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これが最先端!世界中のユニークな12の自転車道をご紹介|The 12 unique bike Paths in The world.

世界にはユニークな自転車道が数多く存在します。特にこの10年間では、空中自転車道のような新しいインフラストラクチャも登場してきました。今回は「世界中でユニークな12の自転車道」をご紹介したいと思います。

なお、本記事における「自転車道」とは自転車通行空間の総称の意味として扱っていますので、あらかじめご了承ください。

1.サイクリング スルー ウォーター|Cycling Through Water

場所:ベルギー リンブルフ|Limburg, Belgium

ベルギー・リンブルフの公園施設「ボクリク(Bokrijk)」には、水中自転車道ともいえるユニークな自転車道があります。それが、「サイクリング スルー ウォーター」です。

この自転車道は、サイクリングコース「Fietsen door het water in Bokrijk:(直訳)ボクレイクの水をサイクリング」のジャンクション91とジャンクション243の間に位置しています。

その美しさから、2017年にフランダースで最も美しい自転車道に選ばれ、オーストラリアとアメリカでは優れた景観建築として賞も受賞しています。

この「サイクリング スルー ウォーター」の素晴らしい点は、プロジェクトを通じて、ボクレイクにおける森林・景観計画を加速させ、生態系との共生を図っている点です。

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2.サイクリング スルー ザ ツリー|Cycling through the trees

場所:ベルギー リンブルフ|Limburg, Belgium

同じくベルギー・リンブルフの森林公園「ボスランド(Bosland)」には、森林自転車道ともいえる自転車道、「サイクリング スルー ザ ツリー」があります。

2019年に完成したばかりのこのユニークな自転車道は、ジャンクション272に位置しています(>>Limburg Fietsparadijs – Route planner)。

長さ700m、高さ10m、直径100m、360°ぐるりと回るループ橋で、モミの木のまっすぐな幹を象徴的にデザインし、自然との調和を図った美しい自転車道です。

また、整備時に伐採した木材でつくったサイクリングパビリオンが自転車道の入口にあり、情報と休憩の拠点となっています。

「サイクリング スルー ウォーター」と同様に、このエリアの生態系との共生を図るための取組でもあり、適度に間伐された空間を創出することで、この地域特有の背丈の低い針葉樹の成長を促す役割も担っています。

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3.ネルソン ストリート サイクルウェイ|Nelson Street Cycleway

場所:ニュージーランド オークランド|Auckland, New Zealand

ニュージーランドのオークランドにある自転車道(一部区間は歩行者と自転車の共用)が、「ネルソン ストリート サイクルウェイ」です。

この自転車道のユニークな点は、かつての高速道路を再利用し、オークランド市内を周遊する自転車ネットワークとして整備したことです。

また、この自転車道にはホットピンクのカラーリングに染められたライトパス(Lightpath)(>>参考)と呼ばれる特徴的な区間があり、片方の壁面に300ものLED柱が配置されています。その名のとおり、夜間には光る自転車道に姿を変えるのです。

2015年12月に開通して以降、わずか4ヶ月で述べ10万人以上の自転車利用を記録し、サイクリングの目的地として一気に有名になりました。

ネルソン ストリート サイクルウェイは3段階の整備を経て完成する計画で、現在はその第3フェーズにあります。

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4.エールハーフェン橋|Ölhafen Bridge

場所:ドイツ ラウンハイム|Raunheim, Germany

ドイツのラウンハイムには、白くてエレガントな歩行者・自転車のための橋があります。それが「エールハーフェン橋」です。

ライン川に面した石油ターミナル港の入口に架かるこの橋は、港側のすぐ近くに石油貯蔵タンクがあるとともにタンカー通過の懸念がある一方、魅力的なマイン川の景観にも配慮しなければならないという特殊な環境条件にありました。

この厳しい安全要件と景観への要求をクリアするため、この橋は全長170m、高さ14メートル、白いコンクリートを用いて螺旋形状につくられています。そして、港に面する側はランプ(高低差のある場所をつなぐ区間のこと)を緩やかに湾曲させ白い壁となるように設計し、逆にマイン川に面する側は開かれた形状にすることで、川の景色を遮らない構造になっているのです。

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5.ダフネ・シパーズ橋|Dafne Schippers Bridge

場所:オランダ ユトレヒト|Utrecht, Netherland

Dafne Schippers Bridge from nextarchitects on Vimeo.

