェクトを地域に反映するように努力してくださいね。それから、その地域にいる事業者や住民も協力してくださいね。ということが書かれています。

自転車の活用推進に関する基本方針(第八条)

では、「自転車の活用を総合的・計画的に推進する」って何なの?と皆さん思いますよね。その具体的なことが、以下の15の基本方針として書かれています。

  1. 自転車専用道路等の整備(走りやすい道をつくりますよ
  2. 路外駐車場の整備等(路駐を減らすために駐車場をつくりますよ
  3. シェアサイクル施設の整備(シェアサイクルを増やしますよ
  4. 自転車競技施設の整備(競技施設をつくりますよ
  5. 高い安全性を備えた自転車の供給体制整備(安全な規格の自転車を増やしますよ
  6. 自転車安全に寄与する人材の育成等(整備ができる人を増やしますよ
  7. 情報通信技術等の活用による管理の適正化(ICT技術をもっと使いますよ
  8. 交通安全に係る教育及び啓発(ルール・マナーをしっかり教えますよ
  9. 国民の健康の保持増進(みんなの運動を促進しますよ
  10. 青少年の体力の向上(子どもの運動も促進しますよ
  11. 公共交通機関との連携の促進(サイクルトレインなどを促進しますよ
  12. 災害時の有効活用体制の整備(災害時の移動手段として活用しますよ
  13. 自転車を活用した国際交流の促進(国際イベントなどを行いますよ
  14. 観光来訪の促進(サイクルツーリズムをもっとやりますよ
  15. 地域活性化の支援(地域を豊かにしますよ

ざっくりとした内容は()内に書いた意訳のとおりです。これでも分かりにくいので、ポイントは次のような感じでしょうか。

  • ポイント1:そもそも安全で走りやすい道を整備する
  • ポイント2:サイクルトレインなどで自転車での移動を便利にする
  • ポイント3:自転車を持たない人でも自転車を使いやすくする(シェアサイクル)
  • ポイント4:国内に流通する自転車は、ブレーキが利かないような粗悪品ではなく、品質が高いものをきっちりそろえる
  • ポイント5:自転車に乗る人のルール・マナーの意識を変える
  • ポイント6:日常的な自転車利用だけでなく、災害時でも使えるようにするほか、スポーツや観光での利用を盛んにして、地域を豊かにする

つまり、「自転車の活用を総合的・計画的に推進する」ということは、自転車を使いやすい環境に整え、自転車を使う人一人ひとりの意識をしっかりとさせ、さらには地域全体での自転車の利用文化をつくっていき、最後はみんなを豊かにする、ということだと言えるわけですね。

国の自転車活用推進計画(第九条)

さて、「自転車の活用を総合的・計画的に推進する」ということが何なのか、その理想形は分かっていただけたかと思います。でも今度は、その理想を具体的にどうやって現実のものにしていくの?と思うのではないでしょうか。

そこで自転車活用推進法では、「自転車の活用を総合的・計画的に推進する」ための国家計画、すなわち「自転車活用推進計画」をつくらなければならない、と示しているのです。

ジツは、この国家計画はいま正につくられている最中で、今年の夏以降に出来上がる予定だそうです。

都道府県や市町村の自転車活用推進計画(第十~十一条)

また、国だけでなく、都道府県や市町村でも自転車活用推進計画をつくることに努めなければならないとされています。

国の計画では各地域の実情に応じた細かな内容までは書き込めないので、その部分は都道府県や市町村さんでつくってね、ということです。例えば、北海道と東京では道の広さも車の多さも違いますよね。こうした違いを踏まえて、それぞれの地域に合った計画がつくられるわけです。

僕たち国民にとっては、国の国家計画よりも、むしろ都道府県や市町村の自転車活用推進計画の方が、より生活に直結する大事なものだというわけですね。

自転車活用推進本部(第十二~十三条)

さて、この法律では、自転車活用推進本部を設置する、ということも示されています。

これは平たく言うと、国の自転車プロジェクトの司令塔をつくるということです。

例えば、野球では、ピッチャー、キャチャー、バッター、守備など、それぞれ役割を持つ人がいて、それを束ねて全体を指揮する司令塔として監督がいるからこそ、強いチームになるわけです。国の政策も同じで、全体を指揮する司令塔が必要なわけで、それが国の自転車プロジェクトでは「自転車活用推進本部」にあたるわけです。とても重要ですよね。

つまり、ジツはこれまで、日本の自転車プロジェクトには司令塔っていなかったわけなのです。今回の法律で、そのトップは国土交通大臣となり、それを補佐するメンバーには総務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、環境大臣、内閣官房長官、国家公安委員会委員長など・・・、なにやら凄そうなメンツが揃っています。

今後の国の自転車プロジェクトがどのように進んでいくか、期待ですね。

自転車の日・月間(第十四条)

ここまではカタい話でしたが、今回の法律では自転車の日、自転車月間についても定められました。すなわち、5月5日を自転車の日とし、5月を自転車月間とすることになったわけです。

国民の祝日に関する法律でも「成人の日」などが法律で決められていますが、それと同じようなものですね。

なので、2018年の5月と5月5日は、日本で初めての自転車の日・自転車月間となるメモリアルな期間になるわけです。きっと色々な関連行事が行われることになるでしょう。

自転車のルール違反への対応・損害賠償制度について(附則 第二条)

この法律では附則(本文を補うための記載)では、自転車の運転に関するルール違反への対応について、今後検討し必要な措置を講じるとあります。

当然、良い話だけはでなく、みんなが安全に気持ちよく自転車を利用していくためには、ルール違反への罰則も今後必要に応じて変わっていくというわけですね。

また、自転車事故による損害賠償を保障する制度についても、今後検討し必要な措置を講じるとあるので、このあたりも強化されていくのではないでしょうか。

結局、この法律で何が変わるのか?

この法律で最も大事なことの一つとして、日本の自転車利活用に関する国家計画がつくられること、そして自治体、事業者、国民の責任と義務が明確になったことが挙げられると思います。

この法律で、すぐに何かが変わるということではないのですが、10~20年後には、日本の自転車の利用環境や、国民一人ひとりの自転車に対する意識は大きく変わっているかもしれません。でもそれこそが、自転車が安全・快適で使いやすく、地域を豊かにするものになるために、大事なことなのです。

もしかしたら、日本は将来、世界一の自転車先進国オランダに並ぶ国になっているかもしれませんね。

(執筆:t.k)

【本記事には、個人的解釈が含まれます】
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