ヒルクライムとは?魅力や注意点、おすすめコースなど徹底解説
ロードバイク初心者の方でも「ヒルクライム」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
ヒルクライムは峠や山岳地帯を走ることを指し、サイクリングの楽しみ方の一つです。平地のサイクリングロードを走るのとはまた違った楽しさがあります。
そこで今回は、ヒルクライムの魅力や注意点、おすすめコースなどを紹介します。
ぜひ参考にしてヒルクライムを楽しんでみてください。
目次
ヒルクライムって?
ヒルクライム(hill climb)とは、自転車(ロードバイクなどスポーツタイプの自転車)で主に峠や山道などの坂道を登ることを指します。
ヒルクライムコースとして設定されているような道はもちろん、普通の山道や峠でも坂道を登ればヒルクライムです。
ヒルクライムの自転車競技レースやサイクルイベントも数多く開催されており、ヒルクライムに魅了されたサイクリスト(クライマーと呼ばれます)が多いことが分かります。
では、そんな多くのサイクリストを魅了するヒルクライムの魅力とはいったい何なのでしょうか?詳しく紹介しましょう。
ヒルクライムの魅力
ヒルクライムの魅力は、山を登り切ったときの達成感と爽快感にあります。
「もう離脱してしまおうか」と考えることもあるかも知れません。それでも自分と戦い、漕ぎ続け、目的地に到着した時の達成感と爽快感は、ヒルクライムでしか味わえません。
また、ヒルクライムでは山道を登るため、道中や頂上での景色も魅力の一つです。
街を一望したり、雲海を見ることができたり、目の前に大きな山が現れたりなど、登り切った人にしか見ることができない景色を堪能できます。
圧巻の自然の雄大さを肌で感じることができるヒルクライムは、心もリフレッシュされます。
ヒルクライム上達のためのポイント
ヒルクライム初心者だと、続く坂道に心が折れてしまうことも。
ここからはヒルクライムを楽しむことができる、上達のポイントを解説します。
ペース配分を大切に
ヒルクライムは、自分のペースを大切にしながら走ることが大切です。
周りに早いライダーがいると焦ってペースを上げてしまいがちですが、無理は禁物。最後まで走り切れるスピードで、常に一定のペースを保つことを心がけましょう。
トレーニング
坂道を上る際、力任せにペダルを濃いでも体力を無駄に消耗してしまうだけです。効率の良いペダリングを学ぶ必要があります。
意識してほしいのは、ペダルを漕ぐとき、「足先」ではなく「くるぶし」で綺麗な円を描くようにペダルを漕ぐこと。そうすると、足先で踏むという感覚から腿の上下でペダリングしている感覚に変わります。
この漕ぎ方なら足先の無駄な力が抜け、ペダリングもスムーズになります。
また効率的にペダリングを力に変えるためにビンディングシューズを取り入れることもオススメです。ビンディングシューズであれば、ペダルを押すときの力だけでなく引く時の力も、前進する動力へと変えることができます。
ビンディングシューズについてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
勾配に応じてギヤを変更
勾配の緩急に合わせてギヤを調整することで、ペダリングのリズムを意識した走りができるようになります。リズムのあるペダリングは、ヒルクライム走破のための重要なポイントです。
例えば上り坂を登る時、ペダルが重くて回らなくなり、上手く走行できなくなる経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。
ギヤがある自転車であれば、勾配に合わせてペダルの重さを調節することで足にかかる負担を軽減し、リズムを保ってペダルを踏むことに集中できます。
同じ坂道でも勾配によって登りやすさが変わるので、勾配の変化を敏感に感じ取り、こまめにギヤを調整しましょう。
立ち漕ぎも取り入れる
急な勾配の変化に有効なのが立ち漕ぎです。
坂道を上るときに座った状態でペダルが漕げなくなって立ちこぎをした経験は、誰もがあるのではないでしょうか。体重を生かして坂を上ることができるので体の負担を和らげることができます。
ただし立ち漕ぎはかなり体力を使うため、長距離には不向きな走行法です。
あくまで座って漕ぐことをメインにし、勾配がキツいタイミングで上手に立ち漕ぎを取り入れるのがポイントです。
ヒルクライムの事前準備
ヒルクライムは山道を走るため、山道を考慮した事前準備が重要です。そこで今回は「持ち物」「服装」「装備」の3点を紹介します。
持ち物
ヘルメットやライト、水分補給のためのボトル、簡易栄養補給食などいつものサイクリングに必要な持ち物のほか、アクシデントに備えた持ち物が必要です。
舗装された道路とは言っても、山道では路面状況も悪いためタイヤがパンクすることも。万が一のパンクに備えて替えのタイヤチューブや、パンクの修理キットの準備が必須です。
実際にタイヤがパンクした時の修理方法も事前に理解しておきましょう。
サイクリストが最低限持っておきたい持ち物やパンク修理について、以下の記事でも詳細を解説しています。