自転車先進国オランダのユトレヒトには、橋、学校、公園を統合して設計したユニークな自転車道「ダフネ・シパーズ橋」があります。

この自転車道は、ユトレヒトの中心部から西部のライデセ・レイン地区をつなぐ自転車ネットワークの一部であり、ヴィクトル・ユーゴ公園を大きく曲がりながら小学校の屋上を抜け、アムステルダム・ライン運河を渡る自転車橋に接続する役割を果たしています。

かつては、この小学校等がネットワーク接続を妨げる障壁となっていましたが、公園と学校そして橋を統合して設計することでこの問題をクリアしました。また、公園をできるだけ多く保つようランドスケープデザインがされています。

さらに、ダフネ・シパーズ橋は、これらの公共空間と統合しているため、地元住民や子どもたちの交流、遊びの場としての機能も担っています。

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6.ホーフェンリング|Hovenring

場所:オランダ アイントホーフェン|Eindhoven, Nederland

オランダの光の街アイントホーフェン(Eindhoven)には、「ホーフェンリング(Hovenring)」とよばれるラウンドアバウト型(環状交差点:ロータリー)の空中自転車道があります。

そもそもラウンドアバウトは、クルマの渋滞や事故を低減するメリットがあり、ヨーロッパでは一般的ですが、クルマと自転車を分離させ、自転車の安全性を確保することが課題でした。

そこで、クルマと自転車を立体的に分離した世界初の自転車専用の空中ラウンドアバウトが、この「ホーフェンリング」なのです。

光の街アイントホーフェンらしく、夜間はライトアップされ、美しく光る自転車道となります。

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7.ファン・ゴッホ・ローズガールデ自転車道|The Van Gogh-Roosegaarde cycle path

場所:オランダ アイントホーフェン|Eindhoven, Nederland

世界的画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853年-1890年)の名画「星月夜」。この絵画に着想を得たのが、同じくアイントホーフェン(Eindhoven)にあるファン・ゴッホ・ローズガールデ自転車道(The Van Gogh-Roosegaarde cycle path)です。

ゴッホの故郷ブラバントを結ぶファン・ゴッホ・サイクルルート(Van Gogh cycle route)の一部であるこの自転車道には、無数のLEDが敷き詰められています。日中の太陽光で発電した電力を活用し、夜になるとLEDによる美しい点描画風の光る自転車道を生み出すのです。

この自転車道を設計したローズガールデ氏は、この光の道を「おとぎ話のなかを自転車で行くような感じ」と表現しています。

おとぎ話のようなこの1kmの光の道を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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8.暗闇に光る自転車道|Glow-In-The-Dark Bike Path

場所:ポーランド リジバルク・バルミンスキ|Lidzbark Warmiński, Poland

ポーランド北部の小さなのリジバルク・バルミンスキ(Lidzbark Warmiński)にも、ユニークな光る自転車道があります。固有名詞はありませんが、ポーランド語で「Świecąca ścieżka rowerowa」、英語で「Glow-In-The-Dark Bike Path(暗闇に光る自転車道)」と呼ばれています。

わずか100mの試行的整備ではありますが、幅は約2m、歩行者と自転車のそれぞれに分離された自転車道です。

ファン・ゴッホ・ローズガールデ自転車道が太陽電池式のLEDを使用しているのに対し、リジバルク・バルミンスキではルミノホア(luminophores)と呼ばれる特殊な発光体を使用しており、1日中の太陽光で充電すれば、夜間に10時間発光する上、耐用年数は25年だそうです。

その印象的な青色は、近くのビエロホフスキエ湖(Wielochowskie Lake)の水面の色に合わせたものだそうです。

夜間の安全性を高める有力な方法であり、何より景観として美しい手法です。

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9.モルランス トンネル|Morlans tunnel

場所:スペイン サン・セバスティアン|San Sebastian, Spain

スペインのサン・セバスティアンには、世界最長の自転車専用のトンネル、「モルランス トンネル(Morlans tunnel)」があります。

もともとは鉄道として使われていた空間を再利用したもので、9年の年月をかけ、2009年に完成しました。イギリスの大手新聞紙「ガーディアン」が、世界で最も優れた自転車インフラストラクチャの一つとして取り上げたことで一躍有名になりました。

