世界3大自転車レース「グランツール」とは?3つのレースの特徴・魅力をご紹介
街中を自転車で走ってタイムを競うロードレース。
自転車のロードレースで有名な大会は世界選手権ですが、出場するだけで栄誉とされているのが世界3大自転車レース、通称「グランツール」です。
今回は「グランツール」と呼ばれる、3つの自転車ロードレースとはどんなレースなのかをメインに、グランツールで世界で活躍する (した)日本人選手の情報などをまとめました。
目次
世界3大自転車レース「グランツール」とは?
「グランツール」とは、「ツール・ド・フランス」「ジロ・デ・イタリア」「ブエルタ・ア・エスパーニャ」の3つの自転車ロードレースのことをいいます。
以下では主な共通点や特徴をご紹介します。
1つの国を何週間もかけて回る
1つ目は、複数に分かれたステージを何週間もかけて回る点です。
自転車のロードレースには、ワンデーレースとステージレースの2つがあります。
ワンデーレースは文字通り、1日でレースが完結するタイプで、世界選手権やオリンピックが該当します。
一方、ステージレースは複数に分けられたステージを何日もかけて走り、タイムやポイントを競うものです。グランツールはこちらに該当します。
グランツールの3つのレースは1つの国を丸々使ったコースになっているため、走破距離は3,000kmを超え、いずれも3週間ほどかけて行われます。
1日あたりの最長距離はだいたい250km前後。この距離を毎日走行し、休息日は3週間のうち2~3日しかありません。
途中にはタイムトライアルも用意されている大会もあるので、体力を温存し続けることもできません。
レース中にどこで勝負に出るのか、その駆け引きも魅力なのです。
チーム競技の戦術が魅力
2つ目は、チームで競う点です。
優勝するためにはチームの誰か (基本的にはエース)が一番早くゴールすれば良いのですが、その1人を勝たせるため、チーム構成やチーム1人1人の役割が重要、かつ見所でもあるのです。
チームの”エース”の体力を温存させるため、他の選手は時には風よけ、補給係、そして山岳コースを引っ張る役割を担うこともあります。
過酷な山岳区間が成績を左右
3つ目は、山岳区間が勝負を大きく左右するという点です。
グランツールでは平均勾配が10%以上、上り坂の距離が10km以上の過酷なコースもあります。
この山岳区間はグランツール最大の見せ場。
選手同士の駆け引きが見所で、成績を大きく左右するといわれています。
後ろに続く選手から逃げ切れるか、追いつかれるのか、長い距離ながらも最後の最後まで気が抜けないのが魅力です。
※上記は以下の記事を参考に記述しています。
JKA『More CADENCE』
JSPORTS
世界3大自転車レースをご紹介!
ワンデーレースの世界選手権と違い、3週間もかけて行われる世界3大自転車レース、グランツール。
ここからはグランツールの3つのレースをそれぞれご紹介します。
ツール・ド・フランス
After a tough 2020, the Tour de France would like to wish you all a very happy 2021.🎉
Let’s hope that 2021 will mark the return of the shared emotion that being close to the race brings. 🤞 pic.twitter.com/xQzG9O0pJy
— Tour de France™ (@LeTour) January 1, 2021
ツール・ド・フランスの歴史は長く、なんと誕生したのは120年ほども前。
毎年7月頃に開催されますが、コロナ禍の2020年は8月にずれ込みました。
「ツール・ド・フランス」という名前はフランス一周を意味しますが、年によってはイギリスやベルギーなどフランス周辺の国もステージになることがあり、世界中のサイクリストから愛されるレースです。
前半は長い平地から途中に山岳区間を経て、再び平地へ。その後は再び山岳区間のコースが設けられており、ここで一気にレースが白熱します。
ちなみにツール・ド・フランスで総合1位を獲得したリーダーには、サイクリストにお馴染みの「マイヨジョーヌ」という黄色いリーダージャージが与えられます。
ジロ・デ・イタリア
The #Giro and the Piedmont Region. Here a selection of photos that witness how #Giro crossed this region. What’s your favourite photo? | Il #Giro e la Regione Piemonte. Vi proponiamo alcune foto che testimoniano il passaggio del #Giro in Piemonte. Qual è la vostra preferita? pic.twitter.com/0aFEIjdONL
— Giro d’Italia (@giroditalia) February 4, 2021
ジロ・デ・イタリアは、グランツールでは一番早い時期、5月頃に開催される大会です。
アルプス山脈の雄大な自然の中を走っていく様子など、山あり谷あり、そして海ありの、イタリアの素晴らしい風景も楽しめるレースです。
コースの特徴としては山岳区間が多く、最大勾配が20%を超えるところもあります。
ツール・ド・フランスの総合1位のジャージが黄色なら、ジロ・デ・イタリアの場合はピンクです。
ここ数年はスタート地点が多彩で、2018年はイスラエルのエルサレムで、2020年はハンガリーがスタート地点に選ばれていましたが、コロナの影響でシチリア島がスタートの代替地となりました。
ブエルタ・ア・エスパーニャ
✨ He’s back ✨@TamauPogi, tercero en La Vuelta 19 y ganador del Tour de Francia, marca #LaVuelta21 en su calendario junto a Matteo Trentin y David de la Cruz
📸 Sarah Meyssonnier https://t.co/9brUtYX3OD pic.twitter.com/RH1BoQ5lFE
— La Vuelta (@lavuelta) January 19, 2021
ブエルタ・ア・エスパーニャは、スペインで毎年9月頃に開催される大会です。
世界選手権の直前に行われるため、一時期はブエルタ・ア・エスパーニャを回避する選手が目立ちましたが、ここ10年で有力選手が集まるようになり、迫力あるレースになっています。
山頂がゴールになることも多く、2020年は18ステージ中6ステージのゴールが山頂に設定されました。
このブエルタ・ア・エスパーニャは最後まで接戦が展開され、逆転が頻繁に起こるのも特徴です。
何千kmもの距離を走り、総合優勝と2位の差が1分に満たないことが多く、なんと13秒差という年も。
最後の最後まで目が離せない逆転劇を見たい方は、ブエルタ・ア・エスパーニャの観戦がおすすめです。
※上記は以下の記事を参考に記述しています。
JSPORTS
cyclowired.jp
Cyclist
Giro d’Italia
グランツールで活躍した日本人選手をご紹介!