また、山は晴れれば日差しが強くなり、紫外線量が多くなるため、日焼けや日射の影響を受けやすくなります。日焼け対策のアイウェアやフェイスカバー、アームカバーなどを持っていくといいでしょう。
日焼け対策のアイテムはこちらで詳しく解説しています。
更に山の天候は変わりやすいので、雨や泥に備えた持ち物があると安心です。持ち物を入れるカバンに防水タイプを選ぶことや、服装の替えなども用意しておきましょう。
服装
標高が低く距離の短い峠では、平地でのサイクリングと同じ服装で問題ありません。
サイクルジャージやサイクルパンツを身に着けておくと、風の抵抗を受けにくく、また長距離ライドでもお尻や腰部への負担を軽減することができます。
標高の高い山道を走るヒルクライムでは、普段のサイクルウェアに追加してウィンドブレーカーを持っておくと安心です。
山では標高が上がると気温が下がり、天気も変わりやすいため防寒対策が必須です。どんなに暑い夏でもウィンドブレーカーは携帯しておきましょう。
また汗をかいたままの状態では汗が冷えて体温が急激に奪われてしまいます。体温が下がると体が硬くなり、パフォーマンスの低下の原因にも。
春や秋など暖かい季節でも夜間に走行した後や、休憩時にはウィンドブレーカーを羽織って体温を下げないように心がけましょう。
服装やアイテムについては以下の記事も参考にしてみてください。
装備
せっかくヒルクライム に挑戦するのであれば、サイクルコンピュータを装備しておくのがオススメです。
サイクルコンピュータがあれば走行距離だけでなく、スピード、標高、消費カロリー、ケイデンス(1分間のタイヤの回転数)など様々な情報を計測し、記録できます。中にはGPS機能やルート案内機能付きのサイクルコンピュータもあるので初めての道を走行する時も安心です。
自分の走りの状態を把握することで、無理なく安全に走ることができます。
サイクルコンピュータについてはこちらでも紹介していますので、参考にしてみてください。
また荷物が多くなる場合、リュックなど身に着けるバッグよりも自転車に取り付けるタイプのバッグがオススメです。
バランスが取りやすくなり、走行中の負担が激減します。
併せて、ボトルホルダーを利用すると走行時の快適さが格別です。荷物の偏りが軽減されバランスを保って走行でき、水分補給も手軽に素早く行うことができます。
ヒルクライムの前に気をつけておきたいこと
いざヒルクライムに挑戦する前に気をつけておきたい点がいくつかあります。
特に初心者の場合、当日を想像できないことも多いはず。
ここからは事前に調べておいた方がいいことについて紹介します。
勾配の緩やかなコースから走ってみる
まずは、勾配のゆるい坂道がメインのコースから走ってみましょう。勾配がキツいと想像以上にペースが落ち、体力を消耗します。
ケガの元になるので無理は禁物。
まずはヒルクライムに慣れることを優先し、緩やかなコースを走りましょう。
休憩所やコンビニなど途中で休むスペースの確認
慣れないうちは休憩をこまめに挟みましょう。特に水分補給ができる場所やトイレに行ける場所は特に抑えておくべきポイント。
ヒルクライムで有名な峠や山道の場合、次の休憩所までかなり距離が空くこともあります。
次にいつ休憩ができるのかを事前に把握しておくことで、無理なく走行できるようなペース配分ができます。
コースの全体像や標高差などを確認
走るコースを事前にインターネットで調べておきましょう。チェックするポイントは走行距離や勾配のキツさ、標高差などです。
走行距離しか見ておらず「距離が短いから大丈夫そうだ」と行ってみたら勾配がキツかったり、車道横のスペースが想像以上に狭くて走りづらかったりなど、数字だけではわからない辛いポイントが隠れている可能性があります。
事前にコースの全体像を押さえておき、走行時に注意が必要な点を洗い出しておきましょう。
走行時間が何分くらいかかるか事前に計算
自身の走行スピードをもとに、コースを照らし合わせ、どれくらいの時間でコースを完走できるか計算して頭に入れておきましょう。
例えば平地の場合、クロスバイクが1時間で走れる距離は約11kmといわれています。(旅行速度11kmと表記します。)
サイクリングコースが40kmの場合、休憩なしで走っても4時間かかる計算です。
旅行速度11kmで走り、30分の休憩を2回と考慮すると、合計5時間ほどのサイクリングとなります。
ヒルクライムの場合はこれに勾配によるスピード低下が起きます。平坦な道を走るよりも速度が遅くなることを見込んで時間を設定する必要があります。
このように基準となる旅行速度を参考に、ヒルクライムによる速度低下を見込んだスタート時間、ゴール時間を設定するのがオススメです。
旅行速度についてや詳細な計算方法はこちらをご覧ください。
おすすめのヒルクライムコース
北海道 美唄雲海コース
総距離 | 約11km |
獲得標高 | 206m |
レベル | 上級者向け |
特徴 | 最大傾斜20%の心臓破りの坂 |
東明公園からふるさとの見える丘展望台を目指すヒルクライムです。