このトンネルを通行できるのは、朝7:00から夜23:00まで。幅3.5mの双方向通行型の自転車道で、トンネルの高さは5m以上あります。

また、トンネル内にはいくつもの監視カメラが設置されており、自転車の安全性への配慮がなされています。主に住民の日常交通(通勤等)を目的とした自転車道ですが、サイクリング用途にも使用されています。

なお、ノルウェーのベルゲン(Berge)では、2.9kmの歩行者・自転車用のトンネルが建設中であり、2023年に開通すればこちらが世界最長となる予定です。

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10.サイクルスランゲン|Cykelslangen

場所:デンマーク コペンハーゲン|Copenhagen, Denmark

自転車先進国デンマーク・コペンハーゲンには、「サイクルスランゲン(Cykelslangen)」とよばれる空中自転車道があります。

このユニークな自転車道が整備されたハーヴンホルメン(Havneholmen)地区の周辺は、海によってエリアが区切られています。そのため、これまで自転車で対岸のエリアへ行くには、歩行者に混じってショッピングモールを通過する必要がありました。そこで、自転車の安全性と速達性を両立する解決策として考えられたのが「サイクルスランゲン」でした。

もともとは海を迂回する形で設計されていたそうですが、思い切って海を渡る設計を提案したところ、そのまま採用となった背景があるようです。

ちなみに、スランゲンとはデンマーク語で「蛇」。ゆるやかに蛇行した形状の自転車道はスピード抑制効果もあるようです。

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11.厦門(アモイ)バイシクルスカイウェイ|Xiamen Bicycle Skyway

場所:中国 福建省 厦門|Xiamen, China

中国の福建省・厦門(アモイ)には、世界最長の空中自転車道「厦門(アモイ)バイシクルスカイウェイ」があります。

その延長はなんと7.6km!コペンハーゲンのサイクルスランゲンを手がけたDISSING+WEITLING社が設計を行っています。

そのルートは市内にある商業施設や行政施設、BRT駅、地下鉄駅、バス停に沿って整備されており、各種施設へスムーズにアクセスできるように工夫されています。

ラッシュアワーには、なんと1時間に2,000台以上の自転車を処理する容量があるようです。

About
  • 名称:Xiamen Bicycle Skyway
  • 場所:Xiamen, China
  • 概要:長さ7.6km、幅4.8m
  • 開通:2017年3月

12.ソーラーサイクルパス|Solarradwegs

場所:ドイツ エアフトシュタット|Erftstadt, Germany

ユニークな自転車道の事例は全て成功するわけではありません。このプロジェクトは失敗に終わった事例ですが、興味深い取り組みのためご紹介します。

ドイツ・ケルン近郊のエアフトシュタットでは、2018年11月にドイツで初の「ソーラーサイクルパス(Solarradwegs)」、すなわち「太陽光自転車道」が整備されました。

長さ約90m、幅2.5mの自転車道の試験的な設置でしたが、そのユニークな点は、自転車通行空間という基本的な役割に加え、いくつかの付加価値を備えているという点です。すなわち、この自転車道自体が電力を生み出すことができ、約200平方mのソーラーパネルで年間約12MWhの電力を地域の電力網に供給すると試算されていました。これは3人の家族が1年間に消費する電力に相当します。

また、ソーラーパネルの副次的な効果として、発電時の抵抗熱によって雪や氷の融解、つまりロードヒーターの効果が得られ、冬期の道路維持コストの軽減につながるとともに、パネルがノイズを吸収するため騒音の低減にもつながるとされていました。加えて、ソーラーパネルはトラックの重量にも耐え、自転車が通過しても滑りにくい構造となっており、将来的な道路への適用可能性も示唆するとされていました。(>>参考

Solmove社はドイツの道路を全てソーラーパネルで覆うと、2000万台の電気自動車の電力に必要なエネルギーを発電できると試算されていました。

しかし残念ながら、故意に破壊されるなど重なるソーラーパネルのトラブルにより、2019年10月にプロジェクトは失敗に終わりました

ちなみに、世界で初めての太陽光自転車道は、2014年にオランダ アムステルダムで設置されたSolaRoadです。

About
  • 名称:Solarradwegs
  • 場所:Erftstadt, Germany
  • 概要:長さ約90m、幅2.5m
  • 費用:5万$
  • 開通:2018年11月(撤去済)

 

こうしたユニークな手法が適切に広がり、より良い交通環境が形成されていくと良いですね。

(執筆:J.Bourne)

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