上述した通り、グランツールは参加するだけで栄誉のあるレースです。
ここからは熾烈な争いを勝ち抜き、グランツールに出場を果たしただけでなく、レースにおいて快挙を成し遂げた日本人選手をご紹介します。
新城幸也 (あらしろ ゆきや)選手
今年もたくさんの応援ありがとうございました!
良いお年をお迎え下さい。 pic.twitter.com/HJ1jeV41D5— Yukiya Arashiro (@YukiyaArashiro) December 31, 2020
新城幸也 (あらしろ ゆきや)選手はツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリアの両レースに参加し、最初に完走した日本人です。
2009年にフランスのプロ自転車チームと契約し、同じ年に行われたツール・ド・フランスでは別府史之選手とともにステージ優勝を狙う覚悟で出場し、区間5位を記録する快挙を達成。この区間5位の記録は現在 (2021年2月)でも日本人最高順位です。
2010年にはジロ・デ・イタリアに参加し、新城幸也選手が得意とする大逃げを打ち、第3位と健闘し、日本人では初めてグランツールの表彰台に上りました。続けてツール・ド・フランスにも参加し、世界のエース級と互角の戦いを演じ、2020年のジロ・デ・イタリアも見事完走。
ツール・ド・フランスだけで実に6回出場し、オリンピックもこれまでに2回参加しています。
東京オリンピックだけでなく2024年のパリオリンピックも目指しており、現役バリバリの選手です。
別府史之 (べっぷ ふみゆき)選手
2021 New kit @EFprocycling
📷: jojoharper pic.twitter.com/sEfwz4OYdB— 別府 史之 FUMY BEPPU 🚴🏽♂️ (@Fumybeppu) January 30, 2021
別府史之 (べっぷ ふみゆき)選手はこれまで2度オリンピックに出場したほか、2009年のツール・ド・フランスでは「ステージ敢闘賞」を獲得するなど、新城幸也選手と共に日本人史上初のツール・ド・フランス完走者となった選手です。
当時、日本人がツール・ド・フランスに出場すること自体が13年ぶり。
新城幸也選手は歴代最高の区間5位、別府史之選手は日本人初の敢闘賞受賞と、同じ年に2人の選手が日本のロードレース界の歴史を作っています。
日本選手権ではタイムトライアルとロードレースの2冠を達成するなど、ロードレース界の第一人者でもあります。
初山翔 (はつやま しょう)選手
【お知らせ】NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ所属の初山翔が2019シーズンをもちまして、プロ選手としてのキャリアを終えることになりました。初山選手、大門監督のコメントを公式サイトに掲載。感謝の気持ちを胸に次のステップへと歩み出します。https://t.co/Qu4hEbPY9o pic.twitter.com/Z0e5sHIuhx
— Team NIPPO (@NIPPO_RACING) December 1, 2019
初山翔 (はつやま しょう)選手は2016年の日本選手権で優勝した実績を持つ選手です。
グランツール初参戦は2019年のジロ・デ・イタリアで、第3ステージではフーガ賞、別名「逃げ賞」を獲得。(※)
2019年の大会で初山翔選手は総合最下位に終わってしまいますが、チームのために果敢に逃げたことが評価され、ジロ・デ・イタリアならではの栄誉「マリア・ネーラ」が与えられました。
ちなみに「マリア・ネーラ」は1951年を最後に廃止されていましたが、初山翔選手の頑張りがイタリアで高く評価され、主催者が特別に復活させた形です。
残念ながらそのシーズンを最後に引退した初山翔選手でしたが、完全燃焼したからこその早い引き際だったのかもしれません。
※逃げ・・・レースのスタート時、一気にスタートダッシュをかける役割
※上記は以下の記事を参考に記述しています。
OLYMPIC CHANNEL
JIJI.COM
Cycle Sports
グランツールはライブ中継で楽しもう!
コロナ禍の現在、現地での観戦は難しいですが、ライブ中継でグランツールのレースをチェックできます。
ロードレースに力を入れているのがJSPORTSで、2020年に開催されたツール・ド・フランスでは21ステージ全てを独占生中継しています。
DAZNではジロ・デ・イタリアを独占中継しており、スポーツ専門チャンネルや専門サイトに登録してグランツールを楽しむファンが多いです。
また前哨戦となるレースもチェックできるので、是非お家で白熱した試合を楽しんでみてはいかがでしょうか。
グランツールを見に行く日が待ち遠しい!
今回は世界3大自転車レース、グランツールの魅力についてご紹介しました。
熱狂的なファンの中には、グランツールを観戦しに、現地フランスやイタリア、スペインに足を運ぶ方もいます。
コロナ禍が収まった暁には、本場で大迫力の世界3大自転車レースを楽しんでみてはいかがでしょうか?
当メディア・TABIRIN (たびりん)は自転車×旅をコンセプトにしたメディアです。
国内の旅レポが中心ですが、サイクリストには馴染み深い、イタリアや台湾の自転車事情の旅レポの記事もありますよ。
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