11kmと短距離ではありますが、最大傾斜は20%と走り切るにはかなりの脚力が必要になるチャレンジルートです。
気象条件が揃えば眼下に絶景の雲海を望みながら走ることができます。
美唄雲海ヒルクライムのコースはこちら
長野県 黒菱林道コース
総距離 | 約9km |
獲得標高 | 743m |
レベル | 中級者向け |
特徴 | 絶景の中を走るコース |
知る人ぞ知る絶景道として人気上昇中の「黒菱林道」。
毎年7月初旬から11月初旬までの約4ヶ月のみ開通するヒルクライムコースです。
標高差760m、平均斜度は約9%。
後半になると迫力満点の白馬三山が目の前にあらわれます。
林道の途中にある北尾根高原では足湯があり、ハンモックやチェアでのんびり過ごすことも可能。
黒菱林道コースの詳細はこちらです。
奈良県 天理ダムコース
総距離 | 約42km |
獲得標高 | 550m |
レベル | 初級者〜中級者向け |
特徴 | 本格的なヒルクライムを楽しめる |
奈良県には合計31のルートが存在しており、ヒルクライムの聖地と言われています。
たくさんあるヒルクライムの中から今回ご紹介するのは「奈良 天理ダムコース」。奈良の緑豊かな山々に数ある歴史的スポット、里山の風景を楽しみながら、ゆったりとヒルクライムを楽しむことができるコースです。
距離や勾配もヒルクライムに少し慣れてきた人の力試しにいかがでしょう。
奈良の31ルートの詳細はこちらでまとめて紹介しています。
天理ダムコースはアップダウンも多くあるため、ヒルクライムの魅力である上りの達成感、下りのご褒美感をたっぷりと味わうことができます。
上り下りともに信号・交通量が少なく、自転車で走りやすいのも特徴的。
天理ダムコースを走ったのをきっかけに、本格的にヒルクライムにハマる人も多いのだとか。
そこまで長距離でなくともヒルクライムらしさを楽しむことができるので、オススメです。
実際にこのコースを走ったレポート記事はこちら
高知 雲の上の天狗高原横断コース
総距離 | 約72km |
獲得標高 | 1,733m |
レベル | 上級者向け |
特徴 | 長距離の本格派ヒルクライムコース |
四国カルストの絶景が広がる天狗高原を走り抜けたあと、天狗荘から一気に下るヒルクライムコースです。
前半は上りが続くタフなコースですが、後半は滝や川景色を眺めながらの坂道を下る、達成感も大きく魅力的なコース。
ヒルクライム上級者なら逆方向に辿り、長沢の滝を経由せず48号で天狗峠を上ってみるのがおすすめです!10kmで850mを上る厳しい勾配ではありますが、コケに覆われた別世界のような空間を楽しむことができます。
雲の上の天狗高原横断コースの詳細はこちらです。
おすすめのヒルクライムイベント
栃木県 ぐるとち
総距離 | 12km~355km |
獲得標高 | 116m~2,170m |
レベル | 初心者~上級者 |
特徴 | レベルに合わせたサイクリング 中級者以上は獲得標高500mと本格的なヒルクライムが楽しめる |
「ぐるとち」は2021年9月から始まる新しいサイクリングイベントです。
残念ながら2021年度はコロナウイルスの影響で中止になりましたが、初心者から上級者まで楽しむことができる新たなイベントということで、多くのサイクリストが注目しているイベントです。
栃木県を舞台に上級者から初心者まで楽しめる6コースが設定されていて、ラムサール条約登録されている渡瀬遊水池で自然を満喫したり、千本松牧場で動物と触れ合ったりできるコースも。
普段自転車に乗らない方から、子ども連れの方など、誰が参加しても楽しめるイベントです。
ちなみに中級者向け以上のコースとなると、獲得標高は500m超え。
山岳地帯での本格的なヒルクライムを楽しむことができます。
長野県 乗鞍ヒルクライム
総距離 | 20.5km |
獲得標高 | 1,260m |
レベル | 初心者 |
特徴 | だんだん勾配がきつくなってくるコース |
国内でも人気のヒルクライム「乗鞍ヒルクライム」です。
序盤はややなだらかな上り坂が続き、コース中盤からじわじわと勾配が上がっていきます。
さらに標高が高くなるにつれ酸素も薄くなるため、後半になるほど体力的な負荷がかかってくるでしょう。
コース全体として激しい勾配の変化があるわけではないですが、レース後半に負荷が強まっていくので、長距離のヒルクライムでいかにペースを維持しながら走れるかがキーになるイベントです。
残念ながら2021年度はコロナウイルスの影響で中止となりましたが、毎年多くのサイクリストが参加をしている人気イベントです。
来年以降の開催に期待しましょう。
TABIRINでは過去の乗鞍ヒルクライムイベントの様子をレポートしています。
初心者でもOK!ヒルクライムを楽しもう!
本記事では、ヒルクライムについて解説しました。
勾配のゆるいコースや、距離が短いコースもあるので、是非この機会にヒルクライムに挑戦してみてはいかがでしょうか?
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